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2012年12月4日火曜日

呑兵衛は遺伝!? ― hard-wire

イギリスBBCによりますと、大酒呑みの遺伝子(binge-drinking gene)というものが見つかったそうです。

その名は、RASGRF-2というらしいのですが、名前を聞いてもピンときません。尤も、一般の人にはピンと来ないのが普通かと・・・。


Scientists believe some people have a gene that hard-wires them for binge drinking by boosting levels of a happy brain chemical triggered by alcohol.

The gene - RASGRF-2 - is one of many already suggested to be linked with problem drinking, PNAS journal reports.

The King's College London team found animals lacking the gene had far less desire for alcohol than those with it.
('Binge-drinking gene' discovered. BBC News. December 4, 2012.)


この遺伝子の詳しい説明は記事を見ていただくとして、今日取り上げる単語は、


hard-wire


という単語です。"hardwire"という、ハイフンが入らないパターンもあります。この単語、はじめてお目にかかったので、どういう意味だろうかと辞書を引きました。

上記の引用では動詞として使われていますが、手元のランダムハウス英和では動詞のエントリはなく、"hard-wired"という、恐らく動詞の過去分詞形から派生した形容詞のエントリのみでした。

一方、American Heritage Dictionaryでは、動詞としてエントリされています。

まずは本来の意味と思われる定義が下記です。


To implement (a capability) through logic circuitry that is permanently connected within a computer and therefore not subject to change by programming.


コンピュータなどにおいて、ハードウェアとして組み込まれた機能のことを指していて、プログラミングなどにより改変することができないもののことです。要は、“後から変更ができない、変更が難しい”という点がポイントです。

この本来の意味から発展して、


To determine or put into effect by genetic inheritance
To provide with a response or capability by genetic inheritance


といった、遺伝に関する話題のコンテクストで用いられるようになったようです。

尤も、この単語は遺伝子が関与しているということに確信がないと使えないかというとそうではありません。我々は誰もがサイエンティストという訳ではありませんし、実生活では、多少の誇張は了解のうえで、人の行動や特性を遺伝によるものであると言ったりすることはよくあることで、"hard-wire"という単語もそのように使われることの方が多いようです。

要は、ある行動や特性について、それが容易に変えられないものであることを言いたい場合に、"hard-wire"が使われると言ってよいでしょう。

その意味では、呑兵衛というものはやはり簡単には治らないことはずっと昔から分かっていたことであり、今さら遺伝子が関与しているという話もサイエンスとしてはニュースなのかもしれませんが、分かり切ったことと言えばそうかもしれません。


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