昨日に続き、英・トラス首相の話題です。
目玉の減税政策を撤回し、英ポンド急落など国内経済にも影響を招いたことから、支持率は急降下、早くも辞任かと言われています。
昨日の記事では、減税政策の撤回を、"U turn"と表現していました。カタカナでも通じますから、すぐ分かります。
以下の記事では、
row-back
とあります。
LONDON — British Prime Minister Liz Truss insisted Wednesday she was a "fighter not a quitter" as she was grilled by parliamentarians for the first time since being forced to scrap almost all of her flagship fiscal policies.
(中略)
The row-back of her huge program of tax cuts, originally announced on Sept. 23, came after it sparked massive volatility in financial markets, with the pound plunging against the dollar and U.K. government bonds being sold off at such a rapid rate it threatened to topple pension funds. Mortgage deals were also pulled as interest rate hike expectations rose rapidly.
(Jenni Reid. UK PM Liz Truss says she’s a ‘fighter not a quitter’ as lawmakers plot to oust her. CNBC. October 19, 2022.)
正直に言うと、最初一読した際、この"row-back"が直ぐに飲み込めず、はてな?となりました。
"row-back"という単語に馴染みが無かったからですが、実際、辞書を引いてみましたが、載っていません。手元にある英和辞書、またいつも参照するAmerican HeritageにもMerriam-Websterにも見当たらないのです。
昨日からのニュースを読んでいるので、政策を転換、もしくは撤回、の意であることは想像がつくというものですが、辞書に定義が無いのが気になりました。
ネット検索では、Cambridge Dictionary Onlineで(動詞句として)、
to change a previous decision, opinion, or statement
とあります。
"row-back"の"row"を取り上げれば、これは船を漕ぐという意味です。つまり、漕ぎ出したところから戻る、というのがその意味で、やると決めたのにやっぱり止める、という意味になるのは自然だと言えます。
この動詞句としての"row back"が名詞化して"row-back"になったものと思われますが、動詞句としても辞書に見当たらず、あまり定着していない表現なのかなとも思わされます。
コーパスを頼ってみましたが、一度決めたことを止めるという意味合いでの"row-back"、もしくは"row back"の用例はわずかでした。
得られたのは動詞句での用例のみですが、いくつか拾ってみました。
Wilbon, gutless and phony troll that he is, promptly rowed back his criticism of D.C. -- suddenly it was not " terrible, " but " a pretty good sports town...
(Deadspin, 2012)
Marks and Spencer is rowing back on its foreign business and closing a number of clothing and home stores.
(Market Watch, 2016)
イギリス英語の表現という訳でも無さそうですが・・・。
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