最近30日間のアクセス数トップ3記事

2023年8月21日月曜日

ancillary

お盆休みが終わりました。今夏は行動制限の無い夏休みとあって、新幹線や飛行機の利用客が大幅増加という報道を目にしました。なお、小生は予定なく、自宅でおとなしくしておりました。

ところで、最近の飛行機のサービスというのは随分と複雑化している、という記事を見かけ、春にアメリカへ行った時のことを思い出し、妙に納得してしまいました。


And there is no doubt that buying a flight has become more complicated.

Airlines now offer us a plethora of extras at the booking stage, from speedy boarding and checking cabin bags to seat selection, all of which come at a price.

(中略)

So-called "ancillary" services have become a major part of airlines' business models, generating some $103bn (£81bn) globally last year - up from $40bn in 2013.

Airlines say that by "unbundling" extras such as food and drink or cabin baggage from the ticket price, travellers get more choice and cheaper fares overall.
(Daniel Thomas. Have airlines gone too far with their extra fees? BBC News. August 20, 2023.)


一言で言うと、やたらとオプションが多い、ということなのです。

座席の事前指定や、機内食選択、手荷物(持込、預け)の追加、等々、事細かにオプションがあり、しかも選択により料金が違ってくるという始末です。

「オプション」と書きましたが、記事中、


So-called "ancillary" services


と表現されています。

ここでの"ancillary"という形容詞は、二次的な、とか補助の、付随の、という意味で、同義語に、


extra
supplementary
accessory


などがあります。

ところで、この"ancillary"という単語の語源が興味深いのですが、ラテン語ancillaから来ており、その意味は女中(a female servant)というものです。

このラテン語ancillaはそのままのスペルで英単語にもなっており、辞書には付属物、役立つもの、手引き、といった意味が載っていますが、"ancillary"に比べるとあまり馴染みがない単語ではないかと思います。


2023年8月18日金曜日

spam

ハワイに壊滅的な打撃をもたらした山火事。米国内の食品会社が物資の支援を表明しました。

その支援物資ですが、「スパム」(Spam)だということです。


This is the best type of spamming.

The canned meat brand Spam has announced it’s partnering with the humanitarian organization Convoy of Hope to send food to Hawaiian residents who have been affected by the deadly wildfires ravaging the state.
(Emily Lefroy. Spam sends food to Maui amid devastating wildfires: ‘We see you and love you’. New York Post. August 16, 2023.)


そう、「スパム」です。

ネット時代に生きる我々は「スパム」と聞けば、迷惑メールを反射的に想起します。

ご存知の方も多いとは思いますが、"Spam"はそもそも缶詰にしたハムの商品名で、商標です。(故に大文字で始まります。)

"Spam"という商標名は、spiced hamを約めたものであると辞書に載っています。

そして、この"Spam"が迷惑メールの意味になったのは、イギリスのコメディ番組で"Spam"というフレーズが連呼されたことに因むという説があります。単語の連呼が、メール受信トレイを埋め尽くす迷惑メールを想起させたのでしょう。

商標の"Spam"は迷惑メールを送信する行為を意味する動詞になり、American Heritage Dictionaryでは、


To send (a message) indiscriminately to multiple mailing lists, individuals, or newsgroups.


という定義が見えます。

ハムの缶詰としての「スパム」は、当初は米軍人の食糧として重宝され、特にハワイ州ではスパムの消費量が多いそうです。

ハワイに行ったことがありませんが、スパムを使った「スパムにぎり」や「スパムおむすび」は現地で人気のグルメだそうで、いわゆるソウルフードみたいな位置付けのようです。


2023年8月17日木曜日

pound sand

ハワイでの大規模な山火事被害がクローズアップされています。マウイ島では広範囲が焼け、死者数も100人余りに上っています。

地球温暖化の影響が指摘されています。観光地故の地元民とツーリストの間にある確執を取り上げる記事も見られます。

ところで、この惨事に際してバイデン大統領は現地に赴くどころか、デラウェア州のビーチで休暇を過ごしたとか。コメントを求められても、「ノーコメント」というつれない返事だといいます。


The White House has responded after both Democrats and Republicans criticized President Biden, who said he had "no comment" on the rising death toll from the destructive Hawaiian wildfires during his weekend beach getaway in Delaware.

One Hawaii Democrat called the president’s response "shocking" and out of character.
(Lawrence Richard. White House shoots down critics over Biden's 'no comment' Hawaii response. Fox News. August 16, 2023.)


バイデン氏らしからぬ態度だと言われていますが、災害に見舞われた人達に寄り添う姿勢が政治家には求められるのは当たり前で、その欠如は時に政治生命を危うくします。

別記事では以下のようなくだりがあります。


President Joe Biden’s brand is empathy, but his actions told the devastated victims of the Maui wildfires to pound sand.

(中略)

Given the scope of this disaster, it wasn’t surprising to see Biden on a sandy beach this weekend. It’s the usual protocol for the president to visit the scenes of major natural disasters. But Biden had a view of the Atlantic Ocean — not the Pacific. He spent Sunday lounging on a beach in Delaware. Instead of comforting grieving families, he was soaking in some rays.
After his beach day, he was asked about the rapidly increasing death toll in Hawaii. He replied, “No comment.”
(Victor Joecks. Biden suntans while Hawaii burns. Las Vegas Review Journal. August 15, 2023.)


この記事でも同様に、惨事に対するバイデン氏の態度に疑問を投げかけているものです。

冒頭の部分で、


pound sand


という見慣れない表現が使われています。

被災者に同情を示すどころか、"pound sand"するよう言った、という解釈になるかと思いますが、この部分をどう解釈すべきでしょうか?

字義通りには、砂を打つ、ということになるかと思いますが、一体どういう意味なのでしょうか?

手元にある辞書には載っておらず、ネットで検索しますと、俗語、あるいはかなりインフォーマルな言い回しの類いに分類されるようです。

砂地をいくら叩いたところで何ら有意義とは考えられないことから、意味のない行為に及ぶ、無駄な取り組みをする、というのが"pound sand"の含意するところらしいです。

ネットに散見される説明では、そのような意味合いから、気に入らない相手に対して突き放すような態度を示す時に使うフレーズらしく、あっちへ行け、とか、失せろ、消えろ、というような意味合いだと言います。

しかし、いくら今回の件でバイデン氏にいつもの優しさ(被災者に寄り添う態度)が見られないと言っても、山火事被害に見舞われたハワイの住民に「消え失せろ」は無いと思います。

そこで、"pound sand"の用例を色々と調べてみるのですが、この言い回しには多少の幅があると言いますか、一概に上記のような訳語を当てはめるのは無理があるように思われます。

では、記事の問題の箇所はどう訳すのか?

"pound sand"の基本的な意味は、砂を打つが如く、無意味で得るところの無い行為に及ぶ、ということであり、その心は、相手に対する話者のフラストレーションや突き放そうとする態度であるということです。

文脈によっては、それは「失せろ」だったりする訳ですが、「勝手にしろ」とか、「好きなようにすれば」、というような意味合いかも知れません。

相手に対するフラストレーションというものは、時に無関心という形で非難の感情を表したりもすると思いますが、その場合、日本語だと「(どうなろうと)知ったこっちゃない」、「知らんわ」、ということになるでしょうか。

多数ある用例を整理できていないのですが、一筋縄では行かない表現のようです。


2023年8月16日水曜日

convoy

豪メルボルンを巨大なトラクターが車列を成して進行するという異様(威容?)な光景です。

主に西部の農地から集結した50台余りのトラクターは、政府が進めている送電線の建設に反対しているものだそうです。


Melbourne commuters were left shocked after dozens of trucks drove through peak hour traffic to voice their frustrations against Labor’s renewable energy plans.

The rally, which included a convoy of 50 trucks, saw hundreds of farmers descend on state parliament to oppose new power lines being built in the state’s west.
(Eleanor Campbell. Bizarre sight as farmers storm Melbourne on tractors. News.com.au. August 15, 2023.)


送電線の建設は現政権が進める再生可能エネルギー政策の一環のようですが、農地所有者などにとっては高圧電線がもたらす作物や生活への影響を懸念しているということのようです。

巨大なトラクターの車列、記事中


a convoy of 50 trucks


とありますが、"convoy"には護送、護衛、また護送する、という動詞の意味があります。大きなクルマが列を成して通過する光景は要人などを護衛するためのものがイメージされます。

この"convoy"とスペルがよく似た単語に、


convey


がありますが、こちらは運ぶ、運搬する、という意味です。

似ているのはスペルだけでなく、意味的にもそうですが。

実はこの2つの単語は二重語とされ、語源を同じくするところ、英単語としては別の単語として存在するようになったというものです。

"convoy"も"convey"も、フランス語convoyerから英語に入ってきたものですが、さらに遡ると接頭辞con-と、道を意味するラテン語viaに辿り着きます。

二重語については、以前取り上げた"coronation"(coronaとcrownが二重語の関係)もご覧下さい。

2023年8月15日火曜日

grandiose

新しくスタートしたメタ社によるSNS「スレッド」をきっかけに、X(旧Twitter)のマスク氏はCEOのザッカーバーグ氏を公然と非難しましたが、両者のやり取りが格闘技で決着をつけるという話にエスカレートしているというのを興味深く読んでいました。

マスク氏が挑戦状を叩きつけると、場所を指定しろとザッカーバーグ氏が応じるなど、両者の場外乱闘(!?)を多くのメディアが報じました。

と言っても、もう何週間か前の話でその後どうなったのか聞かないなぁと思っていたら、今日読んだ記事では、マスク氏がザッカーバーグ氏宅を訪問して決着をつけるというような投稿をしているということでした。

一方、ザッカーバーグ氏は(呆れて?)これに応じていない、という話です。


Mark Zuckerberg dismissed Elon Musk's latest attempt to lure him into a fight after the executive chair of X, formerly known as Twitter, claimed he was going to show up at Zuckerberg's home and livestream it.

In a post on X Monday, Musk said he was going to test drive a Tesla model by taking it to Zuckerberg's home in Palo Alto.
(Mark Zuckerberg dismisses Elon Musk's latest attempt to egg him into a backyard fight: 'Mark takes this sport seriously and isn't going to fight someone who randomly shows up at his door'. Business Insider. August 15, 2023.)


当初の報道から、これはおふざけの類いではないのかと訝っておりましたが、やはりという感が否めません。

両者の確執を逐一取り上げるメディアは、結局のところSNSの宣伝になってしまっているようにも思えます。

今回は、格闘をけし掛けるマスク氏に対し、相手にしない、と態度表明をしたザッカーバーグ氏の方がオトナに見えます。


…the Meta CEO wrote on Threads: "I think we can all agree Elon isn't serious and it's time to move on."

"If Elon ever gets serious about a real date and official event, he knows how to reach me," he added.

Musk has made grandiose claims in the past with uncertain follow-through.
(ibid.)


マスク氏の奇行は今回に限りませんが、大袈裟な物言い、誇大を特徴とする言動は見透かされているようです。

今日の1語、"grandiose"は気取っていて、大袈裟で、仰々しい、という意味です。


Characterized by excessive self-importance or affected grandeur; pompous
(American Heritage Dictionary)


この形容詞は勿論、大きいことを意味する"grand"から来ていますが、雄大、壮大であるという意味の"grand"はニュートラルな意味合いであるのに対し、"grandiose"の方はそれが見せかけであるという批判的意味合いがあります。

実際は大したことはないのに、大きく見せかけている、という事なんですね。"grand"に余計な文字がくっついているのが、背伸びしている証拠、という訳です。

昔々、中学校の頃のことですが、ケンカする、やっつけてやると周囲に繰り返し言い続けて、結局何にも起きなかった、という威勢だけいい、そういう不良生徒がよくおりましたが、マスク氏に同じものを感じます。