アメリカ大統領選はトランプ元大統領とカマラ・ハリス副大統領の大接戦、支持率では僅差との大方の予想を覆し、トランプ氏が大勝しました。
開票結果が出揃うまでに数日を要するとの報道もありましたが、投票日の夜にはトランプ氏の圧倒的な得票数が明らかとなり、あっけなく結果が確定した格好です。
敗北を喫したハリス氏は母校の大学でスピーチを行い、負けを認めました。トランプ氏には電話で祝意を伝えたと報道されています。
WASHINGTON — Vice President Kamala Harris, in her first public comments since losing the 2024 White House race to former President Trump, urged supporters to "accept the results."
But Harris on Wednesday afternoon emphasized that "while I concede this election, I do not concede the fight that fueled this campaign."
(Paul Steinhauser. Harris formally concedes one day after Trump's sweeping victory. Fox News. November 6, 2024.)
負けを認めるという英語表現には、
concede
という動詞が使われています。譲る、認容するという意味のラテン語cedoから来ている単語です。
辞書を引いてみると、"concede"に続けてthat節が来るパターンでは、that節の内容を真実、あるいは正当なものとして認める、是認する、という意味合いで用いられます。
また、含意としては、渋々、嫌々ながら、という含みがあります。
興味深いのは、このthat節の用法とはまた別に、
concede an election
という用例が載っており(ランダムハウス英和辞書)、選挙での敗北を認める、とあることです。
これは直接目的語を取るパターンということになりますが、
concede an election (to someone)
concede a victory (to one’s opponent)
のように、負けた相手についてto以下で示し、対象を譲る、相手に与える、という意味合いから来ています。また、最終結果を待たずに、という含みがあります。
そして、"concede"の名詞形である"concession"はやはり譲歩、容認という意味ですが、"concession speech"は敗戦の弁を述べることを指し、上で引用したハリス氏のスピーチというのはまさにそれに当たります。
Harris, in her concession speech on Wednesday, appeared to paint a contrast with Trump.
(ibid.)
余談ですが、日比谷公園に"concessions"という看板を掲げた小屋のような建物があります。
飲み物などを売っている「売店」なのですが、営業許可、販売権を意味する"concession"のことで、"concession stand"というのが売店を指すそうです。
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