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2012年1月13日金曜日

昨日の話の続き ― smart set

昨日、"jetsetter"という単語を取り上げました。日本語でも“ジェット族”という聞き慣れない、また見慣れない訳語ということで解説したところですが、書いている私自身何となく釈然としないものが残りました。

何故かと言いますと、まずは、"jetsetter"という単語と"jet set"という2つの単語の存在があります。"jetsetter"の語尾"-er"は名詞に付属して、“・・・する人”という意味を作る接尾辞ですが、"jet set"という単語自体が、“ジェット族”、つまりジェット機を利用する人達、を意味しているのにさらに語尾"-er"がつくのは、ある意味余計だと言えます。

次に、"jet set"にしろ、"jetsetter"にしろ、今日ではあまり使われることのない表現だとは思うのですが、"set"という部分("jet set"は"jet"と"set"の2単語からなる表現ですが)について、"jet set"を文字通り”ジェット族”と解するならば、何故"set"なのだろうということです。

既にご存知の方には釈迦に説法となってしまいますが、実は、"set"という単語(名詞)には、・・・族とか、・・・派、といった、ある共通項を持つ人たちが形成するグループを指す意味があるんですね。

それを表現するのに、一味といったり、連中といったり、単に仲間といったり、これは日本語が表現豊かであることの証左ですが、日本語では使う表現によって微妙な差異が出てきます。一方、英語では"set"ということになるわけですが、"jet set"の例に見られるように、"set"を使った表現にはややその対象に対する侮蔑が含まれていますので注意が必要です。

さて、同様の表現を使った記事を引用します。


Get ready to start from scratch in the race for the White House. The smart set has been pretending for months that polls tell us who the front-runners are for the Republican nomination. So much for the smart set. Now the voters get to choose, and their decision - the only one that matters - probably will surprise us.

Iowa and New Hampshire start the bidding, and they usually disagree with each other. Then a few dozen other states weigh in. What we’re left with in the end is often nothing like we thought it would be in the beginning.
(Jeffrey H. Birnbaum. BIRNBAUM: Time for campaign amne. Washington Times. December 29, 2011.)


ちょっと何の話か分かりづらいところですが、これは最近騒がしくなってきたアメリカ大統領選の予備選挙の話題です。"smart set"という表現が出てきます。この"set"も同様で、いわゆる"smart"な連中、ということになります。マスコミにしゃしゃり出てくるコメンテーターの類でしょうか。この場合の"set"にもやや軽蔑が込められていると捉えてよいかと思います。

同様の表現として、"younger set"(若手; "older set"はその逆でいわゆる“年寄連中”)があります。

"set"、すなわち“セット”(ひと揃い)のことと思っていたら、分からなくなってしまいますね。

2012年1月12日木曜日

肥満の人は何かと損? ― obese jetsetter

体重を気にしている方を刺激してしまいそうですが、エアライン各社が平均以上の体重の乗客には航空運賃に追加料金を設定することを考えているそうです。オーストラリア発、Sydney Morning Herald紙からの引用です。


OVERWEIGHT passengers should be forced to pay extra for air travel, a former airline economist says. The idea was floated by former Qantas chief economist Tony Webber in a column for Business Day online yesterday.

"People who weigh more should pay more to fly on planes - in the same way that people who exceed their baggage allowance must fork out extra," Mr Webber wrote.

Mr Webber, who left the airline last April, said the weight of an aircraft dictated how much fuel it burnt and airlines may have to raise ticket prices to account for obese jetsetters.
(Nathan Partenza. Fat tax urged for airlines' health. The Sydney Morning Herald. January 12, 2012.)


体重と燃料消費には正比例の関係があるというのはその通りでしょう。故に体重に応じた料金というのは自然な発想かもしれませんが、乗客(特に肥満傾向のある乗客)からすれば反発必至ではないでしょうか。

記事によりますと、提唱者は反発の可能性は重々承知したうえで、輸送にかかるコストに応じた料金体系というのは何も目新しいことではなく、電車やタクシー、保険など他業種でも既に取ら入れられていると主張しています。


"If the passengers on the aircraft weigh more, the aircraft consumes more fuel and the airline's costs go up," he said. Mr Webber admitted the proposal would be met with ''public uproar''. However, he pointed to other cases of price discrimination, including by trains, taxis and insurance companies.
(ibid.)


さて、今日取り上げたい単語は"jetsetter"という単語なのですが、見慣れない単語ですね。

ランダムハウス辞書では、


ジェット族:ジェット旅客機を利用して始終パーティーや保養地を訪れる金持ち連中,またはジェット機で飛び回って商売をする連中


とあり、”時にあざけりの気持ちを含む”と補足説明があります。どうやら、あまりよい意味で用いられる表現ではなさそうです。特に、"obese jetsetter"とあっては、これはまさに中傷の表現だと言ってよいでしょう。

”ジェット族”という日本語も聞きなれない表現です。何となく古めかしさを感じさせますが、ジェット機での旅行が、ほんの一握りのお金持ちだけに許されていた時代の表現だろうと思われます。Wikipediaによりますと、


Although jet passenger service in the 1950s was initially marketed primarily to the rich, its introduction eventually resulted in a substantial democratization of air travel. Today, the term "jet set" no longer has cachet. It may still be valid today if it is understood to mean those who have the independent wealth and time to regularly travel widely, at will, for extended periods, for pleasure. It could also now be taken to mean those who can afford to travel in privately-owned or leased aircraft.


とあり、"jetsetter"という単語の意味するところが既に現実とはややかけ離れている可能性を指摘しています。飛行機を使った旅行のコストに糸目をつけないお金持ちという意味では有効かもしれませんが、今日のように飛行機での海外旅行がごく一般的になった状況では"jetsetter"はどちらかと言えばプライベートジェットや貸切のジェットで旅行できるような一部の金持ちを指すような意味に変化してきている、という指摘でもあります。

Sydney Morning Herald紙のライターがどのような意図があって"jetsetter"という表現を使ったのか興味深いところですが、現代風に言えば"jetsetter"とはつまり、"frequent flyer"のことであり、"obese frequent flyer"ではだめだったのだろうかと思います。

2012年1月11日水曜日

暴走族の季節? ― bikie

日本の冬の風物詩(?!)でしょうか、つい先週末でしたが寒い冬の夜空にあの爆音を聞き、またかと思いました。遠くで聞こえていた爆音が近くに迫ってくると戦慄と共に不快感を禁じえません。

暴走族は日本だけに見られる現象かと思ったら、海外にもいるんですね。下記はオーストラリアの話ですから、季節的には真逆ですが・・・。


Queensland's top cop says police are ready for a national gathering of a notorious bikie gang, the Gypsy Jokers, in Brisbane this week.

Amid fears of a turf war as the gang apparently tries to establish a foothold in the state, Police Commissioner Bob Atkinson says police are planning for the gathering, and will act on any associated criminal activity.

"Much of our work in relation to OMCGs (outlaw motor cycle gangs) remains covert and out of the public eye. However, a lack of visibility should not be confused with a lack of activity," he says in a statement.
(Top cop reassures Qld over bikie threat. The Sydney Morning Herald. January 11, 2012.)


オーストラリア英語での話ですが、暴走族は、"bikie"、または"bikie gang"と表現しています。

"bikie"という単語は想像がつくように、"bike"(バイク)+ 接尾辞"ie"、という形になっています。

Merriam Webster Dictionaryに"bikie"のエントリがあるのですが、その定義は単に、"biker"となっています。"biker"を引くと、"bicyclist"という定義に続いて、"motorcyclist"とあります。どちらも普通に自転車乗り、バイク乗り、ということですが、"motorcyclist"については、


motorcyclist; especially : one who is a member of an organized club or gang


と補足があり、つまりは暴走族を意味していることが分かります。

オーストラリア英語だからでしょうか、American Heritage Dictionaryにはエントリがありません。

2012年1月10日火曜日

今年こそ禁煙!? ― kick the habit

年も改まり、新しい目標を立てて新たなスタートを切ったと言う方は多いでしょう。色んな目標があるかと思いますが、中には悪弊や悪習をばっさりと断ちたい、というものもあるのではないでしょうか?

先日も電車で、中づり広告というのでしょうか、禁煙補助薬のポスターが目に付きました。私は喫煙しませんが、勤務先では今年から就業時間中の禁煙が制度化されました。

今年こそ禁煙、という方にちょっと水を差すような話題ですが、ニューヨークタイムズ紙から記事を引用します。


The nicotine gum and patches that millions of smokers use to help kick their habit have no lasting benefit and may backfire in some cases, according to the most rigorous long-term study to date of so-called nicotine replacement therapy.

The study, published Monday in the journal Tobacco Control, included nearly 800 people trying to quit smoking over a period of several years, and is likely to inflame a long-running debate about the value of nicotine alternatives.
(Benedict Carey. Nicotine Gum and Skin Patch Face New Doubt. The New York Times. January 9, 2012.)


禁煙補助薬、とりわけニコチンガムやニコチンパッチと呼ばれるものに禁煙の効果が低いとする調査結果についてのものです。ニコチン療法の是非については以前より議論があるそうですが、議論が再燃すること必至というところでしょうか。


In medical studies, the products have proved effective, making it easier for people to quit, at least in the short term. Those earlier, more encouraging findings were the basis for federal guidelines that recommended the products for smoking cessation.

But in surveys, smokers who have used the over-the-counter products, either as part of a program or on their own, have reported little benefit. The new study followed one group of smokers to see whether nicotine replacement affected their odds of kicking the habit over time. It did not, even if they also received counseling with the nicotine replacement.
(ibid.)


記事によりますとニコチン療法は短期的には効果が認められるとする調査結果もあるそうなのですが、禁煙成功率を長期的にみるとあまり効果がなく、特に一般に販売されているニコチン製品の使用では禁煙効果は期待薄のようです。

この背景について、禁煙プログラムや禁煙補助薬へのコンプライアンス(服薬遵守)上の問題が大きいという意見もあるようです。

最後になりましたが今日取り上げる表現、"kick the habit"は改めて説明の必要もないかもしれませんが、特に悪い癖などを断ち切る、という意味で用いられる成句です。American Heritage Dictionaryではスラング(Slang)ということになっています。

"knock the habit"という表現もありますが、コーパスで調べると"kick the habit"がもっぱら優勢です。勿論、"stop"、"quit"などの動詞も間違いではありませんんが、殊悪習に関する限り、"kick"がぴったりというところのようです。

2012年1月9日月曜日

バンジージャンプ ― bungy/bungee

バンジージャンプを経験したことがあるという方はいらっしゃいますか?海外旅行も当たり前の時代になってきていますので、年末年始も海外で過ごしたという方は多いと思います。オーストラリア、ニュージーランド方面へ行かれた方の中には、バンジージャンプもしてきたという方もいらっしゃるのでは?

私も10年くらい前にオーストラリアに旅行した際にバンジージャンプの設備を見たことがあります。ゴールドコーストの街中だったのですが、こんなところでできるのかとびっくりしたことを覚えています。勿論ですがやってみようという勇気はありませんでした(笑)

オーストラリア人女性が旅行先のアフリカ・ジンバブエで年越しのバンジージャンプの事故に遭ったというニュース記事を引用します。


An Australian woman escaped with just cuts and bruises after her bungy cord snapped during a New Year's Eve jump in Africa, sending her flying head-first into raging, crocodile-infested waters.

Erin Langworthy's ill-fated jump from the Victoria Falls bridge - 111 metres above the Zambezi River - was caught on camera, showing the rope snapping and a large splash in the water below.
(Aussie plunges into croc-infested waters after bungy cord snaps. The Sydney Morning Herald. January 9, 2012.)


ジャンプ直後、女性の足をつないでいた綱が切れ、ワニが待ち構える水中に落下したそうです。いわんこっちゃない、という声が聞こえそうですが、奇跡的に軽傷で済んだということですから本当に良かったですね。記事にはビデオ映像もついています。

ところで今日取り上げる単語は、"bungy"です。"bungee"というスペルもあります。

冒頭で触れたように、バンジージャンプというとオーストラリアかニュージーランドの名物(?)のように思われていますが、これはバンジージャンプを初めて商業化したのが、A. J. Hackettというニュージーランド人だったことに由来するようです。尤も、Hackett氏が商業化を思いついたのは、バヌアツ共和国(オーストラリアの北東に位置する島国)で男子の通過儀礼として行われていた同様の行為を見たのがきっかけだったということですから、起源はバヌアツにあるというのが正しいのかもしれません。

ところで、"bungy"、あるいは"bungee"を英和辞書で調べてみるのですが、まず、"bungy"ではエントリがなく、"bungee"というスペルでそれらしきエントリがあります。

"bungee"は航空関係の用語らしく、航空機の操縦系統に使われるバネなどの装置を指す、というような解説が見られますが、バンジージャンプの綱というような説明は見られません。(ランダムハウス英和辞書、研究社大英和)

引用記事からも分かりますが、"bungy cord"(Hackett氏のサイトでは、"bungee"よりも"bungy"が使われているようです)がいわゆるバンジージャンプの際に足につける綱を指しています。

このサイトを見ていて私も知ったのですが、ジャンプする人の体重によって綱の種類も変えるそうで、4種類の"bungy cord"があるのだそうです。

バンジージャンプは今や広く日本人にも知られるに至ったと思えば、英和辞書にもエントリがあってよさそうなものだと思うのですが・・・。