今日はちょっと考えさせられる記事に巡り合わせました。ニューヨークタイムズ紙の記事なのですが、まずは下記のタイトルが目を引きます。
Human Costs Are Built Into an iPad
そりゃそうでしょう、どんな製品だって人件費がかかっていますよ、と思う人も多いかもしれません。とりあえず読み進めてみます。
The explosion ripped through Building A5 on a Friday evening last May, an eruption of fire and noise that twisted metal pipes as if they were discarded straws.
When workers in the cafeteria ran outside, they saw black smoke pouring from shattered windows. It came from the area where employees polished thousands of iPad cases a day.
Two people were killed immediately, and over a dozen others hurt. As the injured were rushed into ambulances, one in particular stood out. His features had been smeared by the blast, scrubbed by heat and violence until a mat of red and black had replaced his mouth and nose.
(Human Costs Are Built Into an iPad. The New York Times. January 25, 2012.)
昨年の5月のある金曜日にビルで火事による爆発があった、と記事は始まります。出火元はiPadのケースを磨く工程を担当しているエリアであったということです。4名が死亡、負傷者多数。記事では負傷者の1人について取り上げています。
“Are you Lai Xiaodong’s father?” a caller asked when the phone rang at Mr. Lai’s childhood home. Six months earlier, the 22-year-old had moved to Chengdu, in southwest China, to become one of the millions of human cogs powering the largest, fastest and most sophisticated manufacturing system on earth. That system has made it possible for Apple and hundreds of other companies to build devices almost as quickly as they can be dreamed up.
“He’s in trouble,” the caller told Mr. Lai’s father. “Get to the hospital as soon as possible.”
(ibid.)
負傷した22歳の男性は、事故が発生した工場に6か月前から働くようになったとあります。"to become one of the millions of human cogs"となるために。
"cog"とは歯車を意味する単語です。よく組織の歯車などと比喩的に表現しますが、ここでもその意味で用いられていると言ってよいでしょう。
Apple社をはじめとして多くのメーカーが中国などの人件費が安い国に製造拠点を持っていることは目新しい話でもありませんが、記事では劣悪な労働条件、安全性への配慮の欠如などについて批判的に取り上げられています。
従って、タイトルの"Human Costs Are Built Into an iPad"となるわけですが、少し考えさせられないでしょうか?
私自身はiPadもiPhoneも持っていませんが、買い物に出かけ店頭で手に取る物が"Made in China"であることはしばしばです。
あなたが手に取ったその製品は、安く使役された労働者の汗と血が滲んでいると考えるのはちょっと感傷的に過ぎるでしょうか?
冒頭の引用記事での男性(負傷者と紹介しましたが)は病院に搬送されましたが、全身やけどのため死亡したそうです。記事の後半では家族との悲壮な対面がつづられています。
この記事は随分長いものですが、一読の価値があると思います。
あなたが今手にしているピカピカのiPadは尊い命の犠牲なくしてはあり得なかったものかもしれないのです。
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