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2013年10月31日木曜日

steal the show

ローマ法王も顔負け・・・、のようです。


Young boy steals show during speech by Pope Francis

A young boy took centre stage during an address by Pope Francis in St Peter's Square, then refused to leave his side.

The pontiff was addressing a crowd of families numbering in the tens of thousands when the youngster wandered on stage.

The little interloper drew smiles and pats on the head from Francis, hugging his legs, kissing his crucifix and even sitting on his chair at one point.

Efforts to draw him away were met with apparent stiff resistance, and more affection from the man of the hour.
(Young boy steals show during speech by Pope Francis. ABC News. Octobe r31, 2013.)


バチカンでスピーチをしていたローマ法王フランシスコのステージに小さな男の子が上がってくるというハプニングがあったようです。

男の子は法王に近寄り、法王に頭を撫でられたりしましたが、法王が首から下げている十字架にキスをしたり、下肢にしがみついたり、果ては法王の椅子に座ったりもしたそうです。

ビデオを見ると、法王もやや困惑気味のように見えます。

さて、今日の表現、


steal the show


ですが、直訳するとショーを盗む、ということになります。

今回のハプニングは法王が演説するステージ、まさにある種の“ショー”の最中に起きたものですが、ショーに限らず、主役の座を奪う、あるいは主役・主流(と考えられていた存在)から話題や人気をかっさらう、というようなコンテクストで使われる成句です。

Collins Cobuild Dictionary of Idiomsでは下記のように定義されています。


If you say that someone or something steals the show, you mean that they get more attention or praise than the other people or things in a show or other event.


ちなみに、このように話題をかっさらうような人やもののことを、"a show-stealer"とも表現します。


2013年10月30日水曜日

ogle

まず最初に・・・。見慣れない単語です。そうではないでしょうか?


Yes, men really do ogle women's bodies

Eye-tracking technology confirms that breasts, waists and hips get longer looks.

The eyes don't lie: Men really do look at women's bodies more than their faces, according to a new study that used eye-tracking technology to prove what many women have long observed.

But it's not just men who do it -- the study found that women look at other women's bodies, too.
(Sharon Jayson. Yes, men really do ogle women's bodies. USA Today. October 29, 2013.)


"ogle"を辞書で引くと、


色目を使う
秋波を送る


という意味が見えます。要は“いやらしい目つき”ということになりましょうか!?

語源を見てみると、オランダ語で目を意味する"oog"という単語に由来するようです。

この記事は女性を見るときに顔よりも体形に目が行っている傾向がある、ということを目の動きをトラッキングする装置を使って科学的に証明した研究成果を報告しているものです。色々な体形の女性の写真を見せた際に、顔よりも胸やウェストといった部分により長い時間視線が注がれるという結果が得られたというものです。

このような傾向は男性だけに見られるのではなく、女性(が女性を見る場合)にも当てはまるそうです。ただし、


"It doesn't explain why they're looking, but they're looking longer."


ということであり、そうすると"ogle"ということにもならないように思われますが、一般的にはやはり男性が女性を見る視点というコンテクストで解釈されるのでしょう。


2013年10月29日火曜日

他人の不幸にほくそ笑む ― Schadenfreude

他人がちょっとしたトラブルや不幸に見舞われているのを見たときに、痛快に思ったことがありますか?

人間というものは元来他人の不幸を喜ぶようなところがあるそうですが、最近の研究でそれが裏づけられたようです。


BOSTON, Oct. 29 (UPI) -- U.S. researchers find people are biologically responsive to taking pleasure in the pain of others -- Schadenfreude -- at least if they envy them.

Mina Cikara of the Massachusetts Institute of Technology and Susan Fiske of Princeton University measured the electrical activity of cheek muscles with an electromyogram, which captures the electrical activity of facial movements when an individual smiles.
Participants were shown photographs of individuals associated with different stereotypes: the elderly (pity), students or Americans (pride), drug addicts (disgust) and rich professionals (envy).

These images were then paired with everyday events such as: "Won five dollars" (positive) or "Got soaked by a taxi" (negative) or "Went to the bathroom" (neutral). Participants were asked how this would make them feel, and their facial movements were recorded.

"Because people don't like to report envy of Schadenfreude, this was the best method for gathering such responses. And, in this experiment, we were able to viscerally capture malicious glee," Fiske said. "We found that people did smile more in response to negative than positive events, but only for groups they envied."
(People biologically take pleasure in the pain of others. UPI. October 29, 2013.)


人が笑う時に観測される頬の筋肉の電気信号を調べるというやり方で、どのような場合に笑う(あるいは嘲笑う)かを研究した実験で、基本的にネガティヴな事象(すなわち他人の不幸)について笑うのはその相手が羨望や嫉妬の対象であるような人の場合によく見られるという結果が得られたそうなのです。

さて、このような他人の不幸を喜ぶ気持ちのことを言うのに、


Schadenfreude


という単語が使われています。スペルから想像つくかと思いますがこれはドイツ語で、ダメージを意味するSchadenと喜びを意味するFreudeが結合した単語です。

ドイツ語なのですが、英単語として定着しておりお手持ちの英和辞書にも載っているかと思います。

上記引用では文中にも関わらず大文字で始まっていますが、ドイツ語では名詞を常に大文字で始める慣習にならったものと思われます。英文で用いられる場合には、小文字のschadenfreudeでも良いようです。


2013年10月28日月曜日

広がる盗聴疑惑 ― bugging

オバマ政権下の国家安全保障局(NSA)がドイツのメルケル首相の携帯電話を盗聴していたというニュースが国際関連ではこのところ持ちきりです。


The chief of the US spy agency NSA has not discussed the alleged bugging of German chancellor's phone with President Barack Obama, officials say.

Gen Keith Alexander never discussed alleged operations involving Chancellor Angela Merkel, an NSA spokeswoman said.

German media say the US has been tapping the chancellor's phone since 2002, and Mr Obama was told in 2010.

The row has led to the worst diplomatic crisis between the two countries in living memory.

A report in German tabloid Bild am Sonntag claimed that Gen Alexander had told the president about the bugging himself.
(Obama 'not told of Merkel phone bugging.' BBC News. October 27, 2013.)


最新の報道では、10年以上も前の2002年から盗聴が行われてきたそうですが、そのことをオバマ大統領が認識していたか否かに注目が集まっています。ドイツ紙によるとNSAの長官がオバマ大統領に2010年には報告し、大統領は盗聴を認識していたということですが、大統領サイドは否定している模様です。

さて、“盗聴”を表現するのに、


eavesdrop





wiretap(あるいは単にtap)


などの表現がありますが、今日は"bugging"という見慣れない表現を目にしましたので取り上げます。

"bugging"の"bug"とは虫のことですが、いろいろな意味の中の1つに確かに“盗聴する”という動詞の意味があります。

また、名詞の"bug"に盗聴器(a concealed listening device)の意味があります。

これは、Oxford Dictionary of Euphemismsによると、


From the size, colour, and shape of the device.


とあることから、盗聴器が虫のような色と形状であることから生まれた意味であることを示しています。


2013年10月25日金曜日

BYOD

BYODという単語をご存知でしょうか?

企業でITを担当している人ならご存知かと思います。そうでない人も一度ならず聞いたことがあるのではないでしょうか?


The future of managing BYOD: race to mobile data management

Candice So


With the bring your own device (BYOD) trend catching on within offices everywhere, businesses everywhere are thinking about how to integrate their employees’ devices into their workplaces.

The question is, how do you manage the data without just securing those devices? At least, that’s how Jesus Rodriguez, CEO and co-founder of KidoZen Inc., sees it. Rodriguez was speaking from a session at the Mobile Enterprise Strategies Summit on Thursday.

“When we look at the industry and how we got here with BYOD, we think about how we need to manage the devices,” Rodriguez said. “These days, everyone has a way to secure the devices. That’s off the chart.”
(IT Business. October 24, 2013.)


引用記事の冒頭に答えは出ていますが、BYODとは、


Bring Your Own Device


の頭文字を取ったもので、私用のパソコンや携帯端末を会社に持ってきてビジネスで使うことを指します。いわばプライベートPCを業務で使う、ということになりますが、この表現の語源は外国のレストランなどで時折聞かれる、


B.Y.O. (Bring Your Own)


をもじったものです。B.Y.O.とはレストランで飲み物(主に酒類)を注文するのではなく、客自らワインなどのんボトルを持ち込むことができる、そういうシステムのことを指していることはご存知だと思います。

BYODはパソコンがほぼ一人一台以上の普及を果たし、タブレット端末や多様な携帯端末が流通し、アプリケーションを動かすための環境なども標準化してきた今日ますます注目が高まっているようですが、数年前から話題になっている割には浸透度はいまひとつのように思えます。

セキュリティや情報流出の面で賛否両論があることがその原因とされており、Bring Your Own Danger (Disaster)などと揶揄されることもあるそうですが、今後どう展開することでしょうか?


2013年10月24日木曜日

ペット用ジャーキーで健康被害続出 ― jerky

アメリカでジャーキー(jerky)を食べた犬や猫が腎機能障害を起こしたり、死亡する例が急増しているそうです。

問題のジャーキーは中国産、ビーフジャーキーもあれば、鶏肉や鴨肉のものなど、様々なブランドの商品だそうですが、米当局である食品医薬品局(FDA)が調査に乗り出したようです。改めて“メイド・イン・チャイナ”に恐怖を覚えずにいられません。


The Food and Drug Administration is investigating the deaths of almost 600 dogs that ate jerky treats made in China. The F.D.A. said it had received reports of illnesses in 3,600 dogs and 10 cats in the United States since 2007, and that 580 dogs had died from the treats, which were sold under a variety of brand names.
(Answers Sought in Deaths of Dogs That Ate Treats. The New York Times. October 23, 2013.)


さて、今日取り上げる単語は”jerky”です。

日本語でも(ビーフ)ジャーキーなどと呼ばれて酒のつまみにもなっています。ふと、思ったのですが、なぜジャーキーと言うのでしょうか?

語源を紐解くと、古代インカ帝国のケチュア語(Quechua)である、cha’rkiに遡ります。"cha’rki"とは乾燥肉のことを指すそうです。

この"cha’rki"がスペイン語などを経て、charquiというスペルで英語に入ってきましたが、最終的に、より英語らしいスペルの"jerky"に落ち着いたもののようです。

ところで、この"jerky"に関連して、"jerk"という単語を連想しますが、強く引っ張る、ぐいと引っ張る、という意味の動詞"jerk"はこの"jerky"とは関係がなく、別語源です。

一方、"jerky"からの逆成で、


(牛肉などを)細く切り日光で乾燥して保存する(ランダムハウス英和辞書)
to preserve (meat) in long sun-dried slices (Merriam Webster Dictionary)


という意味の動詞”jerk”が生じたそうですが、この単語の初出については1707年とされているのに対し、(”jerk”の元となった)”jerky”の初出は1850年とされており、順序が逆のように見えるのは私だけでしょうか?


2013年10月23日水曜日

怠け者のニューヨーカー ― lift a finger

眠らない大都市とも称されるニューヨーク。

一方、怠け者があふれる街=ニューヨーク、というタイトルにそそられてアクセスした記事が下記です。


NY full of 24-hour lazy people

New York is the city that never sleeps — and, apparently, the city that never lifts a finger.

For the right price, you can get someone to do pretty much any job you can think of. Loads of new NYC-centric services have sprung up to handle even the most niche tasks so you’ll have more time to do what you’re meant to in New York: wait endlessly for the R train.

Don’t have time to pack your child’s lunch for school? There’s a company for that. Too lazy to walk 10 feet out your door to fetch your morning cappuccino? There’s a service for that.
(Reed Tucker. NY full of 24-hour lazy people. New York Post. October 21, 2013.)


飼っている犬の散歩を代行してくれたり、果ては郵便物をチェックして必要な情報は電子メールでお知らせしてくれたりと、“怠け者”都会人へのサービス産業が興隆しているようです。東京にも似たようなサービスがあるのでしょうか!?

さて、今日の表現


lift a finger


は、指を持ち上げる(動かす)と言う意味ですが、否定文で用いられることがほとんどで、


指一本動かさない


となると、(ある目的のために)努力しない、骨を折ることをしない、という意味です。

元々は、


lift a hand
raise a hand


という表現だったようですが、強意的に表現が発展したのでしょうか、あるいは今時パソコンやケータイなど、“手”というよりも“指先”で物事をやる時代だからでしょうか、"hand"から"finger"へと移りつつあるようで、コーパスでは"(lift a) hand"よりも"(lift a) finger"の方が多く見られます。


2013年10月22日火曜日

鉄道ストライキで交通網が悲惨なことに ― back up

米・サンフランシスコの公共交通網であるBART(Bay Area Rapid Transit)の職員が一斉ストライキしたことで主に通勤のサラリーマンなどが足を奪われ大変なことになっています。

私も10年以上前ですが、出張した際に利用したことがあるのを思い出しました。

今日の報道によると、ストライキを受けて労使の話し合いが始まったそうです。月曜日には話し合いが妥結し、翌火曜日に普段通りのサービスに戻ることが期待されているようですが、果たしてどうなるでしょうか。


SAN FRANCISCO — Talks to end a four-day transit strike resumed Monday afternoon after two unions offered to change work rules behind the walkout that has made life miserable for 400,000 commuters and snarled Bay Area traffic.
(Talks resume to end 4-day S.F. transit strike. USA Today. October 21, 2013.)


BARTを通勤に使っている利用者への影響は少なくありません。記事に以下のようなくだりがありました。


Commuter frustration with the second strike in four months boiled over Monday, as traffic leading to the San Francisco-Oakland Bay Bridge was already backed up for miles by dawn. The evening commute repeated the nightmare.
(ibid.)


手元に10年以上前に出張した際に購入した地図があるのですが、ご存知の通りサンフランシスコは半島の北部に位置する都市であり、近接する郊外からのアクセスはGolden Gate Bridgeを始めとする橋を経由しなければなりません。

さて、今日は上記の引用に出てくる、動詞の"back(ed) up"という表現に着目したいと思います。

"back up"(バックアップ)は日本語でもカタカナになっている表現ですが、後援(応援)、(データの)バックアップ、といった意味で使われることがほとんどです。そのせいか、最初に上記の引用に出てくる"back(ed) up"を見てもピンときませんでしたが、


交通などが滞る; 流れを止める


という意味もあることをご存知でしょうか?

Merriam Websterによりますと、


to accumulate in a congested state


とあります。

つまり、鉄道がストライキに入ってしまったために、自家用車が中心地に押し寄せ、その渋滞が何マイルにも渡ったということのようです。


2013年10月21日月曜日

roof overhead

まずは記事を引用します。


In more homes, the roof overhead is rented

Many metro areas have seen significant increases in rented single-family homes since 2006, Census Bureau data shows.

In the aftermath of a historic housing bust, rented single-family homes are on the rise in communities from coast to coast.

At least a fifth of all occupied single-family homes were rentals last year in 32 of the nation's top metropolitan regions, according to a USA TODAY analysis of U.S. Census Bureau data. That's up from seven metros in 2006.
(USA Today. October 20, 2013.)


タイトルに出てくる、


(the) roof overhead


という表現に着目したいと思います。

文字通りに訳せば、頭上の屋根、となるかと思いますが、これは“家”を意味する表現として定着しており、メトニミー(換喩)の一種であると考えることができます。

この表現は、"overhead"の代わりに"one's head"となることもあります。


Like any loan secured by a lien on your home, an equity credit line does create the risk of losing the roof over your head if you can't repay.
(Chicago Sun Times. 1993.)


2013年10月18日金曜日

米議会で突然“キレた”速記官 ― lose it

昨日に引き続き、アメリカ議会で与野党対立から懸念されていた債務不履行が土壇場で回避されたニュースからの引用です。

日本の国会中継でも見ることができますが、速記官という役割の人が議事を記録します。その速記官の女性が、政府債務の上限を引き上げる法案の採決が始まろうとするときに、突然“キレた”のだそうです。


A stenographer for the House apparently lost it Wednesday night as lawmakers passed a government funding and debt limit deal, Roll Call reports. The stenographer began shouting about God and the Freemasons as the vote took place.

(中略)

Lawmakers watched silently as the scene unfolded before them. After the stenographer was removed from the chamber, House members turned to each other.

U.S. Rep. Joaquin Castro, D-Texas, said the woman had a crazed look on her face, according to the Associated Press.
(Melanie Eversley. House stenographer loses it during shutdown vote. USA Today. October 18, 2013.)


“キレた”と書きましたが、記事では


lose it (lost it)


という表現が使われています。

辞書を引くと、"lose it"がアメリカの俗語として載っていると思います。“腹を立てる”という意味がランダムハウス英和に載っていましたが、ここではやはり“キレる”という日本語がぴったりくるような気がします。

American Heritage Dictionaryの定義、


To become deranged or mentally disturbed.


がこれに当たると思います。

他紙の報道に拠りますと、速記官の女性は与野党対立がクローズアップされ、行政サービスの停止が始まった頃から眠れない日々が続いたようで、そのような状況が影響したのではないかということです。


2013年10月17日木曜日

米議会、土壇場で債務不履行回避へ ― down to the wire

ここのところずっと注目されていたアメリカでの国債の上限引き上げ問題ですが、ようやく共和党と民主党が折り合い、デフォルト(債務不履行)のリスクが当面回避されることになったようです。


(Reuters) - The U.S. Congress on Wednesday approved an 11th-hour deal to end a partial government shutdown and pull the world's biggest economy back from the brink of a historic debt default that could have threatened financial calamity.

Capping weeks of political brinkmanship that had unnerved global markets, President Barack Obama quickly signed the spending measure, which passed the Senate and House of Representatives after Republicans dropped efforts to use the legislation to force changes in his signature healthcare law.

The White House budget office told hundreds of thousands of federal workers, the bulk of whom had been idle for the past 16 days, to be ready to return to work on Thursday.

The down-to-the-wire deal, however, offers only a temporary fix and does not resolve the fundamental issues of spending and deficits that divide Republicans and Democrats. It funds the government until January 15 and raises the debt ceiling until February 7, so Americans face the possibility of another bitter budget fight and another government shutdown early next year.
(U.S. Congress ends default threat, Obama signs debt bill. Reuters. October 17, 2013.)


サービスを停止していた政府関連機関の職員も、16日間の自宅待機からようやく職場復帰することになるようです。

さて、今日取り上げる表現は、"down-to-the-wire"です。

"down to the wire"とは、上記引用の冒頭に出てくる"11th-hour"という表現とほぼ同義で、ぎりぎりのところで、土壇場で、というような意味です。

実は以前に、"under the wire"という表現を取り上げたことがありますが、これらの成句に出てくる"wire"とは陸上競技レースでのゴール(フィニッシュ)ラインを指す単語です。


2013年10月16日水曜日

抜き打ち ― snap

日本語でもカタカナでよく使われているような英語の表現に限って、英語での意味合いは微妙に日本語のそれと違っているということはこれまでにも色々な例で見てきたところですが、“スナップ”というカタカナについてもそのきらいがあると思います。

まずは引用です。


Report: Iran will accept snap visits of nuclear sites

Iran is willing to accept short-notice visits of its nuclear sites, the Agence France-Presse news service reported Wednesday as world powers resumed talks Wednesday in Geneva over Tehran's nuclear program.

No other details of the reported proposal were immediately available, and on Tuesday Abbas Araqchi, Iran's chief negotiator at the two-day summit in Switzerland, reportedly said snap visits to the nation's atomic facilities did "not exist" in its three-step plan to resolve its nuclear standoff with international powers "within a year."
(Kim Hjelmgaard. Report: Iran will accept snap visits of nuclear sites. USA Today. October 16, 2013.)


"snap visit(s)"という表現が出てきますが、本文では"short-notice visits"とも表現されています。ここでの"snap"とは日本語で言えば、“抜き打ち”というような意味合いがあるかと思います。Merriam Websterに見られる、


called or taken without prior warning


という、形容詞"snap"の定義の1つを解釈すると“抜き打ち”という日本語がぴったりではないでしょうか。

ところで、“スナップ”というカタカナを使った表現で最もなじみがあるのは、“スナップショット”(スナップ写真)という表現ではないでしょうか。

広辞苑(第三版)によると日本語では“速射”とされるようですが、


動く被写体を手早く撮影すること、またその写真


という定義が見られます。これは上記のMerriam Websterの"...without prior warning"という定義にも通ずるところがあると思われます。

しかしながら、現代において“スナップショット”は、ほとんど写真と同義で用いられている傾向があります。本来は、スタジオなどで照明などのセッティングがなされた中で撮影される写真に対比した概念として、そのような事前のセッティング無しに、自然な風景や人物を撮影した写真を意味する表現です。

また、コンピュータシステムのコンテクストにおいては、ある一時点におけるファイルシステムの状態を切り取ったようなものを言うのに使われる表現としても定着しています。

つまり、予定外の、抜き打ちの、といった意味合いはカタカナの“スナップ”からは薄れつつある一方、英語ではそのような意味を保持した表現が主流であるということなのです。

枚挙に暇がありませんが、そのような表現が多数あります。


snap decision
snap judgement
snap election
snap poll
snap inspection


"snapshot"という表現も元々は狩猟用語で、


銃を構えてよくねらわずに素早く撃つこと
(ランダムハウス英和辞書)


という意味であったことを今日知りました。


2013年10月15日火曜日

Crying over spilt milk

英語のことわざでよく知られているものに、


It is no use crying over spilt milk.


というものがあります。高校の英語の教科書で初めて出てくるんでしたっけ?

やってしまったことを悔やんでもしょうがない、覆水盆に返らず、と訳されます。テストや受験のために一生懸命暗記しましたよねぇ。(笑)

今日はたまたま、このことわざが使われている記事を見つけました。


Michelle Chapman is trying not to cry over spilled milk.

The Surrey resident was shocked to discover last month that a June fender bender she caused that left almost no visible damage to either vehicle escalated into a $4,800 writeoff. She was more shocked to discover the reason why.

"They're writing off the truck for spilled milk," said Chapman, who ICBC is holding responsible for the claim.
(Matthew Robinson. Crying over spilled milk: Fender bender ends in $4,800 writeoff after child's drink spoils. The Vancouver Sun. October 14, 2013.)


車での追突事故の賠償を巡る、笑うに笑えない話なのですが、追突のダメージ自体は全く大したことなかったのに、追突されたトラックの車内で飲んでいた牛乳がこぼれたために車内に悪臭が残り、全損扱いになってしまった、ということです。

このことわざにぴったりな内容の記事と言えばその通りかもしれませんね。

記事の全文はこちら


2013年10月14日月曜日

doctor shoppingって何? ― doctor shopping

"doctor shopping"という表現をご存知でしょうか?

私は知らなかったので、下記の記事で初めて接するこの表現が何を意味するのか分かりませんでした。


More states focusing on prescription drug problem

From databases to "doctor shopping" laws, states are trying to staunch painkiller abuse.

BUFFALO — Michael Israel's death of a self-inflicted gunshot wound in 2011 was a tragedy. The Buffalo 20-year-old had become despondent about his addiction to the powerful painkillers prescribed for his Crohn's disease.

"But the ultimate Greek tragedy is we allow this to happen every day," his father, Avi Israel, said this week at the State University College at Buffalo, where he was part of the announcement of a western New York-wide public awareness campaign about the dangers of prescription drug abuse.

(中略)

Avi Israel has been a frequent and vocal advocate since 2011 for tackling the growing problem of prescription drug abuse, including testimony in 2012 before the U.S. Senate Caucus on International Narcotics Control.

(中略)

A growing number of states are trying to crack down on the problem:

• Alabama Republican Gov. Robert Bentley in August signed into law a trio of bills giving more medical personnel, as well as the Alabama Medicaid Agency, access to the state's prescription monitoring program database; tightening the regulations on pain management clinics; and making "doctor shopping" to get multiple prescriptions a Class A misdemeanor punishable by up to a year in jail.
(Matthew Daneman. More states focusing on prescription drug problem. USA Today. October 13, 2013.)


少し引用が長くなりましたが、記事で話題となっているのは薬物濫用の問題であることがお分かりいただけると思います。

鎮痛剤(painkiller)、いわゆる痛み止めですが、濫用するとだんだん効かなくなり、服用する用量が増加するという悪循環に陥り、重大な副作用や死亡事故に至るケースが増加しているそうです。

そうした濫用を防ぐために、処方箋の必要な薬(prescription drugs)の処方履歴を管理するデータベースが導入され、また"doctor shopping"を禁じる法律が制定されることになった、ということのようです。

さて、"doctor shopping"ですが、こんな表現は辞書には載っていないのですが、アメリカのCDC(Centers for Disease Control;米疾病予防対策センター)によりますと下記のような定義がされています。


The term "doctor shopping" has traditionally referred to a patient obtaining controlled substances from multiple health care practitioners without the prescribers' knowledge of the other prescriptions.
(CDCのウェブサイトから引用)


もうお分かりいただけるかと思いますが、処方箋の必要な薬を手に入れるために複数の医療機関を受診することであると理解できます。つまり、複数の医療機関の間では患者として訪れた人間が他の医療機関も同時に受診しているとは知らずに処方箋を出してしまうため、結果として必要以上の薬剤を患者が手にすることに加担することになるということなのです。


2013年10月11日金曜日

Chromeブラウザのセキュリティに問題 ― silver platter

GoogleのChromeブラウザには深刻なセキュリティ上の問題があるそうです。私もプライベートで使っているブラウザソフトなのですが、思わず目が留まりました。


Google Chrome's cache exposes personal data

SEATTLE – A major security flaw in Google's popular Chrome browser was exposed on Thursday by data management firm Identity Finder.

The flaw comes into play anytime you type personal information into webforms at trusted websites or directly into the Chrome browser address bar.

Researchers found that Chrome's caching mechanism routinely stores names, e-mail addresses, street addresses, phone numbers, bank account numbers, social security numbers and credit card numbers directly onto your hard drive in plain text -- without your knowledge or consent.

(中略)

"Private information is being served on a silver platter for any criminal industrious enough to gain access," says Identity Finder CEO Todd Feinman. "This should frighten any consumer or business using Google Chrome."
(Byron Acohido. Google Chrome's cache exposes personal data. USA Today. October 10, 2013.)


今日取り上げる表現は、"silver platter"です。直訳すれば“銀の(大)皿”、とでもなりましょうか?

"on a silver platter"というフレーズで用いられるアメリカの口語表現ですが、辞書を引くと、


据え膳で
楽々と


とあります。(ランダムハウス英和辞書)

つまり、銀の大皿に盛られた食事のように、すぐに食べられる状態にある、ということの比喩的表現であると解釈することができます。

単に"on a platter"という表現もあるようです。

また、"platter"ではなく、"plate"を用いた、


on a plate


も同様の意味で用いられます。


2013年10月10日木曜日

驚きの“無人パーキング”自動車 ― gee-whiz

自動車のテクノロジーはどんどんと進化してきています。ハイブリッドカーはもはや珍しいものではなく、電気自動車が実用段階になりました。

最近では、自動運転する自動車が研究開発されていますが、今度は無人でも駐車場にちゃんとパーキングしてくれる自動車ときました。


Ford is experimenting with two new gee-whiz technologies, one that allows a car to park itself without a driver inside and another that automatically turns the steering wheel to avoid hitting a pedestrian.

The trials are going in Belgium and there are no plans to market either in the U.S. anytime soon, but both point to how automakers are gradually moving toward self-driving technology in cars.
(Chris Woodyard. Ford tests driverless car parking. USA Today. October 9, 2013.)


アメリカ・フォード社による“無人パーキング”してくれる技術はまさしく、


gee-whiz technologies


の1つだと言えます。ところで、"gee-whiz"って?

ここでは形容詞として使われていますが、


あっと言わせるような、驚嘆するような


という意味です。間投詞(interjection)としても用いられるようですが、最近ではあまり使われないらしく、単に"gee"という間投詞が使われる傾向にあるようです。

"gee"は、"Jesus"に由来し(Jesusの婉曲表現)、やはり驚きなどを表す際の表現です。


2013年10月9日水曜日

melee

見慣れない単語です。初めて見るような気がします。従って、意味は知りません。(勉強不足?)


Undercover NYPD officer arrested in motorcycle/SUV melee

An undercover NYPD officer has been arrested in connection with the a Sept. 29 melee.

The New York City Police Department confirms an undercover police officer has been arrested in connection with the Sept. 29 videotaped Manhattan melee between motorcyclists and a motorist and his family in an SUV.
(Melanie Eversley. Undercover NYPD officer arrested in motorcycle/SUV melee. USA Today. October 8, 2013.)


Merriam Websterによると、


a confused struggle; especially: a hand-to-hand fight among several people


ということで、日本語では乱闘とか取っ組み合いのけんか、などと訳されています。

スペルが何となくフランス語っぽいなと思っていたら、語源がやはりフランス語でした。

古フランス語のmeslerは英語のmixやmingle(混ぜる)という意味で、meleeの語源とされています。同語源の単語として、meddleやmedleyがあるということです。


2013年10月8日火曜日

the shit hits the fan

今日は成句を取り上げます。

"the shit hits the fan"という成句なのですが、意味をご存知でしょうか?


The s*** really hits the fan at Rolls-Royce: Probe at £75m engine plant 'after filth smeared at factory in dirty protest'

A disgruntled worker for Britain's most famous jet engine maker has staged a series of dirty protests by repeatedly smearing excrement around a £75million factory.

The mystery staff member has struck at least eight times at the huge Rolls-Royce plant in Bristol.

Insiders claim that areas have had to be sealed off following the 'disgusting' attacks, although production has not been halted.
(The Daily Mail. October 7, 2013.)


引用した記事のタイトルで使われていますが、この成句の"shit"の部分は伏字(*)になっています。

辞書を引くと、この成句はかなり下品な表現だということです。そもそも、"shit"という単語自体、上品な表現ではありません。

"the shit hits the fan"はランダムハウス英和辞書によると、


災難がふりかかる、窮地に陥る、やばい状況になる


という意味です。

つまり、大変な状況、困った状況が発生することをこの表現で言いたいということです。

ところで、"shit"とは糞のこと、"fan"とは扇風機、送風機のことですが、"the shit hits the fan"とは、糞が扇風機を直撃する、という意味なのでしょうか?

色々調べてみますと確かにその意味らしく、糞が扇風機を直撃した結末は大体想像がつく状況です。

"shit"という単語が強烈故に避けられるため、"stuff"などの単語で代替し、"the stuff hits the fan"という表現になることもあるようです。

引用した記事は、実際に便と思しき汚物が工場にぶちまけられたということで、"the shit"は成句の意味ともかけたしゃれのようにもなっています。


2013年10月7日月曜日

米の若い女性に流行る過剰な痩せ願望 ― thigh gap

痩身というのはいつの時代も女性の願望であることに異論はありませんが、そのトレンドはいろいろな形で現れるようです。

最近、アメリカの10代の女性の間で流行る痩身の話題なのですが、"thigh gap"と呼ばれるものがあるそうです。一体何のこと?と思ったのですが、記事を読んでそれが何を意味するのかが分かりました。


BALLWIN, Mo. — Experts in eating disorders are concerned about an Internet-fueled trend in which teenage girls and young women pursue an elusive and possibly dangerous weight-loss goal: to become so slender that their thighs don’t touch even when their feet are together.

Specialists say achieving a so-called thigh gap is risky and virtually impossible. But some exceptionally thin models have the gap, which is upheld as a beauty achievement on countless Tumblr pages, blogs and other social media sites.

(中略)

When the vast majority of people stand with their feet together, their thighs touch. A tiny percentage of people have thighs so slim that they don’t come together. The “thigh gap” refers to this space.
(Young women ‘pushed’ to pursue 'thigh gap.' New York Post. October 4, 2013.)


引用部分の冒頭に説明がありますが、


so slender that their thighs don't touch even when their feet are together


ということで、そのような女性を街で見かけたことがあるような気もします。私などは痩せ過ぎという印象を持ってしまうのですが、ファッションモデルなどに見られる"thigh gap"がネットやソーシャルメディア上で賞賛されると、若い女性には絶大な影響力を持つようです。

確かにくびれた腰、引き締まった足首、などなど、ある意味“メリハリのある”体型というものは時に美しさを感じさせますが、行き過ぎは逆に不健康に見えるものではないかと思います。

このような過剰な痩せ願望は摂食障害にもつながっているとして専門家が注意を呼びかけています。


2013年10月4日金曜日

執念の100ドル札“回収” ― mutt

アメリカ・モンタナ州に住む男性が、飼い犬に食べられてしまった100ドル札(1枚ではありません!)を執念で“回収”し、財務省と掛け合った結果、500ドルを取り戻すことができたというニュースが話題です。


Gov't reimburses man for 'mutt-ilated' currency

HELENA, Mont. — A Montana man who painstakingly gathered and reassembled parts of five $100 bills eaten by his golden retriever has been reimbursed by the U.S. Treasury for the "mutt-ilated" currency.
(The Kansas City Star. October 2, 2013.)


どのように“回収”したのかについては記事を読んでもらうと分かるのですが、何と100ドル札を食べてしまった飼い犬の糞を数日に渡ってかき集め、凍らせ、さらにそれが融けたところから紙幣の断片を丁寧に回収し、つなぎ合わせたということですから、執念と言うほかありません。

地元の銀行にも連邦準備銀行の出先機関にも断られたそうですが、財務省の担当部署に送ったところ500ドルのチェックと交換してもらえたそうです。

さて、今日の1語は“しゃれ”です。引用した記事のタイトルに注目して下さい。


'mutt-ilated'


となっていますが、これは"mutilate(d)"という動詞をもじったものであると想像がつくと思います。"mutilate"は切断する、切る、という意味ですが、下記の定義がしっくりきます。


to cut up or alter radically so as to make imperfect
(Merriam-Webster English Dictionary)


つまり、飼い犬が100ドル札を噛み千切ってしまったことを言っています。では、"mutt"とは何でしょうか?

辞書を引くと、"mutt"には雑種犬の意味があることが分かります。飼い犬がお札をめちゃくちゃにしてしまったことをしゃれにして表現したのが、"mutt-ilate(d)"です。

ちなみに、"mutt"の語源に目を向けてみると、"muttonhead"に由来するとありますが、"mutton"とは羊、羊肉のことです。なぜ、羊が犬になるのでしょうか?

実は、"muttonhead"にはろくでなし、まぬけという意味もありますが、この意味での用法の方が古く、犬の意味はもっと後になってから生じたようです。“まぬけ”が“犬”に変化したのかということも考えられなくもありませんがよく分からないところです。犬を意味する"mutt"はまた別語源ではないかという説もあるようです。


2013年10月3日木曜日

mozzie

久しぶりにオーストラリア英語の話題です。まずは引用記事から。


Scientists invent a new mozzie repellant

RESEARCHERS have discovered four natural mosquito repellents to succeed DEET, a compound whose origins go back to World War II.

DEET -- the abbreviation for N,N-diethyl-meta-toluamide -- was introduced by the US Army in 1946 after troops deployed in the Pacific theatre fell sick from malaria and other mosquito-borne diseases.

It remains the primary insect repellent in use today, but has many limitations.
(The Australian. October 3, 2013.)


冒頭は記事のタイトル部分ですが、"mozzie"という単語は初めて見るという方が多いのではないでしょうか?

記事内容を読んでいけばすぐに分かりますが、"mozzie"とはすなわち"mosquito"のことです。

辞書を引くと、"mozzie"はオーストラリア、ニュージーランドで"mosquito"の代わりに主に口語で使われるのだそうです。

"mossie"というスペルもあるそうです。


2013年10月2日水曜日

pricey pad

Twitterでニュースのタイムラインを読んでいたら、


Real estate agent sells $7.6 million home, then loots the pricy pad later while the victim's in the Hamptons


というツイートが目に留まりました。

ここで、"pric(e)y pad"という表現が何のことかよく分からなかったのですが、とりあえず記事を読んでみます。


A real-estate agent sold an Upper West Side town house to the owner of an art gallery — then allegedly looted the home of more than $500,000 in high-end goods when the victim and her family were away in the Hamptons, The Post has learned.
(Jamie Schram. Agent sells $7.6M house — and later loots it: cops. New York Post. September 30, 2013.)


結論から言うと、悪い不動産屋がお金持ちの美術商に物件を紹介したようですが、鍵を交換せず、美術商の不在時に忍び込んでは高価な美術品や家財道具などを盗んでいたという話です。

さて、"pricey pad"に戻りますが、"loot(s)"という動詞の目的語になっていることから、盗まれた品物のことかと思いましたが、"pad"にそのような意味はなく、ここでは"house"の意味であることが分かりました。

つまり、"pricey pad"とは高級住宅、くらいの意味になります。

"pad"を辞書で引くとカタカナでも“パッド”と言いますが、クッションの意味を始め色々な意味が載っています。恐らくはお手持ちの辞書が中辞典以上であれば、エントリの最後の方に俗語の意味として、


アパート、部屋; 寝室


という意味が載っているかと思います。

"pad"には"sleeping place"の意味が古くからあったようですが、この意味が発展して(?)


One's living quarters, especially an apartment
(American Heritage Dictionary)


という意味、つまり住居を意味するのに使われるようになったようです。

グーグルで"pricey pads"を検索すると、不動産関係のリンクが沢山ヒットします。


2013年10月1日火曜日

こんな意味もあったの? ― cave

運転中のケータイ操作は罰金に決まっている、と思っていましたが、アメリカでは最近まで罰金の対象ではなかったようです。ケータイの操作が運転中の注意を逸らせることに異論はないと思うのですが・・・。

厳密に言うと運転中にケータイで通話をしているところを見つかると警官に止められ(pull over)、罰金になりますが、メールを見たりする通話以外の操作は罰則の対象ではなかったようです。

日本ではずっと以前からケータイでの通話も操作も運転中は厳禁、罰則対象になっているはずですが、ケータイを片手に平気で運転している人をよく見かけます。取締りを厳しくして欲しいものだとつくづく思います。

さて、アメリカのNew York州で、ケータイ操作による不注意運転を防止する目的で(?)、ハイウェーにケータイ操作エリア(texting zone)を導入することが決まったようです。


This week, New York's governor announced a plan to put "texting zones" on state highways. It got me thinking about whether cities need to do the same.

First, a bit about the news: In an effort to reduce the number of distracted drivers on the roads of New York, Gov. Andrew M. Cuomo revealed a plan to put "texting zones" on the New York State Thruway and state highways, where drivers can pull over and respond to text messages. This is, in part, a response to the fact that New York has seen a 365% increase in tickets issued to distracted drivers between the summers of 2012 and 2013 (In 2013, 16,027 people were pulled over for talking on cellphones, and 5,553 for texting, as compared to 4,284 and 924, respectively, in 2012).

As Cuomo said in a statement, "With this new effort, we are sending a clear message to drivers that there is no excuse to take your hands off the wheel and eyes off the road because your text can wait until the next Texting Zone."
(Nicole Ferraro. Do Cities Need Texting Zones? Information Week. September 30, 2013.)


記事のライターの意見が以下のように続きます。


However, there's something about Cuomo's plan that bugs me -- mainly that, in a way, it caves to the compulsion drivers have to text while behind the wheel. The rule-compliant person in me wants to say that it's ridiculous that we should have to designate space to people who can't obey the laws.

Then again, that kind of attitude isn't going to save lives.
(ibid.)


同感。

ところで、今日取り上げたい表現は"cave"という動詞なのですが、これは洞窟を意味する名詞の"cave"と同じ単語です。"cave"に動詞の意味があるとは知りませんでした。

ここでは、


降参する、屈する


という意味で用いられています。

"cave in"、もしくは"cave in to"という形を取ることが多いようです。例えば、


The race is one thing, the buildup another. Some cave to the pressure, others try to find ways to deal with it.
(Associated Press. 2012.)


Apparently, weak-kneed legislators caved in to pressure from the Illinois Library Association and the Illinois Education Association.
(Chicago Sun Times. 2000.)


ケータイ操作ゾーン導入は事故の防止というよりも、増加する一方の違反者を抑制するためのお粗末な解決策のように思えます。

ケータイやスマホ利用者のニーズに屈した(cave in)結果ではないでしょうか。