最近30日間のアクセス数トップ3記事

2017年12月29日金曜日

the shaft

記事の引用からどうぞ。


She says she got the shaft.

The artist who painted a 4-story-tall penis on a Lower East Side building is crying censorship because it was painted over.

“The pieces were commissioned by [Lower East Side art group] The New Allen,” Swedish artist Carolina Falkholt told The Post through a Facebook message after her mural was covered up in gray paint by the building’s owner. “As a trained graffiti writer I am used to my work being censored in different contexts.”

She painted the 40-foot-tall member on the side of 303 Broome St. on Christmas Eve. It grossed out neighbors for three days before it was taken down Wednesday evening.
(Massive penis artist says she got screwed. New York Post. December 28, 2017.)


ニューヨークの街中のビル外壁に巨大な「男性のシンボル」が出現したのはクリスマスイブの日だったようです。

ビルのオーナーがすぐに上からペンキを塗って消すと、描いたアーティストの女性は抗議した模様です。

飽くまでも、アートであるという主張なのでしょう。

コメントの、


(She says she) got the shaft.


の、”shaft”というのは普通の意味では、道具などの柄の部分のことを意味しますが、ここでは、


不当な扱い(harsh or unfair treatment)


という意味です。

また、”shaft”にはスラングとして男性器の意味もあるそうですから、それにかけたものかもしれません。

2017年の投稿は本日が金曜日で最後となります。今年もご愛読ありがとうございました。


2017年12月28日木曜日

gizmo

無線による充電が初めて実用化されたようです。アメリカで認可されたとのことです。


Drop the plug and forget the mat — the Federal Communications Commission on Wednesday approved a wireless gizmo that lets people charge their smartphones and other devices from up to 3 feet away.

The Energous Corporation’s Watt Up device lets users charge their electronics without being connected to the charger through the use of radio frequencies — a first, The Hill reported.
(Bob Fredericks. Now you can charge your phone from up to 3 feet way. New York Post. December 27, 2017.)


いわゆる「ワイヤレス充電」は既に実用化されていますが、デバイスと充電器の物理的な接触が必要とされています。

新しい技術では、そのような物理的接触を不要とし、完全に無線で充電が可能だということです。(既存の「ワイヤレス」というのはコードの接続が不要、ということですね。)

さて、引用文中に、


gizmo


という単語が使われています。

この”gizmo”というのはMerriam-Websterによると、1944年が初出とされる、比較的最近の単語なのですが、その出自ははっきりとしません。

スペルも似た単語に、”gadget”という単語がありますが、共通するのは、小さな道具、という意味合いです。

“gadget”の方がやや歴史は古く、1850年代から存在するそうです。


2017年12月27日水曜日

原義は「数える」だった ー tell

記事の引用からどうぞ。


A Florida man was arrested Friday after he reportedly punched an ATM because it “was giving him too much money” during an incident in November.

Michael Joseph Oleksik, 23, was charged with criminal mischief after Wells Fargo requested Cocoa Police press charges against the man.

Law enforcement told Florida Today that Oleksik was seen on surveillance footage “standing at the ATM, pummeling the electronic teller’s touch screen on Nov. 29.”
(Man arrested for punching ATM that gave him ‘too much money.’ New York Post. December 26, 2017.)


銀行のATMが、Automatic Teller Machineの略であることはご存知の事と思います。

改めて思ったのですが、銀行の窓口担当者のことを何故、”teller”というのでしょうか?

辞書を引くと、”tell”という動詞の原義は、「数える」という意味だったようです。ドイツ語のzahlen(意味はto count)に由来しています。


2017年12月26日火曜日

トレードオフ ー trade-off

クリスマスは終わりましたが、アメリカではイブの24日から北東部で吹雪となり、荒れた天候だったようです。


CHICAGO -- If you live in the Northeast or Midwest, you're not dreaming: It's looking like a white Christmas. But the trade-off is hazardous driving conditions across New England and the Great Plains. Out west, the Rocky Mountains have been pounded this weekend.

The National Weather Service issued a blizzard warning through 5 p.m. on Monday for portions of central and northern Maine. Forecasters warned that snow and wind gusts up to 50 mph could make travel "dangerous to impossible."

In other parts of New England a winter storm warning was in effect, with up to a foot of snow possible in some areas.
(White Christmas in cards for much of nation, forecasters say. CBS News. December 25, 2017.)


クリスマスに雪が降るとロマンチックな印象がありますが、降り方によってはそうとばかりは言ってられません。

ホワイトクリスマスというのは穏やかな話であって、猛吹雪ともなれば・・・。

記事中に、


The trade-off is hazardous driving conditions


とありますが、この”trade-off”という表現、日本語でもカタカナで「トレードオフ」というものの、実はよく理解していない表現と思います。

「トレードオフ」というのは二律背反という日本語訳が相当するのですが、これは言わば、こちらを立てればあちらが立たず、という状況のことを指します。

Merriam-Webster Dictionaryの定義で、


something that you do not want but must accept in order to have something that you want



とあるのが分かりやすいと思いました。

雪が降って交通機関に影響が出るのは困る、けれどもホワイトクリスマスは嬉しい、という矛盾した状況ですね。


2017年12月25日月曜日

財務省長官へのビッグなクリスマスプレゼント!? ― manure

米・財務省長官のムニューシン氏にビッグなクリスマスプレゼント!!

ではありませんでした・・・。


LOS ANGELES -- Police on Saturday investigated a suspicious package addressed to Treasury Secretary Steven Mnuchin, CBS Los Angeles reports. The package was found on Bel Air Road, near Mnuchin's home, in Los Angeles.

The package was gift-wrapped and filled with manure, police say, CBS Los Angeles' Cristy Fajardo reports.

The package was found at a neighbor's home but was addressed to Mnuchin, which police say raised alarm bells.

LAPD officers, the bomb squad and the Secret Service poured into the area.
(Gift-wrapped manure addressed to Treasury Secretary Steven Mnuchin: police. CBS News. December 24, 2017.)


長官の住まいがあるLos AngelesのBel Airというところは超高級住宅街らしいですが、政府高官の自宅前に届けられたクリスマスギフトが怪しいということで、警察の爆発物処理班が出動する騒ぎとなったようです。

結果、プレゼントの中身は"manure"だったそうですが、"manure"って何だったけ?

ということで、改めて辞書を引くことになったのですが、"manure"は


肥やし、肥料


の意味です。

スペルから、"manual"とか"maneuver"という単語が浮かんでくるのですが、語源的に正しい発想です。ラテン語で手を意味するmanusから来ています。

堆肥を意味する"manure"はこれらの単語と同根であり、肥やしを使って土地を耕すという行為は人間が手で行う労働であるということから来ているのです。

"manure"は元々土地を耕す行為を意味していましたが、その後、耕す際に用いる堆肥を指す意味も獲得しました。

しかし、政府高官に大量の肥料、つまりは”ウ〇コ”を送りつけるとは、やはり嫌がらせの類でしょうか。報道ではそのあたりについて触れていませんが・・・。


2017年12月22日金曜日

emolument

“emolument”という単語をご存知でしょうか?

以下の引用を読んでみましょう。


A federal judge on Thursday dismissed a pair of lawsuits claiming that President Donald Trump’s failure to divest himself of his real estate empire and other business holdings violated the Constitution’s provision banning receipt of foreign “emoluments” while in public office.

U.S. District Court Judge George Daniels ruled that the two suits were fatally flawed because the plaintiffs failed to show injury directly related to the use of Trump’s properties by foreign officials and governments.
(Josh Gerstein. Judge dismisses suits claiming Trump violated emoluments clause. Politico. December 21, 2017.)


アメリカ合衆国憲法には、”Emoluments Clause”と呼ばれる条項があるそうです。

“emolument(s)”とは所謂、報酬のことで、合衆国憲法では大統領の報酬は年間40万ドル(!!)と定められている他、政府職員が外国から報酬を受け取ることを禁じています。これはつまり贈収賄を禁じているものです。

報酬と言えば、”salary”や”compensation”、少し固い言い回しでも、”remuneration”が思い浮かぶくらいですが、”emolument”は憲法条文で使われているとなると更に固い言い回しの印象がありますね。

実際のところ、”emolument”と敢えて表現する場合、庶民の給与を指すのではなく、それなりの地位がある人、特に官職に就いている人が受け取る俸給という意味合いがあります。

面白いことに、”emolument”の語源欄を見ると、


miller’s fee for grinding grain


が原義とあります。

つまり、粉屋が粉挽きで得る収入、という意味です。

“emolument”はex-にラテン語molere(to grind)が結合したものです。


2017年12月21日木曜日

inauthentic? unauthentic? ― inauthentic

フェースブックが迷惑な友達リクエストをブロックする機能を追加するそうです。


Facebook, like every social media platform, has issues with harassment and bullying. In order to prevent certain types of harassment, Facebook is introducing some new features to help prevent unwanted friend requests and messages.

“We’ve heard stories from people who have blocked someone only to encounter the same harasser using a different account,” Facebook Global Head of Safety Antigone Davis wrote on Facebook’s blog. “In order to help prevent those bad encounters, we are building on existing features that prevent fake and inauthentic accounts on Facebook.”

Let’s say you block someone and then that person decides to create another account so they can contact you. With these new tools in place, Facebook is aiming to recognize when someone does that and prevent them from sending a message or friend request to you. Facebook is using signals, like IP addresses, to recognize when someone has created a fake or inauthentic account.
(Megan Rose Dickey. Facebook has new tools to prevent unwanted friend requests and messages. Tech Crunch. December 20, 2017.)


私自身はあまりフェースブックを使わないのですが(アカウントだけ持っています)、たまに全く知らない(そしてやや怪しい感じのする)人から友達リクエストを受け困惑することがありました。そのまま放置していますが・・・。

フェースブックによると、友達申請を却下してもアカウント名を変えてしつこくリクエストを送信したり、嫌がらせをする輩が後を絶たないらしく、そのようなアカウントの挙動を検出しブロックする機能を実装するようです。

ところで今日の一語なんですが、


inauthentic


という単語に目が留まりました。

フェースブックのアカウントというのは基本実名のようですが、怪しいアカウントというのは引用記事中、"a fake or inauthentic account"と表現されています。

"inauthentic"とは、"authentic"でない、ということです。つまり、否定の接頭辞in-が付加されたものであることは敢えて言うまでもありません。

私は漠然と、"authentic"の否定形は"unauthentic"とイメージしていたので、意外でした。

ところで、辞書を引いてみますと、"inauthentic"も"unauthentic"も両方載っており、意味もほとんど同じようなものです。従って、どちらも正しいということになります。

ネットで検索してみると、同じような疑問を持っている人は多いらしいのですが、ここで否定の接頭辞in-とun-については、in-はラテン語源の単語に付くことが多く(il-やim-などはin-の異形)、un-はゲルマン語起源の単語に付くことが多いといった情報もありました。

"authentic"はギリシャ語からラテン語を経由して英語に入ってきているので、上記の説明からするとin-が適当ということになります。

なお、コーパスでの検索結果では、"unauthentic"よりも"inauthentic"が圧倒的に多く、その意味でも"authentic"の対義語は"inauthentic"が一般に普及していると言えそうです。


2017年12月20日水曜日

待った無し ― can't wait

アメリカ・ワシントン州で米国時間18日月曜日にアムトラックが脱線事故を起こし、死者が出ました。アムトラックは2015年にもフィラデルフィアで事故を起こしています。

一方、日本では新幹線の台車に亀裂が生じていたことが判明し、こちらは重大な事故に至らずでしたが、もしそのまま運行していたら脱線していた可能性が指摘されています。

まさに、運輸における安全性が疑問視される事態となっています。


Rail safety can’t wait

Our hearts go out to victims of Monday’s horrifying Amtrak derailment in DuPont and to their families.

Perhaps one way to pay tribute to them is by promptly addressing the factors in this accident that could improve the safety of rail travel.

Although the NTSB investigation is just getting underway, some important questions must be answered by the public and private operators of passenger trains in Washington state and beyond.

Amtrak Cascades Train 501 was going 80 mph into a 30 mph curve when it derailed Monday morning, strongly suggesting operating errors.
(Rail safety can’t wait. Seattle Times. December 19, 2017.)


シアトルタイムズ紙からの引用ですが、記事のタイトルに、


Rail safety can’t wait


とある部分で、"wait"の用法に着目したいと思います。

この部分、「鉄道の安全(対策)に待った無し」、と訳してみたいと思いますが、果たして"wait"を改めて辞書で引いてみると、


しばしば can を伴って〈物・事が〉しばらくほうって[しないで]おかれる、急を要しない
(ランダムハウス英和辞書)


とありました。

つまり、自動詞としての用法となります。

Merriam-Websterでは、


to remain temporarily neglected or unrealized


とあるのですが、当座は無視してもいいというくらいの事については"can wait"ということができます。

ですのでその逆、"can't wait"は後回しにできない緊急性がある状況ということで、「待った無し」ということになるでしょう。


2017年12月19日火曜日

homeopathy

日本でも「ホメオパシー」というカタカナ語で知られていますが、”homeopathy”とは何のことかご存知でしょうか?


The Food and Drug Administration on Monday proposed a tougher enforcement policy toward homeopathic drugs, saying it would target products posing the greatest safety risks, including those containing potentially harmful ingredients or being marketed for cancer, heart disease and opioid and alcohol addictions.

Homeopathy is based on an 18th-century idea that substances that cause disease symptoms can, in very small doses, cure the same symptoms. Modern medicine, backed up by numerous studies, has disproved the central tenets of homeopathy and shown that the products are worthless at best and harmful at worst.
(Laurie McGinley. FDA takes more aggressive stance toward homeopathic drugs. The Washington Post. December 18, 2017.)


“homeopathy”は日本語では「同種療法」などと訳されています。

接頭辞のhomeo-が、英語で言う所の”like”(似た)の意味で、-pathyとはご存知のように病を意味しています。

つまり、病をもたらしている原因と同じもので以って治癒しようとする、という意味であり、引用記事でも解説されていますが、症状を引き起こしている原因物質を少量適用することで、逆に症状を治すということを意図した療法です。

「毒を以って毒を制す」ということでしょうか!?

アメリカの保健衛生当局は、ホメオパシーに対する規制を強化する方向性を打ち出したようです。多くのホメオパシー療法薬剤は効果が無いか、逆に有害であるという科学的な判断に基づくようです。


2017年12月18日月曜日

セスナ機 ― Cessna

飛行機の一種であるセスナ機は英語で、


Cessna


というスペルだと初めて知りました。これまでお目にかかることがなかったからですが・・・。


Three people and a dog were killed — and another dog survived — when a plane crashed in Indiana on Saturday, authorities said.

A single-engine Cessna that was heading to Frederick, Md., from Kansas City, Mo., crashed into a wooded area just after 9 p.m. near Oldenburg in Franklin County, Indiana police said in a news release. Authorities believe the plane caught fire after it crashed.

Three people and a dog were pronounced dead at the scene. Their names have not been released pending family notification.

Another dog survived the crash and was found at a nearby residence. The dog was taken to the veterinarian and treated for its injuries.
(Katherine Lam. Dog survives plane crash in Indiana that kills 3 people, 2nd canine. Fox News. December 17, 2017.)


スペルが大文字で始まっていることから、セスナは固有名詞であることが分かりますが、人の名前です。

Clyde Vernon Cessna氏がCessna Aircraft Companyをアメリカ・カンザス州に創業したのは1927年だそうです。ご存じのとおり、セスナは今では小型飛行機の代名詞のように使われています。

引用した記事によりますと、セスナ機がインディアナ州で墜落する事故がありました。乗っていた3人と犬一頭が死亡したそうですが、もう一頭の犬は助かったということです。

そういえば来年の干支はイヌですが、犬一頭でも助かってよかったなあなどと思いました。


2017年12月15日金曜日

celibacy

"celibacy"という単語をご存知でしょうか?

特に我々一般人はあまり日常生活で使うことはないと思いますが・・・。


(CNN) — A wide-reaching investigation into child abuse across Australia whose revelations shocked the nation has called for sweeping changes to be made, including recommending an end to mandatory celibacy in the Catholic Church.

The Australian Royal Commission into Institutional Responses to Child Sexual Abuse report estimates tens of thousands of children have been abused in Australian institutions, in what the commission described as a "national tragedy."

A total of 189 new recommendations were made by the commissioners to address what they described as a "serious failure" by Australia's institutions to protect its most vulnerable citizens.
(Ben Westcott. Australia child abuse inquiry calls for end to mandatory celibacy for priests. CNN. December 15, 2017.)


オーストラリアで聖職者による児童への性的虐待が問題になっているそうですが、背景には聖職者に求められる厳しい戒律があるとの見方があるようです。

その1つが"celibacy"ということなのですが、辞書を引くと、


禁欲; 独身(主義)


とありました。

"celibacy"の語源を辿ると、未婚の状況(a state of being unmarried)を意味するcaelibatusというラテン語に由来するそうですが、さらにその先は不明だそうです。

"celibacy"とは元々独身主義を指すものでしたが、20世紀には未婚のことというよりも、禁欲を意味するようになってきたそうです。


2017年12月14日木曜日

charm offensive

"charm offensive"という表現をご存知でしょうか?

知らなかったら、そもそもそれが"charm offensive"という一続きの表現であることを理解するのに時間がかかるかも知れません。

私がそうだったのですが、以下の記事を目にして、タイトルからして何を言わんとしているのか全く分からずでした。


South Korea's Moon tries K-Pop and TV stars in China charm offensive

SEOUL (Reuters) - South Korean President Moon Jae-in will unveil an array of TV talent and K-Pop celebrities at events, including a state dinner, in China on Thursday as he attempts to smooth out a year of difficult diplomacy with a star-laden charm offensive.

South Korean celebrities, including some of those accompanying Moon, had been shut out of Chinese television and concert halls as relations cooled between the East Asian neighbours as they faced the threat posed by North Korea’s missile and nuclear programmes.

The thorniest issue was South Korea’s deployment of a controversial U.S. anti-missile system.
(Joyce Lee. South Korea's Moon tries K-Pop and TV stars in China charm offensive. Reuters. December 14, 2017.)


今日の朝刊の国際面で、韓国大統領が中国を初めて公式訪問するという記事を読んでいたのでコンテクストとしては分かっていましたが、記事のタイトルと文中に出てくる、"charm offensive"が何のことか理解できないでいました。

韓国は今年米軍からミサイル防衛システムを導入しましたが、そのことが中国との外交関係に影を落としているということがあります。そうした中での訪中ということになる訳ですが、何とか冷え切った中国との関係を緩和したいという思惑が韓国側にはあります。

"charm offensive"を辞書で引いてみたところ、ランダムハウス英和には載っていませんでしたが、Merriam-Webster(オンライン版)では、


a calculated campaign to use one's personal charm to gain favor or support


とあり、特に政治の舞台において、政治家が自らのカリスマ性などを巧みに用いて相手方の支援などを引き出す手腕であると解釈できます。

ネットを検索してみると"charm offensive"には「魅力攻勢」といった日本語訳が充てられているようです。

ここに来て初めて、”charm offensive”というのが、魅力(charm)による攻勢(offensive)という成り立ちであることが分かるのですが、”offensive”は形容詞ではなく、名詞ということになります。

もう少し他の用例も見てみたいと思い検索してみると、トランプ米大統領のアジア諸国歴訪を報じた記事で以下のようなくだりがありました。


President Donald J. Trump is wrapping up a whirlwind tour of Asia, visiting five countries in 12 days. The trip revealed much about Trump’s style of diplomacy – one that focuses more on his personal relationships with world leaders than diplomatic relations between countries.

Both democratic and authoritarian leaders have been wooed by Trump’s charm offensive. He has highlighted his warm feelings toward China’s President Xi Jinping and tweeted that he tries “so hard to be [North Korean leader Kim Jong Un’s] friend.”
(Jessica Trisco Darden. Did Trump’s charm offensive work in the Philippines? Huffington Post. November 14, 2017.)


トランプ氏の言動は「予測不可能」などと評されますが、ツイッター上で他国首脳を激しく罵ったかと思えば、対面では相手を持ち上げたり、そのようなスタイルが特徴的です。

米国第一主義を達成するための戦術として”charm offensive”を用いているということは考えられます。

結局のところ、”charm offensive”にしっくりくる日本語訳は思い浮かばないのですが、外交のコンテクストで言えば、正攻法ではない戦術に分類されるように思われます。

ところで、“charm offensive”が使われるコンテクストは政治に限りません。


Despite many of its services being blocked in China, Google has chosen Beijing as the location for its first artificial intelligence research center in Asia.

(中略)

Google (GOOGL) effectively left China in 2010, but the country's 730 million internet users make it too large a market to ignore. The company has made no secret of its desire to find ways to rebuild its presence there.

(中略)

Opening a high profile AI research center in China is the latest move in Google's charm offensive.
(Sherisse Pham. Google is opening an artificial intelligence center in China. CNN. December 13, 2017.)


中国という共産主義大国が情報統制のためにインターネットの検閲を強める中グーグル社には逆風が吹いていますが、AI(人工知能)の分野で先端を行きたいと考える中国にとって、グーグル社が研究拠点を同国に据えることは歓迎すべきことでもあります。

つまりグーグル社にしてみれば、売込みの絶好のチャンスであり、”charm offensive”は売込み攻勢とも意訳出来るかもしれません。


2017年12月13日水曜日

debauchery

記事の引用からどうぞ。


A court in Egypt has reportedly jailed for two years a singer who appeared in a music video in her underwear while suggestively eating a banana.

Shaimaa Ahmed, a 25-year-old known professionally as Shyma, was arrested last month after the video sparked outrage in the conservative country.

On Tuesday, she was found guilty of inciting debauchery and publishing an indecent film, local media said.

The video's director was also sentenced to two years in prison in absentia.
(Egypt singer jailed for 'inciting debauchery' in music video. BBC News. December 13, 2017.)


エジプトの歌手に懲役2年の判決、というニュースなんですが、罪状は何かというと、


inciting debauchery


ということですが、"debauchery"って何でしょうか?

辞書を引くと、


肉欲にふけること、放蕩、ふしだら、道楽


などとあります。記事によれば問題の歌手が歌っているビデオの内容が問題視されたものであることが分かりますが、要はその内容が猥褻だったものと想像されます。

この"debauchery"という単語はあまりお目にかからない類の単語と思いますが、"debauch"という単語があり、こちらは文語で、人を誘惑する、堕落させる、などの意味があります。

語源を紐解くと、フランス語、さらにゲルマン語に起源があるそうですが、bauchというのは梁(beam)を意味しているそうです。

それがどういう訳か、人を誑かす、道を外させる、という意味(lead astray)になったようで、"debauch"のde-は離脱の接頭辞かとも思われますが、この辺りは定かではないようです。

"debauchery"が意味するところは、上記以外にもどんちゃん騒ぎといったものもあるのですが、これも「逸れる」、「(常軌から)逸脱する」という元の意味から来ています。

尤も、今回の引用記事を含めて、"debauchery"と言えば、猥褻性が含意されていることの方が多いようです。


2017年12月12日火曜日

daredevil

高層ビルの天辺で命綱も着けずにスタントを披露していた中国人の男性が過って転落死したというニュースです。

62階建ての摩天楼は40階までしか通常はアクセス出来ないそうですが、セキュリティをどうやってかいくぐったのか、最上階まで辿り着いて所謂「自撮り」をしていたようです。

男性は自称プロのスタントマンだったようです。数々のスタントに挑戦することで稼いでもいたようですが、死んでしまっては元も子もないというものです。


A daredevil plummeted to his death during a risky stunt near the top of a 62-story building in China, according to new reports.

Wu Yongning, 26, who called himself “China’s First Rooftopper,” plunged from the Huayuan International Centre in Changsha, the capital of Hunan province in central China, on Nov. 8, AsiaWire reported.
(Amanda Woods. Daredevil falls to his death from 62-story building. New York Post. December 1, 2017.)


“daredevil”というのは、向こう見ずな人、という意味です。

ご存知のように、”dare”という動詞に、敢えてやってみる、物怖じせずに取り組む、といった意味があります。また、けしかける、挑戦する、という意味でも使われます。

“daredevil”の-devilの部分については、「悪魔」ということになりますが、”daredevil”とは悪魔にチャレンジする、という捉え方と、ここでの”devil”とは単に人を指す意味での”devil”という捉え方の2つがあるようです。


2017年12月11日月曜日

to the tune of

昨日の新聞ではビットコインがついに200万円台のの値を付けたそうで、当ブログでつい先日100万円台を窺う値上がりという記事を話題にしたばかりだったので、急騰するビットコイン市場を改めて驚きを以って見ています。

素人は手を出すものではないように私自身は思うのですが、ビットコイン自体の仕組みは安全であるとされています。

それでも、下記に引用する記事によれば、多額のビットコインが盗難にあったという事件も発生している訳で、やはりという気もします。


A bitcoin mining service was hacked to the tune of $64 million this week, underscoring once again how the world of digital currency attracts scammers and thieves.

Such stories can scare off amateur investors who fear bitcoin isn’t just volatile, but that it’s insecure. This isn’t really fair to bitcoin. The reality is bitcoin is secure, and ordinary people can protect it without much effort. The real problem is not everyone understands how bitcoin works, which leads them to make choices that expose them to theft.
(Jeff John Roberts. How Bitcoin Is Stolen: 5 Common Threats. Fortune. December 8, 2017.)


さて、引用記事の中で、


to the tune of


という表現が出てきます。

このフレーズを初めて見たのですが、研究社の大英和を引いてみると、


大枚(to the amont of)


とありました。

オンライン辞書などでも、“to the tune of”というフレーズで、“approximately”とほぼ同義などとありますが、Merriam-Websterでは、


informal — used to emphasize a large amount of money


とあり、単に概数という訳ではなく、その大きさ、特に金銭の高額さを強調した表現であるということです。

“tune”とはご存知の通り音楽用語で節回しや調子、メロディーのことを指しますが、“to the tune of”が何故金銭の高額さを表す表現として使われるようになったのかは、色々しらべてみましたが、謎です。


2017年12月8日金曜日

チル? ― chillax

最近の若者言葉に「チル」というものがあるそうです。今朝通勤電車でヤフーのニュースのヘッドラインを斜め読みしていて知りました。

この「チル」というのは動詞で、「カフェでチルしていました~」のような使い方がされるとありました。(日経トレンディネット)

どうやらリラックスするとか、くつろぐ、といった意味で用いられるようです。

「チル」は英語で”chill”で、ご存知のように「冷える」という意味ですが、”chill out”というフレーズがリラックスするという意味で用いられることから、若者言葉の「チル」に至っているようです。

ところで、少し前に英語の俗語表現に、


chillax


というものがあるということを知りました。これは、"chill"と"relax"のカバン語です。


I've hit 10,000 steps! My Fitbit is vibrating and digital fireworks are shooting across the tiny screen on my wrist. The only problem is I haven't even arrived at my office yet.

I hit the gym before I go to work, and think heck, if I've already logged that many steps, why not kick back and chillax the rest of the day? This is the first sign that something is awry on my quest to find out if wearable technology, or wearables, can actually make us healthier.
(Samuel Burke. Body Smart: Can a week of wearables improve your health? CNN. August 14, 2017.)


この"chillax"という単語はMerriam-Websterのオンライン辞書にも載っていて、びっくりしたことには初出は1999年ということですから、「チル」とは成り立ちはちょっと違うのかもしれませんが、意味合いはほとんど同じと言えるでしょう。


2017年12月7日木曜日

What's in a name?

アメリカ小売業の最大手として知られるウォルマートが社名を変更したというニュースです。

同社の正式名称、つまり登記上の社名は、Wal-mart Stores, Inc.ですが、これをWalmart Inc.にするというものです。

ハイフン(-)が省略されたのと、Storesがなくなった、というだけのことですが・・・。


What's in a name? For Walmart, it will soon be a little less.

The company, which became the largest retailer in the world with a huge chain of stores, is changing its name to reflect its increasing emphasis on e-commerce.

As of Feb. 1, it will no longer be "Wal-Mart Stores" and will get rid of the hyphen and drop "stores" from its legal name.

“While our legal name is used in a limited number of places, we felt it was best to have a name that was consistent with the idea that you can shop us however you like as a customer,'' Doug McMillon, Walmart's president and CEO, said in a statement. "As time goes on, customers will increasingly just think of and see one Walmart.”
(Charisse Jones. Walmart changes name, dropping 'stores' and hyphen, as it underscores online image. USA Today. December 6, 2017.)


さて、引用した冒頭に、


What's in a name?


とあるフレーズを目にしたことがある方は多いと思います。

直訳すれば、名前の中に何があるのか?ということになりますが、名前がどうだっていうの?というような訳が一般的です。

これはつまり反語的な表現であり、名前がどうした、大事なのは名前ではない、大切なのは中身!ということです。

このフレーズが人口に膾炙しているのは、シェークスピアのロメオとジュリエットの中で、ジュリエットのセリフとして有名だからのようです。

ロメオとジュリエットを読んだことのない方はこれをきっかけに一度読んでみると良いでしょう。


2017年12月6日水曜日

Cheaters never prosper.

来年、2018年の2月、韓国・平昌(ピョンチャン、Pyeongchang)で開催される予定の冬季オリンピックですが、参加国としてロシアが締め出されることがIOCで決定しました。

ご存知のように国家ぐるみでのドーピングを行ってきたことに対する処罰です。


Russia unveiled its uniforms for the upcoming Winter Olympics in South Korea last week, a gesture of “What, me worry?” confidence ahead of Tuesday’s momentous decision by the International Olympic Committee on whether to ban the nation from competition in Pyeongchang because of state-orchestrated doping. Well, the verdict’s in. Russia can start looking for the nearest Goodwill bin.

The IOC has banned Russia from the Games. Russian athletes deemed untainted by doping will be allowed to compete, but only under a neutral flag, not a Russian one. They won’t wear their spiffy new uniforms, instead relegated to outfits branded with the acronym “OAR,” Olympic Athlete from Russia. If they win a medal, they’ll hear the Olympic anthem, not Russia’s. Russia’s medal count at Pyeongchang can already be put into the record books: zero.

It’s a punishment unprecedented in the history of the Olympics, and one that IOC officials said fits the unprecedented scale of Russia’s cheating.
(Editorial: How do you say, 'Cheaters Never Prosper' in Russian? Chicago Tribune. December 5, 2017.)


ドーピング不正を行わなかった同国選手は出場できるようですが、ロシア国としての選手としてではなく、"neutral flag"の元参加することになるそうで、これは独立参加選手団、あるいは個人参加としての枠組みとされるようです。

さて、記事のタイトルに、


Cheaters Never Prosper


と出てきますが、不正は決して繁栄しない、とでも訳しましょうか。

ドーピング不正によって勝利が一旦はもたらされるとしても、不正は必ず明らかになる、ということでしょう。


2017年12月5日火曜日

migraine

私自身は頭痛に悩まされた経験というのはあまりないのですが、女性は特に偏頭痛に罹る割合が男性に比べて高いとよく聞きます。

最近、この偏頭痛(migraine)によく効く薬が開発中らしいです。


New, long-acting drugs may hold hope for millions of people who often suffer migraines. Studies of two of these medicines, given as shots every month or so, found they cut the frequency of the notoriously painful and disabling headaches.

The drugs are the first preventive medicines developed specifically for migraines. They work by interfering with a substance involved in modifying nerve signaling and progression of pain and symptoms.

“It's a whole new direction” for treatment and an important advance for people who don't want to take or aren't helped by the daily pills sometimes used now to prevent recurrences, said Dr. Andrew Hershey, neurology chief at Cincinnati Children's Hospital Medical Center.
(Help for migraines. The Associated Press. December 4, 2017.)


偏頭痛のことを英語で、migraineと言いますが、何故そう言うのか語源が気になったので調べてみました。

中期フランス語でもmigraineという単語があるそうですが、これはラテン語のhemicraniaが変化したものだそうです。

つまり、hemicraniaというのは、hemi-(半分の)という部分とcranium(頭蓋)という部分からなり、頭の片方で生じる痛み、ということです。


2017年12月4日月曜日

wait in the wings

最近スマートスピーカー(というんでしょうか?)なるものが話題です。

円筒形をした、テーブルに置くようなイメージで売り出されているアレです。昔だったら茶缶か何かかと思うでしょう。

私の記憶では確かアマゾンが最初に出してきたかと思うのですが、その後グーグルも同じような製品を発表し、家電量販店でも売り場の一角を占めるくらいの取り上げ方になりました。アップルも発売を予定しているらしいですが、クリスマスに間に合わないというようなニュースも目にしました。

実物を手に取ってみたことも試したこともないのですが、あの茶筒みたいな置物に話しかけることで色々なことを代わりにやってくれるそうです。

その代わりのこととは、今日の天気とか、ニュースといったことに始まり、いずれはIoT家電などと連動し、簡単な家事をこなすくらいのことはできるようです。近い将来、洗濯物くらいはやってくれるようになるのかもしれません。

さて、前置きが長くなりましたが、グーグルのスマートスピーカーの基盤になっている、Google Assistantについての記事からの引用です。


Today, the Google Assistant got some cool new tricks, including the ability to find and recommend local services like a plumber, electrician, or locksmith. It’s a neat trick at first glance, but there may be a giant problem waiting in the wings.

In a blog post explaining how the new feature will work, Google lays out how the recommendations are generated:

In many cities the Google Assistant will suggest providers that have been prescreened by Google and companies like HomeAdvisor and Porch so you can feel confident they’re ready to take on the job.

That sounds great! But what about the specific cities where Google hasn’t specifically screened companies?

And if you’re in a city that doesn’t have any available guaranteed or screened providers, you’ll still get an answer from the Assistant with other nearby results.
(Chris Mills. Google Assistant now recommends a plumber or locksmith, and it’s a disaster in the making. BGR. November 30, 2017.)


このGoogle Assistantというのは、いわゆる音声認識をする技術と理解していますが、音声認識をした後の「情報」や「役務」の提供には同社が誇る検索エンジンとしての膨大なデータがバックエンドにあるわけで、そこが肝だというわけです。

そして、記事のライターは、


there may be a giant problem waiting in the wings


と続けます。

この"waiting in the wings"という表現が気になったので調べてみました。

ランダムハウス英和によると、これは俗語表現とされており、


(姿を見せずに)待ち構える


とありました。

なぜこのような意味になるのでしょうか?

ここでいう"wings"とは、昆虫や動物の羽根や翼のことではありません。舞台における「ソデ」のことなのだそうです。舞台袖は左右にあるので、複数で"wings"というわけです。

「姿を見せずに」というところがポイントですが、要は出演者が舞台袖で自分の出番を待っている、ということなのです。

Google Assistantの話題に戻りますと、大きな問題(a giant problem)が出番を待っている、ということなのですが、ユーザーがスマートスピーカーにお願いする内容に対する結果というものは結局のところ同社が検索エンジンとして持つ情報をベースに依存している訳なので、期待外れも当然ありうるのです。


2017年12月1日金曜日

朗報 ー ammunition for

犬好きの方には朗報!?

どうやらイヌの方がネコよりも賢いらしい、という研究結果が発表されたようです。


A new study has some ammunition for dog people everywhere.

The research, published in the journal Frontiers of Neuroanatomy, says dogs may be brainier than cats. That is, dogs have cerebral cortexes with twice as many neurons — the brain cells responsible for thought, planning and behavior – compared to cats. Scientists have associated neuron density with overall cognitive ability – i.e. intelligence.

For the study, a group of researchers led by Suzana Herculano-Houzel, an associate professor of psychology and biological sciences at Vanderbilt University, examined the neuronal density and brain sizes of various carnivorans, a class of mammals that includes many predators – along with some omnivores and and a few herbivores.
(Jamie Ducharme. Dogs Are Brainier Than Cats, New Study Finds. People. November 30, 2017.)


研究のソースによるとそれなりに学術的な研究のようですが、大脳皮質における神経単位はイヌがネコの2倍になるそうです。

私は自宅で猫を飼っていますが、毎日ひっかかれたり受難しているので、犬だったら引っかかれることはないのだろうかなどと考えたりしますが・・・(笑)

さて、冒頭で、


A new study has some ammunition for dog people


とあるのですが、この"ammunition"は武器とか弾薬といった意味であることはご存じのとおりですが、比喩的な意味合いで、


(自分の意見や主張に)有利な情報、材料


という意味があります。