今日の話題もやや堅苦しいものになりますが、ある意味私にとっては驚きだったのでシェアしたいと思います。
学校英語でも取り上げられることがあるのではないかと思いますが、"affect"と"effect"の用法の違いというのはよく知られたところではないかと思います。
ご存知のように、名詞と動詞の2つがありますが、今日取り上げたいのは、名詞としての用法です。私が教わったのは、
"affect"を名詞としての"effect"の代わりに用いることはできない、
というものです。名詞の"affect"は存在しますが、それは心理学用語で言う“感情、情緒”という意味であり、"effect"という名詞の“影響、効果”という意味はありません。これは手持ちの辞書を見ても明らかです。
ところが、下記の記事では、"affect"が名詞として、まさに"effect"の意で用いられています。
Tighter controls are needed to prevent children consuming high-caffeine energy drinks, a BBC investigation has heard.
Professor Mike Lean, an expert in nutrition, said children should be banned from buying highly-caffeinated drinks in the same way as alcohol.
(中略)
There are concerns about the cumulative affects of caffeine, which is a psychoactive drug similar to other stimulants such as nicotine, on brains which are still immature.
(Children's caffeine intake 'should be controlled.' BBC News. July 9, 2013.)
3段落目の"cumulative affects of caffeine"はどう見ても"affect"が名詞として用いられています。正しくは、"cumulative effects"ではないでしょうか?
誤植でしょうか?ライターの誤用でしょうか?
イギリスの権威あるメディア、BBC Newsの記事です。ネットでは誤植を見ることは多いですが、ライターの誤用とは考えにくいです。
"affect"を名詞の"effect"に用いることは誤用であることはどの辞書を見ても同じです。例えば、Merriam WebsterのUsage Notesでは、
The uncommon noun affect, which has a meaning relating to psychology, is also sometimes mistakenly used for the very common effect. In ordinary use, the noun you will want is effect...
とあり、American Heritage DictionaryのUsage Noteでも、
... The other affect, the one that is confused with effect, is both a noun and a verb. As a noun it is uncommon and means roughly "emotion." It is pronounced with stress on the first syllable rather than the second. Note that affect does not have a noun sense meaning "an influence that brings about a change."
とあります。
ここで思いついたのがコーパスを利用して実際の用例を見てみるということでしたが、その結果に驚きました。
"affect"を名詞の"effect"の意で用いている用例は少なからず見受けられ、それらの中にはNew York TimesやSan Francisco Chronicle、Washington Postなど、名だたるメディアが含まれているのです。
Officials of the Edison Electric Institute were troubled by aspects of "Clear Skies" and provided Connaughton, Griles and others with computer analyses highlighting the potential adverse affects of such an approach on energy costs and supplies.
(The Washington Post. 2002.)
従って、上記のBBC Newsからの引用は誤植ではなさそうだと言えます。ライターが誤用として認識しているのかどうか、聞いてみたいところですが、コーパスで見る限り多くの誤用例が見られますので、ネイティヴの中でも間違いを犯しやすい単語なのかも知れません。
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