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2026年2月24日火曜日

coprolalia

週末の22日に英国アカデミー賞の授与式が行われたそうですが、セレモニーの最中に起きたハプニングが波紋を拡げています。

そのハプニングとは、表彰式のゲストが突如として差別的発言をしたというものなのですが、悪意や意図があって行なったものではありませんでした。

トゥレット症候群は神経発達症に分類され、自らの意思で制御できない突発的な運動や発言、「チック」と呼ばれる症状が特徴的に見られる病気です。そのトゥレット症候群を患うゲストが"N-word"を発したということです。黒人の俳優が同席する中でのハプニングでした。


The BBC has apologised for not editing out a racial slur from its Bafta Film Awards coverage after a guest with Tourette's syndrome shouted out when two black actors were on stage. 

John Davidson, whose life story inspired the film I Swear, shouted the N-word as Sinners stars Michael B Jordan and Delroy Lindo presented the first prize of Sunday's ceremony.

(中略)

Tourette's is characterised by sudden, involuntary and repetitive movements or sounds, known as tics.

Between 10% and 30% of people with the condition have tics that produce socially unacceptable words such as swearing - known as coprolalia - according to the Tourette's Action charity.

Davidson, a Tourette's campaigner from Galashiels in Scotland, who was made an MBE in 2019, shouted loudly several times before and during the Bafta ceremony.
(Steven McIntosh. BBC sorry for airing racial slur shouted by guest with Tourette's at Baftas. BBC News. February 23, 2026.)


チック(tic)という言葉を聞いたことがあると思います。フランス語から来ているこの単語は、意図せず体の筋肉が収縮したりする症状を指しますが、身体に限らず言語上の不随意なチックというものがあり、"verbaltic"などと表現されます。同じ症状を指す言葉として、記事にはもうひとつ、


coprolalia


という医学用語が出て来ます。

この"coprolalia"とは汚言と訳されます。copro-という接頭辞は汚物(特に糞便)や猥褻なことを意味するギリシャ語koprosから来ています。また、-laliaという部分は話すという意味のギリシャ語laeinに由来します。

授与式の様子を放映したBBCは発言部分を削除せずそのまま配信、そのことで批判を呼び、最終的に謝罪しました。

2026年2月23日月曜日

squirm

祝日の月曜日をいかがお過ごしでしょうか。週末から気温が上がり今日はかなり暖かくなっています。風が強く、花粉も大量に飛散しているのが難点ですが。

さて、今日の1語は、


squirm


です。記事の引用をどうぞ。


Gavin Newsom squirmed as he was grilled Sunday over the rocketing cost of living crisis battering California.

The governor tried to brush off CNN anchor Dana Bash’s fiery questions, quickly pivoting to growth in the tech and agriculture sectors.

Speaking from Nashville ahead of the launch of his memoir “Young Man In A Hurry,” Newsom was pressed on families who had ditched the Golden State for Tennessee.
(Zain Khan. Gavin Newsom squirms as he’s grilled over soaring cost of CA living: ‘People are struggling… like your mom was’. New York Post. February 22, 2026.)


"squirm"を辞書で引くと、体をくねらせる、身悶えする、などという日本語が見えます。この体を「くねらせる」というのはミミズとか蛇、虫などが細長い体を捩ることです。人が体をくねらせるのは痛みとか不快や苛立ちでそうすることから、"squirm"とはそのような感情を反映した挙動という意味合いがあります。

Merriam-Webster Dictionaryの定義は、


to twist about like a worm


とあるだけで、不快感とか苛立ちといったことには一切触れていません。"fidget"の意味合いであるともありますが、こちらは落ち着かない、そわそわしている、という意味合いです。語源は不詳となっています。

一方、American Heritage Dictionaryも同じく語源不詳となっていますが、その定義は、


1. To twist about in a wriggling, snakelike motion; writhe.
2. To feel or exhibit signs of humiliation or embarrassment.


となっており、2番目の意味には負の感情からくるものであることが見てとれます。

いずれの辞書も語源不詳で一致しているところですが、一説によれば"squirm"という単語は、"worm"あるいは"swarm"という単語に関連付けられるとの見方もあるそうです。

そして興味深いのが研究社新英和大辞典の語源欄の解説で、"squid"(イカ!)と"worm"の混成語(つまりかばん語)かもしれないとの記載があります。それ以上の説明は無いので分からないのですが、(wormはまだ分かるとして)何故イカなのであろうかという気がします。

さて、引用した記事の内容はというと、カリフォルニア州知事のニューソム氏とCNNニュースのアンカーとの対談の内容に触れたものです。

物価高騰や住居問題などでカリフォルニア州ではとても生活出来ないという人々が州外に流出している現状を質されたニューソム氏が"squirm"した、というのがその内容です。

この対談の動画を視聴したのですが、インフレや"affordability"の問題、"housing crisis"などといった指摘を受けた知事は、カリフォルニア州の経済成長、特に人工知能分野や農業での成長を語り、世界でも有数の経済規模を誇る州になったと胸を張っています。元々感情をあまり外に出さないタイプのように思いますが、その際の知事の様子には身悶えるとか体をくねらせるというような様子は全く見られません。多少の不機嫌さみたいなところ、あるいは痛いところを突かれたみたいな部分はあったのかも知れませんが、ほとんど動揺する様子も無かったというのが正直な印象です。

では記事の"squirm"とは何を指しているのか?何と訳すのが適当か?という疑問に至ります。

上述したように"squirm"という単語の定義はいまいち明確でないという印象があるのですが、研究社新英和大辞典では、


ごまかして(罪などを)逃れる


という意味を載せています。

私見ですが、記事の"squirm"という表現が意図するところは、加州の住みにくさを指摘された知事が経済成長という別の次元の話を持ち出して言い逃れをした(話しをすり替えた)という見方なのだろうと解釈します。

ちょうど、掴もうとしたウナギが手からすり抜けていくみたいに。

2026年2月20日金曜日

plogging

小生はランニングが好きなので当ブログでもランニングやマラソンの話題を何度か取り上げてきました。今日の1語もジョギングに関するものです。

走ることを習慣にしてからもう17年くらいになりますが、ランナーが気楽に取り組むことのできるボランティア活動に「ゴミ拾いジョギング」というのものがあるということを知ったのは、小生が走るようになってまだあまり日が経っていない頃のことです。その頃はジョギングやランニングに関する書籍や情報を色々と収集していて、その中で知り、興味を覚えました。

「ゴミ拾いジョギング」と書きましたが、最近ではもっぱら"plogging"と呼ばれるようです。


Runners will take part in plogging for this year's Brighton Marathon.

Plogging, which means running and litter picking, has grown in popularity across the world since it started in Sweden in 2016.

The term combines the Swedish word plocka upp (pick up) with jogging and has already been a success in Brighton, with groups like Leave No Trace running plogging events.
(George Carden. The marathon runners picking up litter as they go. BBC News. February 18, 2026.)


引用記事によれば、"plogging"という単語はスウェーデン語で(ゴミを)拾うという意味のplocka uppと、ジョギング(jogging)を組み合わせたかばん語で、2016年頃から使われるようになったとあります。

来月開催される東京マラソンを前に、都内のコースで"plogging"イベントがあると聞きました。

ランナー、ジョガーが日々走る道には色んなものが落ちているというのはよく経験していることで、いつも走らせてもらっているコースを綺麗にしたい、と思うのは自然な気持ちであると思います。

小生はボランティア活動に特に熱心という訳ではありませんが、近所で開催される花火大会の翌朝に、会場の河川敷や緑道でのゴミ拾いをかねたジョギングを毎年行っています。軍手にゴミ袋を握りひとりで出掛けますが、家庭用のゴミ袋(大、45リットル)に入りきらないくらいのゴミが集まります。ゴミを拾っているとランニングはおろか、ジョギングにもなりません(苦笑)。また、花火大会のある夏は気温が上昇するので、結構身体にこたえます。

個人的には"plogging"という言葉より「ゴミ拾いジョグ」の方がどちらかと言うと性に合っているように感じます。



2026年2月19日木曜日

verklempt

ドイツ・ミュンヘンで安全保障会議が開催されている話題については先日も取り上げたところです。

今日引用する記事は、同会議に出席したオカシオ・コルテス議員の失態を取り上げた記事です。

記事によれば、パネル討論会では言葉に詰まったり、事実誤認の発言をしたりで精彩を欠いたものだったようです。


Multiple co-hosts of “The View” agreed that Rep. Alexandria Ocasio-Cortez, D-N.Y., had embarrassing gaffes on the world stage while in Germany for the Munich Security Conference.

One of the leading voices of the Democratic Party and a rumored 2028 presidential contender, Ocasio-Cortez has been ripped over several comments she made over the weekend — ranging from being confused about the location of Venezuela to stalling for nearly 20 seconds before offering that the U.S. should try to avoid reaching a clash with China over Taiwan.

Co-host Whoopi Goldberg introduced the clip of Ocasio-Cortez’s stammering answer, noting that “The right is seizing on how she was a little verklempt coming out of the gate.”
(‘The View’ co-hosts agree that AOC had embarrassing gaffes at Munich Security Conference. New York Post. February 18, 2026.)


オカシオ・コルテス氏は民主党の下院議員で、2028年大統領選への出馬も目される、若手ホープ的な存在です。その彼女が、想定される台湾有事に対する見解を尋ねられ、口ごもって殆ど要領を得ない回答に終始した一件では、外交問題に定見を持たないことが露見したと共和党側から揶揄されました。

テレビ番組のコメンテーターが、


she was a little verklempt 


と評しているくだりの"verklempt"とは変わったスペルの単語ですね。初めて見るように思います。

手元の英和辞書には載っていませんでした。American Heritage Dictionaryによると、("farklempt"という異綴りもあるようです)


Unable to speak because of emotion; choked up.


と定義されています。

感情が昂ってしまって言葉が上手く出てこない、そんな状況を指す表現のようです。

"verklempt"という単語はイディッシュ語に由来するとの説明があります。ゲルマン語系に連なるこの単語は、ver-は強意の接頭辞で、klemmenは押さえつける、締め付けるというような意味だそうです。

感情やプレッシャーなどに圧されてしまうという状況をいうのでしょう。

オカシオ・コルテス議員は今回のような国際的な会議での場数はあまり踏んでいないらしく、慣れないプレッシャーに戸惑ったのかも知れないという見方もあるようですが、台湾問題に関する発言や、ベネズエラを赤道より下に位置する国と発言したの動画を見る限り、単に勉強不足という気がしないでもありません。


2026年2月18日水曜日

infraction

本日もミラノ・コルティナ冬季オリンピックの話題です。

カーリングの試合で相手チームのルール違反の指摘を巡り紛糾、オリンピック委員会も巻き込む騒動となっています。

問題は、カナダ対スウェーデンの試合で、カナダの選手に対して、カーリングのストーンに2度触れたとのルール違反が申し立てられた、というものです。

カーリング競技のルールによると、"hog line"と呼ばれる、ターゲットの6.4メートル前に引かれたラインを超えてからはストーンにタッチすることは違反なのだそうです。

ストーンを狙った位置に如何に近いところで止めるか、カーリング競技の妙味はストーンにどのくらいの推進力を加えるか、微妙な手加減による数センチの正確さが勝敗を分けるところにあるそうです。

ルール違反を指摘したスウェーデンの選手に対し、カナダの選手が口汚い言葉で罵ったという事実もこのスキャンダルを大きなものにしました。


The foul in question is called double-touching. Under World Curling rules, when delivering a stone a player may retouch the handle as many times as they wish — as long as they do so before the hog line, the thick stripe that marks the end of the release zone. Touching the handle after the hog line — double touching — is not allowed.

(中略)

Modern stones have hog-line sensors built into the handles, so they reliably detect late release of the handle. But they don’t detect a brief touch on the granite itself. And without an umpire watching closely — or without video evidence — that kind of infraction can be difficult to spot.
(Kevin Baxter. Olympic curling scandal threatens to forever alter the sport’s culture of trust. Los Angeles Times. February 18, 2026.)


さて今日の1語ですが、「ルール違反」、「反則」を意味する"infraction"です。(紛らわしいのですが、スペルが一部分だけ異なる"infarction"という単語もありますが、こちらは梗塞という病名です。)

関連記事ではストーンがラインを超えてからタッチしたことを、cheat、foul、fault、violationといった単語で表現しています。一方、これらの単語と比べると馴染みが薄いと思われる、"infraction"という表現を使っているものが見られます。"infraction"はルール違反全般、その軽重を問わず使われる一般的な表現です。

その動詞は"infract"となりますが、語源的には"infringe"(他者の権利の侵害)と同じであると辞書の語源欄にはあり、壊すというラテン語の動詞frangereから来ているそうです。(断片を意味する"fraction"も同語源です。)

なお、このラテン語動詞には、約束を破る、という意味もあります。


2026年2月17日火曜日

clinical

ミラノ・コルティナ冬季オリンピックが盛り上がっていますが、スキーのスラローム競技の記事からの引用をどうぞ。


On Monday afternoon in Bormio, the Norwegian Atle Lie McGrath processed his grief in a novel way after the men’s slalom gold medal had slipped away. First, he threw his ski poles as far as he could and then he hid in the woods.

(中略)

Despite skiing in a blizzard, his opening run was smooth and clinical as he stopped the clock on 56.14sec.

That gave him an advantage of 0.59 over the Swiss world champion, Loïc Meillard, into the second leg. Several of his rivals – including Lucas Pinheiro Braathen, who won the giant slalom to give Brazil a first Winter Olympic medal in their history – had crashed out.
(Sean Ingle. ‘I just needed some time for myself’: Norwegian skier hides in woods after slalom gold heartache. The Guardian. February 16, 2026.)


記事はノルウェーのトップ選手が優勝を逃してしまったという話しです。レースの出だしは好調だったようですが・・・。記事のくだりに、


his opening run was smooth and clinical 


という部分があります。

"clinical"という表現が目に留まった次第です。臨床という意味がまずは思い浮かぶのですが、このコンテクストでは当てはまりません。

辞書を引いてみると、


Objective and devoid of emotion; coolly analytical
(American Heritage Dictionary)

Done or performed with excellence and precision 
(Merriam-Webster Dictionary)


などといった意味合いでも用いられると分かりました。こんな意味もあったの?と、またまた不勉強を恥じます。

"clinical"という単語はギリシャ語からラテン語を経ているのですが、遡ること印欧祖語klei-は横たわるという意味で、ギリシャ語klinikosはベッドのことだそうです。病人が横たわるベッドということから、臨床、病の治療に関する意味合いになったものです。

この"clinical"が、恐らくは臨床の現場やプラクティスから想起される、感情を極力排した客観性や分析的な態度を表す表現として使われるようになったのだと思われますが、それは1928年頃からのことらしく(Online Etymology Dictionary)、比較的最近のことのようです。

正確無比、精緻さという意味合いもやはり医学のイメージから想起されるものなのでしょう。

"clinical"という形容詞の用法としては珍しく、あまりお目にかかることは無さそうなので、記録としておきたいと思います。

2026年2月16日月曜日

This too shall pass.

ドイツ・ミュンヘンで安全保障会議が開催されています。各国の首脳や閣僚らが出席、ウクライナ問題を始めとして、世界情勢を巡る議論がされています。

その中では、トランプ米大統領の強硬的な外交姿勢も話題にのぼったようです。世界秩序に影響を及ぼす、ネガティヴな意味での取り上げられ方をした訳です。

トランプ政権からはルビオ国務長官がスピーチを行ったようです。一方、野党である民主党側からはカリフォルニア州知事のニューソム氏らが出席し、トランプ氏に対する批判的コメントがあったようです。トランプ氏の強硬的な外交姿勢が却ってEUの結束を強いものにしていると皮肉たっぷりに述べたとか。

ニューソム氏はまた、トランプ大統領の任期は残り3年であり、いずれ終わるともコメントしたようです。


US Secretary of State Marco Rubio was the centre of attention at the Munich Security Summit, as European leaders wondered apprehensively what tone he would strike in his remarks on Saturday.

While his speech did not fully allay their concerns, it has been viewed as a reassurance to allies that while US relations may have frayed under Donald Trump, they will not break.

Rubio's was not the only US political voice at the security summit, however.

And even if the secretary of state's remarks had not been so well-received – if he had sharply criticised Europeans the way Vice-President JD Vance did at the conference last year – there were other US politicians doing their best impression of the Persian poet, counselling: "This too shall pass."

"If there's nothing else I can communicate today," California Governor Gavin Newsom said at a conference event on Friday, "Donald Trump is temporary. He'll be gone in three years."
(Anthony Zurcher. 'Trump will be gone in three years': Top Democrats try to reassure Europe. BBC News. February 15, 2026.)


ニューソム氏の発言からの引用ということでは無いようですが、記事中、


"This too shall pass."


というフレーズが出て来ます。

和訳すれば、「これもまた過ぎ去る。」となります。物事に未来永劫というものはない、必ず終わりがある、というような意味合いですが、日本語で言う「諸行無常」のような概念を言い表す英語表現として定着しているものです。

関税やグリーンランド領有に関するトランプ氏のハチャメチャな言動に困惑しきりという状況ですが、それもいずれ・・・。

この表現の由来ですが、上記の引用にもありますように、ペルシャの詩人の言葉なんだそうです。

ネットを検索してみますと、以下のような記事に目が留まりました。


The phrase "this too shall pass" is often used to describe the impermanence of life and the need for longanimity in the face of suffering. Many people simply assume that the phrase comes from Sacred Scripture, but in fact it appears nowhere in the Bible. So where does it come from?

At first glance, the phrase sounds like it could be an aphorism from the ancient Greek philosopher Heraclitus, who believed the world to be in a state of constant flux. "You can't step into the same river twice," he said. Despite the similarities, however, the phrase "this too shall pass" is not found in the writings of Heraclitus.

Instead, many etymologists suspect the phrase was invented by medieval Persian poets belonging to a mystical branch of Islam called Sufism. It is interesting to note, however, that Jewish folklore also contains stories suggesting that the phrase originated with King Solomon.

In terms of its English usage, the phrase has been a part of our language since at least the mid-1800s.
(Clement Harrold. Is “This Too Shall Pass” in the Bible? St. Paul Center. February 6, 2025.)


"This too shall pass."というフレーズについては聖書、あるいはギリシャの哲人の言葉から来ているとする人もいるそうですが、実のところ聖書にもギリシャの哲人の著書にもそのものズバリの言葉は出て来ないそうです。


2026年2月13日金曜日

in or on?

13日の金曜日、です。(2015/2/132024/9/13

失礼しました。

ニューヨーク州知事のHochul氏がロングアイランド(Long Island)を訪問して市民らと交流、それをSNSに投稿したところが炎上しているという話しです。

Hochul氏は、


“I spent the day in Long Island talking with seniors, small business owners, and families,”


と投稿したのですが、何が問題なのか、お分かりでしょうか?

答えは以下の記事の引用に。


Gov. Kathy Hochul is getting roasted for saying she spent the day “in” Long Island — a gaffe that’s like nails on a chalkboard on the Queens side of the Whitestone.

The Democratic governor, who was raised upstate, made the mistake of using “in” instead of the preferred “on” in a since-deleted social media post that was preserved by a reporter and Long Islander who called it a “rookie mistake.”
(Brandon Cruz. Hochul makes ‘in’ Long Island faux pas that has locals going out of their minds. New York Post. February 12, 2026.)


SNSの投稿を見たユーザーが反応したのは前置詞の間違いでした。

知事はロングアイランドを訪問と言うのに、"in Long Island"としたのですが、この場合、"on Long Island"が正しい!

正直なところ、わたしも間違えてしまいそうです。

Hochul氏は民主党派ですが、その政策に反対する人たち、特に昨今の物価高に喘いでいる市民らからは不評で、SNSのタイムラインには知事への批判コメントで溢れています。その中には前置詞の誤用を指摘して、知事の資格が無いと言い切っているものも見られます。

今年11月に行われる予定の知事選で対立候補とされる共和党議員もこの誤用を論い、Hochul氏を攻撃しました。

Hochul氏自身誤用を認めたということでしょうか、"in Long Island"を改め、"on Long Island"と訂正した内容を再投稿していますが、一部支持者は、どうでもいい事、とも言っています。


One shopper, Joe, was fine with in or on.

“That’s kind of dumb — you’re on an island, but you’re in a town on an island, so there’s nothing wrong with saying either I don’t think,” he said.
(ibid.)


読んで納得、改めて前置詞inとonの使い分けを確認した感じです。

ロングアイランドはニューヨーク州にある、東西に長い島で、地図上にみるそれはとても大きい島に見えます。実際、最大長は190キロに及ぶといいます。知事はその広大さゆえに前置詞の選択を誤ったのでしょうか。

知事に反発する勢力による批判とは言え、前置詞の選択に目敏いのはやや意外に感じました。ロングアイランドは東西に長いと書きましたが、概して富裕層が多いとされるニューヨークシティに近い西部と、郊外の住宅地という位置付けの東部では意識の差もあるようです。つまり、ロングアイランドを島と意識するかそうでないかの違いともいえるかも知れません。富裕層のHochul氏(バッファロー出身)にはロングアイランドがしまであるという認識が欠けている、そう言いたいのかも知れません。

今日の1語はまさかの前置詞となりましたが、実は2回目、以前取り上げたのは"on"です。


2026年2月12日木曜日

ポーズ? ー pose

先週からアメリカ国内ニュースではトップで報じられている、女性ニュースキャスターの母親誘拐事件の行方が非常に気掛かりです。ほぼ毎日、何らかの更新がありますが、動機や犯人像、誘拐された母親の安否など、分からないことだらけです。。

アリゾナ州で発生したこの誘拐事件では、身代金の要求がなされたようですが、防犯カメラ映像に映った覆面の犯人映像が公開されたものの、特定には至っておらず、捜査する側も手こずっているようです。


Investigators trying to find Nancy Guthrie are posed with a daunting but familiar challenge in law enforcement: how to identify a masked person.
(Richard Winton. 'This kidnapping violates all the rules': Why cracking the Nancy Guthrie case has been so hard. Yahoo! News. February 12, 2026.)


詳細は記事をお読みいただくとして、最小限の引用をしました。"pose"という動詞が使われています。

ここでの"pose"は、


(難問・難題で)まごつかせる、困惑させる
(ランダムハウス英和辞典)


という意味です。正直を言いますと、改めて辞書を引いてそんな意味もあったんだと不勉強を恥じました。"pose"という単語は、写真を撮る時の「ポーズ」、ある姿勢を取る、という意味、また問題などを提示(提出、提起)する、置く、という意味だと暗記していましたが、その"pose"とはまた別のエントリ(単語)として載っているものです。

ところで先日、英単語を推測するワードゲームで、ヒントとして"Prepares to be captured in a photo"が与えられ、これは写真の時の「ポーズ」だとすぐに分かったんですが、"pause"というスペルの単語も浮かんできて、はて、"pose"だったか、あるいは"pause"だったか、と一瞬迷ったことを思い出しました。

"pause"は休止、一時停止、中断を意味する単語です。(ゲームの答えは"pose"ということになります。)

したがって、カタカナの「ポーズ」にあたる英単語は、


休止を意味する"pause"
姿勢を取る、置くという意味の"pose"
困らせるという意味の"pose"


の3つがあるということになります。

さて、本題はここからです。休止を意味する"pause"は同じ意味合いのラテン語pausaに由来し、それはさらに、休むという意味の後期ラテン語動詞pausareから来ていると語源欄にあります。意味も同じ、スペルも引き継いでいるので特に疑問ではありませんね。

一方、置くという意味の"pose"ですが、こちらも語源欄には、中期フランス語poser、もうひとつ遡るとラテン語動詞pausareから来ているとあるのです。そして補足説明として、「中期フランス語poserはラテン語ponere「置く、据える」の基本的語義を引き継ぎ」とあり、これは「おそらくposerがponereの過去分詞positumにたまたま似ていたことから」である、とあるのです。

これには少しびっくりしました。

フランス語やラテン語をある程度齧ったという人にはお分かりいただけると思いますが、置くという動詞の"pose"は、やはりラテン語で置くという意味の動詞であるponereから来ていると思っていたからです。上述の語源解説(ランダムハウス英和辞典)は、そうではない、と言っているのです。

同じようなスペルの単語、例えば、disposeやsuppose、proposeなど、これらの単語は一般的な接頭辞dis-やsup-、pro-などと、置くという意味のラテン語動詞ponereの組み合わせであると、知ったつもり、分かったつもりでいました。

ところが、これらの派生単語の語源欄を改めて確認してみると、接頭辞プラス、中期フランス語poserとはありますが、そこからラテン語ponereとの直接的な結び付きは無く、たまたま語義的に近しいラテン語disponereやsupponereにスペルが影響されたということなのです。

要するに、英単語の"pose"とラテン語ponereは直接のリンクは無いということになります。繰り返しになりますが、フランス語poserが、ラテン語ponere(またその過去分詞positum)に似通っていたことから、ラテン語ponereの「置く」という意味を持つようになったということなのです。(このあたり、当ブログがよく参考にさせていただいているOnline Etymology Dictionaryにも同様の解説があります。)

最後になりましたが、今日の1語、困らせるという意味の"pose"は"appose"という単語の頭音消失形であるとあります。そして、この"appose"は"oppose"(対置させる、妨害物として置く)の異形であるということです。


2026年2月11日水曜日

mandate

全国で雪が降る中の投開票となった週末の衆議院選挙は自民党が単独で3分の2以上の議席を獲得するという歴史的勝利に終わりました。

衆議院解散にあたって高市首相は、自身が総理大臣で良いのかどうかを問う選挙だと啖呵を切りましたが、高市総理を信任する結果となりました。

さて、その「信任」を意味する英語ですが、報道メディアでは"mandate"という表現が使われています。

選挙での勝利、イコール高市政権、また自民党への信任(mandate)、というものが多く見られます。いくつか拾ってみました。


Japan’s conservative Prime Minister Sanae Takaichi swept to a landslide victory in a snap election on Sunday, marking a historic turnaround for her party, which had been hemorrhaging voter support in recent years — until she stepped to the helm.

(中略)

It was a gamble to call a snap election. But Takaichi hoped to translate her own popularity into a stronger mandate for her Liberal Democratic Party (LDP) – which has been weakened in recent years by a scandal involving the misuse of political funds.
(Japan’s Takaichi secures historic supermajority in landslide election victory. CNN. February 9, 2026.) 


Takaichi’s strong mandate could accelerate her plans to bolster Japan’s defenses, further angering Beijing, which has cast her as attempting to revive its militaristic past.
(Japanese PM Sanae Takaichi’s party sweeps to massive election victory to keep ‘Iron Lady’ in power. Reuters. February 8, 2026.)


"mandate"という単語はラテン語の動詞mandareから来ており、その意味は命令する、指示する、というものです。よって、英単語の"mandate"も命令、指示、指図(要求)という意味であり、"mandatory"は強制的な、義務的な、という意味です。

これからすると"mandate"が「信任」を意味するというのはちょっと分かりにくい気もするかもしれません。

"mandate"はラテン語動詞mandareから来ていると書きましたが、動詞の過去分詞形mandatumが"mandate"になったもので、意味合いとしては、命令された(こと)、となります。指示された、託された(こと)、という意味であり、委任、委託という意味合いでもあるのです。

政治のコンテクストにおける「信任」の意味合いは後から加わったもののようですが、選挙の候補者に対し有権者が投票という形でお墨付きを与える、標榜する政策を後推しするというのは有権者の指示するところを実行せよとの命令であり、委任であると捉えるならば納得のいく話です。

以下、最後に引用するのは他所の国のお話ですが、逆に信任を失いつつあるという首相の件です。


Growing fragmentation within Starmer’s Labour Party—as well as a series of high-profile resignations at Downing Street—have tested the British leader’s mandate just 19 months after taking office.
(Alexandra Sharp. Will Britain’s Labour Party Survive the Epstein Files? Foreign Policy. February 10, 2026.)


2026年2月10日火曜日

breather

ミラノで冬季オリンピックが開催中です。各国の代表選手が鎬を削る中、ネットやSNS上での選手に対する誹謗中傷対策がこの時代には不可欠だという新聞記事を先日読みました。

ところで、アメリカのフィギュアスケート代表選手が記者会見でトランプ政権に批判的な見解を述べたところ、やはり選手のSNSアカウントには批難のコメントが殺到したということです。


American Olympic figure skater Amber Glenn said Saturday she will limit her social media intake after she said she received "hate."

Glenn was critical of the Trump administration in a pre-Olympics press conference earlier in the week, saying it had been a "hard time" for her and members of the LGBT community. It was one of a handful of political remarks U.S. athletes made in the lead-up to the Winter Games.

(中略)

"I did anticipate this but I am disappointed by it. I will be limiting my time on social media for my own wellbeing for now but I will never stop using my voice for what I believe in."
(Ryan Gaydos. American Olympian taking social media breather over 'hate' after Trump criticism. Fox News. February 8, 2026.)


この選手の例を待たずとも、一流のアスリートや著名人に対して寄せられる批判コメントというものは概して一方通行となり、1人に対して、実際の顔や姿が見えない多数が総勢で攻撃するような形になり、当事者は追い込まれてしまいます。

騒動を受けて選手はSNSの投稿を一時休止すると発表した模様です。

記事のタイトルには、


American Olympian taking social media breather over 'hate'


とあります。

"breather"とは呼吸を意味する"breath"、またその動詞"breathe"から来ています。

我々は普段の生活で呼吸しているということを意識することはあまり無いのではないでしょうか。呼吸を意識するのは息が上がるような時、激しい運動をした時かも知れません。"breather"には、息切れさせるような運動という意味があり、その意味からすると相反するようですが、息切れする運動から一転して一呼吸置くこと、休息を得るという意味でも使われるようになったようです。息抜きという意味がそうですが、活動の小休止を意味します。

以前取り上げた"breathing room"もご覧下さい。


2026年2月9日月曜日

backup

古くて新しい悩み、「お通じ」の話しです。

記事の引用をどうぞ。


Feeling backed up?

While there are plenty of foods and some health conditions that cause constipation, certain supplements may also be to blame.

(中略)

Just like any medications, vitamins and supplements can have side effects, like infrequent or painful bowel movements or changes in bowel habits.

And common supplements like iron, calcium and vitamin D can especially cause back-ups in your stomach and intestines.
(Rachel Sacks. Anti-poop pills: These 3 supplements can make you constipated. New York Post. February 8, 2026.)


お読みいただいて分かると思いますが、ビタミンなどをサプリメントとして摂取するとお通じに影響があるという話しです。

具体的には便秘(constipation)になりやすいということなのですが、記事中、


back-up (back up)


という表現が使われています。

カタカナで「バックアップ」とよく言いますが、データのバックアップだったり、支援とか後ろ盾、助力、また予備という意味合いで用いられることが多いと思います。

ここでの"backup"は滞留というような意味合いなんですが、American Heritage Dictionaryでは、


An overflow or accumulation caused by clogging or by a stoppage: a backup in the sink; a backup of traffic at the drawbridge.


と定義されています。

台所のシンクの詰まりや交通渋滞は"backup"なんですね。


2026年2月6日金曜日

unhoused

記事の引用からどうぞ。


A woke California school-board leader flipped out when a staff presentation used the word “homeless” instead of “unhoused” — while she was “personally offended” by the commonly used phrase.

(中略)

Flynn demanded the term be changed to “unhoused,” interrupting another board member who noted that “homeless” is the language used by the state of California.
(Nina Joudeh. Woke California school board member loses it when staff uses word ‘homeless’ instead of ‘unhoused’. New York Post. February 4, 2026.)


使う言葉の選択というのは難しいもので、何気なく選んだ言葉が差別的、侮辱的に捉えられるということはあります。ポリティカルコレクトネス(political Correctness: P.C.)と呼ばれる概念がそうですが、それが行き過ぎると今度は逆に"woke"だと言われたりもしますから難しいものです。

記事で問題になっているのは「ホームレス」(homeless)という表現ですが、差別的な表現と捉えられることもあり、その言い換えとしては"unhoused"が推奨されるということなのですが、知りませんでした。

手元にある英和辞典などを引いてみたのですが、古いためか、両者の表現の違いを説明したものは見当たりませんでした。

使い分けるようになったのは近年のことらしく、3年前のガーディアン紙の記事に以下のような内容を見つけました。


The term caught on. Gradually it spread among west coast professionals working with or advocating for people living on the streets, and then it made its way across the US. Adam Aleksic, a Harvard linguistics graduate who started the Etymology Nerd blog, noted its apparent first appearance on Twitter as another word for homeless occurred in October 2008. Around 2020, the use of unhoused began growing exponentially, according to Google Trends. Today, in mainstream articles and conversations, it’s synonymous with – and for many people, preferable to – homeless. While governments don’t yet widely employ it, some grassroots groups and scholars use it exclusively.

Critics have derided the new word as clunky and unfamiliar, potentially the product of woke virtue signaling. But those who have adopted it say it’s for the same reasons OSL originally did: to lessen stigma and to highlight that those lacking permanent roofs over their heads may still have communities or physical spaces they consider home.
(Amanda Abrams. Is it OK to use the word ‘homeless’ – or should you say ‘unhoused’? The Guardian. July 20, 2023.)


「ホームレス」に代わる表現として"unhoused"が登場したのは2008年のことで、その後2020年に急速に拡まったということです。

いわゆる「ホームレス」の人達は「ホーム」が無いのではなく、住居(house)を欠いているだけである、住居は無くとも心の拠り所となる"home"はある、というのが"unhoused"という表現を推奨する考え方にあるということです。



2026年2月5日木曜日

boondoggle

米カリフォルニア州での高速鉄道事業に関する記事です。

ニューソム知事肝いりのプロジェクトのようですが、150億ドルという巨費を投じた一大事業はあまり歓迎されていないようです。


Gavin Newsom claims to be a big numbers guy. But the billions he has poured into California’s High-Speed Rail boondoggle just don’t add up.

The Post has obtained records and photographs from the state’s High-Speed Rail Authority showing where the $15 billion spent over the past decade across five Central Valley counties has gone.

The images of completed segments paint a bleak picture — unless your kink is concrete and desolation.
(Josh Koehn. Gavin Newsom’s High-Speed Fail: Shocking pictures reveal true story of $15 billion boondoggle. New York Post. February 4, 2026.)


この高速鉄道ですが、2008年の計画当初はサンフランシスコとロサンゼルスを結ぶ路線として2020年代に開業する計画だったそうですが、大幅な工期の遅れと予算の超過により、現状では計画されていた路線の一部分を2032年に開通させる見通しだということです。

今日の1語、"boondoggle"の意味は、


(政略的な理由で連邦政府が資金を出す)無用な事業、プロジェクト
(ランダムハウス英和辞典)

An unnecessary or wasteful project or activity
(American Heritage Dictionary)


とあります。

地方自治体の箱物行政などが含まれる概念でしょう。

気になる語源ですが、"boondoggle"とは元々、ボーイスカウトが着用する、革紐を編んで作った飾り紐を指すものだったそうです。

その言葉が無用な事業の意味になったのは、1930年代の大恐慌下にあったニューヨークで失業者救済(ニューディール政策)の一環で、日がな飾り紐を作るプログラムというのがあって、それが無駄の象徴と報じられたことがきっかけだそうです。



2026年2月4日水曜日

“フラッシュ”ハンドル ー flush

小生はもうすぐ27年落ちになろうかという中古車に未だ乗っているのですが、一昨日そのクルマの後部座席ドアの外側ドアハンドルが壊れてしまいました。家族が開閉時にハンドルに力をかけてしまったそうなのですが、その際ヒンジのプラスチックが割れてしまったのです。古いものですから経年劣化もあったかとは思いますが、ドアハンドルに手をかけた際によろめいたらしく、通常よりもかなり強い力が作用したためかと思われました。近く車検を迎えますが果たして通るのかしらん。通るとしても何とか修理しなければ外から開けることが出来ないので困ったことです。

さて、前置きが長くなりましたが、偶然というか、今日はクルマのドアハンドルに関する記事からの引用です。

最新の電気自動車(EV)のドアハンドルは、旧来のクルマのそれと異なり、外側に出っ張ったものではなくて、一見すると引っ張るところが無いというデザインになっています。

テスラや中国のBYDが生産するEVがそうなのですが、埋め込まれているというのが正しいかもしれません。これらのドアハンドルは、所有者、即ちキーを持った人が近付いて触れようとするとハンドル部が飛び出してドアを開けることができるという仕組みになっています。

実のところ、小生も2年くらい前にテスラの試乗を体験したことがあり、この隠れたドアハンドルには戸惑ったものです。

ところが、この埋め込み型というか、隠れたドアハンドルは安全面での懸念があるのです。近年、EVの事故などで車内に取り残された乗客を助け出すのに、このドアハンドルが障害となる事例が複数報告されているというのです。

このようなEVのドアハンドルは電気で作動するため、緊急時に外部から物理的に開けることが出来ない仕組みであることが問題なのです。

中国ではこのタイプのドアハンドルを禁止する措置に踏み切ったとのことです。


China is banning hidden door handles on all cars sold in the country, becoming the first country in the world to target the feature – which was popularized by Tesla but has for years drawn concern over safety risks.

The hidden door handles are a signature feature of Tesla’s vehicles, and the ban comes as Elon Musk’s company reports declining worldwide sales and struggles with fierce competition in China, its second-biggest market.

On the outside, electric door handles sit flush against the side of the door, requiring a user to press down on the handle to release the lever; from the inside, riders press a button to open the door again.
(Jessie Yeung. China to ban hidden car door handles made popular by Tesla in world first. CNN. February 3, 2026.)


問題となっているドアハンドル、記事では、"hidden door handle"と表現されていますが、その説明に、


electric door handles sit flush against the side of the door


とあります。ここで、"flush"という表現が使われているのが目に留まりました。

"flush"という単語には幾つか異なる意味があるのですが、読者のみなさんにはパッと幾つくらいの意味が頭に浮かぶでしょうか?

トイレの水を流す、水が勢いよく流れるという意味の"flush"、顔が赤らむという意味の"flush"、これらは動詞ですが、同じ意味の名詞、そのあたりではないでしょうか。カメラの「フラッシュ」、こちらは"flash"ですから別ですよ。

ところが、ここでの"flush"は形容詞、あるいは副詞で、平面を為す、水平になっている、という意味なのです。


Having surfaces in the same plane; even
(American Heritage Dictionary)

having or forming a continuous plane or unbroken surface
(Merriam-Webster Dictionary)


(表面が)同じ高さの、水平な;(…と)同一平面を成す
同じ高さに;まっすぐ;同一平面に、水平に
(ランダムハウス英和辞典)


"hidden door handle"は別名"flush handle"とも呼ばれているようですが、"flush"とはそのドアハンドルがドアとほとんど一体化していて、ドアの平面と同一平面にある状態を指す表現なのです。

この"flush"なドアハンドルはEVに限らず最近の新車のデザインとして流行のようです。見た目の端正さに加え、走行時の空気抵抗を減らし(わずかながら)空力性能を高めると言われています。

しかし緊急時に外部からのアクセスが困難になってしまうというのでは本末転倒、今後は一転して規制の対象となり、メーカー各社は物理的な開閉手段を別途設置する必要性に迫られそうだとの見方です。

小生のオンボロ車もドアハンドルが壊れたままでは同じことですので何とかしなくては・・・。

2026年2月3日火曜日

au pair

米ヴァージニア州で起きた殺人事件のニュース記事から、冒頭部分の引用をお読み下さい。


A Virginia jury found Brendan Banfield guilty of killing his wife and another man as part of an elaborate scheme with the family’s au pair.

Prosecutors argued Banfield plotted with the au pair – with whom he was having an extramarital affair – to lure another man, Joseph Ryan, into their home with a fetish website and frame him for the murder of his wife, Christine Banfield.
(Brendan Banfield convicted of double murder in au pair affair trial. CNN. February 2, 2026.)


記事のタイトルに、"au pair affair"、本文中にも"au pair"という単語が出てきます。スペルからどうもフランス語のように見えますがどういう意味なのでしょうか。

Merriam-Webster Dictionaryでは、


a usually young foreign person who cares for children and does domestic work for a family in return for room and board and the opportunity to learn the family's language


と定義されています。住み込みで家事、育児を手伝う傍らで現地の言葉を勉強させてもらう外国人を指すもので、"au pair"はフランス語で、英語にすると"on even terms"(即ち、公平、同等の条件で、の意)ということだそうです。

カタカナではオペアというそうなんですが、不勉強にして知りませんでした。

ヴァージニアの事件は、同居していたオペアのブラジル人女性と不倫関係にあった容疑者が共謀して妻を殺害したというものです。

2026年2月2日月曜日

scupper

遅々として進まないロシアとウクライナ間の和平交渉ですが、アブダビで予定されている協議に関する最新の状況を伝える記事からの引用です。

アメリカがイランに対する外交圧力を強めている中、和平協議にも影響が出そうだというものです。


Rising tensions over possible US strikes on Iran have injected fresh uncertainty into the plans for senior Ukrainian and Russian officials to meet in Abu Dhabi this weekend for another round of talks. “The date or the location may change,” Ukrainian president Volodymyr Zelenskyy said. “From our point of view, something is happening in the situation between the United States and Iran, and those developments could affect the timing.”
(Ukraine war briefing: Zelenskyy fears rising US-Iran tensions will scupper key peace talks in UAE. The Guardian. January 31, 2026.)


週末に予定されていた協議は翌週にずれ込むか、開催場所も変更になるかもしれない、ということなのです。

記事のタイトルに注目したいと思います。


rising US-Iran tensions will scupper key peace talks in UAE


とありますが、ここで使われている動詞、


scupper


は初めて見るものでした。American Heritage Dictionaryで引くと、


To thwart or ruin


とあります。つまり、台無しにするとか挫くという意味合いであると分かります。

ところで、"scupper"には名詞として別のエントリもあり、こちらは船の甲板などに設けられる水抜きのための穴、排水口を指すようです。2つは全く別の単語なのか、それとも語源的に関連があるのか、という点が気になるところですが、どうも判然としません。

Merriam-Webster Dictionary(オンライン版)によれば、"scupper"の動詞の意味は、急襲してやっつける、殺す、という意味の軍事用語(俗語)から来ているとの解説があります。

一方のAmerican Heritage Dictionaryは、"scupper"の動詞の意味に、船を意図的に沈没させるという意味を挙げているのですが、語源に"scuttle"(船底に穴を空ける、の意)があるとしています。水抜き穴を指す名詞の"scupper"とも関連するような感じがしなくもないですが、名詞の意味と動詞を結び付ける明確なエビデンスは無いようです。

台無しにするという動詞の"scupper"は、目的語に"deal"や"business"、"peace talks"といったものを取る用例がコーパスで確認できます。これまで見たことがありませんでしたので新しく学んだという訳です。