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2019年10月23日水曜日

焼身自殺 ― immolation

焼身自殺のことを英語では、


immolation


というそうなのですが、今日この記事を見るまでこの"immolation"という単語を知りませんでした。確かに頻繁に目にするような単語(また、話題)ではないとは思いますが。


A man in the throes of a mental crisis doused himself with gasoline in the shadow of the World Trade Center on Tuesday afternoon — an apparent attempt at self-immolation, according to law enforcement sources and officials.

He coated himself with the accelerant a short distance from the sensitive Lower Manhattan site around 4:45 p.m., authorities and sources said.

Police took the man into custody.
(Man douses self in gasoline in apparent self-immolation attempt. New York Post. October 22, 2019.)


"immolation"(もしくは、動詞"immolate")が焼身自殺という日本語訳に結び付きにくい理由の一つとして、スペルがあるように思われました。

「火」や「焼く」というような意味合いを想起させる部分が無いからです。

そう思って語源欄を見てみると、"immolate"がそもそも意味するところは、いけにえを捧げる、ということなのだそうです。

"immolate"という動詞はラテン語のimmolareに遡るようですが、元々の意味は犠牲にするという意味であり、mola-の部分はいけにえに振り掛けた「聖なる粉」(ランダムハウス英和によれば、大麦パンだったようです)を意味したそうです。

ラテン語のmola-は粉をひく石臼のことで("meal"という単語もこのラテン語に由来します)、いけにえとして捧げられる動物にはその粉を振りかけたり、擦り込むという風習が古代ローマ時代からあったようです。

焼身自殺ではガソリンなどの引火性のある液体を被って自ら火を点けるわけで、その背景には「しばしば政治的、あるいは倫理的な抗議として特に言論の自由の無い、または制限されている状態下で行われる」(ウィキペディア)ということがあるようですが、自らをいけにえとして捧げる行為であるという点に重きが置かれていると解釈すべきでしょう。


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