英単語の語源というものは本当に面白いものだと思います。何の変哲もなさそうな単語に意外な語源の物語がひそんでいたりします。
今日は、"posh"という単語を取り上げたいと思います。アルファベット4文字の、然して変わったところもなさそうな単語です。1つ言わせてもらえば、英単語らしくない感じがする、ということでしょうか。日本語では、しゃれた、豪華な、粋な、という意味なのですが、それもスペルと何となくイメージが合わない感じがします。
PARIS — Wearing a scarf to mask his face, the gunman sneaked into the posh Cannes hotel and held up a diamond show as three security guards looked on, then fled on foot about a minute later. In the end, he made off with a breathtaking $136 million worth of valuables — the biggest jewelry heist in years, maybe ever.
(Doubling down on diamonds: Gunman makes off with $136 million in loot from Cannes heist. The Washington Post. July 29, 2013.)
ランダムハウス英和によると、"posh"は、
port out(ward), starboard home
の頭文字をとった略語だということです。これは、行き(往航)は左舷、帰り(帰航)は右舷、ということだそうですが、その意味するところは英国~インド間の航行において、行きは左舷、帰りは右舷の船室が快適であるということで、つまりは等級が高く、金持ちが利用する船室であったということなのだそうです。
へぇ、こんな語源もあるんだ、と感心したような心持ちになりましたが、Merriam Websterを参照すると語源不詳とされています。
さらに興味深いのがAmerican Heritage Dictionaryの語源解説で、それによると、上記の説を一応述べた上で、俗説であると結論づけています。(1等船室のチケットに"POSH"というスタンプが押されていたという説まであるそうですが、はっきりとした証拠がないそうです。)
で、American Heritage Dictionaryは代わりにどのような語源解説をしているかというと、イギリスでロマニー語(Romani)と呼ばれる方言でhalf-penny(半ペニー銅貨)を意味する
posh-horri
から派生したというものです。
"posh"はお金(half-penny)と同等の意味で用いられたもののようですが、"posh-horri"、イコール"half-penny"という図式から分かるように、"posh"は"half"、"horri"は"penny"に相当するものです。
ところで、このロマニー語と呼ばれる言語は、インドからヨーロッパやアメリカ、オーストラリア大陸に移住した人々によって用いられた言葉だそうですが、系統的にはサンスクリット語を祖とする言語に分類されるそうです。
俗説とされている一等船室の話にしても、"half-penny"に由来するという話にしても、いずれもインドに関係があるという点では共通しているようです。
個人的には、俗説とされている語源の方が面白いと思いますが、皆さんはいかがでしょうか?
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿