最近30日間のアクセス数トップ3記事

2012年6月20日水曜日

最も不潔なのはTVのリモコン ― rack up

確か昨日あたりのYahoo! Japanのニュースヘッドラインでも出ていたのを見た覚えがあるのですが、宿泊先のホテルの部屋で最も不潔なところは部屋のテレビのリモコンである、という報告があるそうです。

今朝グーグルニュースのHealth関連記事を斜め読みしていたら、その元記事と思われるものに出くわしました。


Next time you enter a new hotel room, you might think twice before touching the light switch or reaching for the remote.

Those are two of the top surfaces most likely to be contaminated with potentially sickening bacteria, according to a small new study aimed at boosting cleaning practices at the nation’s hotels and motels.

Katie Kirsch, a University of Houston researcher, led a team that measured germs on everything from curtain rods to bathroom sinks in nine hotel rooms in three states.
(JoNel Aleccia. Germiest hot spots in hotels? TV remote, light switch, study finds. MSNBC. June 17, 2012.)


アメリカのUniversity of Houstonによる研究で、3つの州の9つのホテルでの調査を行った結果、ホテルの部屋の中で最も不潔な場所のトップ2として、部屋の電灯のスイッチとテレビリモコンが挙げられたということです。

これを書いている私は今ホテルに宿泊しているのですが、今さらながらスリッパや洗面所のコップなどにわざわざ消毒済みというカバーがかけられているのはそれなりの理由があるのだなあと思います。リモコンの方はそのようなことを考えたこともありませんでしたが、私は普段からテレビを見ませんのでホテルの部屋でもテレビのリモコンに触れることはありません。テレビを見る方にはちょっとショッキングな報告ではないでしょうか?

ところでどのように不潔さを評価したのかということですが、この研究では、病気の原因になる、連鎖球菌やブドウ球菌などの好気性バクテリア(aerobic bacteria)による汚染の程度をホテルの部屋内の色々な場所で定量したものということです。

具体的にどれくらい汚いかというと、下記の引用が示しています。


Top hot spots for aerobic bacteria in hotels turned out to be the bathroom sinks and floors, the main light switches and the TV remotes. The remotes, for instance, racked up a mean of 67.6 colony-forming units of bacteria, or CFU, per cubic centimeter squared.

For comparison, one study of environmental cleanliness in hospitals recommended a top limit of 5 CFU per cubic centimeter squared. Even using Kirsch’s relaxed proposal of 10 CFU, the TV remotes racked up way too many bugs.

The main light switches in the rooms were worse, with a mean of 112.7 CFU for aerobic bacteria. Even the telephone keypad was icky, with 20.2 CFU.
(ibid.)


1立方センチあたりの細菌の量という指標(CFU)において、病院での上限が10とすると、ホテルのテレビリモコンのそれは67.6にもなるそうです。部屋の電灯のスイッチに至っては112.7であり、如何に汚いかが分かります。

さて、今日取り上げる表現は、"rack up"という表現です。"rack"という名詞は、日本語でもラック
と言いますが棚のことを意味する他、物を掛ける台や架のこと、さらには中世の拷問台のことなど、色々な意味を持っています。

このような名詞の意味と上記に引用した記事のコンテクストから、"rack up"を"accumulate"(蓄積する)とほぼ同義と考えることはできそうです。実際、ランダムハウス英和を引くと、


(利益などを)蓄積する


という意味が出ています。また、”米話”として、


・・・を成し遂げる;(スポーツで)(点などを)取る


という意味もあることが分かります。このような意味からは"rack up"の使われるコンテクストがポジティヴなものに思えてくるのですが、引用した記事ではどちらかとネガティヴな意味で用いられているように思えます。

そこでコーパスを検索してみると、ポジティヴな意味と同じくらいに、ネガティヴな意味での用例が見られます。(むしろネガティヴなコンテクストでの用例の方が多いのではないかと思えるくらいです。)


In the years that followed, he racked up a laundry list of arrests. (Denver Post. 2009.)

In my first decade behind the wheel I drove much too fast, and I racked up a string of speeding tickets. (Newsweek. 2008.)

Sarkozy, for his part, has racked up a series of incidents that have raised eyebrows, though not yet hurt him in the polls. (Christian Science Monitor. 2007.)


辞書にもネガティヴな意味を載せても良いのではと思いました。

0 件のコメント:

コメントを投稿