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2021年7月30日金曜日

strike a brick wall

新型コロナによるパンデミックは、デルタ株などによる感染の再拡大が各国で見られ、マスク着用等の感染拡大防止ガイドラインを一旦は緩和した米国でも新たな危機感が広がっています。

米国では今週、Veteran's Affairs(退役軍人省)に勤務する医療スタッフらのワクチン接種を義務化すると発表しましたが、ワクチン接種義務化を他省庁に勤務するスタッフにも拡げるようです。


WASHINGTON (CNN) -- President Joe Biden, who for months used techniques like public service announcements to persuade Americans to get vaccinated, feels he has struck a "brick wall" in convincing holdouts to get shots, according to people familiar with his thinking. In private meetings with top aides, Biden has raised one question repeatedly: "What's the problem?"

Now, he is adopting a tougher approach as caseloads surge: vaccine requirements and blame.

(中略)

Instead of merely asking Americans to get vaccinated, the President on Thursday took his first steps toward ordering it.
(Kevin Liptak. Biden unveils federal worker vaccine requirement as he strikes a 'brick wall' convincing unvaccinated Americans to get the shot. CNN. July 29, 2021.)


ワクチン接種の「推奨」から「義務化」は大きな方針転換です。

この方針転換について、引用した記事ではバイデン大統領の側近などへの取材から、


(President Joe Biden...) feels he has struck a "brick wall" in convincing holdouts to get shots


と分析しています。

ここで、"strike a brick wall"というフレーズを取り上げたいと思います。

"brick wall"はレンガの壁ということですが、「レンガの壁を叩く」とはどういう意味でしょうか。

"brick wall"を辞書で引いてみますと、


批判を受けつけない人; 殴られても平気な人
(ランダムハウス英和辞書)


とありました。

記事のコンテクストにあてはめて考えると、「レンガ壁を叩く」とは、ワクチン接種をお願いしてももはや接種率は上がらなくなった、ということを言っているのであろうと思われます。

つまり、「協力依頼」ではもう通じない、だから義務化、ということだと思われます。

これと似た表現に、“hit the wall”というものがあります。壁にぶつかった、ということですが、それ以上先に行くことができない、ということで、スポーツ選手の記録が頭打ちになるというようなコンテクストで用いられることが多いです。

一方、“brick wall”ですが、こちらには消極的な意味合いが前面に出ているようです。

つまり打てども響かない、といったニュアンスではないでしょうか。




2021年7月29日木曜日

repechage

東京オリンピックが宴もたけなわというところです。

先日ネット中継で柔道の試合を見ていましたら、画面に


repechage


という単語が使われているのに目が留まりました。

ご存知のように、準々決勝は"quarter-final"、準決勝は"semi-final"で、英語でも馴染みがありますが、"repechage"は知りませんでした。(ちなみに、予選は"heat"で表現されているようです。)

中継を視聴していて、この"repechage"とは「3位決定戦」、つまり銅メダルに輝く選手を決める試合のことを意味しているのであろうと解釈したのですが、その後、手元にある研究社の英和大辞典を引いてみると、「敗者復活戦」とありました。

そのスペルからフランス語のように思われたのですが、調べてみるとやはりその通りで、仏語辞書にも"repechage"のエントリがあります。

"repechage"はフランス語動詞repêcherから来ていますが、その意味は「再び釣り上げる、自ら引き上げる」というもので、動詞pêcher(魚を釣る)に接頭辞re-がついたものです。

(なお、ロワイヤル仏和中辞典で"repêcher"を引いてみると、「水に落ちた猫を助け上げる」なる例文が載っていました。)

そこから発展して、苦境から救い出す、落第生を救済する、そしてスポーツのコンテクストでは「(敗者に)復活の機会を与える」、という意味になったようです。

下記に引用する記事では銅メダル決定戦(the bronze medal repechage)とあります。


A day after taekwondo wunderkind Avishag Semberg won the bronze in the women’s -49kg category, the Jewish state’s first in the 2021 games, Israeli eyes turned to the dojo, where judoka Baruch Shmailov faced Brazil’s Daniel Cargnin in the bronze medal repechage of the men’s -66kg.
(Israel misses out on judo bronze as Tokyo Olympics day 2 brings mixed results. Times of Israel. July 25, 2021.)


"repechage"はそもそもボート競技において用いられる用語だったようです。

なお、フランス語由来の"repechage"という他、英単語の"consolation"も敗者復活戦の意味で用いられます。(「慰め」とは、また「釣り上げ」と違ったニュアンスではないかと思います。)



2021年7月28日水曜日

pingdemic

新型コロナウィルスによるパンデミック以降、~demic、という造語(かばん語)がいくつか生まれました。

当ブログでも、infodemictwindemic、などを取り上げましたが、先日見かけた、


pingdemic


については、その字面からは何のことか直ぐには分からなかったというのが正直なところです。

果たして、イギリス国内で起きている"pingdemic"とは?


July 19 was meant to mark the end of pandemic lockdown restrictions in England, as progress continued in vaccinating people against Covid-19. But just as the country relaxes most restrictions, it’s facing a third wave of coronavirus infections as the highly contagious delta variant spreads across the U.K. A record number of people who’ve come into contact with an infected person are self-isolating, most of them having been “pinged” by the National Health Service’s contact-tracing app. The “pingdemic,” as it’s been dubbed, has produced huge disruptions for businesses and critical services that threaten to undermine efforts to revive an economy still recovering from its deepest recession in 300 years.
(What’s a ‘Pingdemic’ and Why Is the U.K. Having One? Washington Post. July 22, 2021.)


"pingdemic"の"ping"という単語の解釈がポイントとなる訳ですが、"ping"とは、


to send a usually brief message (such as a text message) or notification to (a person, a person's phone, etc.)
(Merriam-Webster Dictionary)


の意味が相当し、これは古い辞書には載っていないと思われます。いわゆる、インターネット時代の単語ということになります。("ping"の動詞の意味合いについては以前も取り上げたことがあります。)

さて、"pingdemic"とは、新型コロナ陽性と診断された人と接触した可能性のある人に対して通知する、いわゆる「接触アプリ」の通知を受けた人が自主隔離の措置を取らなければならないことで、就業に影響し、ために医療や物流、サービス業などでサービス提供が困難な事態が発生するなど、障害を引き起こしている状況を指しています。

「接触アプリ」についてはイギリスのみならず、各国で運用されていますが、アプリの動作原理や運用方法の違いが"pingdemic"発生に影響している側面があるようです。



2021年7月27日火曜日

a pain in the neck

一国の大統領ともなると、ありとあらゆる問題に対処しなければならず、マスコミ、報道関係者の質問へどのように対応するかは、しばしば頭の痛い問題になるのでしょう。

聞かれたくない質問にどう対処するか、ということがあるかと思いますが、バイデン大統領の場合、記者に対する苛立ちが出やすいタイプのようです。


President Biden on Monday called a reporter a “pain in the neck” for flouting his request for questions only about the US ending its combat mission in Iraq — continuing his habit of lashing out at journalists in response to questions he doesn’t like.

NBC News reporter Kelly O’Donnell disobeyed Biden’s request for questions “about Iraq” and asked Biden instead about reports that the Department of Veterans Affairs would require staff to get vaccinated against COVID-19.

“You are such a pain in the neck. But I’m going to answer your question because we’ve known each other for so long. It has nothing to do with Iraq,” Biden said, before confirming that the VA would be the first federal agency to compel vaccination.
(Steven Nelson. Biden slams ‘pain in the neck’ reporter for off-topic question on breaking news. New York Post. July 26, 2021.)


問題となった記者会見では、質問内容をイラク関係に限定していたそうですが、これに従わないNBCの記者はワクチン接種義務化に関する質問を行い、バイデン氏の怒りを買いました。

質問した記者に対するバイデン氏の返答で、


You are such a pain in the neck.


とありますが、"a pain in the neck"とは


うんざりさせる人や物事、厄介なもの、目障りなもの


という意味です。

相手に向かって面と向かって、「あんた、厄介な人だな」とぶつける言辞にはかなりの苛立ちが見て取れますが、ビデオ映像では怒り狂っているというよりは、苦笑しているように見えます。

以前取り上げた、"pain in the ass"もどうぞ。



2021年7月26日月曜日

cower

政治の要職にある立場の人の言葉遣いというものは慎重に慎重を重ねるべきもので、ひとたび言葉遣いを誤れば批判にさらされることは確実で、職を失うことにもなりかねません。

イギリス保健省のトップによるツイートもその類のものでしょう。

"cower"という、あまり馴染みの無い単語が槍玉に挙がりました。


Health Secretary Sajid Javid has apologised after saying people should no longer "cower" from coronavirus.

He made the comments in a tweet announcing he had made a "full recovery" from Covid, a week after testing positive.

(中略)

In a new tweet, the health secretary also said he had deleted his earlier post, adding: "Like many, I have lost loved ones to this awful virus and would never minimise its impact."

Cower is defined by the Cambridge Dictionary as meaning to bend down or move backward with your head down because you are frightened.
(Sajid Javid apologises for 'cower' Covid remark. BBC News. July 25, 2021.)


"cower"を辞書で引くと、


(恐怖などで)委縮する、縮こまる


とあります。

問題となったツイートは、先週末に投稿された以下のようなものだったということです。


The tweet on Saturday said: "Full recovery from Covid a week after testing positive. Symptoms were very mild, thanks to amazing vaccines.

"Please - if you haven't yet - get your jab, as we learn to live with, rather than cower from, this virus."
(ibid.)


自身が新型コロナウィルス陽性となったもののワクチンのおかげで重症化することなくその後回復を果たしたことに触れ、国民に向けてワクチン接種を勧めていると取れる内容と言えます。

一見問題ない内容にも思えますが、ウィルスの恐怖に「委縮する」とは、史上類を見ないパンデミック下でマスク着用やソーシャルディスタンスによる感染対策を余儀なくされている人たち、愛する家族や友人を失った人たち、また最前線で治療にあたっている医療従事者に対して無神経であるとの批判が起きたようです。

野党の労働党などからも批判を受け、担当相は謝罪、問題のツイートを削除したということですが後の祭りといったところでしょうか。

“cower”というスペルが、臆病なという意味の“coward”に似ているので関連があるのじゃと思いましたが、“cower”の方はゲルマン語系、“coward”についてはラテン語系(尻尾を意味するラテン語caudaに由来)ということで別物です。



2021年7月23日金曜日

東京五輪開幕 ― solidarity

東京オリンピックが1年間の延期を経て、遂に開幕、本日開会式を迎えました。

開会式がネットで中継されていたので、今までそれを視聴しておりました。

世界各国からの選手団の入場は、こんなにたくさんの国から様々な人々が参加しているのだと、改めて感銘を受けました。

IOCのバッハ会長の挨拶では、


solidarity


という単語が連発されていました。10回以上出てきたかと。

連帯感とか団結という意味です。

オリンピックのモットーは、


Faster, Higher, Stronger, and Together


ということで、"solidarity"は"together"と同意でもあります。

開催反対の声も根強いものがありましたが、オリンピックが開催に漕ぎ着けて良かったなと思いました。


The 2020 Tokyo Olympic Games have officially kicked off following an opening ceremony that emphasized solidarity and perseverance.

The event was held mostly without spectators to prevent the spread of infections, although 1,000 VIPs were allowed to attend.
(Tokyo 2020 LIVE: The Olympic Games Are Officially Open, As Naomi Osaka Lights Olympic Torch. Newsweek. July 23, 2021.)



2021年7月22日木曜日

blank

いよいよ明日、23日、東京オリンピックが開幕ですが、昨日からソフトボールとサッカー女子の試合が先行して始まっています。

なでしこジャパンがオーストラリアに勝ち、初戦白星という幸先の良いスタートです。

野球は13年振りに五輪種目にカムバックということで、本場アメリカでもチームUSAの活躍が報じられています。


Softball is back in the Olympic spotlight after a 13-year hiatus, with Team USA beginning their quest for their fourth gold medal with a 2-0 win over Italy on Tuesday at Fukushima Azuma Baseball Stadium.
(Nick Aguilera. USA softball blanks Italy to begin Olympics. MLB.com. July 21, 2021.)


チームUSAは初戦、対戦相手のイタリアの2対0で勝ちましたが、その記事のタイトル、


USA softball blanks Italy to begin Olympics


の、“blank”という表現に注目してみましょう。

このような用法はあまりお目にかかりませんが、米口語の表現で、試合の対戦相手を0点にして勝つ、つまり無失点という意味で用いられます。

以前取り上げた“blank”のまた別の変わった用法もご覧下さい。



2021年7月21日水曜日

cash cow

パンデミック下でいろんな物事の「オンライン化」、つまり対面ではなく、インターネット上のバーチャルな空間で実施することが増えました。

テレワークもそうですが、大学の講義はその例の最たるものでしょう。

海外有名大学のマスター(修士課程)がほとんど詐欺化しているという記事を興味深く読みました。


Few have written more convincingly on this topic than Kevin Carey, director of the education policy program at New America. As a journalist and think tanker, he’s argued for years that “universities see master’s degree programs as largely unregulated cash cows that help shore up their bottom line,” and shown how even schools like Harvard offer effectively predatory programs. The rise of online learning has only supercharged the problem, by allowing universities to parlay their brands nationally and internationally in order to enroll students at an industrial scale.
(Jordan Weissmann. Master’s Degrees Are the Second Biggest Scam in Higher Education. Slate. July 16, 2021.)


引用した記事は特にパンデミック云々という訳ではないのですが、昨今急増している感のある、オンラインでの修士課程を取り上げて、


largely unregulated cash cows that help shore up their bottom line


と警鐘を鳴らしています。

"cash cow"という表現を聞いたことがあるでしょうか?

日本語にすると「金のなる木」となります。企業にとって継続的に利益を生み出す、いわゆるドル箱の商品、サービスということです。

この言葉は企業の財務分析、戦略策定のコンテクストで使われるもので、コンサルティングビジネスではほとんど常識といってもいいくらいの用語になっています。



2021年7月20日火曜日

track record

アメリカで、共和党議員の女性が新型コロナワクチンについて誤解を与える発言をしたとして、ツイッター社はアカウントを一時停止する措置を取ったそうです。


Twitter on Monday evening temporarily suspended Rep. Marjorie Taylor Greene after she shared misinformation about Covid-19 and vaccines, a company spokesperson told CNN.

The Georgia Republican, who has a track record of incendiary rhetoric, will not be able to tweet for 12 hours due to Twitter's policy against people who repeatedly share misinformation.

The social media platform had labeled two tweets from Greene as "misleading" in recent days. If she continues to share misinformation about Covid-19 through her Twitter account, Greene could be suspended from the platform permanently.
(Twitter temporarily suspends Rep. Marjorie Taylor Greene for vaccine misinformation. CNN. July 20, 2021.)


ツイッターのアカウント停止といえば、トランプ前大統領を思い出します。

今回処分を受けた共和党の女性議員Marjorie Taylor Greene氏についてはよく知りませんが、とかく問題発言の多いことで知られているそうです。

記事のくだりで、


The Georgia Republican, who has a track record of incendiary rhetoric


という箇所がありますが、この"track record"の"track"(トラック)とは陸上競技場のことで、つまりは陸上競技における成績、戦績というのがそもそもの意味です。

通常この表現は、"track record of success"などのように、良い意味合いで使われることが多いと思われます。

一方、記事のコンテクストでは逆の悪い意味合いで使われており、こうした用法も同じように見られます。

日本語にするならば「前科(がある)」といった感じでしょうか。



2021年7月19日月曜日

drunk as a monk

酒屋の棚から勝手に取った酒を飲むサルの動画がSNSで話題になっているそうです。

ちなみにインドでの話だそうです。


He was drunk as a monk.

A cheeky monkey in India proved that primates possess more human characteristics than some may realize after he entered a liquor store and downed a bottle.

A NewsLions video of the boozed-up ape is currently blowing up on the web.

The uproarious one-minute clip recorded on Wednesday sees a mischievous macaque sitting on the counter of a liquor store in the state of Madhya Pradesh, in central India, with a bottle of unidentified booze in hand.
(Ben Cost. Monkey swipes booze from liquor store, gets drunk. New York Post. July 15, 2021.)


引用したのはNew York Post紙の記事ですが、別記事によりますと、サルが飲んでいるのはコーヒーリキュールのカールアだということです。

器用にも両足でボトルを固定し、手と口を使って栓を開けて飲む姿は驚きですが、サルがアルコールの味を覚えたのは空き瓶に残っていた飲料に味を占めたからではないかと思われるそうです。

アルコール飲料、また酔っ払いを表現するのに英語では実に様々な表現がありますが、今日は引用記事の冒頭部分に出てくる、


... drunk as a monk.


に注目してみたいと思います。大きめの辞典で"drunk"を引いてみると、


drunk as a fish
drunk as a lord
drunk as a fiddler's bitch
drunk as a skunk


など、"as ~"以下に様々な名詞が来る表現が載っているかと思います。

"drunk as a monk"もその一種だと思われますが、ここで"monk"は僧のことではなく、恐らく"monkey"のことであろうと思われます。

"monkey"を辞書で引くと、俗語の意味として、麻薬中毒患者の意味があることが分かります。

"drunk as a ~"のフレーズに明確な語源があるかよく分からないところですが、"as a skunk"や、この"as a monk"については、"drunk"との語呂合わせということがあるのではないかと思われます。

ちなみに、"monkey"に麻薬中毒者の意味合いがあることについては、興味深い説明を見つけました。

Oxford Dictionary of Euphemismsによりますと、


Probably from having a monkey on your back which you cannot shake off


ということで、麻薬にしろ、アルコールにしろ、一度その味を覚えてしまったら、その誘惑を振り払うことが困難であるという事を意味するのに、"have a monkey on one's back"と表現することに因むそうです。



2021年7月16日金曜日

fungible

最近、新聞でNFTという言葉を知りました。

NFTというのは、"Non-Fungible Token"の頭文字を取ったもので、偽造が不可能なデジタルデータのことを指すそうです。

コンピュータやインターネットが日常生活に不可欠なものとなった今日ですが、PCやスマホで見る電子データは、著作権云々の話はあるものの、コピー(複製)することが極めて容易です。

一方で、NFTはネット上ではデータの複製、偽造が容易であることを前提として、デジタルデータが唯一無二であることを保証することができる仕組みであるといいます。

これにより、一見いくらでもコピーができそうなデジタルアートなどが、いわゆる「一点もの」のお墨付きを得て、高額で取引されるというようなことが起きているそうです。

さて、当ブログはここで、"fungible"という表現に興味がわいてきます。

"Non-fungible"が偽造不可、模倣不可を意味するということであれば、"fungible"は模倣可能という意味になると思われます。

そもそも、この"fungible"なる単語にあまりなじみがないのではないでしょうか。

辞書を引くと、代替可能の、代替性のある、という日本語訳が載っています。

ラテン語のfungibilisから来ていると語源欄にありますが、さらに遡ると動詞fungorに由来します。

このラテン語動詞fungorと親戚のような関係にあるもうひとつの動詞がfingoで、その意味は創造する、形成する、といった意味です。

このfingoから派生した英単語には、"fiction"や"figure"があります。いずれも「作る」という意味がその根本にあります。


The world’s digital answer to collectibles that has fetched millions of dollars at art auctions this year could well end up being a daily necessity within a decade, according to a cryptocurrency doyen

Non-fungible tokens, which are digital certificates of authenticity powered by blockchain technology, have the potential to add value for not just artworks but also everyday essentials such as retail goods, according to William Quigley, a co-founder of stablecoin Tether.

“All consumer products—that can’t be eaten—in the next 10 years will have digital twins. They will have NFTs,” Quigley said in a recent interview.
(Tether’s founder predicts that almost all consumer products will have ‘digital twins’ in ten years. Fortune. July 13, 2021.)



2021年7月15日木曜日

qubit

最近、量子コンピュータ(quantum computing)という言葉をよく聞くようになりました。

専門家ではありませんが、コンピュータサイエンスの基礎として、コンピュータでは全ての情報はゼロ(0)がイチ(1)という形で扱われる、ということがあります。

いわゆるバイナリ(二進法)に基づく概念で、ビット(bit)と呼ばれます。

そのビットに相当するものが、量子コンピュータでは、"qubit"と呼ばれるのだそうです。これは知りませんでした。


Quantum Computing is a totally different phenomenon. Ordinary computing is based on states of matter that are binary: 0 or 1. Nothing in-between. These positions are called bits.

But at the quantum, or sub-atomic level, matter behaves differently: it can be 0 or 1 at the same time - or on a spectrum between the two. Quantum computers are built on qubits, which factor in the probability of matter being in one of various different states. This is mind-boggling stuff, but it could change the world.
(Amol Rajan. Google boss Sundar Pichai warns of threats to internet freedom. BBC News. July 12, 2021.)


キュービット、クビット、などと発音されるそうですが、"qubit"とは"quantum bit"が約められたものです。(qbitというスペルの場合もあるようです。)

ゼロかイチか、ではなく、ゼロでもなく、イチでもない、あるいは、ゼロでもあり、イチでもある、という、まことに常人には理解し難い概念であります。

昔、NHKの番組で「アインシュタインロマン」という番組があり、興味深く視聴していたのを思い出します。

ところで、量子を意味する"quantum"はラテン語のquantusから来ています。

このラテン語quantusの意味は、どれくらい大きい、どれほど多い、という意味の形容詞で、つまり"how much"とか、"as much as"という意味です。



2021年7月14日水曜日

on the fence

新型コロナウィルスワクチンの接種が進むアメリカで、興味深いアンケート結果が公表されています。

ご存知のように、新型コロナのワクチンについては懐疑派、つまり接種拒否の姿勢を示す人々が一定数いると言われています。

米国では国民の約20%がいわゆる「ワクチン懐疑派」という統計があるようですが、そういった人々も時間を経て、ワクチン接種に積極的になっていると考えられるとあります。

背景には、家族や友人の勧め、また、周囲で進むワクチン接種者の増加があるるとの見方です。


Roughly one-fifth of Americans were initially hesitant about or squarely against getting the Covid-19 vaccine but have since gotten their shots, according to polling released Tuesday by the Kaiser Family Foundation.

The survey reached back out to people first polled in January to see how their views on the issue had evolved. Those who had decided to be vaccinated after saying they weren't sure about or didn't intend to get the shot "often say that family, friends and their personal doctors helped change their minds," the foundation found.
(Ariel Edwards-Levy. A new poll shows why some vaccine-hesitant Americans decided to get the Covid-19 shot. CNN. July 13, 2021.)


尤も、ワクチン接種に強く反対している人達は、やはりその信念を曲げることは少ないようです。


Most people who'd made firm decisions one way or the other in January hadn't budged since. Of those who were unvaccinated at the start of the year, only about 8% had changed their minds -- the rest either stuck with their initial choice or had started off unsure what they would end up doing.
(ibid.)


しかしながら、筋金入りの反対派は別として、漠然とワクチン接種に腰が重いという人たちの場合、次第にワクチン接種に積極姿勢を示すようになっているようだと、記事は続きます。


But those who did change their minds or reached decisions after initial uncertainty often decided in favor of the vaccine. Not only had 92% of those who'd intended to get the vaccine done so, but so had 54% of those who said they planned to wait and see, as well as 24% of those who initially had said they definitely would not get the vaccine or would get it only if required to. By contrast, only 8% who'd been on the fence in January said in June that they'd definitely decided against getting the shot.
(ibid.)


前置きが長くなりましたが、引用の最後の部分、


By contrast, only 8% who'd been on the fence in January said in June that they'd definitely decided against getting the shot.


の"on the fence"という表現を取り上げようと思ったところです。

この表現は、「どっちつかず」、「日和見主義」といった意味合いの慣用句です。

つまり、ワクチンを接種しようか(すべきか)、しないでおこうか、どっちつかずといった立場の人で、最終的にワクチン接種しないと決断した人は8%に留まる、ということを言っています。

"on the fence"については、"sitting on the fence"とも表現されることがありますが、字義通りにはフェンスの上に座っているということになります。

フェンスというのは境界を隔てる壁と思っていただければよいと思いますが、その壁を跨いで座っているイメージでしょうか。境界のどちらか一方に行くことができる状態です。

言葉を変えれば、どちらの側にもまだ行っていない、つまりどちら側に行くか態度を決めかねている、ということです。



2021年7月13日火曜日

Jezebel stereotype

アメリカの国内線旅客機の搭乗に際し、着衣が相応しくないとして女性が搭乗を拒否されるという事件があったそうです。

当事者となったトルコ国籍の女性は有名なボディービルダーだそうですが、タンクトップとデニムのショートパンツ姿は鍛えられた肉体も露わな状況だったのでしょうか、他の乗客への配慮が必要という理由で搭乗を拒否されたというものです。


Another day, another woman reportedly removed from a flight because “families”. This time, it was Turkish influencer and bodybuilder Deniz Saypinar, who says she tried to board an American Airlines flight from Texas to Miami and was refused entry to the plane because her outfit — a brown tank top and a pair of denim shorts — was considered potentially offensive to the innocent eyes of Americans flying to a beach destination where literally everyone they see will be wearing a bikini. According to Saypinar, she was told by staff that she was basically “naked”.
(Holly Baxter. Another woman has been barred from a flight for looking too sexy because airlines don’t know their own policies. The Independent. July 12, 2021.)


引用したのはインディペンデント紙の記事からですが、事実ベースのニュース記事とはまた別に、この一件に関して評論している記事から引用しました。

その論調はというと、今回のAmerican Airlineの対応に批判的で、航空会社による「搭乗に不適切な着衣、装い」の定義に疑問を呈しています。

そもそもなぜ女性だけがそのような観点から吟味されなくてはならないのかという主張が展開されているのですが、そのような論調の中、下記のようなくだりがあります。


Needless to say, these issues are also a legal minefield for airlines. It’s well-established that women of color, especially Black women and girls, are often judged to be more mature and more sexual than their white counterparts. This racist “Jezebel stereotype” might easily inform any person’s judgment on the job, unwittingly or no.
(ibid.)


話が人種差別という点にまで及んでいるのですが、ここで使われている"Jezebel stereotype"という言葉に目が留まりました。

この"Jezebel stereotype"というのは、特に黒人の女性を生まれつきみだらである、好色である、また扇情的な存在として見る差別的な見方のことを指すものです。

ところで、英和辞典を引いてみると"Jezebel"とは聖書の列王記に出てくるイスラエル王の妻イゼベルのことで、破廉恥な女、性悪女として描かれているとのこと。

手元の旧約聖書を参照してみますと、列王記上16:31にイスラエル王アハブがイゼベル(Jezebel)を妻に迎えたとの記述がみえます。

続いて、同21:25ではイゼベルの性悪を示す所業が記述されているのですが、みだら、好色というのとは少し違うようでした。

さらに、列王記下9:30で出てきますが、先の所業の報いとして、主の預言通りの惨めな死を遂げます。

上述したように、英和辞典では列王記を典拠としているのですが、ふしだらな女の象徴としての意味の典拠は、どちらかと言えば、新約聖書のヨハネの黙示録2:20にあるようです。


しかし、あなたに対して言うべきことがある。あなたは、あのイゼベルという女のすることを大目に見ている。この女は、自ら預言者と称して、わたしの僕たちを教え、また惑わして、みだらなことをさせ、偶像に献げた肉を食べさせている。
(新共同訳)



2021年7月12日月曜日

staunchとstanch

久しぶりにトランプ元大統領の動静に関する記事を読みました。

大統領選に敗北して以来、表舞台からは姿を消したかのようですが、まだまだ気を吐く活動は健在のようです。


DALLAS – Former President Donald Trump spoke  at the Conservative Political Action Conference (CPAC) on Sunday, wide ranging remarks that included attacks on President Biden, former members of his administration and topics like critical race theory. 

(中略)

"With the help of everyone here today, we will defeat the radical left, the socialists, Marxists and the critical race theorists," Trump said. "We will secure our borders, we will stop left wing cancel culture, we will restore free speech and free elections and we will make America great again."

Trump added that "the people in this room have been some of the staunchest and fiercest supporters" of "the greatest political movement in the history of our country."
(Trump speaks at Dallas CPAC conference, promises to 'defeat the radical left' and 'critical race theorists.' Fox News. July 11, 2021.)


トランプ氏の矛先はバイデン政権にあることは明らかですが、特に国境問題に関してはその失政、無策ぶりをやり玉に挙げています。

また、"make America great again"を標榜するトランプ氏を支持する一定の層もまだまだ健在のようで、


"the people in this room have been some of the staunchest and fiercest supporters"


というくだりはトランプ氏自身の発言ながら、2024年に予定される大統領選候補として同氏を支持する党員が7割に上るという統計もそれを後押ししているかのようです。

さて、今日は"staunch"という単語を取り上げました。

この単語は形容詞です。水を通さない(watertight)という意味に始まり、信頼できる、誠実な、とか、揺るぎない、強固な、といった意味合いがあります。

ややこしいのですが、スペルが一字違いの単語に"stanch"というものがあります。こちらは動詞で、その意味は止血するというものです。その他、流れを止める、とか、(水の漏れ口など)を塞ぐ、という意味があります。

この"staunch"と"stanch"は現代においては、品詞からして異なる、別個の単語という扱いにはなっていますが、どちらも古フランス語estancher(現代フランス語ではetancher)に由来しており、元々は1つの単語だったと考えられています。



2021年7月9日金曜日

東京五輪は無観客が決定 ― made-for-TV

大変残念なことに、東京オリンピックの無観客開催が決定しました。

主に東京で新型コロナウィルスの感染者数を増大に転じ、緊急事態宣言を発令せざるを得なくなったことが背景にあります。一都三県の五輪会場は無観客試合を余儀なくされました。

海外メディアでも大きく報じています。


TOKYO (AP) — Fans were banned from the pandemic-postponed Tokyo Olympics which will open in two weeks, following a state of emergency on Thursday, Olympic Minister Tamayo Marukawa told the Japanese news agency Kyodo.

The ban was announced by the International Olympic Committee and Japanese organizers, reducing the games to a made-for-TV event.
(Olympics To Be Held Without Spectators Amid COVID-19 State Of Emergency. The Huffington Post. July 8, 2021.)


上記の引用で目に留まったのが、


reducing the games to a made-for-TV event


という部分の"made-for-TV"という表現です。

この"made-for-TV"という形容表現は、


made-for-TV movie


といった形でよく見られるものなのですが、そもそも劇場(映画館)で封切られ、公開される映画というものが、劇場公開ではなくテレビ向けに製作される、ということを言ったものです。

テレビ向け、つまり劇場に足を運ばず、家庭内で視聴されることを意図したもの、ということになります。

オリンピックがスタジアムでの観戦という形式を放棄し、テレビ放映を前提とした、ということは関係者にとってショッキングなことです。

また、"reducing ~ to ~"という表現にも、その辺りの落胆というか、あきらめに近い気持ちが読んで取れます。



2021年7月8日木曜日

thin on the ground

"thin on the ground"という慣用句をご存知でしょうか。

数が少ない、とか乏しい、わずか、という意味です。


The United States is facing a shortage of airline pilots exacerbated by a drop in military training since the end of the Cold War.

Early retirement schemes and cutbacks to recruitment during the pandemic have contributed to forecasts of a shortfall of 12,000 commercial pilots in America and up to 50,000 worldwide by the mid-2020s.
(David Charter. US pilots thin on ground as trainees fail to sign up. The Times. June 22, 2021.)


"thin"という形容詞は、薄い(厚みがない)、また痩せている、細い、という意味がまず思い浮かぶところですが、物理的な形容の他、数や量について、少ない、まばら、乏しい、といった意味合いもあります。

"thin"の対義語は"thick"ですが、やはり、


thick on the ground


という表現もあって、こちらはたくさんいる、ということになります。つまり、「掃いて捨てるほどいる」という意味です。いずれ用例を見つけたら取り上げます。



2021年7月7日水曜日

doxxing

"doxxing"という見慣れない単語に出くわしました。

アルファベットのエックスが連続する(-xx-)、そのスペルも変わっていると思います。

手持ちの辞書にはエントリは見当たりません。


Changes to Hong Kong's data protection laws could force some companies to stop providing services in the city, according to an industry group that represents some of the world's top tech firms.

The prospect of a retreat from Hong Kong was floated in a letter released publicly this week by the Asia Internet Coalition (AIC), a Singapore-based association that counts Facebook, Twitter and Google as members.

The memo, which is dated June 25 and sent by the group to Hong Kong's privacy commissioner for personal data, Ada Chung Lai-ling, pushes back on a recently introduced bill that seeks to crack down on doxxing.
(Michelle Toh. Facebook, Google, Twitter and other tech firms could leave Hong Kong over doxxing bill, industry group says. CNN. July 6, 2021.)


事情が少々ややこしいのですが、香港の"data protection law"(個人情報保護法みたいなものと思います)が改正されることが発端のようです。

改正の目的は、昨今問題になっている"doxxing"を規制することが目的のようですが、そうなるとフェースブックやツイッターなどのSNS大手などは香港でのビジネスを継続できなくなる恐れがあるそうです。

では、問題になっている"doxxing"とは何ぞや、ということになるのですが、記事を読み進めていくと、下記のようなくだりがあります。


The practice refers to the sharing of private information of individuals online, usually to open them up as targets for harassment.
(ibid.)


すなわち、本人の同意なく、個人情報をネット上に晒すような行為を指していると解釈できます。

Merriam-Webster Onlineによれば、"doxxing"は下記のように定義されています。


slang: to publicly identify or publish private information about (someone) especially as a form of punishment or revenge


"doxxing"は、ドキュメント(document)を短くした"doc(s)"から来ており、個人情報を晒す行為としては、"doc-dropping"などの俗語表現が知られています。



2021年7月6日火曜日

have the runs

7月に入りました。梅雨が明ければ夏本番!週末、海の見えるところをドライブしましたが、海開き予定の看板を見ました。

夏と言えば海、そしてプールですが、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)がSNSで出したマナー啓発の広告(!?)が物議を醸しています。

下痢の症状がある場合はプールに入らないで、というものですが、添えられた絵が生々しい(!?)というものです。


New Yorkers lounging at Big Apple pools Monday slammed new federal warnings against swimming with diarrhea as “unnecessary” — but admitted that trips to public baths can often be a crapshoot. 

“I feel like that’s common sense,” Diamante Ortiz, 23, told The Post when asked about new guidance from the Centers for Disease Control and Prevention warning Americans to stay far away from pools if they have the runs
(New Yorkers dish on public pool pooping horror stories. New York Post. July 5, 2021.)


下痢のことを"diarrhea"と言いますが、この単語は医学用語なので硬い印象があります。

一方、口語では、走るという意味の動詞"run"の名詞の意味に下痢の意味があります。

通常、"the runs"と複数扱いで使われ、


have the runs


という表現で使われることが多いようです。



2021年7月5日月曜日

shelter-in-place

先月25日、突然建物の一部が崩落し、多数が行方不明となっているフロリダ州のコンドミニアムですが、残っている建物が解体されることになったと今朝の記事で読みました。

これを書いている今は既に爆破による解体が完了しているのですが、部分的に残る建物はいつまた崩落するかも分からず、確認できた死者を圧倒的に上回る行方不明者の捜索の障害になっていたことから、爆破による解体が決定されたという経緯があったようです。


The rest of the partially collapsed condominium tower in Surfside, Florida was demolished around 10:30 p.m. Sunday.

Earlier, local authorities told residents in the surrounding area to shelter in place as well as close all windows, doors and air intakes. Miami-Dade County Mayor Daniella Levine Cava said the shelter-in-place order lifts two hours after the demolition is complete.
(Rest of collapsed Florida condo tower demolished, crews to resume search efforts. CBS News. July 4, 2021.)


関連記事を読んでいて目に留まったのが、


shelter-in-place order


とか、


shelter-in-place zone


といった表現の、"shelter-in-place"です。

"shelter"というのは避難するという意味ですが、"in place"とは「その場に(留まる)」ちということで、これはみだりに外出せず今いる場所に留まることで被害に遭わないようにする、ということを指しており、いわゆる「自宅待機」、「ステイホーム」と同じ意味合いだそうです。


A little-noticed study says government orders to “shelter in place” during the COVID-19 fight did not save lives and spurred an uptick in excess deaths in some places, especially overseas.

Researchers from the RAND Corporation and the University of Southern California studied excess mortality from all causes, the virus or otherwise, in 43 countries and the 50 U.S. states that imposed shelter-in-place, or “SIP,” policies.
(Tom Howell Jr. Shelter-in-place orders didn’t save lives during the pandemic, research paper concludes. The Washington Times. July 3, 2021.)


パンデミック下、「ステイホーム」の掛け声は聞き飽きたというのが正直なところですが、英語では"shelter-in-place"という表現があるとは知りませんでした。

SIPと略すこともあるようです。



2021年7月2日金曜日

こんな意味もあったの? ― member

本日は成人向け(!)の内容となります。良い子は読まないでね(笑)

さて、記事を引用します。


A frisky UK fellow reportedly made medical -- and sexual -- history after accidentally snapping his penis lengthwise during a disastrous session in the sack.

(中略)

Medics report that the anonymous romper's "penis buckled against his partner's perineum" --  the region between the anus and genitals -- due to what they can only surmise was an ill-timed thrust.
(Ben Cost. Man breaks penis during sex, makes medical history by missing target. New York Post. July 1, 2021.)


男性のシンボルがぽっきりと折れてしまったら(!?)、どうしたらよいでしょうか。

そんなまさかの事態が実際に起きてしまったのはイギリスということですが、史上類を見ない報告ということで話題になっています。

ちなみに事故では性交中のハプニングだということで、"ill-timed thrust"とは、これまた生々しい記述です。

ところで史上類を見ないとは言うものの、初めてのケースでは無いようです。記事の終わりに下記のようなくだりがあります。


This isn't the first time someone's wounded their willy in the boudoir. In 2019, a randy man snapped his member clean in half while getting jiggy with his girlfriend. Meanwhile, another man with a broken penis the same year found his member calcifying into "bone" afterward.
(ibid.)


ここで使われている"member"の意味に注目下さい。

記事の内容だけに直接的な表現が憚られているのかもしれませんが、"willy"にしろ、"member"にしろ、俗語としての意味合いで男性器を指すのに用いられます。

俗語とは言うものの、Merriam-Webster Onlineの定義では、以下のように1番最初に出てくるのは少々驚きです。


1: a body part or organ: such as
  a: LIMB
  b: PENIS
  c: a unit of structure in a plant body


"male member"とか"virile member"などとも表現するようです。



2021年7月1日木曜日

through the mill

"through the mill"というフレーズをご存知でしょうか。

苦難を経験する、というような意味です。Collins Cobuild Dictionary of Idiomsの定義を引用します。


If you go through the mill or are put through the mill, you experience a very difficult period of situation.


"mill"というのは工場という意味ですが、ここでは製粉所のことです。

粉挽き(製粉機)にかけられる痛み(!?)を苦難に例えた表現ということなのですが・・・。


EUGENE, Ore. -- Oregon is fully reopened as of today, and that means most COVID-19 restrictions are lifted. 

It also means local businesses now have more freedom to do as they see fit as far as mask mandates and social distancing guidelines go. 

(中略)

One Eugene resident, Bruce, said he will still use some caution and carry his mask wherever he goes. 

"Relieved, confused, disoriented, all of that. And I'm pretty sure I share that with everybody else. We've all been through the mill together and we are hopefully emerging out of the other side of it," said Bruce. 
(Oregon Reopening Gives Businesses More Freedom Over COVID-19 Rules. KEZI-TV. June 30, 2021.)


パンデミック・・・、まだまだ苦難は続きます。