飛行機というのはつくづくトラブルの絶えない乗り物のようです。巻き添えになった乗客にはご愁傷様です。
What began as a simple boarding dispute at Miami International Airport escalated into a tour de force of plane drama on Sunday as a belligerent passenger was repeatedly stunned by police, forcibly carried out of his seat, then driven through the terminal with his head hanging out the back of a golf cart like a man in a stockade.
All that was before, police say, Jacob Garcia lunged for an officer’s gun and kicked out a squad car window.
(Aci Selk. ‘Tase me, and you’ll see what happens,’ an American Airlines passenger said. Police did — 10 times. The Washington Post. April 23, 2018.)
マイアミ発、シカゴ行きの米国内線で男の乗客が隣の席に座る女性を触ったことからトラブルになり、警官が出動する騒ぎになりました。男は逆上し、これを取り押さえるため、警官が男に対してテーザー銃(taser)を10回も使うという大捕物になったそうです。
さて、飛行機に限らず交通機関での乗客同士のトラブルというものは日常茶飯事でしょうが、エスカレートして、
tour de force of plane drama
にまで発展した今回の一件ですが、”tour de force”という表現に着目したいと思います。
見た目(スペル)からもお判りのように、フランス語です。力業、偉業、力作、などといった訳語が辞書に載っていますが、記事のコンテクストではピンと来ません。
例えば、以下のような例文ではこれらの訳語がぴったりきます。
In Mr. Grigorescu's 1978 tour de force, "Dialogue With President Ceausescu," the artist plays the roles of interviewer and interviewee and gets to say exactly what he wants to a man he despises, fears and will never meet.
(New York Times, 2015)
“tour de force”の”tour”は英語の”tour”(ツアー、旅行)とは別の意味で、ここでは業(わざ)、技巧、といった意味です。”force”は英語に同じく、「力」のことです。
このように、”tour de force”は基本的にはポジティブな意味で、力作、偉業、離れ技、という意味で使われるのですが、今回引用した記事では敢えて皮肉として用いられていると考えたほうが良さそうです。
そう言えば日本語でも、「傑作」という言葉は文字通り、芸術や文学作品における金字塔的な作品を指しますが、一方で滑稽なくらい目立つ所業を指して用いられることもありますね。
そのような場合、敢えて、「ケッサク」などとカタカナ表記したりもしますが、引用記事での”tour de force”はこれに近いものと思われました。
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