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2016年7月29日金曜日

scuba

昨日、関東地方の梅雨明けが発表されました。例年より7日遅いそうです。夏本番です。海へレジャーに出かける季節となりました。

スキューバダイビングというものをやったことがないのですが、昨年末からスイミングレッスンに通っており、一度ダイビングを体験してみたいと思っています。

ところでスキューバダイビングのスキューバ(scuba)は略語だということをご存知でしょうか?

中辞典以上の辞書を引いていただければ多分解説があると思いますが、scubaとは、


self-contained underwater breathing apparatus


の頭文字を取ったものなのです。


2016年7月28日木曜日

batarang

ニュースのヘッドラインで"batarang"という見慣れない単語を目にしました。


Seattle man arrested after sticking police car with batarang

A Seattle man was arrested Monday after throwing a batarang at officers in an SUV, according to police.

The unidentified man was allegedly waving a knife attached to a metal pole at a bouncer in Emerald City before fleeing when police arrived.
(Christopher Brennan. Seattle man arrested after sticking police car with batarang. New York Daily News. July 27, 2016.)


小文字で"batarang"ですので固有名詞ではありません。コンテクストから武器の一種のようですが、果たして?

辞書には載っていません。グーグル検索すると画像が出てきて納得です。

どうやらコウモリ(bat)をかたどったような形をしたものです。その形状から、コウモリの形をしたブーメラン(boomerang)のことだと推察がつきました。

ちなみに他の記事では、"batarang"は引用符付きで用いられており、解説がついています。


A 23-year-old man was arrested Monday on Capitol Hill after he hurled a “batarang” — a throwing star in the shape of the Batman logo — at a Seattle police car, police said.
(Sarah Jarvis. Holy ‘batarang,’ Batman! Man hurls throwing star at Seattle police. Seattle Times. July 27, 2016.)


ところで、ブーメランと言えばオーストラリアを思い出しますが、"boomerang"という単語はオーストラリアの先住民アボリジニの言葉であるDharuk(ダルーク語)から来ているそうです。


2016年7月27日水曜日

pinky

本日は時事ネタではありません。(ニュース記事からネタを見つけられませんでした。)

親指の"thumb"に対して、小指のことを"pinky"(pinkie)ということをご存知でしょうか。

スペルからして、ピンク色の"pink"と関係ありそうですが、実はスコットランド方言のpinkjeに由来するそうで、ピンク色とは関係はないそうです。


A new line of anti-engagement 'self love pinky rings' have been designed to remind you just how important it is to make a commitment to loving yourself.
(Sophie Haslett. 'I choose MYSELF': The anti-engagement rings women are buying for themselves as a daily remember to 'self love.' Daily Mail. July 21, 2016)


女性が小指に嵌める指輪が婚約に反発して自分自身を主張するメッセージのためのものであるとは知りませんでした。


2016年7月26日火曜日

swag bag

アメリカは大統領選の話題一色です。民主党、共和党、両党の大統領指名候補者が確定したことで両者の争いは激しさを増しています。


Republicans have had “Enough” of Hillary Clinton.

GOP trolls have flocked to the Democratic convention and are handing out swag bags to Hillary haters — with goodies including rigged dice, microfiber towels dubbed “secret server wipers,” an official “HRC redaction pen” and a boxing-glove-shaped stress ball that says “fighting for Herself.”
(Daniel Halper. There’s some outrageous anti-Hillary swag at the DNC. New York Post. July 25, 2016.)


アメリカの独特の文化なのでしょうが、相手候補を口汚く貶すネガティヴキャンペーンが行われています。

もう10年以上前、2004年のことですが、アメリカに出張した際、ちょうど大統領選の最中で、街頭で"Fire Bush"という文字が入ったTシャツをもらったことがあります。当時は共和党からジョージ・ブッシュ氏、民主党からジョン・ケリー氏が争っていたものです。

この度のトランプ氏対クリントン氏の構図において、共和党によるクリントン氏へのあてつけは同氏が国務長官在任時のEメール問題ですが、”secret server wipers”なる文字が入ったハンドタオルを民主党大会の会場にまで行って配布するなど、ネガティヴキャンペーンもここに極まれり、といった感じです。

さて、”swag bag”という見慣れない表現に目が留まりました。

“swag bag”というのは、販促用のグッズなどを詰め込んだ布製の袋のことを言うそうです。(グッズというのは大体どうでもいいようなガラクタ品、例えばすぐに書けなくなってしまうようなボールペンみたいなものが多いのですが。)

“swag”には元々戦利品の意味合いがあるスカンジナビア語起源の単語だそうですが、”swag bag”もそうした戦利品を詰め込んだかばんのことだったようです。

2016年7月25日月曜日

ポケモンGoプレイでクビ ― on the clock

スマホアプリのポケモンGoが先週末日本でも配信開始となり、歩きスマホによる事故や立ち入り禁止場所などへの侵入、脇見運転による逮捕者が相次ぐなど、騒動が報じられています。

以下はニューヨークポスト紙からの記事を引用したものです。


Pokémon Go — the smartphone game that has smashed app records with more than 30 million downloads worldwide since its July 6 debut — has become an office staple in the past two weeks. And rather than put a ban on the game, in which users try to catch as many Pokémon as possible, some companies are instead choosing to embrace it.

“I’m OK with it in our office if people are going to analyze it,” says Jordan Edelson, Appetizer Mobile founder and CEO. He’s encouraged his employees — who build apps for a living — to play the game and learn what makes it so popular.
(Vicki Salemi. New Yorkers are losing their jobs over Pokémon GO. New York Post. July 23, 2016.)


社会現象とも言えるアプリとの付き合い方、特に職場での取扱いに頭を悩まされている会社がある一方で、上記の引用では勤務中での利用に寛容な会社もあるという話です。

尤もそのような事例はいわゆる同業他社でのことであり、就業時間中のゲームは常識で考えて許容されるものではなく、ポケモンGoで会社をクビになるという事態も発生しているそうです。


While this may seem like a gamer’s dream, the reality is that most companies are struggling to get employees to disconnect from Pokémon Go and other popular apps while they’re on the clock.

“Like any cultural trend, there will be employees who are addicted [to the game] or use poor judgment on separating work time from play time,” says David Barron, labor and employment attorney at Cozen O’Connor.
(ibid.)


"on the clock"という表現が出てきます。

随分前に、"clock on"、"clock out"という表現を取り上げたことがありますが、ここでの"clock"はそれらと同じくタイムレコーダーのことです。

日本でもそのうちオフィスでのポケモンGo禁止、といった話題が出てきそうな感じがします。

2016年7月22日金曜日

肉がお嫌い!? ― bone to pick

イタリアの地方都市の知事がベジタリアン宣言!?

知事本人がベジタリアンになるのは自由ですが、市民にもそれを要求となるとどうなんでしょうか?勿論、強制ではないようですが・・・。


The new mayor of Turin in the Piedmont area of Italy has a bone to pick with meat – she is seeking to turn the region into Italy’s first “vegetarian and vegan” city through the promotion of a meatless-diet, Italian media reported.

Mayor Chiara Appendino of the anti-establishment Five Star Movement is advocating for plant-based foods as an alternative to the authentic meat dishes that have inspired cooking in northern Italy for centuries.

Appendino, 32, who was sworn into office last month, making her the 20th mayor of Turin, pledged this week that the promotion of a vegetarian and vegan diets will be a “priority” in her administration in an unprecedented move in Italian government.
(Natalle Musmeci. Italian mayor wants all of her city to be vegetarians. New York Post. July 21, 2016.)


肉食ではなく、野菜中心の食事を推進するということのようですが、学校などの教育現場でも「肉食の短所」を教育していく方針ということらしいですから、やや過激な政策のようにも思われます。

記事の冒頭で、


(The new mayor) has a bone to pick with meat


とある部分に着目しましょう。

"have a bone to pick with"とは、with~以下の目的語について、「文句がある、苦情がある」、という意味の成句です。

ここでは、知事が肉(meat)について一家言あり、というような意味でしょうか。

ところで、"have a bone to pick with"がなぜこのような意味になるのか不思議ですね。"bone"を使った表現や成句にはこれまでも、


bone of contention
bare-bone
make no bones about


などを取り上げてきましたが、"have a bone to pick with"の"bone"とは何かにつけて諍いになるものという意味で、"bone of contention"のそれに近いように思えます。


2016年7月21日木曜日

サウジでポケモンGoは禁止 ― fatwa

ポケモンGo(Pokemon Go)というオンラインゲームがここのところ急上昇!?しています。

先日アメリカでリリースされたところ、スマホアプリとしてのダウンロード数が急増し、公共施設など街中で所構わずゲームに興じる人たちが批判されるなどしています。

日本でも公開間近ということなのですが、ちょうど夏休みのスタートと重なり、学校がアプリ利用についてのガイダンスを出すなど、騒がしくなってきています。

ところで、サウジアラビアでは、ポケモンGoを禁止するという御触れ(!?)が出されたそうです。


Top clerics in Saudi Arabia have issued a fatwa banning the playing of Pokemon Go as a form of gambling.

The decree was issued by General Secretariat of the Council of Senior Scholars on the website of the General Presidency for Scholarly Research and Ifta, Arab News reported Wednesday.

The edict actually updates an existing ban on the Pokemon card and video games before they morphed into the mobile phone virtual reality game that has swept the world.
(Doug Stanglin. Fatwa No. 21,758: Saudi clerics ban Pokemon Go. USA Today. July 20, 2016.)


「御触れ」という珍妙な日本語を使ってしまいましたが、記事では、


fatwa


という単語が使われています。"fatwa"というのはアラビア語なのですが、イスラム法の法解釈について宗教指導者が出す公式見解のようなものだといいます。

ポケモンGoはイスラム教が禁じるところのギャンブルに相当する、というのがその理由です。

"fatwa"という単語が英語に浸透してきたのは1989年頃、イランのホメイニ師が、作家のサルマン・ラシュディー氏の著作がイスラム教を冒涜するとして死刑宣告をした「ファトワ」がきっかけということです。(そのせいか、「ファトワ」、イコール「死刑宣告」という誤解もあるようです。)


2016年7月20日水曜日

better half

アメリカでは大統領選の話題がヘッドラインを独占しているように見えます。共和党の大統領候補にトランプ氏が正式に指名されました。

トランプ氏の妻であるメラニーさんが党大会で演説したそうですが、その内容がオバマ大統領のミシェル夫人が行った演説の内容と酷似していると早くも批判を受けています。


CLEVELAND -- The wife of the presumptive U.S. presidential nominee Donald Trump headlined the first day of the Republican National Convention with a rare public speech that resoundingly endorsed her husband.

"Donald is, and always has been, an amazing leader," a somewhat nervous-looking Melania Trump said Monday. "Now, he will go to work for you."
(Tomoko Ashizuka. Trump's better half steals spotlight. Nikkei Asian Review. July 20, 2016.)


引用した記事のタイトルに使われている、


better half


は「配偶者」のことを意味する表現です。

"better half"という表現は1570~80年代から使われているようです。

この表現は、ラテン語の、


animae dīmidium meae (half of my soul)


に由来するそうで、詩人が好んで用いたもののようです。配偶者に限定されたものではなく、親しい友人を指すのにも使われたようですが、今日ではもっぱら配偶者、それも妻の意味で使われます。

自身にとって大切な存在を、自分自身の「もう半分」(half)と表現することは納得できるところです。

ただ単に「半分」ではなく、より良い("better")とするのは相手を敬い、自分がへりくだってのことでしょうか。

このあたり、日本語とは少し発想が違うようにも思われます。日本語では配偶者(妻)を表現するのに、


伴侶
連れ合い
カミさん
女房


など、様々な表現があります。

「伴侶」というとニュートラルな感じですが、「連れ合い」、「カミさん」、「女房」などは、身内としての配偶者をへりくだって表現したもののように感じられます。


2016年7月19日火曜日

muggle

愚息はハリーポッターの映画が好きです。妻が買ったDVDが何巻か(多分現在までにリリースされたものは全部)自宅にあるのですが、雨の日など自宅でよく観ています。原作の本の方も読んでおり、マンガばかり読んでいると思っていましたが、結構分厚い単行本の活字を熱心に読んでいるので、子供を引き付ける何がしかがやはりあるのだろうと思います。

私個人はハリーポッターにはあまり興味はないのですが、DVDが再生されている場に居合わせるとつい観てしまいます。

さて、ハリーポッターは魔法使い養成の学校を舞台にハリーを初めとする少年少女達が活躍する物語ですが、いろんな魔法がありますね。まとうと姿を隠すことの出来るマント、つまり透明マント(invisibility cloak)はその1つですが、透明マントの実用化も近い!?というニュース記事から引用します。


Could Harry Potter's invisibility cloak be one step closer to becoming a reality? A research team from Queen Mary University of London's School of Electronic Engineering and Computer Science says it has demonstrated a cloaking device that could make curved surfaces look flat when encountering electromagnetic waves.

The demonstration is not quite on par with that seen in J.K. Rowling's wizarding world, but for mere muggles out there, the experiment marked a milestone, and it could have some practical applications in the engineering world.

The research team coated a surface with a nanocomposite material consisting of seven different layers with different electric properties for each layer. The result is material that concentrates the electromagnetic wave, "hiding" the object it is covering, which would normally scatter the wave in different directions.
(Brian Mastroianni. Scientists a step closer to making "invisibility cloak" a reality. CBS News. July 18, 2016.)


“muggle”という見慣れない単語が記事に出てきます。この単語、お手元の辞書に載っていないのではないかと思います。ランダムハウス英和辞書には、マリファナ、あるいはマリファナ喫煙者とあるのですが、ここでは当たりません。

“muggle”はハリーポッター作者のJ.K. Rowling氏の造語で、魔法使いではない、一般人を指す単語です。以下は、Oxford Dictionary(オンライン版)の定義です。


A person who is not conversant with a particular activity or skill


ところで、最初に引用した記事でもそうですが、”muggle”という単語は補足的な説明なく使われており、ある程度定着していると思われます。


Hogwarts School of Witchcraft and Wizardry is like no other place in any physical or literary existence. In no other realm of reality or unreality can you bear witness to regular people learning the ancient and mysterious art of magic. However, there is absolutely no reason to believe that there is anywhere for mere muggles like myself to learn it, either.
(USA Today, 2003)


いずれも文脈にハリーポッターが出てくるので、ベストセラーを読んだ読者であれば、”muggle”が何を意味するかは明らかなのでしょうか。


2016年7月18日月曜日

brainとbrawn ー brawn

何かと威勢のいい発言が多いのは周知の通りですが、共和党の大統領指名候補のトランプ氏がイスラム過激派のISISに宣戦布告しました。


Donald Trump said Sunday that as president he’d “declare war” on ISIS and “wipe out” the terror organization – all while minimizing US boots on Middle East ground.

The presumptive GOP nominee — appearing alongside running-mate Indiana Gov. Mike Pence — told CBS’s “60 Minutes” in an interview that will air Sunday night that it’s imperative for US-led forces to crush ISIS.

“We have to – we’re going to declare war against ISIS,” Trump said. “We have to wipe out ISIS.”

When asked how his approach would be any different than President Obama’s, Trump simply said his administration will use as much brain as brawn to defeat terrorists.
(Trump: I would declare war on ISIS. New York Post. July 17, 2016.)


トランプ氏のコメントに、


use as much brain as brawn


と出てきます。"brawn"という単語が使われているのですが、見慣れません。筋肉の意味ですが、比喩的に腕力のことを意味するのに使われます。

つまり、"brain"(知力)に対する、"brawn"(腕力)ということです。ただ軍隊を送り込むだけではなくて、頭脳戦でテロリストをやっつける、と主張したいようです。

"brain"と"brawn"はスペルがただ1字違いですが、語呂が良いところを取って、この2つが並記されることが多いようです。


In the past when he became disappointed or angry, he threw harder. Now, he's controlling his adrenaline. When he confronts a problem, he's more brains than brawn, changing speeds on hitters and locking them up with a big bending curve.
(Denver Post, 2011)


2016年7月15日金曜日

仏・ニースでテロ発生か ― score

今朝ラジオのニュースで、フランス・ニースで、フランス革命記念日の祝日の花火を観覧していた群集にトラックが突っ込み多数が死亡したという速報を聞きました。

テロの可能性があるそうです。

ニュースでは、80名程度が死亡、と報じていました。下記はニューヨークタイムズ紙からの引用です。


Scores Reported Dead in Nice, France, as Truck Plows Into Bastille Day Crowd

PARIS — A Bastille Day fireworks celebration was shattered by death and mayhem on Thursday night in the southern French city of Nice when a large truck barreled for more than a mile through an enormous crowd of spectators, crushing and maiming dozens in what the president called a terrorist assault. It came eight months after the Paris attacks that traumatized the nation and all of Europe.
(New York Times. July 14, 2016.)


記事のタイトルで、


Scores Reported Dead...


となっています。ここで、"score(s)"は「多数」を意味するのだろうと思いましたが、興味深いことに"score"は基本的には数字の20を意味するということをご存知でしたか?

"score"の語源をチェックしてみますと、羊飼いが羊を20頭ずつ数えて棒切れに目印を付けたことに因むそうです。(ランダムハウス英和辞書)

なぜ20頭ずつか、については詳しい説明はありませんが、手と足の指を合計したもののようです。

余談ですが、フランス語の数の表現は20進法的であると言われます。

フランス語で20は"vingt"ですが、例えば80は"quatre-vingts"であり、これは「4掛ける20」という意味です。

日本のメディアでの報道は「80名程度死亡」というものでしたが、"score"という表現を用いたのは記者に語源の知識があったのか、単なる偶然なのかは分かりません。


2016年7月14日木曜日

あっぷあっぷ ― tread water

果たして景気は回復しているのか?アベノミクスの是非が焦点となった参院選は与党の勝利に終わりましたが、景気回復の受け止め方は人によって異なり、微妙なところだと思います。

同じく、アメリカの失業率と雇用の問題も、ここのところずっと頭が痛い問題となっています。


Many American workers are treading water or worse, suffering from declining wages, thanks to an uneven economic recovery from the Great Recession.

That has prompted new economic research into what types of workers are benefiting the most in the post-recession years, leading some academics to note that occupations requiring college degrees are enjoying most of the gains. While pursuing a medical or legal degree is one way to earn a six-figure job, Americans have plenty of other opportunities to find high-paying work, but most involve specialized training, according to a new study from employment site Glassdoor.
(11 surprising jobs that pay more than $100,000. 10tv.com. July 13, 2016.)


上に引用した記事で、


tread(ing) water


という表現が使われています。初めて見たのですが、辞書を引くと、


(向上の努力なく)時間をつぶす
(ランダムハウス英和辞書)


と載っていました。いまいちピンと来ませんが、景気の問題に対して一人ひとりの労働者は無力だということでしょう。

ところで"tread water"は成句なのですが、水泳の立ち泳ぎの意味でもあるようです。Merriam-Websterの定義では以下のようになっていますが、これはまさしく立ち泳ぎのことを指しています。


to keep the body nearly upright in the water and the head above water by a treading motion of the feet usually aided by the hands


立ち泳ぎは泳法の1つだとは思いますが、イメージとしてはかろうじて頭を水面に出して、水中に沈んでしまわないように足を動かしている(tread)、というようなところがあります。

日本語で、「あっぷあっぷ」している、と言ったりしますが、まさにその表現がぴったり来ます。

上がらない給与水準、かつかつのところで喘いでいる、というところでしょうか。


2016年7月13日水曜日

pocket call

記事の引用をまずどうぞ。


FREDERICKSBURG, Va. – A 911 dispatch center in Virginia is under investigation after a man died when no one responded to his call.

(中略)

In the 18-second call to Fredericksburg City Dispatch, the dispatcher tried three times to make contact with Robert Paulus. After hearing nothing but an unidentifiable sound, the call was labeled a pocket call, where no call back is required.

Hours later, Robert Paulus was found dead.
(Virginia man dies after 911 call goes unanswered. Fox News. July 12, 2016.)


心不全を患っていた男性が発作で救急車を呼ぼうと電話したようですが、コールセンターとうまく繋がらず、助けを求めながらも得られずして死亡した、という記事内容です。

電話が繋がらなかった訳ではありません。繋がりはしたのですが、センター側の担当者は雑音しか聞こえないことを以って、"pocket call"と見做し、コールバックしなかったようです。

"pocket call"とは何でしょうか?

これは、ポケットなどに入れている携帯電話が勝手に通話状態になってしまうことを指しています。経験されたことのある人も多いのではないでしょうか。

"pocket dialing"、"butt call"などとも言われます。



2016年7月12日火曜日

fair game

勤務先のオフィススペースには社員が使う冷蔵庫がありますが、その日のランチを朝買ってきて冷蔵庫に置いておいたり、お土産のお菓子を保存したり、はたまた牛乳パックがあるかと思えば、納豆のパックがあったり、色々な人が好き勝手に使っています。私は個人的にオフィスの冷蔵庫をほとんど使用していないのですが、漏れ聞くところでは賞味期限切れの食べ物が放置してあったり、自分のものが無くなったり、とトラブルも少なからずあるようです。

こうした事情はどこのオフィスでも、洋の東西を問わずあるのでしょう。以下、ニューヨークポスト紙からの記事の引用です。


None of her co-workers will fess up to the crime, but one of them stole Noelle Mulholland’s lunch.

The burrito in question — a perfect mix of pulled pork, green chile queso, salsa verde, romaine, crispy tortilla strips, and manchego and Monterey Jack cheeses that the 25-year-old account executive goes gaga over — seemingly vanished from the office fridge and into thin air. The only evidence that it ever existed was the bag that Mulholland had used to carry it between purveyor Mexicue in NoMad and Phear Creative, the Flatiron-based ad agency where she works.
(Virginia Backaitis. I used a nanny cam to catch my co-worker stealing my lunch. New York Post. July 10, 2016.)


お昼ごはん用に買っておいたブリトーが無くなったというのです。

盗んだ犯人がいるわけで、その人が悪いのは百も承知ですが。以下は盗む側の言い分です。


“If it’s after 5 p.m. and the person has gone home, it’s fair game,” says the food thief, who asked his last name not be used so his eating habits could go undisturbed. He defends his habit by pointing out that day-old food is gross, and says that he leaves things that don’t perish as quickly — such as soda, yogurt and apples — alone.
(ibid.)


こういう盗みを仕出かすというのは、ある種、性癖みたいなものが大きく関係しているようです。

腐りそうな食べ物を見ると勿体なくてつい・・・、というところでしょうか。

ところで、"fair game"というのは、格好のターゲット、「カモ」ということです。17時以降は狙い目 ー つまり犯行時間帯となります。

被害を避けるには、自衛することに尽きるでしょうか。


2016年7月11日月曜日

woman's card

日本では週末、参院選が行われ、明けて月曜日当落の大勢が判明したところです。

アメリカでは、ご存知のように、大統領選の真っ只中です。


The woman's card? Hillary Clinton is playing it — and Donald Trump is helping her.

As the Democratic National Convention prepares to make history by nominating a woman for president, women in national polls are giving Clinton the highest level of female support of any candidate in more than four decades and the widest gender gap ever recorded. Clinton's lead of a yawning 24 percentage points in the latest Pew Research Center Poll — not only among Democratic partisans but also from women who typically vote Republican — is an electoral challenge for the GOP that imperils Trump's ability to win the White House.

In interviews with women across the country by the USA TODAY Network, some supporters are elated by the prospect of shattering what Clinton has called "the final, hardest glass ceiling," electing the first female president. "It's about time," says Stephanie Parra, 31, an education consultant in Phoenix. The Latina says Clinton is "breaking barriers for us."
(Susan Page. For Clinton, sisterhood is powerful — and Trump helps. USA Today. July 11, 2016.)


"woman's card"という表現に目が留まりました。

クリントン氏はアメリカ初の女性大統領候補と目されています。同氏を支持するのが女性であることは当然にも思えますし、女性蔑視の傾向が顕著なトランプ氏と対比すればなおさらではないでしょうか。

この"woman's card"という表現を今回の大統領選で頻回に目にします。


Donald Trump has accused Democratic front-runner Hillary Clinton of playing the "woman's card" to draw votes.
('Woman's Card' Comment Could Help Trump, Clinton. Wall Street Journal. April 28, 2016.)


Actress Jamie Lee Curtis introduces Democratic presidential candidate Hillary Clinton at a rally, loudly stating, "I'm going to play all of our women's card. We are playing with a full deck."
(Reuters. May 25, 2016.)


"woman's card"とはつまり、女性候補であるということを切り札にしているということでしょうか。


2016年7月8日金曜日

blimey

イギリスのEU離脱が国民投票の結果賛成多数となり、いわゆるBrexitが確定することになりましたが、英ポンドの下落を始めとして、色々なところで混乱が生じているのはご存知の通りです。

EUメンバーであることで人やモノの移動が自由だったものが、EU離脱後は制限が課せられるとの予測から、イギリスに拠点を置く企業は厳しい状況に直面するリスクが報じられています。

さて、少し前の記事からの引用になってしまいますが、Brexitに関する記事からです。


What the bloody hell is going to happen now that British voters have decided to leave the European Union?

In an unprecedented move, UK voters decided they would leave the 28-country bloc, shattering a decades long relationship established in the wake of World War II.

No country has ever voted to leave the EU before, which begs the question about what economic and political ripples this monumental decision will have.
(Laura Bult. Blimey! The Brexit is upon us — Here's everything you need to know. New York Daily News. July 24, 2016.)


記事のタイトルに注目してみましょう。


Blimey! The Brexit is upon us — Here's everything you need to know


"Blimey!"という見慣れない表現が使われています。

"blimey"というのは間投詞(感嘆詞)で、驚きや怒り、興奮を表す単語です。おや、とか、しまった、というような日本語が相当するようです。

"blimey"を辞書で引くと、"God blind me."が、"blind me"に省略され、それがさらにつづまって、"blimey"になった、とあります。

恐らく、"God damn it!"や、"Oh, my god."などのフレーズと同じようなものと思われます。

もうひとつ、"blimey"はイギリス英語で主に見られる俗語表現だということです。

"blimey"という以外に、"gorblimey"、"corblimey"というものも存在するそうです。


2016年7月7日木曜日

気をつけよう、甘い言葉と・・・ - hyperbole

日本国内は今週末の投開票となる参院選が熱気を帯びてきています。与党勢力が過半数を超える勢いなどと報じられています。

一方、政治資金の不適切な使用が糾弾されて辞職した舛添東京都知事の後任を決定する都知事選では候補者選びが混迷を極めています。

そしてアメリカでは、大統領選が民主党はクリントン氏と共和党はトランプ氏の一騎打ちとなっています。

国と政治のシステムは違えど、我々は政治家の主張に耳を傾け、支持する政治家や党を決めざるを得ません。しかし、選挙期間に立候補者が掲げる公約が守られたためしがあるでしょうか?


John Grothusen, a Donald Trump supporter, is frustrated. Some people — his neighbors, his sister — are put off by some of the candidate’s promises, like mass deportation of illegal immigrants and a ban on Muslim immigration.

“Why can’t people overlook the hyperbole?’’ asks Grothusen, a member of the Dodge County, Neb., Republican Committee.

For instance, he says the border wall Trump promises to build (and force Mexico to finance) is just a concept: “Does Trump have a specific wall plan in mind? I doubt it.’’ And Trump has of late refocused his immigration ban from Muslims in general to people from nations or regions with a history of terrorism.
(Rick Hampson. When it comes to campaign promises, presidents usually try, often fail. USA Today. July 6, 2016.)


トランプ氏がメキシコ国境に壁を建設し、その費用もメキシコ政府に負担させると主張していることはよく知られていますが、果たして実現可能なのでしょうか?

周囲の見方は懐疑的なようです。こういった主張というのは、"hyperbole"だというわけです。

"hyperbole"とは修辞法用語で、誇張法などと訳されます。Merriam-Webster Dictionaryの定義では、


language that describes something as better or worse than it really is


とあり、いわゆる「針小棒大」的な表現方法を指すと言えます。Merriam-Websterの解説がまた面白いのですが、"hyperbole"の語源について、


紀元前5世紀ごろのアテネの政治家Hyperbolus


に触れています。この政治家は「ぶち上げる」傾向があったらしく、民衆を扇動することに長けていたようです。(まさにトランプ氏のようではありませんか!?)

しかしながら、「誇張法」という意味の"hyperbole"の語源はアテネの扇動政治家の名前に由来するものではなく、投げるという意味のギリシャ語balleinに接頭辞hyper-が付いたものです。

参院選で追われる与党は、野党、民進党への当てこすりに、「気をつけよう、甘い言葉と民進党」、というフレーズで対抗しているようです。

「甘い言葉」とはまさに、"hyperbole"のことではないでしょうか。


2016年7月6日水曜日

drunkorexia

アメリカの大学で"drunkorexia"が問題になっているそうです。

一体、何のことでしょうか?


CLEVELAND, Ohio - More college students are skipping meals or vomiting so they can drink more without gaining weight or get intoxicated more quickly - a practice called "drunkorexia."

More than 80 percent of 1,184 college students surveyed said they had engaged in at least one behavior in the last three months that researchers considered to be related to drunkorexia.

The students, most of them from the University of Houston, had drunk heavily at least once in the past 30 days, Inside Higher Ed reported. Their behaviors included inducing vomiting, consuming laxatives or diuretics, or not eating anything before drinking.
(Karen Farkas. 'Drunkorexia' increasing on college campuses, study says. Cleveland.com. July 5, 2016.)


"drunkorexia"というのは恐らく、"drunk"(酔っ払った)と"anorexia"(拒食)を組み合わせたものと思われます。

アルコールを飲むために、また過度の酩酊状態を引き起こすためにわざと食事を摂らなかったり、食べたものを吐いたりする行為に及ぶことを指しているようです。


2016年7月5日火曜日

junket

"junket"という単語をご存知でしょうか?

私は初めて見たので意味も当然知りませんでした。取り敢えず記事を引用します。


The wide-ranging bribery and corruption indictments Bharara unveiled involve “some of the highest and most sensitive levels” of the NYPD, he said.

And the charges “tear at the very fabric of society” by making people “wonder whether those entrusted to protect and serve them are actually doing that.

(中略)


That was just the tip of the iceberg. The two also allegedly received private security details, expedited gun permits for people who’d paid thousands for them, help for their personal business and VIP access at special events.

Plus “considerable influence” over internal NYPD affairs, including promotions.

In return, the cops allegedly got costly trips, private plane junkets (including one with a prostitute), jewelry, home repairs and Christmas gifts hand-delivered by the two favor-seekers wearing elf hats.
(A Dark Day for the NYPD. New York Post. June 20, 2016.)


"junket"の元々の意味は甘いお菓子の一種のようです。グーグルで画像検索をしてみると、シャーベットかプリンのような、子供が好きそうなオヤツの画像がでてきます。多分、粉末を牛乳に溶かして、それを冷蔵庫で冷やしたり、凍らせたりして食べるものだと思われます。

上記に引用した記事での意味合いは勿論「オヤツ」ではありません。

辞書を引くと、大名旅行、などとなっています。つまりは、視察などの名目で、私費によらず贅沢ができる役得のことです。

"junket"は元々は釣った魚を入れて持ち帰るカゴのことだったそうですが、ピクニックに持って行くバスケットを指すようになりました。ピクニックが余暇における楽しみであることから、暗に高い地位にある人間が享受する贅沢な出張のことを指すようになったものと思われます。

どこかの国の首都のセコイ知事の話のようです。

2016年7月4日月曜日

スマホ中毒 ー pull

スマホとの付き合い方に悩む人は少なくないのではないかと思います。

“How to help keep teens off their smartphones”というタイトルを見て、まさしくその通り!と膝を打ちたい気分でした。


It’s summertime, the kids are out of school, and likely spending more time than ever on digital devices. In a recent poll of 1,240 teens and parents by Common Sense Media, a whopping 50 percent of kids admitted that they were addicted to their mobile devices, and 59 percent of parents said their kids just can’t keep their eyes off those colorful screens.

As a mom of a teen myself, I consider this one of the biggest parenting issues of our time, and was relieved to see the documentary Screenagers tackle it head-on.

(中略)

Framed with the overall narrative of “how much screen time is healthy,” Screenagers explores the science between the addictive pull of electronic devices and kids developing brains. It does a great job at least touching on most of worrisome issues surrounding kids and gadgets including fragile self-esteem, social isolation, and even digital addiction.
(Jennifer Jolly. How to help keep teens off their smartphones. USA Today. July 3, 2016.)


十代の子を持つ親にとって、スマホを子供に持たせるかどうか、既に持たせてしまっている人には、これでいいのか?という思いは絶えないのではないでしょうか。斯く言う小生も、スマホ(携帯)は持たせていませんが、愚息がソファーに寝そべってタブレット端末に費やしている時間に腹立たしくなることしばしばです。苦言を呈すると諍いに発展します。愚息を見ていると、ほとんど中毒なのではないかとも思えます。

引用した記事では”Screenagers”というドキュメンタリー映画が取り上げられています。これは是非見てみたい、と思います。(いずれ邦訳されて日本でも公開されるかも知れませんね。)

さて、このドキュメンタリーは、


explores the science between the addictive pull of electronic devices and kids developing brains


とあります。

ここでの”pull”の意味に着目したいと思います。”pull”は動詞で使われているのを見ることがほとんどだと思いますが、ここでは名詞です。Merriam-Webster Dictionaryの定義を見てみましょう。


an ability or power to attract someone or to make someone want to go somewhere, do something, etc.


知ってしまえば何と言うこともありませんが、人を引き付ける魅力、気を引くもの、という意味です。幾つか用例を見てみましょう。


When Dvorak's American contract expired in May, he was feeling the irresistible pull of his homeland.
(American Heritage, 1992.)


And Rolling Stone, in which that endorsement appeared, might not have made so complete a transition from underground music sheet to publishing powerhouse; during the years he wrote for the magazine, Thompson's outlaw prose had a magnetic pull on readers.
(Washington Post, 1993.)


スマホに”addictive pull”があるというのは多分その通りでしょう。"addictive"故に、発育途上の子供達に与える影響も心配です。

2016年7月1日金曜日

bootleg

街中で、スマホを使って写真やビデオを撮っている光景は珍しくもなくなりました。先日、久しぶりに美術館に出かけたのですが、展示には撮影可のマークが表示されているものと、撮影不可となっているものとがあり、撮影可の展示前では展示を写真に収めようとする人たちで混雑し、やや閉口しました。

撮影可と不可の区別はあるものの、それらの表示に強制力はありません。美術館の職員が傍に立って監視しているのがせいぜい抑止力になるくらいでしょうか。

ところが、技術的に撮影不可を強制することが可能になる日も近いようです。

アイフォーンを製造するアップル社がそのような技術の特許を出願したそうです。


If you’ve ever sheepishly held up your iPhone at a concert to record a video of your favorite band playing your favorite song, the day is likely coming soon when hitting record will result in nothing getting recorded. Why? Because Apple just patented a method to use invisible infrared signals to tell your phone that recording is a no-no at the big show. Or the movie theater. Or during your tour of Area 51.

The system works by using infrared light emitters that hit your phone’s camera system when you try to record something.

(中略)

When this tech might show up in your phone is still unknown, but when it does, it looks like it’s back to stuffing a camcorder down your pants to get that Dave Matthews Band bootleg.
(Caleb Denison. Apple wants to bust your bootlegs by blocking iPhone video recording at concerts. Digital Trends. June 30,2016.)


その技術と言うのは赤外線を利用したものだそうですが、アイフォーンのカメラ機能に作用して、撮影・録画機能を無効にすることができるそうです。

さて、引用した記事のタイトル、文中に、"bootleg"と出てきます。

"bootleg"というのは面白い表現で、昔アメリカで酒を密輸する際に、酒瓶をブーツに隠して運んだことに因むそうです。

密造酒、などと辞書に載っていますが、Merriam-Webster Dictionaryの定義には下記のようにあり、


an illegal copy of a video, CD, etc., or an illegal recording of a live performance


引用した記事での意味合いは「海賊版」とでもなりましょうか。

アップルが特許出願した技術は映画館やコンサートでの適用が考えられるそうです。尤も、これを回避するような抜け穴的技術が出てきたりしていたちごっこを繰り返すのでしょうけど。