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2024年5月8日水曜日

scout

アメリカのボーイスカウト連盟Boy Scout America (BSA) は来年2025年に創立115周年を迎えるのにあわせて、名称をScouting Americaに変更すると発表しました。


Boy Scouts of America announced Tuesday that it will change its name to Scouting America next February, to emphasize its commitment to inclusion.

The youth organization said the new name is meant to help everyone, including boys and girls, feel welcome. The change will go into effect on February 8, 2025, the organization’s 115th anniversary, the Boy Scouts of America said.
(Nicole Chavez. Boy Scouts of America announces rebrand to ‘Scouting America’. CNN. May 7, 2024.)


ということで、今日の1語は、


scout


です。"scout"という単語にボーイスカウト、あるいはガールスカウトの意味があります。

日本ボーイスカウト連盟のホームページによれば、ボーイスカウトとは「子どもたちの好奇心や探求心にこたえる活動を通して、心身ともに健全な人材を育成することを目的とする世界的な教育運動」とあります。

英単語の"scout"を辞書で引くと、偵察行為、斥候、偵察兵、などと載っています。つまり、スパイ行為です。動詞としての意味も偵察するというものですが、"scout"という英単語は、聞くという意味のフランス語escouter(現代フランス語ではecouter)から来ています。さらに遡るとラテン語auscultareであると語源欄にもありますが、こちらも聞く(聴く)という意味であり、aus-という部分は耳を意味するaurisと関連があります。(aural、auricle、などの英単語にもなっています。)

つまり、英単語の"scout"はこれらラテン語やフランス語の語頭の部分が脱落したものになっている訳です。

ボーイスカウト(boy scout)も同じ"scout"ですが、やはり偵察行為と関係があるのでしょうか?答えはイエス、です。

ウィキペディアによれば、ボーイスカウトの起源であるスカウト運動、スカウティングは20世紀初頭にイギリス人ロバート・ベーデン=パウエル氏が始めたもので、同氏がイギリス陸軍中将としての経験から少年向けの偵察・斥候術の著書を著したとあります。後に"Scouting for Boys"というタイトルで出版された著作が、ボーイスカウト("scout")のとして広まりました。ボーイスカウト活動が野外活動に重きを置いているのもこのような背景があります。

ちなみに、能力のある人、優秀な人材を「スカウトする」という時のスカウトも同じ"scout"です。

BSAから"Scouting America"への名称変更は明らかに"boy"という言葉を取り除くもので、多様性を尊重する昨今の社会的風潮に合わせたものですが、一部には"wokeness"への迎合だとの批判も聞かれます。


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