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2024年5月15日水曜日

grow a spine

今日の1語ですが、


grow a spine


という、ちょっと聞き慣れない表現を取り上げます。

では、ニュース記事の引用をお読み下さい。


The president of Northwestern University near Chicago threatened anti-Israel agitators with "disciplinary action," which critics say came after the school was hit with a U.S. House committee's investigation into antisemitism on campus.

(中略)

Liora Rez, the founder and executive director of StopAntisemitism, told Fox News Digital that Schill's statement against the protesters was long overdue.

(中略)

Rez argued that Schill only "grew a spine" due to the House Committee on Education and the Workforce launching an investigation into the university's response to antisemitism on campus.
(Sarah Rumpf-Whitten. Northwestern University president 'grew a spine' after hit with House committee investigation: watchdog group. Fox News. May 14, 2024.)


記事中、"grow a spine"というフレーズの主語になっているのは、Northwestern大学の学長Schill氏です。

イスラエルとハマスの戦争を契機として、全米の大学でイスラエルを非難するデモ活動が活発化し、一部では暴徒化していることについては先日も取り上げました。

今回引用の記事で話題になっているのは、Northwestern大学の学長がこうした暴徒化したデモ活動に関わっている学生を処分すると明言したというところにあります。

ある意味、強硬手段とも言え、言論の自由は認めても暴力行為や破壊活動は許さない、という態度を鮮明にしたということであり、これが"grow a spine"と表現されています。

この学長は反イスラエルを主張する学生寄りの態度が疑問視されていたようですが、大学を舞台にした反ユダヤ主義活動が社会問題化する中で態度を変えたもののようです。日本語で「弱腰」とか「腰がひけている」という表現がありますが、これに相対するのが"grow a spine"の意味するところとも言えます。

このフレーズですが、手元にある英和辞書を始め、いつも参考にするAmerican HeritageやMerriam-Webster等も見ましたが説明は見当たりません。

"spine"とは背骨、脊椎のことですが、気骨、気概という意味があり、"grow a spine"というフレーズは人がその気概を示す、勇気を出して事にあたる、といった意味で用いられるようです。

なぜ辞書で取り上げられないのか不思議に思いますが、コーパスを検索すると多くの実例がヒットし、定着した表現のようです。


Believe me, the reality gap between campaign pledges and reality matters to a lot of us. The president and the Democratic Party need to grow a spine, or they can expect future losses.
(San Francisco Chronicle, 2010)


背骨を指す"spine"は"backbone"とも言いますが、故に、


grow a backbone


というフレーズもあり、"grow a spine"と同じように用いられ、これまた定着しているようです。

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