"sell"という動詞が基本中の基本の単語であることに異論はないと思います。恐らく、学校の教科書では初年度のそれに出てくる単語ではないでしょうか。
そうです、“売る”という意味の動詞の"sell"です。
基本的な単語故に意外な意味があったり、様々な意味で使われることが多いというのはこれまでにも見てきたところですが、今日取り上げる"sell"の用法もそれに近いものだと思います。
下記は、シリアへの軍事介入に関するニュースのタイトルからの引用です。
Even after Senate vote, Syria is still a tough sell
(Aliyah Frumin. MSNBC. September 4, 2013.)
軍事介入にあたって議会の議決を求めるという判断をしたオバマ大統領ですが、最初のハードルである上院の委員会では賛成10、反対7で軍事介入が支持されたとのニュースです。
そこで上記に引用した記事のタイトルですが、上院での投票で可決はされたけれどもシリアはやはり
a tough sell
である、ということになると思います。
さて、"(a) tough sell"とはどういう意味なんでしょうか?
ここで、"Syria is a tough sell"とある部分の、"Syria"とは今問題になっている“(シリアへの)軍事介入”のことであると考えてよいと思います。
"tough"という形容詞から、困難なとか厄介な、つらいといったイメージがわいてきます。また、"sell"とは売る行為ですから、これらのことから、"tough sell"とは困難な売り込み、難しい商売、というような意味であろうと解釈されます。
ところで、"tough sell"に似た表現として、"hard sell"というエントリがランダムハウス英和辞書にあり、“押し売り”という意味の他に、“説得の困難な仕事、またその説得”という意味が載っています。
"tough sell"とはこの"hard sell"とほぼ同じ意味で使われていると思ってよさそうです。
下記にもう1つ用例として引用します。
It can be a tough sell persuading Washingtonians to allow their houses to be used as movie locations, said Brubaker. "Even if they are interested, their attitude is often not to show it," he added. In Southern California, by contrast, renting houses for movies has become a cottage industry. "People there build homes with film companies in mind," said Brubaker.
(The Washington Post. 1993.)
"persuading..."と続くフレーズが"tough sell"の解釈を助けてくれます。
もう1つ引用します。
Some skeptics, of course, cite their own analyses to question whether greenhouse gas emissions are really an urgent problem that needs to be fixed. And their opinions on the Internet have influenced others. But beyond that, psychologists say, the nature of climate change itself makes it a tough sell for many people.
(Associated Press. 2009.)
コンテクストを正しく理解するためにはできれば全文を読んだほうがいいのだとは思いますが、ここでの"(a) tough sell"は“受け入れ難いもの”というような解釈ができると思います。
こうしたいくつかの用例を見てみると、"tough sell"とは説得が困難な仕事という意味を始めとして、納得させるのが難しい案件、受け入れてもらうのにハードルがある事案、といったような意味合いで使われるのだと言うことができます。
2013年9月5日木曜日
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