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2010年1月10日日曜日

"A Happy New Year" vs "Happy New Year"論争の愚

正月気分はとうに覚めていると思いますが、この3連休に改めて年賀状を見ていると、最近の年賀状に見られるある違いに気がつくのは私だけではないと思います。私自身はそもそもあまり年賀状を出しませんので受け取る年賀状数も当然少ないのですが、家族にくるものなども、写真入りや凝ったデザインのものなどあって、見せてもらうのは楽しいものです。

さて、ここで話題にしたいのは、プリントゴッコの年賀状がもはや絶滅状態で、EPSONプリンタ使用の自家製と思われる家族写真入りの年賀状が圧倒的に増えてきた・・・というようなことではなく、これまで目にしてきた


"A Happy New Year"、ではなく


"Happy New Year"


が増えてきた、ということです。そう、冠詞の"A"があるかないかの違いだけです。

もう30年近く昔の話になってしまいますが(私がまだ小学生の時分ですが)、年賀状には、


"A Happy New Year"


と大きく書くのが流行っていました。その際、"冠詞のAを忘れないように”、”冠詞のAがないのは文法的に誤り”と聞いた記憶があります。小学生だった私はそれを実践しておりました。私を含めて、そういう人たちには、あれ?という感じがするでしょう。

さて、時は移ろい、もはや世紀が違いますが、ルールも変わったのでしょうか?あるいは緩くなったので、冠詞のAを省略するようになったのでしょうか?

気になってネットで情報収集してみると、何と、”A Happy New Year”は”文法的に間違い”、とあるではありませんか!?

この件に関する記事は、ブログの投稿や質問サイトでの投稿などを含めて多数でしたが、中には年末のラジオで話題になっていたとか、あるいは、この件に関するネイティヴの意見を証左としたものなど、興味深い記述がありました。どれも説得力がありましたので、なるほど、と思った次第なのですが、何というか、”A Happy New Yearは文法的に誤りだ!”という論調には多少の違和感を禁じえないのが正直なところです。

どうもマスコミで取り上げられたことが大きいようなのですが、敏感に反応して、"A Happy New Year"を止めて、"Happy New Year"と一斉に修正しているような動向は、何というか、日本人の英語コンプレックスというか、”間違い”と呼ばれることに対する異常なまでの敏感さというか、そんなものが感じられるのです。

私の個人的な意見としては、どっちでも大差ない、文法的な誤りなんてことはない、と思います。2010年の年賀状に”A Happy New Year!”と書いた人が恥じ入るとすれば、そんな必要は全くないと思います。

そもそも英語圏では、年末年始にかけて、Christmasとセットの感がありますから、"I wish you a Merry Christmas and a happy new year."なのです。推測ですが、その中から”新年おめでとう”にあたる部分を抜き出して、"A Happy New Year"が日本の年賀状に用いられるようになったのでしょう。

でも会話中で、"A Happy New Year."は少し発音しづらいからなのか、英語で挨拶するときは、単に"Happy New Year"というのが普通のようであることはその通りです。

尤も、"A Happy New Year"が単独で使用されている例も当然あります。

”Happy New Year”は、日本の年賀状の最近のトレンド、くらいなものではないでしょうか。

一応断っておきますと、冠詞のあるなしの違いや用法などに拘ったり、深く分析すること自体はとても良いことだと思います。


Finally, on behalf of all of us at CNN and all of us at CROSSFIRE, thank you for watching us in 1998. We hope you'll continue to tune in next year 7:30 p.m. Eastern. From the left, happy holidays. I'm Bill Press.

Happy holidays from the right. I'm Pat Buchanan.

And from the right, I'm Robert Novak. A happy new year.
(Crossfire: The Great Debates. CNN. 1998.)

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