最近30日間のアクセス数トップ3記事

2012年12月13日木曜日

波及効果 ― trickle-down

知りませんでしたが、先日グーグルのメールサービスであるGmailに不具合があったそうです。サービス中断は20分間ほどに及んだということです。


Many people were left frustrated yesterday when Google's popular email service Gmail crashed for around 20 minutes, but the cause of the crash portends big problems for future technology.

The dire warning comes after Gmail failed yesterday because of a glitch in Google's cloud-computing service Sync, according to Wired.com.
(Michael Blaustein. Gmail's crash a preview of future technology disasters. New York Post. December 11, 2012.)


私もGmailアカウントを持っていて日々アクセスするのですが、この記事に興味を持ったのは、


Gmail's crash a preview of future technology disasters


というタイトルに引かれたためです。今回のGmailの不具合がネット上で将来発生するかもしれない大規模なトラブルの前兆である、というように読めます。どういうことなのかと興味を持ったのです。

記事を読みますと、今回のトラブルはいわゆるクラウドサービスを管理するサーバーに不具合が見つかり、それがGmailやその他、クラウドサーバーに依存している全サービスに影響を及ぼしたらしいのですが、インターネットがどんどん進化していってこれからはクラウドが主流となることが予測される中、今回のような不具合がもたらすかも知れない不利益は計り知れないものになるかもしれない、というような論旨でした。

で、この記事の最後の段落にある締め括りが下記です。


Yesterday's problem at Google demonstrates the downside because any little glitch in the main servers will cause a trickle down of problems for every single user who tries to access the server.
(ibid.)


"trickle down"(恐らく、ここでは"trickle-down"とハイフンでつなぐのがふさわしいと思われます)が今日取り上げる単語です。

見慣れない表現ですが、元は経済用語のようです。ランダムハウス英和辞書では、“通貨浸透(説)”とあります。政府の財政支出を大企業に向けることで次第に規模の小さな企業や一般大衆にその効果が波及する、というような論理のことを言うようです。カタカナでも“トリクルダウン理論”として知られるそうですが、私は知りませんでした。

さて、難しい経済の理論は置いておいて、上記の引用記事における、"trickle down"はどのように解釈すべきでしょうか?

まず、"trickle"という動詞の意味をチェックすると、


(液体などが)少しずつ流れる; ぽたぽたと落ちる(流れる、落とす)


という意味であることが分かります。少量が移動するというイメージですが、経済用語の“トリクルダウン理論”も考えると、“波及”という言葉が思い浮かびます。

“浸透”でもよいかも知れませんが、ことGoogleのサーバーのトラブルについて、メインのサーバーでの不具合が、(クラウドサービスに依存しているサービスを利用する)全ユーザーに影響を及ぼす、というコンテクストであり、“波及”がふさわしいように思われます。


0 件のコメント:

コメントを投稿