インターネットに日々アクセスする人のうち、グーグルマップを利用したことのないという人はまずいないと思いますが、今や出張の経路確認や出かける前の渋滞情報も含めて、欠かせないサービスの1つと言えます。
中でも2次元的な地図に留まらず、実際にその場所を歩いているような気にさせてくれるストリートビューはプライバシー上の懸念などから大変な物議を醸しましたが、これまたお世話になっている人も多いのではないでしょうか。テクノロジーの進歩というのは本当に驚くべきものです。
そのグーグルが、ストリートビューをさらに進歩させるべく、自動車ではアクセスできないような地まで、その映像を取り込むプロジェクトをスタートしたようです。車でアクセスできない場所ですから、徒歩でアクセスすることになりますが、トレッキングなどを専門にする人たちに呼びかけているようです。
Google is petitioning explorers to help it take Google Maps to where no roads go -- through South American jungles, into Africa's canyonlands, among Asia's thousands of islands, across Hawaiian lava fields, and more.
The tech giant announced Thursday that it's asking third-party organizations to strap on its Street View Trekker back-pack and contribute imagery to help the company "build the very best map of the world."
(中略)
Google Maps has increasingly brought armchair travelers to some of the most difficult places to reach on Earth. In March, the Web giant released a way to visit the mammoth peaks of Mount Everest, Kilimanjaro, Aconcagua, and Mount Elbrus. And, over the past year, it has explored a remote region of Brazil's Amazon, swam underwater in Australia's Great Barrier Reef, and ventured out to hard-to-reach areas near the South Pole and the North Pole. It even brought Street View to Japan's Fukushima nuclear no-go zone.
(Dara Kerr. Google loans out Street View Trekker for global exploration. CNET. June 27, 2013.)
今日は"armchair traveler"という表現を取り上げたいと思います。
言わんとするところは何となく分かるかと思います。"armchair"とは肘掛け椅子のことですが、辞書を引くと、
実際の経験を持たない、実務経験を持たない
間接的に経験[参加]する
という意味があることが分かります。
armchair critics
armchair analysts
などの表現に見られる"armchair"という形容には何となく蔑みの響きがあります。口だけ、知識だけ、という訳です。
"armchair traveler"についてはどうでしょうか。実際に旅に出かけることなく、グーグルマップやストリートビューを通して旅行した気分に浸る人のことであると解釈できます。批判的に捉えることもできれば、単に旅行雑誌やガイド、地図の類を愛読する人のことを指すのにも使われそうです。ランダムハウス英和では、“紙上旅行者”という訳が載っていました。
グーグルマップやストリートビューが世に出てくるずっと前からこの表現はあったものですが、自宅の肘掛け椅子に座っていても、マウス操作1つで(あるいは、指先1つで)そう簡単にはアクセスできないような辺境の地のイメージを見ることができるという意味では、現代のイメージに何とぴったりくる表現ではないでしょうか。
2013年6月28日金曜日
2013年6月27日木曜日
スーパームーン、観測できず ― perigee
(当ブログではあまりありませんが)今日はサイエンスの話題をお送りします。
既に話題の旬としては過ぎ去った感があるかと思いますが、先週末はスーパームーンを観測できるということで天文ファンならずとも、一般の人たちの間でも随分と話題だったようです。
2013年で最も大きな月が観測できる日、ということで、私も「月のこよみ」なる書籍で6月23日日曜日をマークしておりましたが、あいにくの曇り空、暮れてからは雨も降り始めて、観測することはできませんでした。
海外でも随分話題になっていました。そもそもスーパームーン(super moon)なる言葉は、アメリカ人の占星術家であるRichard Nolleという人が1979年に作った造語なのだそうです。
On Sunday the moon was at its closest point to earth, known as the perigee. In 12 days it will reach its apogee, the furthest point in its elliptical orbit, some 49,499 kilometres further away.
What will this mean for its brightness in the sky? Nothing, said University of Sydney astronomer Paul Hancock, because it will happen on the new moon when “you don’t see anything” anyway.
The super moon – a perigee occurring at full moon – has excited media imaginations since NASA started using the term a few years ago. ABC online yesterday reported that the moon “appeared bigger and bolder than usual”, while the Sydney Morning Herald warned of wild seas exacerbated by “high tides caused by a super moon”.
(John Ross. Super moon didn't turn the tide. The Australian. June 25, 2013.)
さて、天文学は私の埒外、専門用語となると日本語ですら馴染みのないものが多いのですが、英語となるとさらに馴染みがありません。
上記の引用に、"perigee"という見慣れない単語が出てきます。辞書を引くと、近地点とあり、地球の周りを公転する天体,特に月あるいは人工衛星の軌道上で地球に最も近づく点、という解説があって、何となく分かったような気がします。
この反対が、"apogee"であり、逆ですから、遠地点、ということになるのですが、地球から最も離れた点のことを指します。
"peri-"、"apo-"という接頭辞はそれぞれ、“周囲の~”(つまり近づいた)、“離れた~”を意味しています。"gee"は、地球(earth)を意味するギリシャ語geiosに由来するものです。
既に話題の旬としては過ぎ去った感があるかと思いますが、先週末はスーパームーンを観測できるということで天文ファンならずとも、一般の人たちの間でも随分と話題だったようです。
2013年で最も大きな月が観測できる日、ということで、私も「月のこよみ」なる書籍で6月23日日曜日をマークしておりましたが、あいにくの曇り空、暮れてからは雨も降り始めて、観測することはできませんでした。
海外でも随分話題になっていました。そもそもスーパームーン(super moon)なる言葉は、アメリカ人の占星術家であるRichard Nolleという人が1979年に作った造語なのだそうです。
On Sunday the moon was at its closest point to earth, known as the perigee. In 12 days it will reach its apogee, the furthest point in its elliptical orbit, some 49,499 kilometres further away.
What will this mean for its brightness in the sky? Nothing, said University of Sydney astronomer Paul Hancock, because it will happen on the new moon when “you don’t see anything” anyway.
The super moon – a perigee occurring at full moon – has excited media imaginations since NASA started using the term a few years ago. ABC online yesterday reported that the moon “appeared bigger and bolder than usual”, while the Sydney Morning Herald warned of wild seas exacerbated by “high tides caused by a super moon”.
(John Ross. Super moon didn't turn the tide. The Australian. June 25, 2013.)
さて、天文学は私の埒外、専門用語となると日本語ですら馴染みのないものが多いのですが、英語となるとさらに馴染みがありません。
上記の引用に、"perigee"という見慣れない単語が出てきます。辞書を引くと、近地点とあり、地球の周りを公転する天体,特に月あるいは人工衛星の軌道上で地球に最も近づく点、という解説があって、何となく分かったような気がします。
この反対が、"apogee"であり、逆ですから、遠地点、ということになるのですが、地球から最も離れた点のことを指します。
"peri-"、"apo-"という接頭辞はそれぞれ、“周囲の~”(つまり近づいた)、“離れた~”を意味しています。"gee"は、地球(earth)を意味するギリシャ語geiosに由来するものです。
2013年6月26日水曜日
牛歩、牛タン? ― filibuster
牛タン、などと書くと焼肉の話題かと間違われそうですが、政治のお話です。
アメリカで、中絶禁止法案の可決を阻止するために、テキサス州出身の上院議員Wendy Davis氏が捨て身の(!?)フィリバスター戦術を取るらしいというニュースです。
ところで、“フィリバスター”って何のこと?
A Texas state senator tried Tuesday to block an abortion bill that would be among the nation's most restrictive by attempting to run out the clock on a special session with a 13-hour filibuster.
In a state where the founding mythology includes a famous last stand, Fort Worth Democrat Wendy Davis, 50, hopes hers will be more successful.
She took to the floor of the chamber late Tuesday morning and must stand there, unaided, until midnight (1 a.m. Wednesday ET).
(Lawmaker attempts 13-hour filibuster to kill Texas abortion bill. CNN. June 26, 2013.)
"filibuster"を辞書で引くと、
(議案通過阻止などのために行う)妨害戦術
(妨害戦術のための)長演説
とあります。ご存知の方には、日本でもよく言われる“牛歩戦術”が頭に思い浮かぶと思います。私もかつてこの牛歩戦術が国会で実際に行われているのをニュース映像で見たことがあり、記憶に残っています。(多分、消費税導入かPKO法案の採決の時であったかと。)
牛歩戦術というのは、票を投じる議員がなかなか投票箱に向かわず、立ち止まったり、のろのろと議場の中を進み時間を稼ぐというやり方なのですが、その狙いは日付が変わることにより可決を先延ばしにしたり、賛成投票をする議員がトイレを我慢できなくなって議場から出ざるを得なくなり、賛成票が少なくなる(議場を一旦出てしまうと投票できなくなるそうです)ことを目論んだり、とあるようです。
ところで"filibuster"は、妨害戦術には違いありませんが“牛歩”とは違うようです。"filibuster"の主眼は長い演説をうつことにあるようで、このような戦術に対しては“牛タン戦術”という日本語があるのだそうです。(Wikipediaより)
ちなみに、辞書には、“牛タン~”とは載っていません。
アメリカで、中絶禁止法案の可決を阻止するために、テキサス州出身の上院議員Wendy Davis氏が捨て身の(!?)フィリバスター戦術を取るらしいというニュースです。
ところで、“フィリバスター”って何のこと?
A Texas state senator tried Tuesday to block an abortion bill that would be among the nation's most restrictive by attempting to run out the clock on a special session with a 13-hour filibuster.
In a state where the founding mythology includes a famous last stand, Fort Worth Democrat Wendy Davis, 50, hopes hers will be more successful.
She took to the floor of the chamber late Tuesday morning and must stand there, unaided, until midnight (1 a.m. Wednesday ET).
(Lawmaker attempts 13-hour filibuster to kill Texas abortion bill. CNN. June 26, 2013.)
"filibuster"を辞書で引くと、
(議案通過阻止などのために行う)妨害戦術
(妨害戦術のための)長演説
とあります。ご存知の方には、日本でもよく言われる“牛歩戦術”が頭に思い浮かぶと思います。私もかつてこの牛歩戦術が国会で実際に行われているのをニュース映像で見たことがあり、記憶に残っています。(多分、消費税導入かPKO法案の採決の時であったかと。)
牛歩戦術というのは、票を投じる議員がなかなか投票箱に向かわず、立ち止まったり、のろのろと議場の中を進み時間を稼ぐというやり方なのですが、その狙いは日付が変わることにより可決を先延ばしにしたり、賛成投票をする議員がトイレを我慢できなくなって議場から出ざるを得なくなり、賛成票が少なくなる(議場を一旦出てしまうと投票できなくなるそうです)ことを目論んだり、とあるようです。
ところで"filibuster"は、妨害戦術には違いありませんが“牛歩”とは違うようです。"filibuster"の主眼は長い演説をうつことにあるようで、このような戦術に対しては“牛タン戦術”という日本語があるのだそうです。(Wikipediaより)
ちなみに、辞書には、“牛タン~”とは載っていません。
2013年6月25日火曜日
ピンク色と小指 ― pinkie
Google Glassに次ぐ、新しいウェアラブルコンピューティングデバイスの登場か、と最初は思いました。
ハンズフリーのヘッドセットは今時珍しいものではありませんが、手袋タイプのヘッドセット(!?)が話題です。もはやヘッドセットと呼ぶにはふさわしくなく、またハンズフリーでもありません。
親指部分のスピーカーで音声を聞き取り、小指部分に仕掛けられたマイクに向かって話すのですから・・・。
You can’t buy them just yet, but a UK design firm has built a pair of leather gloves that allows you to talk on the phone, listening to your thumb while you chat to your pinkie. Perfect for the English winter, or, as it’s panning out this year, the English summer.
The design firm, Designworks, was approached by the UK mobile phone carrier O2 to come up with nifty ways to re-use old phones, according to a BBC report.
What it came up with was a pair of gloves with a simple Bluetooth headset stitched into it. Charge the gloves with a regular USB cable, pair them to your phone, and they work just like any other Bluetooth headset.
The only difference is, you talk into your pinkie.
(John Davidson. Talk to the pinkie with this smart glove. Australian Financial Review. June 24, 2013.)
さて、引用記事では小指のことを、
pinkie
と表現しています。これは初めて見る単語でした。
小指のことは、"little finger"ということはご存知かと思います。"pinkie"を辞書で引くと確かに小指の意味があり、またMerriam Websterでも"little finger"と載っています。
ところで、色のピンク(pink)と関係があるのでしょうか?
語源欄を見ると、小指の意味の"pinkie"はオランダ語で小指を意味するpinkに由来するとあります。この"pink"はオランダ語であり、英語の"pink"ではないことに注意することがあります。そして一方、色のピンク(pink)については、語源不明(ランダムハウス英和)ともされているのです。
色々なソースをあたったところ、色のピンク(pink)もどうやらオランダ語のpinkに由来するようです。オランダ語のpinkには元々小さいという意味があり、小さな目(pinck oogen)、すなわち半分閉じたような目を表現するのにオランダ語のpinkが形容として用いられていることが確認されています。
花弁の様子がちょうど半分閉じた目のようであるとオランダ人は感じたのでしょうか、Dianthus(ナデシコやカーネーションなどのナデシコ科の花)のことが"pink"と称されるようになったと言われています。このナデシコ科のピンク色の花が、現代のピンク(色)の意味に発展したという説が有力のようです。(Online Etymology Dictionary、World Wide Words、他による。)
ハンズフリーのヘッドセットは今時珍しいものではありませんが、手袋タイプのヘッドセット(!?)が話題です。もはやヘッドセットと呼ぶにはふさわしくなく、またハンズフリーでもありません。
親指部分のスピーカーで音声を聞き取り、小指部分に仕掛けられたマイクに向かって話すのですから・・・。
You can’t buy them just yet, but a UK design firm has built a pair of leather gloves that allows you to talk on the phone, listening to your thumb while you chat to your pinkie. Perfect for the English winter, or, as it’s panning out this year, the English summer.
The design firm, Designworks, was approached by the UK mobile phone carrier O2 to come up with nifty ways to re-use old phones, according to a BBC report.
What it came up with was a pair of gloves with a simple Bluetooth headset stitched into it. Charge the gloves with a regular USB cable, pair them to your phone, and they work just like any other Bluetooth headset.
The only difference is, you talk into your pinkie.
(John Davidson. Talk to the pinkie with this smart glove. Australian Financial Review. June 24, 2013.)
さて、引用記事では小指のことを、
pinkie
と表現しています。これは初めて見る単語でした。
小指のことは、"little finger"ということはご存知かと思います。"pinkie"を辞書で引くと確かに小指の意味があり、またMerriam Websterでも"little finger"と載っています。
ところで、色のピンク(pink)と関係があるのでしょうか?
語源欄を見ると、小指の意味の"pinkie"はオランダ語で小指を意味するpinkに由来するとあります。この"pink"はオランダ語であり、英語の"pink"ではないことに注意することがあります。そして一方、色のピンク(pink)については、語源不明(ランダムハウス英和)ともされているのです。
色々なソースをあたったところ、色のピンク(pink)もどうやらオランダ語のpinkに由来するようです。オランダ語のpinkには元々小さいという意味があり、小さな目(pinck oogen)、すなわち半分閉じたような目を表現するのにオランダ語のpinkが形容として用いられていることが確認されています。
花弁の様子がちょうど半分閉じた目のようであるとオランダ人は感じたのでしょうか、Dianthus(ナデシコやカーネーションなどのナデシコ科の花)のことが"pink"と称されるようになったと言われています。このナデシコ科のピンク色の花が、現代のピンク(色)の意味に発展したという説が有力のようです。(Online Etymology Dictionary、World Wide Words、他による。)
2013年6月24日月曜日
アマチュア無線 ― ham
アマチュア無線、あるいはその愛好家のことを“ハム”と呼ぶことをご存知でしょうか?
日本でもカタカナで“ハム”とよく呼ばれていますが、実は英語の世界でも"ham"なんです。といいますか、“ハム”(ham)というのは英語だということを今日初めて知ったように思います。
When two tornadoes swept through Schuylkill County during the same week in 2011, blacking out all major communications, amateur ham radio operators immediately jumped in, relaying messages to local authorities.
It's situations like that that led amateur radio groups in Schuylkill, Bucks and Montgomery counties to participate this weekend in the annual simulated disaster drill known as Field Day.
About 35,000 amateur radio operators — known as hams — from all over the country headed for remote spots where they could simulate the worst conditions after a disaster.
That meant sites with no electrical power sources, no telephones and only make-shift antennas and portable generators.
(Jacob Seibel. For amateur radio operators, practice makes perfect. The Morning Call. June 23, 2013.)
この"ham"には面白い語源があります。
"ham"を辞書で引くと、大根役者、田舎役者といった意味が見えます。演技ばかりが大げさな役者のことを言っているのですが、そのような意味が生まれたのはMinstrel show(ミュージカル演芸)の作品の1つ、"Hamfat Man"というタイトルからだそうです。この作品では不器用な人間が登場してくるそうですが、いつしか"hamfat"が不器用を意味する単語として用いられるようになり、それが、"ham"と短縮されたという説があるようです。
研究社の大英和を引くと、"hamfat"とは役者が化粧落としに使ったハムの脂身(つまり、ham fat)にちなむという説もあるそうです。食べるハムとアマチュアのハムには全く関係がないかと思ったら、この説ではそうとも言い切れないようです。
事のついでに添えると、ウィキペディアでは誤りとされていますが、"ham"は"ham-fisted"、あるいは"ham-handed"という表現に由来するという説もあるそうです。この2つの表現のいずれも、不器用なと言う意味で用いられるものです。
ハムがアマチュア無線を指すのに使われるようになったのは、いわゆる商業的な通信と対比しての“アマチュアの”という意味ですが、アマチュア、即ちプロフェッショナルではない、つまりどちらかというと不器用、ど素人、ということで、"ham"が定着したのだろうと思われます。
引用した記事は、災害訓練でアマチュア無線愛好家が集い、電気もアンテナ設備も満足にない状況から無線交信を確立するシミュレーションを行ったというものですが、ど素人レベルをはるかに越えているのではないでしょうか。
実は小生も父親の影響で、アマチュア無線を多少かじったことがあり、初級アマチュア無線技師(電話級)と電信級の免許を持っています。(更新を怠っているので恐らく今は無効になっているかと思いますが。)今は全くやりませんが、この記事を読んで非常に懐かしく、取り上げさせていただきました。
日本でもカタカナで“ハム”とよく呼ばれていますが、実は英語の世界でも"ham"なんです。といいますか、“ハム”(ham)というのは英語だということを今日初めて知ったように思います。
When two tornadoes swept through Schuylkill County during the same week in 2011, blacking out all major communications, amateur ham radio operators immediately jumped in, relaying messages to local authorities.
It's situations like that that led amateur radio groups in Schuylkill, Bucks and Montgomery counties to participate this weekend in the annual simulated disaster drill known as Field Day.
About 35,000 amateur radio operators — known as hams — from all over the country headed for remote spots where they could simulate the worst conditions after a disaster.
That meant sites with no electrical power sources, no telephones and only make-shift antennas and portable generators.
(Jacob Seibel. For amateur radio operators, practice makes perfect. The Morning Call. June 23, 2013.)
この"ham"には面白い語源があります。
"ham"を辞書で引くと、大根役者、田舎役者といった意味が見えます。演技ばかりが大げさな役者のことを言っているのですが、そのような意味が生まれたのはMinstrel show(ミュージカル演芸)の作品の1つ、"Hamfat Man"というタイトルからだそうです。この作品では不器用な人間が登場してくるそうですが、いつしか"hamfat"が不器用を意味する単語として用いられるようになり、それが、"ham"と短縮されたという説があるようです。
研究社の大英和を引くと、"hamfat"とは役者が化粧落としに使ったハムの脂身(つまり、ham fat)にちなむという説もあるそうです。食べるハムとアマチュアのハムには全く関係がないかと思ったら、この説ではそうとも言い切れないようです。
事のついでに添えると、ウィキペディアでは誤りとされていますが、"ham"は"ham-fisted"、あるいは"ham-handed"という表現に由来するという説もあるそうです。この2つの表現のいずれも、不器用なと言う意味で用いられるものです。
ハムがアマチュア無線を指すのに使われるようになったのは、いわゆる商業的な通信と対比しての“アマチュアの”という意味ですが、アマチュア、即ちプロフェッショナルではない、つまりどちらかというと不器用、ど素人、ということで、"ham"が定着したのだろうと思われます。
引用した記事は、災害訓練でアマチュア無線愛好家が集い、電気もアンテナ設備も満足にない状況から無線交信を確立するシミュレーションを行ったというものですが、ど素人レベルをはるかに越えているのではないでしょうか。
実は小生も父親の影響で、アマチュア無線を多少かじったことがあり、初級アマチュア無線技師(電話級)と電信級の免許を持っています。(更新を怠っているので恐らく今は無効になっているかと思いますが。)今は全くやりませんが、この記事を読んで非常に懐かしく、取り上げさせていただきました。
2013年6月21日金曜日
英・キャサリン妃の出産が秒読み ― easel
イギリスのウィリアムズ王子と結婚したKate Middletonさん(キャサリン妃)のおめでたの話題でここのところ持ちきりです。
将来国王に就くことになる第一子ですから騒がないわけがありません。報道の過熱ぶりから察するに出産は秒読み段階というところでしょうか。メディア・報道関係者は大変でしょう。
ところで、記者などの報道関係者は出産されたことをどうやって知るのでしょうか?
The birth of the Duke and Duchess of Cambridge's first child - a future heir to the throne - will be announced in exactly the same way as Prince William's to retain 'the theatre' of a genuine royal occasion.
As soon as the baby is born, a proclamation signed by doctors who delivered the boy or girl will be rushed from the ward and displayed at the gates of Buckingham Palace within minutes.
Like the late Princess Diana before her, Kate, 31, has chosen the Lindo Wing at St Mary’s where a natural birth, staying in a private suite, is likely to cost up to £10,000.
(Royal birth announcement will be taken by police escort to Buckingham Palace and displayed on an easel... the same way news of William's arrival was released. The Daily Mail. June 19, 2013.)
ちょっと驚きだったのですが、出産の公表はケンブリッジ宮殿前に設置されるイーゼル(easel)で告知されるのだそうです。無事の出産があってしばらくしてから記者会見でも開かれるのかと思ったら、産科の医師が赤ん坊を取り上げたらすぐに書類にサインをし、その書類は病院玄関で待機している運転手に渡され、警護の警官が先導する中、ロンドン市中を走り、それがバッキンガム宮殿まで届けられて公示されるという、何とも古風な、伝統に則った、格式を感じさせるやり方で伝令されるのだそうです。
ちなみに、ツイッターではお知らせすることはしない、ということを明言しているそうです。(格式を重んじてのことでしょうか。)
さて、今日の単語、"easel"は“ロバ”のことだということをご存知でしょうか?
語源を辿るとオランダ語の"ezel"(ロバの意)に由来します。ロバはじっとして動かないことから、(絵などを架ける)画架という意味で使われるようになったということです。
記事には、ウィリアムズ王子誕生の際のイーゼルの写真もありますが、もちろんそこら辺のどうでもいいようなイーゼルではなく、イギリス王室の威厳を感じさせるものです。
ちなみに分娩が深夜早朝の場合はどうなるのかについても説明があるのですが、その場合(午後10時から午前3時の間)はまず出産のプレスリリースが先になり、イーゼルでの告知は翌朝9時以降になるのだそうです。
無事の出産を祈りたくなりますね。
将来国王に就くことになる第一子ですから騒がないわけがありません。報道の過熱ぶりから察するに出産は秒読み段階というところでしょうか。メディア・報道関係者は大変でしょう。
ところで、記者などの報道関係者は出産されたことをどうやって知るのでしょうか?
The birth of the Duke and Duchess of Cambridge's first child - a future heir to the throne - will be announced in exactly the same way as Prince William's to retain 'the theatre' of a genuine royal occasion.
As soon as the baby is born, a proclamation signed by doctors who delivered the boy or girl will be rushed from the ward and displayed at the gates of Buckingham Palace within minutes.
Like the late Princess Diana before her, Kate, 31, has chosen the Lindo Wing at St Mary’s where a natural birth, staying in a private suite, is likely to cost up to £10,000.
(Royal birth announcement will be taken by police escort to Buckingham Palace and displayed on an easel... the same way news of William's arrival was released. The Daily Mail. June 19, 2013.)
ちょっと驚きだったのですが、出産の公表はケンブリッジ宮殿前に設置されるイーゼル(easel)で告知されるのだそうです。無事の出産があってしばらくしてから記者会見でも開かれるのかと思ったら、産科の医師が赤ん坊を取り上げたらすぐに書類にサインをし、その書類は病院玄関で待機している運転手に渡され、警護の警官が先導する中、ロンドン市中を走り、それがバッキンガム宮殿まで届けられて公示されるという、何とも古風な、伝統に則った、格式を感じさせるやり方で伝令されるのだそうです。
ちなみに、ツイッターではお知らせすることはしない、ということを明言しているそうです。(格式を重んじてのことでしょうか。)
さて、今日の単語、"easel"は“ロバ”のことだということをご存知でしょうか?
語源を辿るとオランダ語の"ezel"(ロバの意)に由来します。ロバはじっとして動かないことから、(絵などを架ける)画架という意味で使われるようになったということです。
記事には、ウィリアムズ王子誕生の際のイーゼルの写真もありますが、もちろんそこら辺のどうでもいいようなイーゼルではなく、イギリス王室の威厳を感じさせるものです。
ちなみに分娩が深夜早朝の場合はどうなるのかについても説明があるのですが、その場合(午後10時から午前3時の間)はまず出産のプレスリリースが先になり、イーゼルでの告知は翌朝9時以降になるのだそうです。
無事の出産を祈りたくなりますね。
2013年6月20日木曜日
分かったようでよく分からない単語 ― implication
辞書に載っていない表現というカテゴリを設けさせていただいておりますが、今日取り上げる"implication(s)"という単語もその類の単語ではないかと思います。
分かった(Or 分かっている)ようで、訳そうとするとうまく訳せない、分からない単語ということです。
Ten government privacy and data protection officials from seven countries have asked Google to address privacy concerns related to its wearable computing device, Glass.
The letter was sent to Larry Page, Google’s chief executive, by 10 commissioners from Canada, the Netherlands, Australia, New Zealand, Mexico, Israel and Switzerland. It comes after a letter sent by eight members of Congress in May raising similar questions about Glass and privacy.
“We would be very interested in hearing about the privacy implications of this new product and the steps you are taking to ensure that, as you move forward with Google Glass, individuals’ privacy rights are respected around the world,” the officials wrote.
(Claire Cain Miller. Privacy Officials Worldwide Press Google About Glass. The New York Times. June 19, 2013.)
Google Glassという新しいデバイスがウェアラブルコンピューティングとしての話題を席巻していますが、プライバシー上の問題がずっと言われ続けています。
引用した記事によりますと、アメリカのみならず世界各国のプライバシー担当の当局関係者から、グーグル社のCEOに対して公開質問状(?)が送られたそうです。
さて、引用した記事の最終段落に、
privacy implications
という表現が出てくるところに注目したいと思います。
"implication"を英和辞書で引くと、
含み、含意、ほのめかすこと、暗示
などの意味が確認できます。記事のコンテクストにおいても、これらの訳から言わんとすることは分からなくもないのですが、何となくしっくりとこないと思いませんか?
プライバシーの面で(直接的には言及されてはいないけれども)暗示(含意)されること、について各国のプライバシー担当者が懸念している、ということであると解釈できます。
しかし、ここでの例で暗示や含意といった訳にはすっきりとしないものを感じます。
もちろん、"implication"は、"imply"(ほのめかす、暗示する)という動詞の名詞形ですから、たとえば下記のような文においては、暗示や含意といった意味がパーフェクトにマッチすると思われます。
The implication in his article is that being a housewife is greatly inferior to every other occupation.
(Oxford Advanced Learner's Dictionary)
では、すっきりしない例文にはどんなものがあるでしょう。たとえば以下はどうでしょうか。
"Threats are not useful," he said, according to Bloomberg News. A Turkish raid "will have serious implications for Iraq, Turkey and for our bilateral relationships."
(New York Times. 2007.)
A decade ago, he says, "I began to understand that something very different was happening, something with deeply disturbing implications for the entire Western world. The Mafia was making an explicit attempt to seize actual power in Italy. They were corrupting -- or decapitating -- the legitimate leadership of the civil state."
(San Francisco Chronicle. 1993.)
これらの用例を読んで思うのは、"implication"という単語が、“暗示、含意”といった意味で使われているというよりも、“(あることを実行したりすることによる)結果、帰結”という意味で使われていると解釈する方がしっくりくるのではないか、ということです。
不思議と、英和辞書にはそのような意味はカバーされていないのです。
そこで、Merriam Websterの定義をチェックしてみました。暗示や含意などの意味に加えて、下記のような定義があります。
something implied: as
a : suggestion
b : a possible significance
"significance"(重大性)という意味は私のすっきりしない感覚を少しすっきりさせてくれるものです。
さらに、Oxford Advanced Learner's Dictionaryでは、下記のような定義が見えます。
a possible effect or result of an action or a decision
これを見て、やはり英和辞書の"implication"の定義は不十分ではないかと思いましたが、皆さんはいかが思われるでしょうか。
分かった(Or 分かっている)ようで、訳そうとするとうまく訳せない、分からない単語ということです。
Ten government privacy and data protection officials from seven countries have asked Google to address privacy concerns related to its wearable computing device, Glass.
The letter was sent to Larry Page, Google’s chief executive, by 10 commissioners from Canada, the Netherlands, Australia, New Zealand, Mexico, Israel and Switzerland. It comes after a letter sent by eight members of Congress in May raising similar questions about Glass and privacy.
“We would be very interested in hearing about the privacy implications of this new product and the steps you are taking to ensure that, as you move forward with Google Glass, individuals’ privacy rights are respected around the world,” the officials wrote.
(Claire Cain Miller. Privacy Officials Worldwide Press Google About Glass. The New York Times. June 19, 2013.)
Google Glassという新しいデバイスがウェアラブルコンピューティングとしての話題を席巻していますが、プライバシー上の問題がずっと言われ続けています。
引用した記事によりますと、アメリカのみならず世界各国のプライバシー担当の当局関係者から、グーグル社のCEOに対して公開質問状(?)が送られたそうです。
さて、引用した記事の最終段落に、
privacy implications
という表現が出てくるところに注目したいと思います。
"implication"を英和辞書で引くと、
含み、含意、ほのめかすこと、暗示
などの意味が確認できます。記事のコンテクストにおいても、これらの訳から言わんとすることは分からなくもないのですが、何となくしっくりとこないと思いませんか?
プライバシーの面で(直接的には言及されてはいないけれども)暗示(含意)されること、について各国のプライバシー担当者が懸念している、ということであると解釈できます。
しかし、ここでの例で暗示や含意といった訳にはすっきりとしないものを感じます。
もちろん、"implication"は、"imply"(ほのめかす、暗示する)という動詞の名詞形ですから、たとえば下記のような文においては、暗示や含意といった意味がパーフェクトにマッチすると思われます。
The implication in his article is that being a housewife is greatly inferior to every other occupation.
(Oxford Advanced Learner's Dictionary)
では、すっきりしない例文にはどんなものがあるでしょう。たとえば以下はどうでしょうか。
"Threats are not useful," he said, according to Bloomberg News. A Turkish raid "will have serious implications for Iraq, Turkey and for our bilateral relationships."
(New York Times. 2007.)
A decade ago, he says, "I began to understand that something very different was happening, something with deeply disturbing implications for the entire Western world. The Mafia was making an explicit attempt to seize actual power in Italy. They were corrupting -- or decapitating -- the legitimate leadership of the civil state."
(San Francisco Chronicle. 1993.)
これらの用例を読んで思うのは、"implication"という単語が、“暗示、含意”といった意味で使われているというよりも、“(あることを実行したりすることによる)結果、帰結”という意味で使われていると解釈する方がしっくりくるのではないか、ということです。
不思議と、英和辞書にはそのような意味はカバーされていないのです。
そこで、Merriam Websterの定義をチェックしてみました。暗示や含意などの意味に加えて、下記のような定義があります。
something implied: as
a : suggestion
b : a possible significance
"significance"(重大性)という意味は私のすっきりしない感覚を少しすっきりさせてくれるものです。
さらに、Oxford Advanced Learner's Dictionaryでは、下記のような定義が見えます。
a possible effect or result of an action or a decision
これを見て、やはり英和辞書の"implication"の定義は不十分ではないかと思いましたが、皆さんはいかが思われるでしょうか。
2013年6月19日水曜日
兄弟間のけんかも場合によっては悪影響 ― sibling bullying
"sibling bullying"という表現を見るのは初めてですが、訳すならば、“兄弟間いじめ”とでもなりましょうか。
小生は3児(中学生男子、小学生男子と女子)の父親ですが、毎日ケンカ騒ぎが絶えることはありません(笑)
時々、どうしようもないときやうるさくてしようがないとき(やめさせたいとき)は介入しますが、それ以外は放っています。ケンカも必要な体験ではあるとも思うからです。
しかしながら、最近の研究によると、けんかも場合によっては子供の精神の発達にネガティヴな影響を与えかねないという報告があるそうです。
Bullying by siblings just as damaging, research finds
Sibling bullying is linked to worse mental health for kid and teen victims.
Bullying and aggressive behavior by a sibling can be as damaging as bullying by a classmate, neighbor or other peer, finds a new study that links it to increased depression, anxiety and anger among victimized kids and teens.
And that association holds true for the various types of aggressive behavior studied, both mild and severe, from physical and psychological aggression to property victimization, researchers say.
Although peer bullying has increasingly become a recognized problem and the focus of preventive efforts, sibling bullying has historically been viewed as "benign and normal and even beneficial" for a child's social development and ability "to learn to handle aggression in other relationships," according to the study, in the July issue of the journal Pediatrics, published online today.
(Michelle Healey. Bullying by siblings just as damaging, research finds. USA Today. June 17, 2013.)
ランダムハウス英和辞書で"sibling"を引くと、"sibling rivalry"という表現が載っており、“きょうだい間の抗争”、とされています。兄弟というものは余程年齢が離れている場合は別かも知れませんが、基本的に対立する関係にあるのは異論の無いところかと思います。ライバル意識が発展してケンカになるわけですが、これまでは人生の通過儀礼、あるいは発達途上における必要な体験・経験としてポジティヴにとらえられる傾向もあった"sibling rivalry"も、"sibling bullying"となると話は別ということでしょうか。
子供を持つ親として複雑な心境です。
小生は3児(中学生男子、小学生男子と女子)の父親ですが、毎日ケンカ騒ぎが絶えることはありません(笑)
時々、どうしようもないときやうるさくてしようがないとき(やめさせたいとき)は介入しますが、それ以外は放っています。ケンカも必要な体験ではあるとも思うからです。
しかしながら、最近の研究によると、けんかも場合によっては子供の精神の発達にネガティヴな影響を与えかねないという報告があるそうです。
Bullying by siblings just as damaging, research finds
Sibling bullying is linked to worse mental health for kid and teen victims.
Bullying and aggressive behavior by a sibling can be as damaging as bullying by a classmate, neighbor or other peer, finds a new study that links it to increased depression, anxiety and anger among victimized kids and teens.
And that association holds true for the various types of aggressive behavior studied, both mild and severe, from physical and psychological aggression to property victimization, researchers say.
Although peer bullying has increasingly become a recognized problem and the focus of preventive efforts, sibling bullying has historically been viewed as "benign and normal and even beneficial" for a child's social development and ability "to learn to handle aggression in other relationships," according to the study, in the July issue of the journal Pediatrics, published online today.
(Michelle Healey. Bullying by siblings just as damaging, research finds. USA Today. June 17, 2013.)
ランダムハウス英和辞書で"sibling"を引くと、"sibling rivalry"という表現が載っており、“きょうだい間の抗争”、とされています。兄弟というものは余程年齢が離れている場合は別かも知れませんが、基本的に対立する関係にあるのは異論の無いところかと思います。ライバル意識が発展してケンカになるわけですが、これまでは人生の通過儀礼、あるいは発達途上における必要な体験・経験としてポジティヴにとらえられる傾向もあった"sibling rivalry"も、"sibling bullying"となると話は別ということでしょうか。
子供を持つ親として複雑な心境です。
2013年6月18日火曜日
Tweetなど新語がOED収載に ― tweet
フェースブックと並んでSNSの代表格ともなったと言えるツイッター(Twitter)ですが、"tweet"という単語はもともと鳥のさえずりを意味する擬声語としてのエントリしかありませんでした。
それが、Oxford English Dictionary (OED)の新語として、SNSへ投稿する行為、あるいはその投稿自体を意味するエントリが収載されることになったということです。
Less than a decade ago, the word tweet only meant one thing: the chirp of a bird. Boy has that changed.
As of this month, the lauded Oxford English Dictionary, the accepted authority of the English language, includes an official second definition for the word: "To make a posting on the social networking service Twitter. Also: to use Twitter regularly or habitually." That's right — the word tweet, as it relates to social networking, is now officially part of the English language.
John Simpson, chief editor of the OED, announced the new addition in a June update. "The noun and verb tweet (in the social-networking sense) has just been added to the OED," Simpson wrote. "This breaks at least one OED rule, namely that a new word needs to be current for ten years before consideration for inclusion. But it seems to be catching on."
(Angela Moscaritolo. Tweet Added to Oxford English Dictionary. PC Magazine. June 17, 2013.)
OEDの更新(新語や意味の追加)は3か月ごとなのだそうですが、更新今回には、"follow"や"follower"、といったSNS関係の用語、また"crowdsourcing"などといった単語を含む、1,200以上の単語が含まれるそうです。
興味深いのですが、ツイッターにおいて、他人の投稿を再投稿するリツイート(retweet)という単語については、2011年に既に追加されており、今回"tweet"という単語のエントリが追加されたのと順序が逆ではないかという指摘もあるそうですが、当のOEDは理由を明らかにしていないということです。
それが、Oxford English Dictionary (OED)の新語として、SNSへ投稿する行為、あるいはその投稿自体を意味するエントリが収載されることになったということです。
Less than a decade ago, the word tweet only meant one thing: the chirp of a bird. Boy has that changed.
As of this month, the lauded Oxford English Dictionary, the accepted authority of the English language, includes an official second definition for the word: "To make a posting on the social networking service Twitter. Also: to use Twitter regularly or habitually." That's right — the word tweet, as it relates to social networking, is now officially part of the English language.
John Simpson, chief editor of the OED, announced the new addition in a June update. "The noun and verb tweet (in the social-networking sense) has just been added to the OED," Simpson wrote. "This breaks at least one OED rule, namely that a new word needs to be current for ten years before consideration for inclusion. But it seems to be catching on."
(Angela Moscaritolo. Tweet Added to Oxford English Dictionary. PC Magazine. June 17, 2013.)
OEDの更新(新語や意味の追加)は3か月ごとなのだそうですが、更新今回には、"follow"や"follower"、といったSNS関係の用語、また"crowdsourcing"などといった単語を含む、1,200以上の単語が含まれるそうです。
興味深いのですが、ツイッターにおいて、他人の投稿を再投稿するリツイート(retweet)という単語については、2011年に既に追加されており、今回"tweet"という単語のエントリが追加されたのと順序が逆ではないかという指摘もあるそうですが、当のOEDは理由を明らかにしていないということです。
2013年6月17日月曜日
メキシコ発: 市長選にネコが立候補!? ― meow
笑わせてくれる記事ですが、ある意味政治家に対する不信ここに極まる、という現象でもあります。
汚職や退廃にまみれるメキシコの地方都市の市長選の候補者にネコがもてはやされているというのです。
"rat"(裏切り者)にうんざりしたら、"cat"(ネコ)に一票を!
"Yes, We Cat!"
などといったキャンペーンが有権者の歓心を買っているようです。
MEXICO CITY — This mayoral hopeful in Mexico promises to eat, sleep most of the day and donate his leftover litter to fill potholes.
Morris, a black-and-white kitten with orange eyes, is running for mayor of Xalapa in eastern Mexico with the campaign slogan "Tired of Voting for Rats? Vote for a Cat." And he is attracting tens of thousands of politician-weary, two-legged supporters on social media.
"He sleeps almost all day and does nothing, and that fits the profile of a politician," said 35-year-old office worker Sergio Camacho, who adopted the 10-month-old feline last year.
(Vote for Meow: Cat running for mayor in Mexico is a huge hit. New York Post. June 15, 2013.)
笑ってしまいますが、ツイッターやフェースブックなどのSNSを使ったキャンペーンが功を奏し、支持を拡大しているそうです。勿論動物では正式な立候補者足りえませんが、自治体の選管(!?)が有権者に対してネコには投票しないようにと呼びかける事態にまで発展しているそうです。
今日の単語、"meow"はネコの鳴き声、にゃあ、のことです。勿論、擬声語です。
mew、miaow、mewl、というスペルもあります。
汚職や退廃にまみれるメキシコの地方都市の市長選の候補者にネコがもてはやされているというのです。
"rat"(裏切り者)にうんざりしたら、"cat"(ネコ)に一票を!
"Yes, We Cat!"
などといったキャンペーンが有権者の歓心を買っているようです。
MEXICO CITY — This mayoral hopeful in Mexico promises to eat, sleep most of the day and donate his leftover litter to fill potholes.
Morris, a black-and-white kitten with orange eyes, is running for mayor of Xalapa in eastern Mexico with the campaign slogan "Tired of Voting for Rats? Vote for a Cat." And he is attracting tens of thousands of politician-weary, two-legged supporters on social media.
"He sleeps almost all day and does nothing, and that fits the profile of a politician," said 35-year-old office worker Sergio Camacho, who adopted the 10-month-old feline last year.
(Vote for Meow: Cat running for mayor in Mexico is a huge hit. New York Post. June 15, 2013.)
笑ってしまいますが、ツイッターやフェースブックなどのSNSを使ったキャンペーンが功を奏し、支持を拡大しているそうです。勿論動物では正式な立候補者足りえませんが、自治体の選管(!?)が有権者に対してネコには投票しないようにと呼びかける事態にまで発展しているそうです。
今日の単語、"meow"はネコの鳴き声、にゃあ、のことです。勿論、擬声語です。
mew、miaow、mewl、というスペルもあります。
2013年6月14日金曜日
short shrift
父の日が今週末に迫っています。父の日のプレゼントは決まりましたでしょうか?父の日と母の日を比較した、興味深い記事を見つけました。
When it comes to their respective days of honor, why do dads get funny ties and moms get diamond-heart necklaces? Why do we spend 40% more on Mother’s Day than Father’s Day? Some seemingly ungrateful children (and a few dads) offer explanations.
Every year since the National Retail Federation has been keep [sic] track, the amount consumers spend on Father’s Day gifts has been significantly less than the average spent on Mother’s Day. This year, average Father’s Day spending is expected to be around $120, compared with $169 for moms.
(Kit Yarrow. Why Dads Get Short Shrift on Father’s Day — and Dads Are O.K. With It. Time. June 12, 2013.)
その興味深い内容とは、父の日のプレゼントに費やされる金額は母の日のプレゼントに費やされる金額よりもかなり少ないという統計があるということです。母の日のプレゼントの平均出費が169ドルに対して、父の日のプレゼントの平均出費は120ドルだそうです。
さて、今日の表現は、
short shrift
というものです。"short shift"ではありません。"shrift"です。
"shrift"という単語自体に馴染みがないのではないでしょうか。
"shrift"を辞書で引くと、
告解、懺悔、罪の告白
といった意味が確認できると思います。あまり日常で使うことのない単語です。
そして、"short shrift"とは、この懺悔、告解をするために与えられる短い時間のことを指しているのですが、とりわけ死刑囚が死刑の執行前に与えられるそのような機会とその時間の短さを言ったものです。
その意味がいつしか発展し、(死刑囚に与えられるような)そっけない扱い、にべもないあしらい、というような意味で使われるようになったということです。
冒頭に引用した記事のタイトル、"Why dads get short shrift..."は、プレゼントに費やされる金額が母の日よりも少ない父の日を捉えたものです。
実を申しますと私も3児の父親ですが、父の日に何かプレゼントしてもらったことはありません。"short shrift"だとは全く思ってはいませんが、今年は何かあるかな?
When it comes to their respective days of honor, why do dads get funny ties and moms get diamond-heart necklaces? Why do we spend 40% more on Mother’s Day than Father’s Day? Some seemingly ungrateful children (and a few dads) offer explanations.
Every year since the National Retail Federation has been keep [sic] track, the amount consumers spend on Father’s Day gifts has been significantly less than the average spent on Mother’s Day. This year, average Father’s Day spending is expected to be around $120, compared with $169 for moms.
(Kit Yarrow. Why Dads Get Short Shrift on Father’s Day — and Dads Are O.K. With It. Time. June 12, 2013.)
その興味深い内容とは、父の日のプレゼントに費やされる金額は母の日のプレゼントに費やされる金額よりもかなり少ないという統計があるということです。母の日のプレゼントの平均出費が169ドルに対して、父の日のプレゼントの平均出費は120ドルだそうです。
さて、今日の表現は、
short shrift
というものです。"short shift"ではありません。"shrift"です。
"shrift"という単語自体に馴染みがないのではないでしょうか。
"shrift"を辞書で引くと、
告解、懺悔、罪の告白
といった意味が確認できると思います。あまり日常で使うことのない単語です。
そして、"short shrift"とは、この懺悔、告解をするために与えられる短い時間のことを指しているのですが、とりわけ死刑囚が死刑の執行前に与えられるそのような機会とその時間の短さを言ったものです。
その意味がいつしか発展し、(死刑囚に与えられるような)そっけない扱い、にべもないあしらい、というような意味で使われるようになったということです。
冒頭に引用した記事のタイトル、"Why dads get short shrift..."は、プレゼントに費やされる金額が母の日よりも少ない父の日を捉えたものです。
実を申しますと私も3児の父親ですが、父の日に何かプレゼントしてもらったことはありません。"short shrift"だとは全く思ってはいませんが、今年は何かあるかな?
2013年6月13日木曜日
コーヒーを止めたら・・・ ― cold turkey
コーヒー好きにはちょっと怖いお話かもしれません。
コーヒーなどの飲料に含まれるカフェインは精神を昂揚させる効果がありますが、カフェイン中毒やカフェイン摂取を控えることによって起きる禁断症状は、アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)によれば、今や精神病の1つとされているそうです。
Kim Leadley didn’t think much of her one- or two-a-day Starbucks Grande coffee fix.
But when she tried to go cold turkey to stop the habit, she found herself getting headaches—excruciating headaches, the I-can’t-work-think-or-function kind of headaches, she says. Within days, she “fell off the wagon” and resumed the coffee habit.
“The headaches did make me think there was something to be said for caffeine addiction” and withdrawal, said the 41-year-old Cumberland, Maine, resident. She started tapering off her caffeine consumption by mixing decaffeinated and regular coffee. About six months later, she finally kicked the habit for good after getting pregnant in December.
(Sumathi Reddy. A Coffee Withdrawal Diagnosis. The Wall Street Journal. June 11, 2013.)
ショッキングなニュース記事の引用が上記ですが、今日取り上げる表現は、
cold turkey
というものです。冷たい七面鳥!?どういう意味でしょうか?
辞書を引くと、"go cold turkey"という成句があり、
(麻薬・習慣などを)きっぱりとやめる、断つ
という意味が載っています。なぜ、“冷たい七面鳥”がそのような意味になるのでしょうか?
American Heritage Dictionaryによりますと、
Probably from the serving of cold roast turkey as a dish needing no preparation.
とあります。何の手間暇もかけずすぐに提供できる料理であることから、すぐに、即座に(Immediately and without gradual reduction of use)というような意味に発展した、ということのようです。"going cold turkey"とは、習慣になっていることを、少しずつ減らしながらではなく、即座に、きっぱりと止めるという意味です。
また、"talk cold turkey"という表現もあり、こちらは“ぶっきらぼうに話す”(Frankly or directly; without mincing words)という意味で用いられます。上記の語源解説からも何となく分かるような気がします。
ところが、この"going cold turkey"という表現の由来には諸説あるらしく、その1つとして興味深いものに、麻薬中毒患者が禁断症状時に見せる鳥肌のことを、死んだ七面鳥のそれに喩えたというものがあります。
コーヒーを常飲していた人がいきなり止めたら、鳥肌になってしまうのでしょうか!?
また、その他の説としては、七面鳥と言えば、感謝祭の日に食べられるものですが、感謝祭のバカ騒ぎの終了と食べ残された七面鳥(つまり、冷たくなってしまった食べ残し ― cold turkey)との連想から、酒宴の終了、つまりアルコールの飲みすぎもここまでで終わり、というような意味で、現在の"going cold turkey"の意味に発展した、というものもあります。
コーヒーなどの飲料に含まれるカフェインは精神を昂揚させる効果がありますが、カフェイン中毒やカフェイン摂取を控えることによって起きる禁断症状は、アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)によれば、今や精神病の1つとされているそうです。
Kim Leadley didn’t think much of her one- or two-a-day Starbucks Grande coffee fix.
But when she tried to go cold turkey to stop the habit, she found herself getting headaches—excruciating headaches, the I-can’t-work-think-or-function kind of headaches, she says. Within days, she “fell off the wagon” and resumed the coffee habit.
“The headaches did make me think there was something to be said for caffeine addiction” and withdrawal, said the 41-year-old Cumberland, Maine, resident. She started tapering off her caffeine consumption by mixing decaffeinated and regular coffee. About six months later, she finally kicked the habit for good after getting pregnant in December.
(Sumathi Reddy. A Coffee Withdrawal Diagnosis. The Wall Street Journal. June 11, 2013.)
ショッキングなニュース記事の引用が上記ですが、今日取り上げる表現は、
cold turkey
というものです。冷たい七面鳥!?どういう意味でしょうか?
辞書を引くと、"go cold turkey"という成句があり、
(麻薬・習慣などを)きっぱりとやめる、断つ
という意味が載っています。なぜ、“冷たい七面鳥”がそのような意味になるのでしょうか?
American Heritage Dictionaryによりますと、
Probably from the serving of cold roast turkey as a dish needing no preparation.
とあります。何の手間暇もかけずすぐに提供できる料理であることから、すぐに、即座に(Immediately and without gradual reduction of use)というような意味に発展した、ということのようです。"going cold turkey"とは、習慣になっていることを、少しずつ減らしながらではなく、即座に、きっぱりと止めるという意味です。
また、"talk cold turkey"という表現もあり、こちらは“ぶっきらぼうに話す”(Frankly or directly; without mincing words)という意味で用いられます。上記の語源解説からも何となく分かるような気がします。
ところが、この"going cold turkey"という表現の由来には諸説あるらしく、その1つとして興味深いものに、麻薬中毒患者が禁断症状時に見せる鳥肌のことを、死んだ七面鳥のそれに喩えたというものがあります。
コーヒーを常飲していた人がいきなり止めたら、鳥肌になってしまうのでしょうか!?
また、その他の説としては、七面鳥と言えば、感謝祭の日に食べられるものですが、感謝祭のバカ騒ぎの終了と食べ残された七面鳥(つまり、冷たくなってしまった食べ残し ― cold turkey)との連想から、酒宴の終了、つまりアルコールの飲みすぎもここまでで終わり、というような意味で、現在の"going cold turkey"の意味に発展した、というものもあります。
2013年6月12日水曜日
ヒラリー・クリントン氏がツイッターアカウントを開設 ― TBD
ヒラリー・クリントン氏がツイッターデビューしたというニュースが話題になっています。フォロワー数は一時点では1分間に1000人のスピードで増え、合計で20万人以上にもなったとか。私がこれを書き始めている現時点では、324,529人になっています。
Her Twitter followers signed up fast, almost 1,000 of them a minute, to see what she had to say. And Hillary Rodham Clinton, debuting on the social-media site Monday with a biography identifying her as a “hair icon, pantsuit aficionado, glass ceiling cracker,” kept them guessing.
The end of her bio read: “TBD . . . ”
To be determined.
Perhaps no figure in American political life has surfaced on Twitter quite the way Clinton did. But none shares her position in the public arena right now as a potential president-in-waiting. Everything the former secretary of state does now is met with anticipation and parsed for clues that might answer the question: Will she or won’t she run?
(Philip Rucker. Hillary Clinton’s arrival on Twitter leaves followers wondering what’s next. The Washington Post. June 11, 2013.)
さて、メディアはクリントン氏のTwitterアカウントの自己紹介を取り上げています。
"hair icon"(ヘアスタイルの崇拝対象)、"pantsuit aficionado"(パンツスーツ好き)、"glass ceiling cracker"(女性の社会進出の壁を破った)、などこれまで氏に対する評判として自他共に認めるプロフィールが列挙されているのですが、最後が、TBDとなっているのが意味深だ、という訳です。
メディアは、次期大統領選の候補とも目されるヒラリー氏によるこの"TBD"という表現の仕方を、氏自身が大統領選を意識しているものと捉えているようです。
"TBD"という表現はビジネスの現場でよく聞く専門用語(jargon)ではないかと思います。"to be determined"を略したものですが、未定、そのうちに決定、後ほど決定、というような意味です。
"TBD"という表現は(どうでもいいビジネスのプレゼンテーションスライドなどで)良く目にするのですが、ネイティヴスピーカーがこのような形で実際に使っているのを見たのは初めてです。
TBDは、"to be decided"の略だという人もいます。"to be decided"という表現も存在するので間違いではないでしょう。ちなみに、TBA(to be announced; to be ascribed)、TBC(to be confirmed)といった類似の表現も存在します。意味はどれも似たようなものですが、TBA(to be announced)については、物事自体は決定済みであるが正式発表がまだである状態、TBC(to be confirmed)については、物事自体は決定済みであるが(事実か否かの)確認がまだである状態、というように、TBD(to be determined; to be decided)のように物事自体がまだ決定していない状況とは区別されるという見方もあるようです。
どうでもいいような、よくないような、Business jargonの話題でした。
Her Twitter followers signed up fast, almost 1,000 of them a minute, to see what she had to say. And Hillary Rodham Clinton, debuting on the social-media site Monday with a biography identifying her as a “hair icon, pantsuit aficionado, glass ceiling cracker,” kept them guessing.
The end of her bio read: “TBD . . . ”
To be determined.
Perhaps no figure in American political life has surfaced on Twitter quite the way Clinton did. But none shares her position in the public arena right now as a potential president-in-waiting. Everything the former secretary of state does now is met with anticipation and parsed for clues that might answer the question: Will she or won’t she run?
(Philip Rucker. Hillary Clinton’s arrival on Twitter leaves followers wondering what’s next. The Washington Post. June 11, 2013.)
さて、メディアはクリントン氏のTwitterアカウントの自己紹介を取り上げています。
"hair icon"(ヘアスタイルの崇拝対象)、"pantsuit aficionado"(パンツスーツ好き)、"glass ceiling cracker"(女性の社会進出の壁を破った)、などこれまで氏に対する評判として自他共に認めるプロフィールが列挙されているのですが、最後が、TBDとなっているのが意味深だ、という訳です。
メディアは、次期大統領選の候補とも目されるヒラリー氏によるこの"TBD"という表現の仕方を、氏自身が大統領選を意識しているものと捉えているようです。
"TBD"という表現はビジネスの現場でよく聞く専門用語(jargon)ではないかと思います。"to be determined"を略したものですが、未定、そのうちに決定、後ほど決定、というような意味です。
"TBD"という表現は(どうでもいいビジネスのプレゼンテーションスライドなどで)良く目にするのですが、ネイティヴスピーカーがこのような形で実際に使っているのを見たのは初めてです。
TBDは、"to be decided"の略だという人もいます。"to be decided"という表現も存在するので間違いではないでしょう。ちなみに、TBA(to be announced; to be ascribed)、TBC(to be confirmed)といった類似の表現も存在します。意味はどれも似たようなものですが、TBA(to be announced)については、物事自体は決定済みであるが正式発表がまだである状態、TBC(to be confirmed)については、物事自体は決定済みであるが(事実か否かの)確認がまだである状態、というように、TBD(to be determined; to be decided)のように物事自体がまだ決定していない状況とは区別されるという見方もあるようです。
どうでもいいような、よくないような、Business jargonの話題でした。
2013年6月11日火曜日
ふられた女の恨みほど怖いものは・・・ ― a woman scorned
付き合っていた同僚に対する殺人未遂の容疑で医師が逮捕されたという記事(Houston doctor charged with poisoning her lover)が目に留まりました。男女の関係のもつれの類、よくある話かと思いきや、"(poisoning) her lover"とあることから、何と容疑がかけられているのは女性医師、つまり殺されそうになったのは男だということになります。
HOUSTON (AP) — Prosecutors have charged a Houston oncologist with spiking her lover and coworker's coffee with a sweet-tasting chemical used in antifreeze and medical research.
Ana Maria Gonzalez-Angulo, a breast cancer oncologist at the University of Texas M.D. Anderson Cancer Center, was charged last week with aggravated assault against Dr. George Blumenschein, a specialist in lung and head and neck cancers at the institution. The two were in "a casual sexual relationship," according to a criminal complaint.
(Houston doctor charged with poisoning her lover. The Associated Press. June 10, 2013.)
男性医師は、女性が出してくれたコーヒーを飲んだところ気分が悪くなり、その後救急搬送されたそうです。コーヒーから凍結防止剤の成分であるエチレングリコールが検出されたそうです。
ところで、下記は同じ事件に関する別記事からの引用です。
We all know the line, “hell hath no fury like a woman scorned.” Authorities are attempting to determine if this was the case when a Houston oncologist drank coffee containing antifreeze, nearly causing his death.
A prominent Houston oncologist has been accused of attempting to murder a colleague. Authorities believe Dr. Ana Maria Gonzalez-Angulo, 42, served coffee laced with ethylene glycol to fellow oncologist Dr. George Blumenschein in her home on January 27th. They had been dating, and were said to be having “casual sex.”
(James Turnage. Antifreeze and the Woman Scorned? The Guardian Express. June 9, 2013.)
冒頭に出てくる、
Hell hath no fury like a woman scorned.
というフレーズをご存知でしょうか?
"We all know the line..."ということですが、私は知りませんでした。意味は、ずばり“ふられた女の恨みほど怖いものはない”、です。
"a woman scorned"は記事のタイトルでも使われています。"scorn"という動詞は、蔑む、嘲笑する、という意味で使われることを知っていますが、"a woman scorned"と言えば、“ふられた女”ということなのでしょうか。
"Hell hath no fury..."という諺は人口に膾炙しているもののようですが、由来はWilliam Congreveという英国の劇作家が作品中で使ったことにあるようです。(時に間違ってシェークスピアによるフレーズだとされることもあるそうですが、正しくはWilliam Congreveによるものだということです。)
なお、女性医師の動機が、恋人にふられたことにあったのかどうか、ふられた事実があるのかどうかは、どの記事を読んでも明らかではありません。
HOUSTON (AP) — Prosecutors have charged a Houston oncologist with spiking her lover and coworker's coffee with a sweet-tasting chemical used in antifreeze and medical research.
Ana Maria Gonzalez-Angulo, a breast cancer oncologist at the University of Texas M.D. Anderson Cancer Center, was charged last week with aggravated assault against Dr. George Blumenschein, a specialist in lung and head and neck cancers at the institution. The two were in "a casual sexual relationship," according to a criminal complaint.
(Houston doctor charged with poisoning her lover. The Associated Press. June 10, 2013.)
男性医師は、女性が出してくれたコーヒーを飲んだところ気分が悪くなり、その後救急搬送されたそうです。コーヒーから凍結防止剤の成分であるエチレングリコールが検出されたそうです。
ところで、下記は同じ事件に関する別記事からの引用です。
We all know the line, “hell hath no fury like a woman scorned.” Authorities are attempting to determine if this was the case when a Houston oncologist drank coffee containing antifreeze, nearly causing his death.
A prominent Houston oncologist has been accused of attempting to murder a colleague. Authorities believe Dr. Ana Maria Gonzalez-Angulo, 42, served coffee laced with ethylene glycol to fellow oncologist Dr. George Blumenschein in her home on January 27th. They had been dating, and were said to be having “casual sex.”
(James Turnage. Antifreeze and the Woman Scorned? The Guardian Express. June 9, 2013.)
冒頭に出てくる、
Hell hath no fury like a woman scorned.
というフレーズをご存知でしょうか?
"We all know the line..."ということですが、私は知りませんでした。意味は、ずばり“ふられた女の恨みほど怖いものはない”、です。
"a woman scorned"は記事のタイトルでも使われています。"scorn"という動詞は、蔑む、嘲笑する、という意味で使われることを知っていますが、"a woman scorned"と言えば、“ふられた女”ということなのでしょうか。
"Hell hath no fury..."という諺は人口に膾炙しているもののようですが、由来はWilliam Congreveという英国の劇作家が作品中で使ったことにあるようです。(時に間違ってシェークスピアによるフレーズだとされることもあるそうですが、正しくはWilliam Congreveによるものだということです。)
なお、女性医師の動機が、恋人にふられたことにあったのかどうか、ふられた事実があるのかどうかは、どの記事を読んでも明らかではありません。
2013年6月10日月曜日
shirt-sleeve
以前にシャツ(shirt)に関する成句を取り上げたことがありますが、今日の単語もその類の1つと言えるでしょう。
RANCHO MIRAGE, CALIF. — It was orchestrated as the shirt-sleeves summit, where President Obama, embarking on his second term with a strategic focus on Asia, and Chinese President Xi Jinping, starting his first year of a decade-long rule, might cool tensions between their rival nations and forge a comfortable friendship.
But even before the leaders arrived for two days of high-stakes meetings here, some suspicions abounded. Xi and his delegation declined to stay at Sunnylands, the expansive desert estate hosting the summit, believing that it might be bugged by the Americans. Instead, the Chinese checked into a nearby hotel.
(中略)
One of the few signs of informality was the dress code: Everyone, and they were all men, wore suit jackets and white dress shirts, but no neckties.
(Philip Rucker. At U.S.-China shirt-sleeves summit, formalities and suspicions were on display. The Washington Post. June 10, 2013.)
"shirt-sleeve"とは、上着を着ていない、という意味です。上着と言うのはもちろん背広の上着、もしくはジャケットのことですが、上着を着用することはビジネスシーンでも礼儀の1つとされます。
上着を着用しないでいるというのは、くだけた雰囲気の場では許容され、それ故、"shirt-sleeve"という形容詞は、
形式張らない、打ち解けた、率直な、ざっくばらんの
という意味で用いられます。
米国オバマ大統領と中国の習近平(Xi Jingping)総書記の会談は、ドレスコードこそ"shirt-sleeve"な演出がされたようですが、会談の中身は通訳を介したギクシャクしたものだったようで、相手のふところの探り合い、といった感じだったのでしょうか。
RANCHO MIRAGE, CALIF. — It was orchestrated as the shirt-sleeves summit, where President Obama, embarking on his second term with a strategic focus on Asia, and Chinese President Xi Jinping, starting his first year of a decade-long rule, might cool tensions between their rival nations and forge a comfortable friendship.
But even before the leaders arrived for two days of high-stakes meetings here, some suspicions abounded. Xi and his delegation declined to stay at Sunnylands, the expansive desert estate hosting the summit, believing that it might be bugged by the Americans. Instead, the Chinese checked into a nearby hotel.
(中略)
One of the few signs of informality was the dress code: Everyone, and they were all men, wore suit jackets and white dress shirts, but no neckties.
(Philip Rucker. At U.S.-China shirt-sleeves summit, formalities and suspicions were on display. The Washington Post. June 10, 2013.)
"shirt-sleeve"とは、上着を着ていない、という意味です。上着と言うのはもちろん背広の上着、もしくはジャケットのことですが、上着を着用することはビジネスシーンでも礼儀の1つとされます。
上着を着用しないでいるというのは、くだけた雰囲気の場では許容され、それ故、"shirt-sleeve"という形容詞は、
形式張らない、打ち解けた、率直な、ざっくばらんの
という意味で用いられます。
米国オバマ大統領と中国の習近平(Xi Jingping)総書記の会談は、ドレスコードこそ"shirt-sleeve"な演出がされたようですが、会談の中身は通訳を介したギクシャクしたものだったようで、相手のふところの探り合い、といった感じだったのでしょうか。
2013年6月7日金曜日
閑話休題: プーチン首相が離婚
昼休みにグーグルニュースを見ていて飛び込んできたニュースです。
ロシアのプーチン首相が離婚を公表したというニュースです。クレムリンで仲良くバレエ鑑賞に興じていたプーチン夫妻による、ある意味唐突な離婚表明だったようです。
PUTIN AN END TO IT: Russian President and wife announce they are divorcing
MOSCOW — Russian President Vladimir Putin and his wife Lyudmila said Thursday they are divorcing after nearly 30 years of marriage, making the announcement on state television after attending a ballet performance at the Kremlin.
(New York Post. June 6, 2013.)
タイトルにしゃれが利いています。言うまでも無く、"put an end to it"、つまり(夫婦生活に)終止符を打つ、というところをもじったものです。
記事によれば、プーチン首相はオリンピック体操選手の美人女性との不倫が以前より取り沙汰されており、女性との間に子供が二人いるということも公知の事実のようです。
ロシアのプーチン首相が離婚を公表したというニュースです。クレムリンで仲良くバレエ鑑賞に興じていたプーチン夫妻による、ある意味唐突な離婚表明だったようです。
PUTIN AN END TO IT: Russian President and wife announce they are divorcing
MOSCOW — Russian President Vladimir Putin and his wife Lyudmila said Thursday they are divorcing after nearly 30 years of marriage, making the announcement on state television after attending a ballet performance at the Kremlin.
(New York Post. June 6, 2013.)
タイトルにしゃれが利いています。言うまでも無く、"put an end to it"、つまり(夫婦生活に)終止符を打つ、というところをもじったものです。
記事によれば、プーチン首相はオリンピック体操選手の美人女性との不倫が以前より取り沙汰されており、女性との間に子供が二人いるということも公知の事実のようです。
バロックなxxx ― baroque
サイエンス(科学分野)のニュースです。
For a strange sexual history, it’s hard to beat birds. In some lineages, bird penises have evolved to spectacular lengths. Ducks, for example, have corkscrew-shaped penises that can grow as long as their entire body. They use their baroque genitalia to deliver sperm to female reproductive tracts that are also corkscrew-shaped — but twisted in the opposite direction.
(Carl Zimmer. The Sex Life of Birds, and Why It’s Important. The New York Times. June 6, 2013.)
上記の引用記事で、"baroque genitalia"という部分があります。("genitalia"という単語を知らない方は自分で調べてください。)
"baroque"は、バロック音楽、バロック様式、などという場合の、あの“バロック”です。
ここでは、“バロックなxxx”となると思いますが、"baroque"とはもともと形のいびつな真珠のことを指すポルトガル語に由来しており、形容詞の意味としても、
いびつな、風変わりな、奇異な
という意味がありますが、"baroque"という単語がこの意味で使われているのを初めて見ました。
もう1度お断りしておきますが、サイエンスのニュース記事です。
写真もあります。
For a strange sexual history, it’s hard to beat birds. In some lineages, bird penises have evolved to spectacular lengths. Ducks, for example, have corkscrew-shaped penises that can grow as long as their entire body. They use their baroque genitalia to deliver sperm to female reproductive tracts that are also corkscrew-shaped — but twisted in the opposite direction.
(Carl Zimmer. The Sex Life of Birds, and Why It’s Important. The New York Times. June 6, 2013.)
上記の引用記事で、"baroque genitalia"という部分があります。("genitalia"という単語を知らない方は自分で調べてください。)
"baroque"は、バロック音楽、バロック様式、などという場合の、あの“バロック”です。
ここでは、“バロックなxxx”となると思いますが、"baroque"とはもともと形のいびつな真珠のことを指すポルトガル語に由来しており、形容詞の意味としても、
いびつな、風変わりな、奇異な
という意味がありますが、"baroque"という単語がこの意味で使われているのを初めて見ました。
もう1度お断りしておきますが、サイエンスのニュース記事です。
写真もあります。
2013年6月6日木曜日
米発、母乳テイストのキャンディー発売 ― youth
母乳の味がするロリポップ(キャンディー)が発売されるという記事を見つけ、興味深く読みました。
Breast-milk-flavored lollipops let adults recapture taste of youth
Lollyphile, a Texas-based candy company, has released a vegan lollipop that tastes like breast milk. Founder Jason Darling said he came up with the idea after he noticed that breast milk was turning his friends furious babies into a docile, contented ones.
Forgot the taste of mother’s milk?
Now curious adults can recapture their infancy thanks to breast-milk flavored lollipops from Lollyphile, an Austin, Texas-based candy company.
The pops were released Monday — and while kids may like them, they’re really aimed at an adult market.
(Victoria Taylor. Breast-milk-flavored lollipops let adults recapture taste of youth. New York Daily News. June 4, 2013.)
Lollyphile(ロリファイル、と発音するのだと思いますが)という商品名のこのキャンディー、成分として母乳が含まれるわけではありませんが、授乳期にある女性の母乳をサンプリングしてその味を忠実に再現したものだそうです。
今日の単語は、"youth"なのですが、なんでこんな基本的な単語をわざわざ?と思う向きもあるでしょう。
タイトルを見てみてください。
Breast-milk-flavored lollipops let adults recapture taste of youth
発売される母乳味のキャンディーは"taste of youth"を思い出させてくれる、とあります。
"youth"という単語から想起するのは、“若さ”ですが、だいたいどれくらいの年齢が前提でしょうか?私は、せいぜい10代の中盤から20代中盤というイメージがあります。皆さんも同じ?
そうすると、母乳味が"taste of youth"というのはちょっと変ですよね?
ここで辞書を引いてみると、Merriam Websterでは、
the time of life when one is young; especially : the period between childhood and maturity
という定義が最初に見えます。子供時代(childhood)から成年(maturity)ということですから、やはり母乳を飲んでいる赤ちゃんは想像しにくいと思われます。
もう1つの定義に、
the early period of existence, growth, or development
というものがあります。ランダムハウス英和で、
(時代などの)初期、発育期
とあるのに相当すると思われます。
記事タイトルの"youth"は恐らくこの意味で使われているのでしょう。しかし、この用法は人間の発達段階における初期、発育期を言うのに用いるというよりは、時代や制度、体制などの初期、揺籃期を言うのに使われるように思われます。
記事の著者が"taste of youth"という表現を用いたのは何か意図があってのことなのか興味深く思われますが、ある意味私の勉強不足かもしれません。
いずれにしても、"youth"の意味するところを再確認させてもらうきっかけになりました。
Breast-milk-flavored lollipops let adults recapture taste of youth
Lollyphile, a Texas-based candy company, has released a vegan lollipop that tastes like breast milk. Founder Jason Darling said he came up with the idea after he noticed that breast milk was turning his friends furious babies into a docile, contented ones.
Forgot the taste of mother’s milk?
Now curious adults can recapture their infancy thanks to breast-milk flavored lollipops from Lollyphile, an Austin, Texas-based candy company.
The pops were released Monday — and while kids may like them, they’re really aimed at an adult market.
(Victoria Taylor. Breast-milk-flavored lollipops let adults recapture taste of youth. New York Daily News. June 4, 2013.)
Lollyphile(ロリファイル、と発音するのだと思いますが)という商品名のこのキャンディー、成分として母乳が含まれるわけではありませんが、授乳期にある女性の母乳をサンプリングしてその味を忠実に再現したものだそうです。
今日の単語は、"youth"なのですが、なんでこんな基本的な単語をわざわざ?と思う向きもあるでしょう。
タイトルを見てみてください。
Breast-milk-flavored lollipops let adults recapture taste of youth
発売される母乳味のキャンディーは"taste of youth"を思い出させてくれる、とあります。
"youth"という単語から想起するのは、“若さ”ですが、だいたいどれくらいの年齢が前提でしょうか?私は、せいぜい10代の中盤から20代中盤というイメージがあります。皆さんも同じ?
そうすると、母乳味が"taste of youth"というのはちょっと変ですよね?
ここで辞書を引いてみると、Merriam Websterでは、
the time of life when one is young; especially : the period between childhood and maturity
という定義が最初に見えます。子供時代(childhood)から成年(maturity)ということですから、やはり母乳を飲んでいる赤ちゃんは想像しにくいと思われます。
もう1つの定義に、
the early period of existence, growth, or development
というものがあります。ランダムハウス英和で、
(時代などの)初期、発育期
とあるのに相当すると思われます。
記事タイトルの"youth"は恐らくこの意味で使われているのでしょう。しかし、この用法は人間の発達段階における初期、発育期を言うのに用いるというよりは、時代や制度、体制などの初期、揺籃期を言うのに使われるように思われます。
記事の著者が"taste of youth"という表現を用いたのは何か意図があってのことなのか興味深く思われますが、ある意味私の勉強不足かもしれません。
いずれにしても、"youth"の意味するところを再確認させてもらうきっかけになりました。
2013年6月5日水曜日
viral
以前から漠然と気になっていた単語の1つに、
went (go) viral
viral image(s)
viral photo(s)
viral video(s)
などの表現に見られる、"viral"という形容詞があります。
スペルから明らかですが、"viral"とは、"virus"(ウィルス)という単語の形容詞形で、
ウィルスの;ウィルスが原因の;ウィルスに関係のある
(ランダムハウス英和辞書)
という意味です。お分かりいただけると思いますが、元々は病気、疾病というコンテクストでのウィルスしかなかった訳ですが、インターネット社会の現代においては、コンピュータウィルス、ウィルス感染というコンテクストが新たに加わりました。
しかし、上に挙げた表現の例において、"viral"なimageやphoto(写真)やvideo(動画)といわれているもの、また"went viral"という表現で表される現象というものは、コンピュータウィルスに関連しているというわけではなさそうです。
以下はつい先日のニュース記事からの引用です。
A viral photo of a Taco Bell employee licking a stack of taco shells has cost the tongue-wielding prankster and the co-worker who took the photo their jobs.
In the photo posted on Taco Bell's Facebook page, a glazey-eyed worker in California is seen with his tongue touching the taco shells, but it is not clear if the food is heading for the trash bin or to customer's mouths.
The unpleasant possibility that customers might have been served the offending taco shells caused an online furor over the weekend, but Taco Bell has moved quickly to assure customers that they were never in danger.
(Michael Blaustein. Taco Bell suspends taco shell licker, plans to fire him. New York Post. June 4, 2013.)
ここで、"viral photo"の解釈を考えて見ましょう。
Taco Bell(という、マクドナルドとかサブウェイといった類のファーストフードチェーン)の従業員が、商品の材料であるTaco Shell(ハンバーガーのバンズのようなものでしょうか)を舌で舐めている写真が、フェースブックに投稿されたのが事の発端です。記事にも写真が載っていますが、見ていて気持ちのいいものではありません。
"viral"とはこのような汚らわしい写真のことを形容するのに使われる表現かとも思われましたが、そうではなく、フェースブックに投稿された写真がオンライン(インターネット)上で一気に広まってしまったことを意味しています。
ランダムハウス英和辞書における"viral"の定義を引用しましたように、既存の辞書ではこのような"viral"の定義は見られません。
一方、Merriam Websterのオンライン辞書では下記のような定義が見られます。
quickly and widely spread or popularized especially by person-to-person electronic communication
コンピュータウィルスとは関係が無いのですが、コンピュータウィルスが感染を拡大するようにオンライン上で急速に広まることを形容するのに使われている表現だと言えます。
"went (go) viral"という表現をコーパスなどで検索すると、決まって、"online"、"(on the) internet"、"web"、そして"YouTube"、"Twitter"などの単語と共起していることが分かります。
Both were filmed by witnesses with camera-phones, and the videos went viral on the Chinese web (they were also aired on state-run TV), sparking widespread outrage.
(Christian Science Monitor. 2012.)
Some of the most notorious instances went viral online, including the use of pepper spray on an 84-year-old activist in Seattle and a group of women in New York.
(The Associated Press. 2011.)
Flowers put three videos on his Twitter page, where they went viral.
(USA Today. 2010.)
Although Facebook is officially banned here, the video quickly went viral, with Syrian bloggers stoking public anger until the story was picked up by the pan-Arab media.
(New York Times. 2010.)
"viral"という形容詞のこうした用法はまさにインターネット時代の単語といっていいでしょう。
went (go) viral
viral image(s)
viral photo(s)
viral video(s)
などの表現に見られる、"viral"という形容詞があります。
スペルから明らかですが、"viral"とは、"virus"(ウィルス)という単語の形容詞形で、
ウィルスの;ウィルスが原因の;ウィルスに関係のある
(ランダムハウス英和辞書)
という意味です。お分かりいただけると思いますが、元々は病気、疾病というコンテクストでのウィルスしかなかった訳ですが、インターネット社会の現代においては、コンピュータウィルス、ウィルス感染というコンテクストが新たに加わりました。
しかし、上に挙げた表現の例において、"viral"なimageやphoto(写真)やvideo(動画)といわれているもの、また"went viral"という表現で表される現象というものは、コンピュータウィルスに関連しているというわけではなさそうです。
以下はつい先日のニュース記事からの引用です。
A viral photo of a Taco Bell employee licking a stack of taco shells has cost the tongue-wielding prankster and the co-worker who took the photo their jobs.
In the photo posted on Taco Bell's Facebook page, a glazey-eyed worker in California is seen with his tongue touching the taco shells, but it is not clear if the food is heading for the trash bin or to customer's mouths.
The unpleasant possibility that customers might have been served the offending taco shells caused an online furor over the weekend, but Taco Bell has moved quickly to assure customers that they were never in danger.
(Michael Blaustein. Taco Bell suspends taco shell licker, plans to fire him. New York Post. June 4, 2013.)
ここで、"viral photo"の解釈を考えて見ましょう。
Taco Bell(という、マクドナルドとかサブウェイといった類のファーストフードチェーン)の従業員が、商品の材料であるTaco Shell(ハンバーガーのバンズのようなものでしょうか)を舌で舐めている写真が、フェースブックに投稿されたのが事の発端です。記事にも写真が載っていますが、見ていて気持ちのいいものではありません。
"viral"とはこのような汚らわしい写真のことを形容するのに使われる表現かとも思われましたが、そうではなく、フェースブックに投稿された写真がオンライン(インターネット)上で一気に広まってしまったことを意味しています。
ランダムハウス英和辞書における"viral"の定義を引用しましたように、既存の辞書ではこのような"viral"の定義は見られません。
一方、Merriam Websterのオンライン辞書では下記のような定義が見られます。
quickly and widely spread or popularized especially by person-to-person electronic communication
コンピュータウィルスとは関係が無いのですが、コンピュータウィルスが感染を拡大するようにオンライン上で急速に広まることを形容するのに使われている表現だと言えます。
"went (go) viral"という表現をコーパスなどで検索すると、決まって、"online"、"(on the) internet"、"web"、そして"YouTube"、"Twitter"などの単語と共起していることが分かります。
Both were filmed by witnesses with camera-phones, and the videos went viral on the Chinese web (they were also aired on state-run TV), sparking widespread outrage.
(Christian Science Monitor. 2012.)
Some of the most notorious instances went viral online, including the use of pepper spray on an 84-year-old activist in Seattle and a group of women in New York.
(The Associated Press. 2011.)
Flowers put three videos on his Twitter page, where they went viral.
(USA Today. 2010.)
Although Facebook is officially banned here, the video quickly went viral, with Syrian bloggers stoking public anger until the story was picked up by the pan-Arab media.
(New York Times. 2010.)
"viral"という形容詞のこうした用法はまさにインターネット時代の単語といっていいでしょう。
2013年6月4日火曜日
A&Eって何のこと? ― A&E
省略形というものは大体においてその展開形(省略されていないパターン)が初出時に示されるものですが、示されないものについてはその省略形が浸透していて、ほぼ常識になっている単語であるような場合です。
ですが、時折、なじみの薄い省略形が、そのまま使われているのに出くわすことがあります。おそらくその記事を読む読者層、国や地域の人には改めて説明の必要のないものなのでしょう。
今日出くわしたのは、"A&E"という見慣れない省略形です。
More than 300,000 patients had to wait for over four hours in A&E between January and March as Britain’s emergency health services continued to show the strain from ever-increasing demand.
Two new reports into A&E performance at the start of this year reveal that Trusts missed Government targets for the first time since June 2011 and that the knock-on effects of A&E overcrowding are being felt across the health service, with scheduled appointments being cancelled and cancer targets being missed.
(Charlie Cooper. A&E waiting times getting worse for patients with 300,000 clocking up over four hours between January and March. The Independent. June 4, 2013.)
引用は記事の冒頭部分からですが、記事のタイトルはともかくとして、本文においても、"A&E"は説明なしに使われています。
"patients"、"health services"などとありますから、病院の話であることは分かりますが、"A&E"が何の省略形なのか分かりません。
辞書を引きますが載っていませんので、ネットを頼ることになります。するとありました。
NHSというのは、National Health Serviceの略で、イギリスの国営医療サービス事業のことを指します。イギリス国民に対して安定した医療サービスを提供することを目的に設立されたものです。
記事が英国のインディペンデント紙ということは、A&Eという省略形はイギリス国民にはほとんど常識なのでしょう。
A&Eとは、"accident & emergency"の略でした。NHSのページでは、"A&E departments"などと出てきますが、救命救急センターのようなものでしょうか。
ですが、時折、なじみの薄い省略形が、そのまま使われているのに出くわすことがあります。おそらくその記事を読む読者層、国や地域の人には改めて説明の必要のないものなのでしょう。
今日出くわしたのは、"A&E"という見慣れない省略形です。
More than 300,000 patients had to wait for over four hours in A&E between January and March as Britain’s emergency health services continued to show the strain from ever-increasing demand.
Two new reports into A&E performance at the start of this year reveal that Trusts missed Government targets for the first time since June 2011 and that the knock-on effects of A&E overcrowding are being felt across the health service, with scheduled appointments being cancelled and cancer targets being missed.
(Charlie Cooper. A&E waiting times getting worse for patients with 300,000 clocking up over four hours between January and March. The Independent. June 4, 2013.)
引用は記事の冒頭部分からですが、記事のタイトルはともかくとして、本文においても、"A&E"は説明なしに使われています。
"patients"、"health services"などとありますから、病院の話であることは分かりますが、"A&E"が何の省略形なのか分かりません。
辞書を引きますが載っていませんので、ネットを頼ることになります。するとありました。
NHSというのは、National Health Serviceの略で、イギリスの国営医療サービス事業のことを指します。イギリス国民に対して安定した医療サービスを提供することを目的に設立されたものです。
記事が英国のインディペンデント紙ということは、A&Eという省略形はイギリス国民にはほとんど常識なのでしょう。
A&Eとは、"accident & emergency"の略でした。NHSのページでは、"A&E departments"などと出てきますが、救命救急センターのようなものでしょうか。
2013年6月3日月曜日
おやしらず ― wisdom tooth
歯医者さんに積極的に行く、喜んで訪問するという人はそういないと思います。私もできれば近寄りたくないといいますか、行かなくて済むものならそうしたいところです。
ところが先月、奥歯の詰め物が外れてしまい、仕方なく近所の歯科を受診する羽目になってしまいました。詰め物が外れても時間を置かずにすぐに処置してもらえれば1回で済むと思ったのですぐに行きました。
外れてしまった詰め物は5分足らずでまた元通りにしてもらえました。ところが、歯石が酷い(!)と言われ、色々と掃除をされ(それはそれでありがたいことなのですが)、さらには虫歯を発見したと言われ、2回目、3回目と通わざるを得なくなってしまいました。
そして、衝撃だったのが、「おやしらずがありますね~、抜いたほうがいいですよ」、というものでした。
おやしらず、という言葉は知っていたのですが、まさか40歳にもなってこんなことを言われるとは思ってもいなかったのです。おやしらずの抜歯はとりあえず虫歯の処置が終わってから、と言われたので、その日帰宅してからネットで色々調べたのですが、とにかく痛いという情報ばかりが目につき、うんざりとします。
おやしらずのことを英語で、"wisdom tooth"と言います。
For decades, having wisdom teeth removed was a rite of passage – one many high school graduates squeezed in before leaving for college.
The thinking was that it was best to lose those mostly useless, ill-fitting teeth before they caused infections or other trouble. Wisdom teeth, also known as third molars, often are misaligned and impacted – fully or partly stuck below the gum line – because they emerge late, at ages 17 to 25, after the jaw has stopped growing and other teeth have filled the mouth.
"Historically, oral surgeons have had the view that it's better to take them out, better to be safe than sorry," says Richard Niederman, director of the Center for Evidence-Based Dentistry at the Forsyth Institute, Cambridge, Mass.
(Kim Painter. Wisdom teeth: Should they stay or go? USA Today. June 2, 2013.)
日本語で“おやしらず”と英語では"wisdom tooth"(知恵の歯)とは、ずいぶん違う表現のようですが、これらの表現の由来は似たようなところにあるようです。
歯科学用語では第3臼歯(third molar)と呼ばれますが、この歯が姿を見せ始めるのは人間が成長してから、大体17~25歳くらいになってからということから、親がその生え始めを知ることがない歯、ということで“おやしらず”と言われるようになったそうです。"wisdom tooth"の"wisdom"とは知恵、分別のこと、つまり分別がつくような年齢になってから生え始める歯ということです。ラテン語では、dens sapientiaといいますが、sapientiaとは英語の"sapience"であり、“分別”のことです。
さて、引用記事でも議論されていますが、おやしらず(wisdom tooth)を抜いたほうがいいのか、抜かずに放って(温存して)おいてもいいのかについては議論があるそうです。抜かないことのリスクは後々ややこしいトラブルになるということですが、何の悪さもしていないおやしらずを抜くことも推奨されないという見方もあるそうです。
小生も、おやしらずは歯磨きでうまく磨けない部分を作るから、歯周病や他の歯の虫歯を引き起こしやすいので抜いたほうがいいですよ、というアドバイスを受けました。
で、結局どうなったかというと、虫歯の処置が終わってからその歯医者さんに行っていません・・・。抜くのが怖いので・・・。
ところが先月、奥歯の詰め物が外れてしまい、仕方なく近所の歯科を受診する羽目になってしまいました。詰め物が外れても時間を置かずにすぐに処置してもらえれば1回で済むと思ったのですぐに行きました。
外れてしまった詰め物は5分足らずでまた元通りにしてもらえました。ところが、歯石が酷い(!)と言われ、色々と掃除をされ(それはそれでありがたいことなのですが)、さらには虫歯を発見したと言われ、2回目、3回目と通わざるを得なくなってしまいました。
そして、衝撃だったのが、「おやしらずがありますね~、抜いたほうがいいですよ」、というものでした。
おやしらず、という言葉は知っていたのですが、まさか40歳にもなってこんなことを言われるとは思ってもいなかったのです。おやしらずの抜歯はとりあえず虫歯の処置が終わってから、と言われたので、その日帰宅してからネットで色々調べたのですが、とにかく痛いという情報ばかりが目につき、うんざりとします。
おやしらずのことを英語で、"wisdom tooth"と言います。
For decades, having wisdom teeth removed was a rite of passage – one many high school graduates squeezed in before leaving for college.
The thinking was that it was best to lose those mostly useless, ill-fitting teeth before they caused infections or other trouble. Wisdom teeth, also known as third molars, often are misaligned and impacted – fully or partly stuck below the gum line – because they emerge late, at ages 17 to 25, after the jaw has stopped growing and other teeth have filled the mouth.
"Historically, oral surgeons have had the view that it's better to take them out, better to be safe than sorry," says Richard Niederman, director of the Center for Evidence-Based Dentistry at the Forsyth Institute, Cambridge, Mass.
(Kim Painter. Wisdom teeth: Should they stay or go? USA Today. June 2, 2013.)
日本語で“おやしらず”と英語では"wisdom tooth"(知恵の歯)とは、ずいぶん違う表現のようですが、これらの表現の由来は似たようなところにあるようです。
歯科学用語では第3臼歯(third molar)と呼ばれますが、この歯が姿を見せ始めるのは人間が成長してから、大体17~25歳くらいになってからということから、親がその生え始めを知ることがない歯、ということで“おやしらず”と言われるようになったそうです。"wisdom tooth"の"wisdom"とは知恵、分別のこと、つまり分別がつくような年齢になってから生え始める歯ということです。ラテン語では、dens sapientiaといいますが、sapientiaとは英語の"sapience"であり、“分別”のことです。
さて、引用記事でも議論されていますが、おやしらず(wisdom tooth)を抜いたほうがいいのか、抜かずに放って(温存して)おいてもいいのかについては議論があるそうです。抜かないことのリスクは後々ややこしいトラブルになるということですが、何の悪さもしていないおやしらずを抜くことも推奨されないという見方もあるそうです。
小生も、おやしらずは歯磨きでうまく磨けない部分を作るから、歯周病や他の歯の虫歯を引き起こしやすいので抜いたほうがいいですよ、というアドバイスを受けました。
で、結局どうなったかというと、虫歯の処置が終わってからその歯医者さんに行っていません・・・。抜くのが怖いので・・・。
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