唐突ですが、“バケツリスト”(bucket list)って一体何の事だかご存知ですか?
用例は下記の引用を読んでみてください。
(CNN) -- One of the oldest existing man-made structures, more than 2,000 years old and a world-travel icon that ranks alongside the pyramids of Egypt and Stonehenge -- the Great Wall of China should be on every traveler's bucket list.
(Mark Orwoll. Dos and don'ts at the Great Wall of China. CNN. June 8, 2012.)
CNNのTravel(旅行)セクションからの記事ですが、万里の長城についての旅行指南です。"bucket list"が何を意味するかはコンテクストから大体想像がつきます。
エジプトのピラミッドやストーンヘンジと並んで、万里の長城は一生に一度は観光に訪れたいところ、つまり、"bucket list"は"wish list"、"to-do list"などとほぼ同義と捉えることが出来ます。
しかし、なぜ“バケツリスト”なのでしょうか?
この疑問に対する回答を求めるのにお手持ちの辞書を開いても答えはありません。(多分・・・。)
私もまずは、いつもそうするように、手元のランダムハウスやAmerican Heritageなどをあたりましたが、"bucket list"というエントリそのものがありません。続いてコーパスをあたったところ、"bucket list"の用例はいくつか認められました。上記の引用と同様のコンテクスト、意味で用いられています。つまり、やりたいことのリスト、です。
意味するところは大体わかるのだからまあいいや、という気もしなくはありませんでしたが、“バケツの”リストというのがどうも腑に落ちないというか、釈然としません。"bucket"に、水などを容れる容器としての“バケツ”以外の意味があるのだろうか、などと色々調べてみましたが手掛かりが掴めないでいました。
それで次の手段になる訳ですが、"bucket list"でググってみます。検索結果の上位に出てきたのが、"The Bucket List"という2007年の映画(邦題「最高の人生の見つけ方」)でした。Wikipediaによる、映画のあらすじの解説を読んでピンと来ました。
The Bucket List is a 2007 comedy-drama film directed by Rob Reiner, written by Justin Zackham, and starring Jack Nicholson and Morgan Freeman. The main plot follows two terminally ill men (portrayed by Nicholson and Freeman) on their road trip with a wish list of things to do before they "kick the bucket."
(Wikipedia.)
"a wish list of things to do before they kick the bucket"とある部分に注目です。"bucket list"の"bucket"とは、"kick the bucket"(死ぬ、くたばる、の意)の"bucket"に由来するもののようです。
オンライン辞書の類では"bucket list"がこの映画のタイトルに由来する表現であるとの語源解説をしているものも見られます。
たしかに、先にチェックしたコーパスの検索結果では、2008年以降の用例ばかりでした。その中から、2009年のニューズウィーク誌での用例を引用します。
At a Vancouver event recently, a guy got up with a bucket list of 100 things he had to do before he died, including getting naked in front of a large audience.
(Ramin Setoodeh. Smith's Newest Jones. Newsweek. 2009.)
なるほど、所有する手垢のついた辞書にエントリがないのもうなずけます。
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