グーグル検索は既に現代人の生活のインフラと化している感がありますが、検索時のサジェスト機能(下記の記事では、"autocomplete (entries)"と表現されています)によって名誉を傷つけられたといった訴訟が起きているというニュースをよく聞きます。
これは、ある人の名前を検索画面に入力したところ、詐欺だとか殺人だとか、犯罪を指す単語が名前とセットになって検索候補として表示され、実際にはそのような犯罪を犯していないのにも関わらず、その人の名前がそれらの犯罪とリンクしているかのような印象を検索ユーザーに与えてしまう、というものです。
同様の訴訟は世界各国で起きているようなのですが、ドイツではグーグル社に対して、名誉を傷つけるような"autocomplete entries"を削除しなければならない義務を同社が負う、という判決が出たようです。
BERLIN — Google Inc. must respect requests to remove autocomplete entries from its search bar in Germany if they are defamatory, a German court ruled Tuesday.
The Federal Court of Justice upheld a complaint from an unidentified company selling nutritional supplements and its founder, identified only as "R.S." The plaintiffs claimed that when their names were entered on Google's German-language website, it suggested links to Scientology and fraud.
The search suggestions constituted a form of defamation because they wrongly implied "a factual link between the plaintiff and the terms 'Scientology' and/or 'fraud,' which have negative connotations," the court said. The German branch of the Church of Scientology has long been under observation by domestic intelligence services amid worries — which Scientology strongly rejects — that its work conflicts with Germany's constitution.
Google expressed surprise and disappointment at the decision, noting that the autocomplete function merely reflects what other users have searched for.
The company noted that the court hadn't ordered Google to turn off the autocomplete function or to vet all results in advance. Instead, Google has to ensure that defamatory results are checked, and if necessary removed, as soon as they have been brought to its attention, the court said.
(Frank Jordans. German court says Google must act if autocomplete makes defamatory suggestions. The Associated Press. May 14, 2013.)
少し長い引用になってしまいましたが、引用した最後の段落に、
vet
という単語が出てきます。短い単語ですが、はじめて見る単語だったものですから、ちょっとよく意味が分からず、辞書を引いた次第です。その時、まず、
vet = veterinarian
つまり、獣医を指す"veterinarian"と関係があるのかなと思ったのですが、まさしくその通りでした。しかし、“獣医”を意識していると、"vet all results"というフレーズがちょっとつながりません。
獣医が診察、診療することを、"vet"と表現したのがこの単語の動詞としての意味のスタートだと思われますが、意味が拡大して、
(専門家が)正確さ(信頼性、妥当性)を確かめる、吟味する、詳しく調べる
(ランダムハウス英和辞書)
という意味に発展したもののようです。
さて、グーグル社に対する判決に話を戻しますと、同社にあらゆる検索結果(の可能性)を"vet"せよ、ということではないらしく、不名誉なサジェストに関する訴えがあった場合には真摯に対処しなければならない(つまり、慎重に吟味して、削除などの対処を取らなければならない)、ということのようです。
日本でも訴訟になっているかと思いますが、ドイツでの判決が影響するのでしょうか。
2013年5月16日木曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿