最近30日間のアクセス数トップ3記事

2018年5月1日火曜日

“to be had”に関する考察

先月28日に韓国と北朝鮮が歴史的な二国間首脳会談を終えて、朝鮮半島の完全な非核化を含む声明を発表しました。

既に話題は、次に予定されている米朝首脳会談に移っています。とりわけ、米朝首脳がどこで会談を行うのか、という点については憶測も含めて報じられてきました。

今日見たCNNの記事によると、南北朝鮮の軍事境界線地点での開催が現実味を帯びてきたようです。


Seoul, South Korea (CNN)South Korean President Moon Jae-in has convinced North Korean leader Kim Jong Un to hold his upcoming meeting with US President Donald Trump at the demilitarized zone separating the two Koreas, a source tells CNN.
(Kim Jong Un agrees to meet Donald Trump at DMZ, source says. CNN. May 1, 2018.)


記事によると北朝鮮の金正恩委員長にとっては至近でもあり、都合が良いという点でこれ以上はないようです。

また、一方のトランプ氏もDMZでの開催はまんざらでもないらしく、下記のように報じられています。


The idea of meeting at the DMZ wasn't a complete surprise to aides, since Trump has been talking about it all weekend and raised it in his Sunday phone call with Moon, a senior US official and a person familiar with the conversations told CNN.
Trump loved the images from the inter-Korean summit and the fact the entire meeting was televised, those sources said.

Speaking to reporters Monday, Trump said he was enthusiastic about the idea of holding the summit in the DMZ. "There's something I like about it, because you're there, if things work out, there's a great celebration to be had on the site, not in a third party country," he said.
(ibid.)


トランプ氏はどうやら前のめりともいえそうですが、ここで同氏の発言、


...if things work out, there’s a great celebration to be had on the site...


という部分に着目してみたいと思います。

引っかかったのは、”to be had”という部分です。

多くの方にとって、”have”という動詞を受身(受動相)で用いるのは奇異に感じられるのではないでしょうか。いや、むしろ、これは文法的にはNGのはずです。

I have a pen.

は、正しい文ですが、それを受身形にした、

A pen is had by me.

は、正しくない文です。状態動詞(非動作動詞)を受身形にすることはできない、と習いましたね?

該当部分はトランプ氏の発言を引用しているのですから、同氏が文法的な間違いを犯しているということでしょうか?

ところが、このような”to be had”の用例は現実には多くあります。


...but there is some fun to be had in watching them lock horns and ultimately join forces in pursuit of the big story.
(New York Times, 2009)


"For some reason, the people outside continue to believe there are jobs to be had," he said.
(Washington Post, 1994)


枚挙に暇がありませんのでこれくらいにしますが、コーパスを使うと数百件の検索結果が得られます。その多くが口語での用例となっています。

改めて文法書をひっくり返して確かめたのですが、この問題は不定法(いわゆる、toプラス動詞の原形)について、能動相のケース(to have)と受動相のケース(to be had)とがあるということに集約されます。

Practical English Usage (Oxford)によりますと、能動相、受動相の両方が許容されるパターンとして、下記のような例が挙げられています。


There’s a lot of work to do / to be done.

There are six letters to post / to be posted.

Give me the names of the people to contact / to be contacted.


従って、”to be had”のケースもこれらと同様に考えるならば、(状態動詞であるということは置くとして)一概に文法的誤りとも言えず、もしくは口語のフレーズとしては受け入れられる表現であると言えるかもしれません。


0 件のコメント:

コメントを投稿