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2018年2月26日月曜日

予防線を張る ― draw a line in the sand

とりあえずは記事の引用からお読みください。


Companies like Impossible Foods and Beyond Meat are combining plant-based ingredients and science, rather than animals, to create fake-meat burgers and other products that taste like the real thing.

Now U.S. Cattlemen's Association is looking to draw a line in the sand.

The association launched what could be the first salvo in a long battle against plant-based foods. Earlier this month, the association filed a 15-page petition with the U.S. Department of Agriculture calling for an official definition for the term "beef," and more broadly, "meat."
(Jaden Urbi. Ranchers set to fight back against vegetarian 'fake meat.' USA Today. February 25, 2018.)


いつの時代にもダイエットブームというものがあるように思いますが、アメリカでは肉のようで実は肉ではない(!?)、フェイクミート(fake meat)の市場が拡大しているそうです。

これらフェイクミートは、植物由来の原料やプロテインから合成され、肉とほぼ変わらない食感だとされ、ハンバーガーなどの材料に利用されているそうです。

ところで、記事中に、


draw a line in the sand


というフレーズが使われていますが、今日はこの表現を取り上げたいと思います。

フェイクミートの登場に危機感を募らせるのが肉牛を飼育する事業者らによって結成されているCattlemen's Associationです。

つまり、フェイクミートによって自らのビジネスに不利益があっては大変、ということです。記事からは、フェイクミートと本物の肉との明確な線引きを試みているものと読めます。

"draw a line in the sand"に関しては、砂の上に線を引く、というのがそのままの訳となりますが、ここでなぜ「砂の上」(in the sand)なのか考えてみたいと思います。

「砂」には一般的に、はかないもの、不安定なもの(砂上の楼閣、といった表現にも見られます)、というイメージがありますが、英語でも同じなのでしょうか。

砂の上に線を引くという行為は、引いた線がやがて消えてしまう可能性も大きいのですが、そうなると線を引いたところでそれが確定する訳でもなく、改めて引き直すことになることも考えられます。また、子供の遊びではありませんが、「引いた者勝ち」という印象もあります。

手持ちの辞書で"draw line in the sand"の説明を見つけることはできなかったのですが、どうやらこのフレーズは自らが不利益を被る可能性がある場合に備えて(あらかじめ)線を引いておく、という意味で用いられるようです。

日本語で言えば、「予防線を張る」という表現が近いでしょうか。

記事のコンテクストに当てはめて考えると、本物の肉とフェイクミートに明確な定義が存在しない現状、かつ今後市場がどう変化していくのか曖昧な状況下で、如何に不利益を蒙らないようにするか、がポイントになっていると言えます。


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