ここ数日のバイデン大統領の舌鋒には鋭いものがあります。
1つには、今年行われる大統領選を争うことになるトランプ氏に対して。ウクライナ支援への反対やNATOの足並みを乱すような発言に対する批判の口調はこれまでになく強いものになっています。
もう1つは、ロシアのプーチン大統領に対して。反体制指導者であったナワリヌイ氏の獄中死はプーチン氏の手によるものと断じました。プーチン氏を"SOB"とまで呼んだのには驚きました。
President Joe Biden is embracing his bully pulpit as he calls out resistance from former President Donald Trump and Republicans on Ukraine and Russia.
The tactic – which is playing out mostly in off-camera fundraisers and in public events - has become more pronounced in recent days as the president has latched on to House Republicans’ refusal to approve additional aid for Ukraine and Donald Trump’s refusal to condemn Russia for the death of Alexey Navalny, Vladimir Putin’s top critic.
The president has turned up the heat on Trump and Republicans in California this week in a series of fundraisers, venues where the president tends to speak a bit more freely and bluntly.
(Biden embraces bully pulpit as he escalates fight against Trump and GOP over Russia. CNN. February 22, 2024.)
バイデン氏のこうした発言、とりわけヒートアップした状況を報じる記事に目が留まったのですが、引用したCNNの記事では、
bully pulpit
という表現が使われており、これは一体何だ?ということになりました。
"pulpit"とはご存知のように、演台のことです。そして、"bully"という単語はまず「いじめっ子」というのが思い浮かぶところですが、「いじめっ子の演台」では意味不明です。大統領はいじめっ子だとでも!?
"bully pulpit"という表現は手元の英和辞書には載っていないのようなのですが、American Heritage Dictionaryでは、
A position, especially a public office, from which one may expound one's views to a wide audience.
と定義されています。つまり、"bully pulpit"とは、例えばここでは大統領職のように、多くの人々に自身の考え、見解を発信することができる地位を指すもので、これはメトニミーの一種と言えるかと思います。
ところで、なぜ、"bully"なのでしょうか?
同辞書の語源解説によれば、"bully pulpit"なる表現を最初に用いたのはルーズベルト大統領で、"bully"が意味することは"splendid"(素晴らしい)という意味である、ということなのです。つまり、"bully pulpit"は「素晴らしい演台」ということなのです。
辞書で"bully"の形容詞の意味をチェックしてみると、
りっぱな、素敵な、素晴らしい
といったポジティブな意味合いがもあることが確認できるのですが、知りませんでしたね。
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