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2013年4月18日木曜日

動詞としての"brick" ― brick

昨日の"ink"に引き続きですが、名詞の意味に親しんでいる故に動詞として使われていると意外な感じがする単語です。

"brick"と言えばレンガのことです。動詞の用法があるとは知らなかった私は、下記のタイトルを読んで動詞の"brick"を初めて知ることになります。


Google will brick Google Glasses if owners resell or loan them out


タイトルから何を言わんとしているかは何となく想像つきますが、下記のリードを読んで、"brick"の意味は、"deactivate"であるとわかります。


Terms of service warn users that their $1,500 high-tech specs will be deactivated if they try to resell or loan them to another person.


ところでランダムハウス英和辞書を引くと、"brick"の動詞のエントリには、


(レンガで)覆う、囲う、塞ぐ


という意味が載っています。"deactivate"を直接意味してはいません。"deactivate"を意味するのに記者が敢えて"brick"を使ったのは"(Google) Glass"だからでしょうか?

"brick"の動詞の用法をいろいろ見てみると、塞ぐのは窓や空洞、すき間、などです。それらをレンガで覆い隠すことで、光が入らないようにするのが目的です。このように考えると、Google Glassを"brick"するというのは、モノを見るためのメガネを覆い隠して見えなくしてしまうことであり、それではもはやメガネ(glass)はその役割を果たさないということになります。"brick"という動詞を使っているのはかなりの皮肉ではないでしょうか。


If all you envisioned developing by being an early recipient of Google Glass Explorer Edition was a quick resale profit, think again: Google has rules against reselling the wearable tech without its permission.

As the Web giant began shipping the high-tech specs this week, it also unveiled a host of developer preview documentation, specs, and rules about what developers could and couldn't do. One of those things, apparently, is reselling or even loaning the $1,500 device to someone else. Developers who do risk having their prized specs deactivated.
(Steven Musil. Google will brick Google Glasses if owners resell or loan them out. CNET News. April 17, 2013.)


しかし、$1,500も払っているのに、他人に貸与することもできないとは・・・。


2 件のコメント:

  1. Brick(ed)の動詞としての用法ですが、個人的によくみられるようになったのが2008年頃に初代iPhoneが発売されてからです(日本でiPhoneが発売される前です)。Google Glassとかけて覆い隠すとかではなく、ただ単に'bricked'で「レンガのようになって使い物にならなくなる/レンガ化する」という意味だと私は解釈しています。
    e.g.
    I bricked my iPhone when I tried to unlock its SIM lock.
    My iPhone got bricked during update.

    初期のころのiPhoneは仕様に制限が多く、更にアメリカのAT&Tだけでしか使えなかったこともあり、Jailbreak(脱獄)やSIMロック解除が盛んでした。しかし、作業に失敗するとiPhoneが起動しなくなり全く使い物にならなくなってしまいます(実際は復旧できますが)。つまり数百ドルの文鎮、またはレンガとなってしまうのです。

    ここから転じて、brickedに「(iPhoneが)全く使い物にならなくなる/レンガ化する」という意味が出来たのではないかと思います。
    ここから更に派生して形状に関係なくガジェット全般が使い物にならなくなることを 'bricked' と表現するようになったのではないでしょうか。

    今はiPhoneに関する情報は日本語でも幅広くありますが、まだiPhoneが日本でニッチな扱いだったころは皆英語のページをがんばって読み解いたものです。ですから、当時のiPhone関連のコミュニティではそのまま日本語でもiPhoneが使い物にならなくなることを「レンガ化」または「文鎮化」という言葉を使っていました。今となっては古参ユーザーだけでしょうが。

    通常はユーザー意図してレンガ化するわけではなく、意図に反して「レンガ化してしまう」ので、通常は受動態で 'bricked' という使い方が多いかと思います。引用された記事内では応用としてGoogleが故意に無効化することを能動態で 'brick' と表現していますね。

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    1. コメントありがとうございます。

      これを書いたときにはそこまで調べが及びませんでしたが、おっしゃるとおりのようですね。

      改めて色々なソースをあたると、この動詞としての"brick"は、スマホを始め、情報端末が使い物にならなくなり、文鎮(paperweight)に成り下がることを意味しているようです。

      新たに“インターネット時代の単語”のタグをつけました。

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