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2016年1月21日木曜日

Hobson's choice

サラリーマン諸氏はよくよく注意したほうが良いでしょう。自戒もこめて!?

新規採用やヘッドハンティング、昇格の際に「身辺調査」がされるというのはあまり表には出てくるような話ではないと思いますが、恐らく「する側」、「される側」、双方の暗黙の了解だと思われます。

近年ではネットやテクノロジーの進歩により、「身辺調査」のやり方もかなり洗練されたものになってきているそうです。その名も、"predictive analytics"というそうで、いま流行の「ビッグデータ」を活用したもののようです。


Largely unnoticed by their targets, the human resources departments of large corporations are beginning to gather spy-agency-quality intelligence on their current and future employees. The hottest topic in human resources is “predictive analytics,” synthesizing a worker’s traits and behaviors to estimate how he or she will perform in the future.

(中略)

Predictive analytics will fundamentally alter the relationship between employee and enterprise. It will redraw the boundaries of worker privacy and managerial discretion. Either by court case or legislation, it will change the law. “Today’s workers are left with a Hobson’s choice of giving up their privacy or giving up their job, if the predictive analytics even allow them to have the job,” wrote University of Wyoming associate professor Robert Sprague in a law journal.
(Rodd Wagner. Your boss may be spying on you (and you might welcome it): Column. USA Today. January 20, 2016.)


さて、「身辺調査」も行過ぎればプライバシーの侵害になりかねないということで、「する側」にも倫理というものが求められます。「される側」から訴えられることも想定しなければならない、ということです。

しかしながら、労使の関係というものはやはり使役の側が有利なのでしょうか、


today's workers are left with a Hobson's choice of giving up their privacy or giving up their job


ということで、「身辺調査」によってある程度のプライバシー侵害には目を瞑るか、それが嫌ならキャリアをあきらめるか、のどちらかになってしまう、ということだと指摘されています。

ここで、


Hobson's choice


という表現が出てきました。Hobsonというのは人の名前で、イギリスで馬貸しを営んでいたそうですが、客に対して貸し出す馬の選択権を与えず、常に戸口に一番近い馬を貸すことにしていたことから、(一見選択権がありそうでありながら)えり好みの自由や選択の余地を与えられていないことを意味するようになったということです。

つまり、記事のコンテクストに照らして言えば、サラリーマンというのは自分自身の選択を自由に決めることができそうなところが、実際はそうではない、悲しい存在だということなんですね・・・。

それにしても、ただの馬貸し(失礼!)に過ぎないHobsonさんが英語の表現として定着しているのは、ある意味凄いと思います。

ちなみに、どうでもいいような話ではありますが、アイスクリームのお店にHobson'sというのがありますが、私はその店舗名を見るたびにこの"Hobson's choice"というフレーズを思い出し、この店では自分の好きなアイスクリームは選べなくて、店の押し付けなんだろうか、というような想像をしてしまいます。勿論、決してそのようなことはないはずですが・・・。


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