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2012年10月23日火曜日

米国発:エナジードリンクが危険 ― pick-me-up

アメリカでの話ですが、Monster energy drinkという、いわゆるドリンク剤を飲んだ5人が死亡したというショッキングなニュースが入ってきています。

5人の死亡例には14歳の少女が含まれ、少女の両親が製造販売元を相手取って訴訟を起こしているそうです。

このニュースについて知ったのは昨日だったのですが、今日のヘッドラインでは米国医薬食品局(FDA)が調査に乗り出したとあり、トップニュースの扱いです。


Amid increasing scrutiny of the fast-growing energy drink industry, federal health officials are investigating reports that five people have died since 2009 after consuming Monster Beverage Corp.'s energy drinks.

The U.S. Food and Drug Administration said it hadn't established a link between Monster energy drinks and the reports it has received concerning five deaths and another non-fatal heart attack. The government inquiry comes after a Maryland couple sued the Corona company last week in California for negligence and wrongful death in connection with the death of their 14-year-old daughter, Anais Fournier.
(FDA probing reports of energy-drink deaths. Los Angels Times. October 22, 2012.)


このMonster energy drinkなる商品は日本でもアサヒ飲料から販売されているようですが、カフェインの含有量が半端でないらしく、一般的なカフェイン飲料の5倍近くのカフェインが含まれているそうです。

記事にも出てきますが、恐らく同じ種類のドリンク剤に分類されるRed Bullというものを以前飲んだことがありますが、効果覿面で、飲んだ日の夜ほとんど寝つけず、その効果に驚いた記憶があります。

エナジードリンクは米国で売り上げを伸ばし、急速に市場を拡大しているそうですが、この手のドリンクのことを英語で、


pick-me-up


と表現することをご存知でしたか?


Some lawmakers and consumer advocates are calling for tougher regulation of energy drinks sold by Monster, Red Bull and beverage giants such as Coca-Cola Co. and PepsiCo Inc. These highly caffeinated and sometimes sugar-laden drinks, including top sellers 5-Hour Energy and Rockstar, have become popular pick-me-ups for a wide range of consumers and are heavily marketed as a way to boost performance, focus or overall health.
(ibid.)


"pick-me-up"を英和辞書で調べると強壮剤という訳語が見えますが、"pick up"という動詞句が、”(人を)元気づける”という意味で用いられることから来ていると思われます。

2012年10月22日月曜日

不機嫌なのはPMSのせい? ― debunk

女性の皆さんにはセンシティヴな話題かも知れません。男性の私には分かる訳もない、理解できるレベルを超えた話ですが・・・。

いわゆる”月のモノ”の少し前になると女性が機嫌が悪くなったりするのは科学的(医学・生理学的)な根拠がない、という報告がカナダの専門科らによって発表されたというニュースです。


A woman’s best three-letter excuse for monthly bouts of irritability is being dismissed by a group of Canadian researchers.

Premenstrual syndrome (PMS) is widely used to explain mood swings, food cravings and crying spells that women sometimes experience shortly before their menstrual cycle. But a brave group of female researchers have debunked that idea – and it is sure to set off a firestorm among women who believe their emotional state is more fragile in the days before their period than what the medical evidence suggests.
(Caroline Alphonso. Is PMS a myth? One study says yes. The Globe and Mail. October 18, 2012.)


日本語でも”PMS”(Premenstrual Syndrome、月経前症候群)として知られていますが、記事によりますと、女性の月経サイクルと気分の変化に関する40以上の文献等を調査したところ、月経前に見られるホルモンレベルの変化と抑うつや苛立ちなどのネガティヴな気分との間に明確な相関関係はほとんど認められなかったということです。

この調査結果については当然ながら女性の間から反発も起きているそうですが、調査を担当した大学教授によると、月経前に見られる胸の張りや胃痛といった生理的な症状は別に置いておくとして、気分の変化というものが安易に月経サイクルと結びつけられており、それが却って女性が感情を表出することを妨げる結果にもなっているのではないかという意見を持っているということです。

女性の不機嫌をPMSと決めつけてしまうことは、"myth"(根拠の無い神話)である、ということです。

さて、今日の単語ですが、"debunk"という単語を取り上げたいと思います。

女性の不機嫌はPMSが原因、という考え方は今回の報告で、"debunk"されたということですが、"debunk"を英和辞書で引いてい見ると、


偽りを暴く、正体を暴露する


という訳語が見えます。単語をよく見ると、離脱や分離を意味する接頭辞の"de-"と"bunk"という構造になっていることが見てとれます。では、"bunk"とは一体何を意味しているのでしょうか?

American Heritage Dictionaryに興味深い語源解説があります。

"bunk"というのは、でたらめ、たわ言、という名詞の意味もある単語ですが、その語源は"bunkum"というまた別の単語に由来するそうです。

ではその"bunkum"とは何かというと、地名なのでした。米国・ノースカロライナ州にある、"Buncombe"という地名に由来するのだそうです。この"Buncombe"から選出された政治家が国会で行っていた演説がしばしば中身の無い、空疎なものであったため、"Buncombe"はそのような誠意の無い演説を指す代名詞のようになり、"bunkum"とスペルを変えて定着した、ということです。

空疎で中身のない政治家の言葉はいつの時代も同じでしょうか。何だか今日の民主党政権の状況を想起しますが、首相や大臣の出身地がそのような表現の語源になったら・・・。英単語は面白いですね。


2012年10月19日金曜日

あなたは”millennial”? ― millennial

アメリカに旅行したことのある方はよくご存じかもしれませんが、Macy'sというのは向こうで有名なデパートの名前で、日本で言うと三越とか高島屋みたいなところです。(別に大丸でも、伊勢丹でもいいですが・・・。)

そのMacy'sに関するニュース記事からの引用です。


NEW YORK — Macy's is firing its first salvo at the millennials.

The venerable department store chain is launching 13 new brands and expanding 10 other existing labels that it believes will resonate with shoppers in that 13-to-30 age group.

(中略)

The millennials generation is the first to grow up with cellphones and the Internet and its members are accustomed to getting fast access to anything they want.

In March, Macy's restructured its merchandise team to focus on those shoppers and plans to make other major changes in the next three years to further rope them in.
(Macy's launches new brands to target millennials. The Wall Street Journal. October 18, 2012.)


日本ではデパート業界は苦戦を強いられていますがアメリカでもそうなのでしょうか、Macy'sはターゲットの顧客層を10代~30代に据えてブランドなどを刷新する戦略を取るようです。

ところで今日の単語ですが、"millennial(s)"という単語をご存知でしょうか?そのスペルから、千(1,000)に関係していることは想像がつきますが、記事の冒頭で何が言いたいのかよくわからなかったので辞書(ランダムハウス英和)を引いたところ、


千年の;千年至福の


という形容詞の意味が載っているだけで、???となってしまいました。

後段を読むと、"millennials generation"とあり、世代のことを言っているということが分かります。ここでAmerican Heritage Dictionaryの登場です。


A member of the generation born from the early 1980s to late 1990s, especially in the United States and Canada; a member of Generation Y.
(American Heritage Dictionary, 5th edition.)


この定義を読んで、すっきりです。記事の内容とも合致します。別名”Generation Y”とも言われるそうですが、1980年代~1990年代に生まれた世代のこと、現代で言えば10代から30代前半くらいの人たちを指しているのです。

不思議なのはなぜランダムハウス英和ではこの世代という意味が載っていないのかということです。ジーニアス英和大辞典も見ましたが載っていません。研究社の大英和辞典も同様です。

つまり、”千年至福の~”という形容詞としての、"millennial"は載っているのですが、世代を意味する名詞の"millennial(s)"(Merriam Websterによると通常複数形で用いられる)は載っていないのです。

ところであなたは"millennials"ですか?私は微妙なところです(笑)


2012年10月18日木曜日

大の字 ― spread-eagle

Julia Gillardさんと言えばオーストラリアの女性首相ですが、彼女はよくよくハイヒールではトラブルに見舞われる運命にあるようです。もう大分前の話という感がありますが、今年の1月、オーストラリア国内での式典の最中に先住民のデモ集団から取り囲まれて避難する際にハイヒールが片方脱げてしまい、それがオークションに出品されるという前代未聞の一件がありましたが、今回はインド訪問中に、ハイヒールが濡れた芝生にひっかかり脱げてしまって、転んでしまうという失態を演じてしまいました。


LAHORE: Australian Prime Minister Julia Gillard on Wednesday had to face an embarrassing situation as her foot slipped and she tumbled on to the ground during her visit to the Gandhi Memorial in New Delhi.
(Sabir Shah. Australian PM tumbles in New Delhi. The International News. October 18, 2012.)


上記はThe International Newsの記事から引用したものですが、記事中の写真にはGillard首相がこける瞬間に撮影された写真が掲載されています。ただ、まさに上体が倒れるその瞬間の写真であり、ブレています。

関連記事を探したところ、首相のお膝元、オーストラリアの主要紙であるHerald Sunの記事がありました。


JULIA Gillard has laughed off her latest shoe stumble where she almost fell on her face in India after her heel became stuck in wet grass.

The Prime Minister was spread-eagled and broke her fall with her hands.
(Phil Hudson. Julia Gillard slips and loses a shoe on visit to New Delhi. Herald Sun. October 17, 2012.)


今日は、"spread-eagle"という単語を取り上げます。


The Prime Minister was spread-eagled...


とあり、"spread-eagle"は動詞です。ランダムハウス英和で調べると、ハイフンなしの名詞(spread eagle)と、ハイフンのついた動詞、また形容詞(spread-eagle)の2つのエントリがありました。

この単語を知りませんでしたが、意味はすぐにピンときました。ワシ(eagle)が翼を広げた(spread)様子を形容したものであり、日本語で言うところの”大の字”です。

記事ではビデオ映像が掲載されているのですが、一部始終がはっきり分かります。首相は両方のハイヒールを芝生にとられてまさに大の字の格好で転倒し、あわや顔面を地面に打ち付けるところを両手で何とか手をついて庇うことができたという体です。

さて、"spread-eagle"は動詞だと書きましたが、そうなると"was spread-eagled"は受身形だということになります。記者がなぜ能動態(The PM spread-eagled...)とせずに受身形(The PM was spread-eagled)を使ったのか興味深いところです。

2012年10月17日水曜日

"jump"の意味(2) ― jump-start

景気に関して明るいニュースがないのは日本もアメリカも同様ですが、アメリカでバッテリーメーカーが破産したというニュース記事から冒頭の部分を引用します。


DETROIT — The troubled battery maker A123 Systems filed for bankruptcy on Tuesday, dealing a blow to the Obama administration’s program to jump-start a domestic battery industry and spur development of electric vehicles.
(Maker of Batteries Files for Bankruptcy. New York Times. October 16, 2012.)


今日は、"jump-start"という単語を取り上げたいと思います。"jump-start"を辞書で引くと、主にアメリカ英語の表現ということで、


再開する、活を入れる
よみがえらせる


などの訳語が見えます。

"jump-start"がなぜこのような意味を持つようになったのでしょうか?

語源欄の解説にあったわけではありませんが、"jump-start"とは自動車のバッテリーがあがってしまった時に別の車のバッテリーをつないで初動の動力を送り込み、同時に人力で後押ししながら車を動かすことを指しています。(ほとんどの辞書で、"jump-start"の1番目の意味として載っています。)

"jump-start"の代わりに単に"jump"という動詞で表現することもあるようですが、"jump"という慣れ親しんだ単語にも実はいろいろな意味があるということを改めて思い知らされた気がします。(過去に取り上げた"jump"の意外な用法についてはこちら。)

”ジャンプ”というカタカナに慣れているとなかなか気がつかない用例かもしれません。大分前のことですが、車のバッテリーがあがってしまって困っているという人から、”ジャンパーを貸してもらえませんか?”と頼まれ、自動車にあまり詳しくない私は???だったのを思い出します。

ちなみに、Merriam Websterによると初出は1973年ということですから、かなり新しい単語です。

さらに、ちなみに、どうでもいいことですが、研究社の大英和(第五版)には、"jump-start"のエントリがありません。