昨日、"jetsetter"という単語を取り上げました。日本語でも”ジェット族”という聞き慣れない、また見慣れない訳語ということで解説したところですが、書いている私自身何となく釈然としないものが残りました。
何故かと言いますと、まずは、"jetsetter"という単語と"jet set"という2つの単語の存在があります。"jetsetter"の語尾"-er"は名詞に付属して、”・・・する人”という意味を作る接尾辞ですが、"jet set"という単語自体が、”ジェット族”、つまりジェット機を利用する人達、を意味しているのにさらに語尾"-er"がつくのは、ある意味余計だと言えます。
次に、"jet set"にしろ、"jetsetter"にしろ、今日ではあまり使われることのない表現だとは思うのですが、"set"という部分("jet set"は"jet"と"set"の2単語からなる表現ですが)について、"jet set"を文字通り”ジェット族”と解するならば、何故"set"なのだろうということです。
既にご存知の方には釈迦に説法となってしまいますが、実は、"set"という単語(名詞)には、・・・族とか、・・・派、といった、ある共通項を持つ人たちが形成するグループを指す意味があるんですね。
それを表現するのに、一味といったり、連中といったり、単に仲間といったり、これは日本語が表現豊かであることの証左ですが、日本語では使う表現によって微妙な差異が出てきます。一方、英語では"set"ということになるわけですが、"jet set"の例に見られるように、"set"を使った表現にはややその対象に対する侮蔑が含まれていますので注意が必要です。
さて、同様の表現を使った記事を引用します。
Get ready to start from scratch in the race for the White House. The smart set has been pretending for months that polls tell us who the front-runners are for the Republican nomination. So much for the smart set. Now the voters get to choose, and their decision - the only one that matters - probably will surprise us.
Iowa and New Hampshire start the bidding, and they usually disagree with each other. Then a few dozen other states weigh in. What we’re left with in the end is often nothing like we thought it would be in the beginning.
(Jeffrey H. Birnbaum. BIRNBAUM: Time for campaign amne. Washington Times. December 29, 2011.)
ちょっと何の話か分かりづらいところですが、これは最近騒がしくなってきたアメリカ大統領選の予備選挙の話題です。"smart set"という表現が出てきます。この"set"も同様で、いわゆる"smart"な連中、ということになります。マスコミにしゃしゃり出てくるコメンテーターの類でしょうか。この場合の"set"にもやや軽蔑が込められていると捉えてよいかと思います。
同様の表現として、"younger set"(若手; "older set"はその逆でいわゆる”年寄連中”)があります。
"set"、すなわち”セット”(ひと揃い)のことと思っていたら、分からなくなってしまいますね。
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