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2019年6月20日木曜日

the writing on the wall

米中貿易摩擦は目下の国際ニュースのトップです。

先日もファーウェイ社のスマホの禁輸措置に関する記事を取り上げましたが、貿易摩擦というよりもTrade War(貿易戦争)とまで言われる米中の応酬は収まる気配がありません。


Giant Manufacturing Co. saw the writing on the wall early on. The world’s biggest bicycle maker started moving production of U.S.-bound orders out of its China facilities to its home base in Taiwan as soon as it heard Donald Trump threaten tariff action in September.

“When Trump announced the plan of 25% tariffs, we took it seriously,” Chairwoman Bonnie Tu said in an interview at Giant’s Taichung City headquarters in Taiwan. “We started moving before he shut his mouth.”
(Cindy Wang. World’s Top Bicycle Maker Says the Era of ‘Made in China’ Is Over. Bloomberg. June 18, 2019.)


引用した記事は、自転車好きの方なら多分よくご存知のジャイアント(Giant Manufacturing Co.)という会社に関するものです。

ジャイアントは台湾のメーカーだと私は知っていましたが、実際のところその製造拠点は中国にあったようですね。

同社はトランプ政権が関税引き上げを表明するや否や、その拠点を台湾に移したといいます。

何故かと言えば、


(the company) saw the writing on the wall early on


ということなのですが、早いうちから嫌な予感がしていたから、ということのようです。この"the writing on the wall"という表現をご存知でしょうか?

ランダムハウス英和には、


(特に失敗・災害の)前兆、兆し;悪運、凶運


と載っています。つまり、ジャイアントは米中摩擦の状況からして早い段階から不吉な予感がしていたということですね。

"the handwriting on the wall"とも使われることのあるこの表現、文字通りに訳すならば、「壁に書いたもの(文字)」となるのですが、どうやら由来は聖書にあるそうです。

旧約聖書のダニエル書には下記のようなストーリーがあるそうです。

王宮で酒池肉林の放蕩にふけるベルシャザールに、どこからともなく手が現れて壁に文字を書き残した。その意味が分からずにいたところ、ダニエルが解読した。その内容は、ベルシャザールとその王国が滅ぶことを予言する内容であった。ベルシャザールはその後まもなく殺された。

新共同訳を改めて読んでみたところ、ベルシャツァルという表記になっていましたが、「ベルシャザールの饗宴」という知られるこのエピソードは絵画作品やオラトリオなどの音楽作品テーマにもなっています。

ところで、壁に書かれた文字というのは、


mene, mene, tekel, upharsin


というもので、これはアラム語らしいのですが、同じくランダムハウス英和に載っています。(神がベルシャツァルを見離したというのが大意です。)


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