先週末、日本ではユーキャンの2016年新語対象の発表がありましたが、今年ももうそんな時期かぁと思った人も多いでしょうね。
英語の世界も、辞書の権威であるオックスフォードディクショナリーによる2016年の1語が発表されました。
Oxford Dictionaries chose the word of the year and it’s a doozy.
The 2016 word is “post-truth” which is defined as ‘relating to or denoting circumstances in which objective facts are less influential in shaping public opinion than appeals to emotion and personal belief.”
(Eliza Collins. No lie, 'post-truth' is the Oxford Dictionaries' Word of the Year. USA Today. November 16, 2016.)
今年のアメリカ大統領選をきっかけに使用頻度、またOxford辞書のオンラインサービスでの検索頻度が急上昇した単語だということなのです。 大統領選のニュースにはそれなりに多く読んできたつもりでしたが、正直に言うと"post-truth"という単語を目にするのは初めてでした。
さて、"post-truth"の意味ですが、上記の引用にもありますように、
客観的な事実よりも、感情や個人的な信条が世論を形成する状況
(拙訳)
ということです。
Oxfordのウェブサイトに"post-truth"の具体例として、エコノミスト誌の記事で扱われた事例が紹介されています。
例えば、「9/11のテロ事件の黒幕はブッシュ元大統領だ」といったものが"post-truth"を象徴する具体的な発言とされる訳ですが、このような発言は真実ではありませんね。つまり、嘘(a lie)とほぼ同義なのが"post-truth"となりますが、ご存知の通り、このような言説を弄して大衆を煽り大統領職についたのがドナルド・トランプ氏という訳です。
ところで、"post-truth"のpost-という接頭辞は、"post-war"や"post-graduation"といった単語に見られる、「〜の後に」といった意味ではなく、
belonging to a time in which the specified concept has become unimportant or irrelevant
(Oxford Dictionary)
といったニュアンスで使われているもので、"post-national"や"post-racial"といった単語のそれと同じ用法ということです。
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蘭です。
返信削除2016年の年の単語はpost truthでしたが、これは単にその2016年の代表ではなく、まさに今の時代の象徴なのでしょう。ツイッターやインスタなどで誰でも簡単に発信できるこの時代、感情的になったり、他人の言動に煽られたりする人は数多いでしょう。だからこそ、今の時代は「論より証拠」の時代にしなくてはいけません。新聞やニュースは昔から公正性があると言われてきましたが、人々からの不信感が高まっています。そして、私たちは多角度から事情を把握することもできるようになりました。「証拠」が簡単に手に入れるのです。しかし、その「証拠」にも他人の感情や嘘が混じったものですから、自分の頭でしっかりと考えて、冷静的に判断しなくてはいけません。