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2012年11月7日水曜日

着込む ― bundle up!

ハリケーンSandyの影響により、ニューヨーク市内の学校では上陸前から休校措置などが取られていたようですが、ハリケーンも過ぎ去り、甚大な被害がもたらされたものの少しずつ日常を取り戻しつつあり、学校も再開し始めました。


Nearly a million New York City schoolkids are expected to be back in class today — and they had better bundle up.
(City school openings are cold comfort. New York Post. November 5, 2012.)


学校が再開するにあたって、


they had better bundle up


とはどういう意味でしょうか?

"bundle up"という表現を知らなくても、答えは続きを読むと分かります。


At least three dozen schools likely won’t have heat as temperatures hover just above freezing in the morning, Mayor Bloomberg warned yesterday.

“Please dress your children with that in mind,” the mayor said. “If the schools were dangerously cold, we obviously wouldn't open them. But if they’re chilly, extra sweaters for the kids is something that should make some sense.”
(ibid.)


日本でも11月になってからは随分と冷え込んできましたが、ニューヨークはさらに寒いでしょう。

学校は再開するものの、電力供給や燃料供給がままならない状況では暖房が十分でないため、寒さに備えて着こんでくるべきだ、という勧告です。

"bundle up"という表現ですが、英和辞書を引くと、”着込む”の意味があることが分かります。カタカナでも”バンドル”という表現が使われたりしますが、同じものを束にしたり、品物を梱包するという意味で使われるのが一般的なので、"bundle up"が衣服を重ね着するという意味になるとは知らず、勉強になりました。


2012年11月6日火曜日

shame... into ~ing

昨日に引き続いてですが、ハリケーンSandyによる甚大な被害を被ったニューヨーク・シティと、NYCマラソン開催是非に関する記事から引用します。


Mayor Bloomberg announced the race would be cancelled on Friday — after The Post shamed organizers and the city into realizing that essential resources that could be used elsewhere — were being secreted away for the event.
(Cynthia R. Fagen. Marathon organizers blame race cancellation on media, not killer storm. New York Post. November 3, 2012.)


昨日の記事でも触れましたように、ブルームバーグ市長を始め、NYCマラソン関係者は当初は週末のレースを開催する方向で準備を進めていましたが、批判を受けて最終的にマラソンの開催を見送ることとしました。

ここで、


The Post shamed organizers and the city into realizing that...


という部分に注目しましょう。

市長も関係者も、当初は実施の方向で準備を進めていたのですが、結局止めることになったのは、ハリケーン被害で停電などの被害を被っている市民を尻目に、マラソン関係の設備の電力供給手段を優先している、怪しからん!との批判が起こったからです。

関係者はそのような批判が起こるとは考えなかったのでしょうか、The Post(=New York Post)の報道がきっかけになったというようなくだりが上記の引用からは見て取れます。

"shame"という動詞は、”恥じ入らせる”という意味ですが、ここでは、後続の"into realizing"とつながっており、これは、


talk... into ~ing (説得して~させる)
fool... into ~ing (騙して~させる)
coerce... into ~ing (無理やり~させる)


といった表現と同じ構造です。

2012年11月5日月曜日

wreck? wrack? ― wrack

ここ数日ハリケーンSandyによる被害のニュースが各紙・各メディアのサイトのトップニュースを飾っていますが、ハリケーン通過後の週末に予定されていたニューヨークシティマラソンの開催の是非が話題となりました。

ハリケーンによる死者は100名を超え、ニューヨーク市内では多くの世帯で停電が続く中、マラソンを実施するための設備への電力供給が取り上げられ、被災者からの批判の的となったようです。


Hundreds of thousands of New Yorkers huddle in the dark each night after the most devastating storm in city history — while two massive generators chug away in Central Park and a third sits idle waiting to power a media center during Sunday’s NYC Marathon.

Like hell.

Those generators could power 400 homes on Staten Island or the Rockaways or any storm-wracked neighborhood in the city certain to be suffering the after-effects of Hurricane Sandy on Sunday morning.

Shouldn’t they come first? Shouldn’t the race just be canceled?
(Marathon is power mad! New York Post. November 2, 2012.)


上記の引用記事は先週金曜日の時点のものなので今現在となっては少し古く、この後結局、ブルームバーグ市長は週末のマラソンの中止を決定します。

さて、今日取り上げたい表現は、"wrack"という動詞です。記事の後半に、


any storm-wracked neighborhood


という部分が出てきます。”ハリケーン被害を受けた世帯”、というように解釈できると思います。

大変ややこしいのですが、似たような単語に、


wreck
wreak


があります。"wreak"については、"wreak havoc"(壊滅的な打撃をもたらす)という表現を以前取り上げました。その記事の中でも触れていますが、"wreak"と"wreck"は別の単語であり、"wreck havoc"は誤用とされています。

今日取り上げたのは"wrack"ですが、これは"wreck"とスペルも意味も非常に似通っています。別単語なのでしょうか?それとも、スペルのVariantというだけで、同語源なのでしょうか?

いくつかの辞書の語源欄を見て分かることは、"wrack"は"wreak"と同根、一方、"wrack"と"wreck"は別語源の単語のようである、ということです。

“~ようである”というのは歯切れが悪いですが、辞書にも2つの単語に差異に関する詳しい解説がないので何とも言えないのが正直なところです。しかも、辞書によって語源解説が微妙に違うのです。

Bill BrysonのTroublesome Wordsという本の解説によると、


Wrack is an archaic variant of wreck and now almost never appears except in the expression 'wrack and ruin'.
(Bill Bryson. Troublesome Words, revised edition. 2001.)


とあります。ということは、"wrack"と"wreck"はスペルがちょっと違うだけの、同根の単語ということに解釈できますが・・・。

同根と考えようと別単語と考えようと、繰り返しますように意味は非常に似通っており、また使われるコンテクストも今回のように自然災害による被害などに言及する場合に多いため、混乱は尽きません。

例えば、"storm-wrecked"という表現が正しいのかどうか、筆者には判断できませんが、コーパスを見る限り、そのような使用例も存在します。

さらにややこしいようですが、"wrought"という単語が、


the devastation wrought by super-storm Sandy
(Los Angeles Times. November 3, 2012.)


のような使われ方で、やはり自然災害による被害に言及するときに使われます。

この"wrought"は、皆さんも良くご存知のごく基本的な動詞の"work"の過去分詞形で、"wreak"、"wrack"、"wreck"のいずれとも異なるものです。

英語ってややこしいですね・・・。


2012年11月2日金曜日

口止め、揉み消し ― hush up

日本ではあまり報道されていないのではないかと思いますが、アメリカのペンシルベニア州立大のフットボールチーム監督による学生への性的虐待のスキャンダルはここ最近のトップニュースです。性的虐待の罪に問われている被告の監督は有罪なら数十年以上の禁固刑に処せられることになり、生涯を塀の中で過ごすことになるという記事を読んだ記憶があります。

このスキャンダルで、責任は当のチーム監督に留まらず、州知事にまで及ぶ事態となっているらしく、またまたトップニュースの扱いになっています。

今日の記事を引用します。


HARRISBURG, Pa. — The "conspiracy of silence" that protected Jerry Sandusky extended all the way to the top at Penn State, prosecutors said Thursday as they charged former university president Graham Spanier with hushing up child sexual-abuse allegations against the former assistant football coach.

Prosecutors also added counts against two of Spanier's former underlings, Tim Curley and Gary Schultz, who were already charged with lying to a grand jury.

"This was not a mistake by these men. This was not an oversight. It was not misjudgment on their part," said Linda Kelly, the state attorney general. "This was a conspiracy of silence by top officials to actively conceal the truth."
(Former Penn St. president faces cover-up charges. The Seattle Times. November 1, 2012.)


どんな責任を問われているのかということですが、冒頭、"conspiracy of silence"(沈黙という共謀)と書かれています。

そして、その文に続けて、


they (=prosecutors) charged former university president Graham Spanier with hushing up...


とあります。"hush(ing) up"とは”口止め、揉み消し”という意味です。チームの監督の虐待疑惑はまずは大学の学長による揉み消しの疑惑へ、さらには州知事までもその揉み消しに関与していた可能性を問われる事態になっているということです。

"hush"は、”静かに!”という時に、”シッ!”と言いますが、そのように使われる間投詞(interjection)でもあります。

恐らく擬音(声)語だと思いますが、語源欄を参照すると、中期英語で"silent"を意味する、"husht"という単語からの逆成であるという解説がありました。"husht"の語尾の"t"が過去分詞形を示す接尾辞と誤解されて、"hush"という単語になったのだということです。


2012年11月1日木曜日

ハリケーン被害のNYCで交通麻痺 ― gridlock

アメリカ北東部を通過したハリケーンSandyの爪痕のすさまじさを、ニュース記事に掲載された写真で見ました。その中で目を引いたものに、ニューヨーク・マンハッタンの市中の渋滞の様子があります。

通りは車でびっしりと埋め尽くされ、普段は歩く人は少ないであろうブルックリン・ブリッジは、自動車やバスを避けて徒歩で移動するために橋を渡る人々で溢れかえっているのですが、東日本大震災時の光景を彷彿とさせます。

さて、市中の交通“渋滞”と書きましたが、多くの記事では、"traffic jam"ではなく、"gridlock"という表現が用いられているのに気が付きました。


Cars with less than three passengers will be virtually barred from entering Manhattan, Mayor Bloomberg announced today, in a desperate bid to relief gridlocked city streets.

This post-Hurricane Sandy rule will be enforced from 6 a.m. to midnight tomorrow and Friday.

"To reduce the number of cars coming into Manhattan, however, we have to take some steps. The streets just cannot handle the number of cars that have tried to come in," the mayor said today.

"I know it is inconvenient for a lot of people. But the bottom line is the streets can only handle so much."
(Mayor mandates car passenger minimums in Manhattan. New York Post. October 31, 2012.)


"jam"が渋滞とすると、"gridlock"はそれよりもう1段階酷いレベル、“交通麻痺”に相当するかと思われます。

"grid"とは格子のこと、ここでは縦横に交差する道路のことですが、どのストリートも車で埋め尽くされ、もはや二進も三進もいかない状態、ほとんど"lock"された状態を、"gridlock"で表現しています。

交通麻痺を緩和するため、ブルームバーグ市長は乗車人数が3人未満の一般車両がマンハッタン地区に入ることを禁止する措置を発表したということです。