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2011年6月6日月曜日

ドイツでもやしの食中毒被害拡大 ― sprout

ドイツで、E. coli(大腸菌)による食中毒の被害が拡大し、死者22名までになっているという記事が目を引きました。日本でもつい先月焼肉店での生肉による食中毒で死者が出たニュースが記憶に新しいですが、20名以上の死者というのは被害の規模の大きさが桁違いに思われます。

The death toll from Germany’s E. coli outbreak rose to 22, and officials in Lower Saxony state said sprouts grown by a company near Uelzen were a “significant” source of the bacteria.


感染源などは未だ調査段階ではっきりしない部分も多いようですが、"sprouts"が原因ではないかと言われているようです。

ところで”sprouts”とはどんな食べ物?という疑問が出てきますが、英和辞典を引くと、芽キャベツとか、もやし、アルファルファの芽、という訳語が見えます。

もやしとアルファルファの芽はまあ似たようなものだと思いますが、芽キャベツは私などには全く別種のものに思われます。よくよく辞書を見てみますと、”芽キャベツ”とある訳語には、"Brussels sprouts"と括弧書きでありますので、芽キャベツを意味する場合はそのようにはっきり書くということでしょうか。

"sprout"をGoogle画像検索しますと、芽キャベツの画像も出てきますし、もやし、それからカイワレ大根みたいな画像も出てきます。

ちなみに邦紙や日本メディアの記事では、”ドイツ産もやし”(朝日、読売)となっていたり、”豆もやし”(TBS)となっていたり、”スプラウト(新芽野菜)”(ウォールストリートジャーナル日本版)だったり、これまた様々です。


A total of 2,263 cases of illness have been reported by European Union countries, with 21 deaths in Germany and one in Sweden, the European Centre for Disease Prevention and Control said in a statement. Officials previously had reported at least 18 deaths from the bacteria, enterohemorrhagic E. coli, a type that can cause bloody diarrhea and a toxin that damages the kidneys.


"enterohemorrhagic"という単語が見られますが、食中毒のニュースでは良く聞かれる、”腸管出血性”の大腸菌(E. coli)が今回の被害を引き起こしているようです。


“The source of the outbreak is under investigation, but contaminated food seems the most likely vehicle of infection,” the Stockholm-based ECDC said in the statement.

It’s unclear whether the bacteria came from the water the sprout seeds were grown in or the seedlings themselves, which came both from within Germany and from outside the country, Lindemann said. About 18 different sprouts are grown by the company, including bean, broccoli and garlic, he said. The firm has been shut down and results from tests should be available tomorrow, he said. People shouldn’t eat the sprouts, he said.
(Allison Connoly. Death Toll From German E. Coli at 22; Sprouts Eyed as Source. Business Week. June 5, 2011.)


“18 different sprouts”という表現にやはり戸惑うのですが、”もやし”に限らず、豆やブロッコリ、ガーリックなども、当該の農場で栽培されていたことから、感染のリスクがあるということでしょうか。

ちなみにですが、私はこの記事を最初見たときに真っ先にアスパラガスの画像が頭に思い浮かんだのですが、アスパラガスであれば、"asparagus"と書くはずで、私の完全な勘違いでした。(この時期はドイツやスイスではアスパラガスが旬で、大変な高値で取引され、また街のレストランでももっぱらの看板メニューであることを数年前の旅行で同僚に教えてもらったのでてっきりアスパラガスの話かと思ったのです・・・。)

語源に目を向けてみると、"sprout"はいわば”芽や葉が生長しはじめる”という一般的な事象を説明する動詞としても使われる単語で、ために単に"sprout"と言っても、様々な種類の野菜を指すことになっているのだと思われますが、ドイツ語の”spriessen”(芽を出す)という単語と同語源だとあります。(ランダムハウス英和辞書)

アスパラガスはドイツ語で”Spargel”なのですが(旅行先のスイスのレストランでは店先の看板に"Spargel"の文字が踊っていました)、何となく綴りが似ていて、上記の勘違いの言い訳をするつもりはありませんが、ひょっとして同語源なのではないかと調べてみました。


sprout <-- sprutan (古英語) <-- spr-(印欧語)
同語源の英単語: sprawl, spray, spread, sperm, sprinkle, sporadicなど


asparagus <-- asparagos(ギリシャ語。spargan(大きくなる)に関連) <-- sparagi(古期英語)
特記事項: ”asparagus”の頭音消失により、sparagus(廃語)が派生、のち”sparrowgrass”にとって代わられる。


"sprout"と"asparagus"が同語源という確証には至りませんが、何となく語形(スペル)や意味が似通っているという感じを拭いきれません。

仮に語源は同じだったとしても、感染は同じように拡がっては欲しくないものです。

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