英語に限らず、言葉や表現が産まれた経緯について知ることは、語学の勉強の中でも格別楽しいものがあります。
辞書でも中辞典以上になると、語源欄もかなり充実しており、仕事中に意味を調べるために引いたエントリで語源欄に目が行き、さらにリンクされている他の単語を求めて、いつの間にか辞書のページを繰っている、ということがよくあります。電子化、インターネットの時代は便利なものですが、興味の向くまま次から次へとクリックしていて、はて、何を調べていたんだっけ?ということもあります。
さて、語源欄には色々と見慣れない用語や表記法にあふれており、英語の場合はラテン語やギリシャ語、古英語、ドイツ語などまでが引用され、一見、言語学や英語の専門家以外はあまり寄せ付けないような雰囲気もありますが、難しいことは抜きにして、語源探訪は楽しいものなのです。
今日取り上げる単語tawdryは、専門用語では”異分析”と呼ばれる部類に入るそうなのですが、これは、”捉え方や解釈の間違い、誤解から産まれた単語”ということができると思います。
tawdry
[名]けばけばしい飾り、安っぽい装飾
[形]けばけばしい、安ピカの、派手で趣味が悪い
まるで悪いこと尽くしの意味でちょっと使い方には注意が必要なように思われますが、この単語は昔々、7世紀頃に、Northumbriaという、今のイギリス北部にあった王国の王女が好んで身につけていたネックレスに遡るということです。
その王女は、"Saint Audrey"といい、ネックレスについては、"Saint Audrey's (neck)lace"と呼ばれたそうです。(American Heritage Dictionaryによる)
"Saint"の末尾"t"の文字と、続く"Audrey's"に注目して下さい。
発音される場合は、母音が直前の子音に引っ張られる傾向があることはご存知と思いますが、この場合もそのように発音されることから、"Saint Audrey"は、
tawdry
と間違って表記されるようになったようです。
間違いはいつしか定着してしまい、誰もが"tawdry"を単語として認識するようになったのです。
実際に王女が身につけていたネックレスが、"tawdry"が意味するようなけばけばしい、安っぽいものだったのかどうかは知る由もありません。恐らくは、"Saint Audrey's necklace"の触れ込みも最初は高級品だったのかも知れませんが、そのうち商売競争が熾烈になってきて、安ピカものを売る商売人が出てくるにあたり、次第にその価値を落としてきたのではないかと思います。(これは想像ですが・・・。)
今週は、異分析で産まれた単語をテーマに取り上げたいと思います。
引用は、醜聞に塗れるタイガー・ウッズに関する記事からです。
Mindy Lawton, one of the women claiming to have had an affair with Tiger Woods is quoted as saying that she and Woods had sex in the house that Tiger and his family live in in Windermere, Florida.
The tawdry description of her relationship does not stop there. Lawton, who is waitress at an Orlando restaurant, has told London's News of the World that she and Woods had sex while Woods' wife, was pregnant.
(Ron Hart. Associated Content. December 6, 2009.)
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