昨年のクリスマスの日の米国での航空機爆破テロ未遂事件を受けて、空港での”全身透視検査”なるものが導入されるというニュースが話題を呼んでいます。
プライバシーという観点から話題になっているそうなのですが、”透視”という日本語はいかにもという感じがします。着ている服を透かして、裸を見られるということなのでしょうか?空港の検査官は乗客の裸を見る役得に与る(!?)、ということなのでしょうか?(役得かどうかは乗客次第!?不謹慎ながら・・・)
さて、機器の詳細を知りませんので何とも言えませんが、ロンドンのヒースロー空港で早速導入されたということでトップニュースになっているようでしたので、英語の原文が気になり調べてみました。
2,3の記事をあたりましたが、英文では、
full-body scanner
という表現が一般的のようでした。この単語を”透視”検査と邦訳した日本のマスコミの翻訳者(?)の方々は、プライバシーの議論があるということからわざわざ”透視”という日本語を当てたのでしょうか?
たしかに、記事中のこの件に関するディスカッションを読んでいると、あたかも被検査者のヌードまでが見えるということで、”透視”という日本語がぴったりなのですが、真相はどうなのか気になります。下記の引用では、"tantamount to a strip search"というくだりがあるのですが、もし真実ならば、"a strip search"と言い切ったほうが、検査される側もすっきりするのでは・・・、と思うのは私だけ?
少なくとも、"scanner"という英語からは”透視”という日本語は産まれません。これまでのセキュリティ装置も"scanner"じゃないの?という天の邪鬼的疑問が出てきます。これも気になったので調べて見ますと、通常、空港のセキュリティで見られるセキュリティーのゲートは、いわゆる”金属探知機”というもので、英語は、"walk-through gate"でした。そのままですね。
これに加えて、海外旅行をよくされる方は経験があるかと思いますが、通常の金属探知機のゲートで引っかかった場合、とりあえず原因と思しきベルトやコイン入れなど全て取り去ってもやはりゲートにひっかかると、両手を挙げるように指示され、検査官がハンドヘルドの機械を四肢をなぞるように動かす器具があります。こちらはどのように表現されているかというと、"metal detector"、あるいは"security wand"です。"metal scanner"と呼ばれることもあるようなのですが、やはり"scanner"は”透視”というイメージにはならないと思います。
Travellers using London’s Heathrow airport will have to undergo checks by full-body scanners as soon as practicable, BAA, the airports operator, disclosed on Sunday.
The move came after Gordon Brown, prime minister, committed Britain to using the controversial technology, saying airports had to “go further” on security measures following the failed Christmas day terror attack on a transatlantic passenger jet.
(中略)
Critics have questioned the effectiveness of full-body scanners in detecting the explosive used in the Christmas day attack and warned about the potential for extensive airport delays. There are also privacy concerns over the devices, which produce “naked” images that campaigners assert are tantamount to a strip search.
(BAA to introduce body scanners at Heathrow. The Financial Times. January 3, 2010.)
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