中国で同性カップルが婚姻届を提出したものの受理されなかったことを巡って権利侵害との訴えを地方裁判所に起こしたそうですが、訴えが退けられたというニュースです。
A judge in central China ruled against a gay couple in China’s first-ever same-sex marriage case Wednesday, effectively hobbling a case that has electrified the country’s lesbian, gay, bisexual and transgender activists.
The plaintiff, Sun Wenlin, a 27-year-old Hunan native, sued a civil affairs bureau in Changsha, the capital of central China's Hunan province, for refusing him the right to marry his 37-year-old boyfriend, Hu Mingliang, last June.
The Changsha Furong District People's Court agreed to hear the case earlier this year, sparking a flurry of sympathetic coverage in China’s staid state-run media and galvanizing the country’s nascent gay rights movement.
(Jonathan Kaiman. Judge rules against China's first-ever same-sex marriage case. Los Angeles Times. April 13, 2016.)
いわゆるLGBTと呼ばれる性的マイノリティ(少数者)の権利擁護が昨今話題になっています。日本でも「パートナーシップ証明」といった名称で同姓婚を容認する立場を打ち出す自治体が出てきていることはご存知のとおりですが、中国本土でのこのような訴訟は初めてのケースと見られます。
さて、引用した記事で、"hobble"という単語が使われているので取り上げてみたいと思います。
今回の裁判所の判断は同性カップルの訴えを退けるものとなったわけですが、そのことを
effectively hobbling a case
と表現しています。"hobble"を辞書で引くと、
びっこを引く
とあります。記事での用法は他動詞ですから、“びっこを引かせる”となりますが、"hobble"とはそもそも、馬などの動物の足を縛ってうまく歩けない(走れない)ようにすること、またそのような目的の道具のことを指すそうです。前足、もしくは後足の左右が"hobble"と呼ばれる道具(拘束具)によってつながれることで、足を大きく動かせなくなるため、移動速度や距離が制限されてしまうのです。
これが比喩的に発展して、進行を妨げる、というような意味で用いられるようになりました。
何もしなければ勝手気ままに動き回ってしまう馬の動きを封じ込める・・・、"hobble"という言葉の意図はそこにあるようです。
今回の判決は性的マイノリティにはいわゆる「逆風」となってしまったわけですが、記事のライターが敢えて"effectively hobbling"と表現したのには、高まる性的マイノリティの主張に対する司法の意図をかすかに感じさせるものではないでしょうか。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿