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2019年7月5日金曜日

en route

記事の引用をどうぞ。


Tanker full of Iranian oil intercepted en route to Syria

MADRID — Authorities in Gibraltar said Thursday they intercepted an Iranian supertanker believed to be breaching European Union sanctions by carrying a shipment of Tehran’s crude oil to war-ravaged Syria.

A senior Spanish official said the operation was requested by the United States. Iran’s state-run IRNA news agency described the incident as “an illegal seizure of an Iranian oil tanker.”
(Tanker full of Iranian oil intercepted en route to Syria. New York Post. July 4, 2019.)


タイトルで使われている、


en route


という表現はフランス語です。

フランス語をかじったことのある人は、"en"が英語の前置詞"on"に相当するフランス語だとわかるでしょう。

"en route"は英語にすると、"on the way" (to, for~)となりますが、このフレーズはフランス語がそのまま英語に借入されたもののようです。

以前取り上げた、"en masse"によく似ています。

ところで、"route"についてはどうでしょうか。フランス語でもスペルは同じ、"route"です。

日本語でもカタカナで「ルート」と書きます。道や道程の意味であることは今更言うまでもありませんが、語源欄を見ると意外にも知らなかったことがあります。

フランス語を経て英語に入ってきた"route"は、遡るとラテン語のrumpereという動詞に由来するそうです。

このrumpereという動詞は壊すという意味で、英単語では破る、裂くという意味の"rupture"も同語源です。

このrumpereという動詞の過去分詞形がruptaであり、"route"や"rupture"といった英単語につながってくるのですが、壊されたという形容と「道程」の意味の"route"には隔たりがありますよね。

何故、道を意味する"route"になったのでしょうか。

いくつかの辞書の語源解説を総合すると、ラテン語ではrupta viaという表現から来ているらしく、ラテン語動詞のrumpereの意味を考えると、これは壊された道、というような意味になります。

「壊された道」とはどういうことでしょうか。

想像するに、道というものは整備して開通させるものですが、そのためには草地を刈ったり、山を切り拓いたりする必要があります。ある意味、自然の破壊です。

ちなみに、轍(わだち)を意味する"rut"という単語は"route"が変化して生まれたものとされていますが、イメージとして近いものがあります。

研究社の羅和辞典でrumpereを引くと、"viam rumpere"というフレーズは、道を開拓する、開通する、とあります。("via"は道の意味で、"viam"はその対格(目的格)です。)

つまり、道の意味は"via"という単語にあって、ラテン語のrumpereにはないのですから、これは考えてみるとフレーズの一部が、全く関係のない意味の単語に発展したケースであると思われます。(以前取り上げた"toxic"のケースに似ています。)


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