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2022年11月11日金曜日

diabetes

今日の朝刊を読んでいたら、糖尿病を患う人の間で、病名を変えて欲しいという声が高まっているという記事に目が留まりました。

記事によると、排泄物が名称に入っていることで不潔な印象を与えるという理由の他、贅沢や怠惰、運動不足といったネガティブなイメージが先行し、病気の実態を表していない、という理由が挙げられているそうです。

そこで、糖尿病を意味する英語、


diabetes


を思い出したのですが、この単語の語源をご存知でしょうか?

"diabetes"はギリシャ語からラテン語を経て英語になっています。

dia-という接頭辞は"diagonal"といった単語に見られますが、斜めに、とか、横切って、という意味で、-betesの部分はギリシャ語bainein(歩いて行くこと)に由来します。大股で歩く、とか、通り過ぎていく、というイメージです。

また、"diabetes"にはコンパス(円を描く道具のコンパスです)、サイフォンの意味もあります。

つまり、"diabetes"という英語には、日本語の「糖尿病」に見られるような、排泄物としての尿の意味はありません・・・、と言いたいところですが、"diabetes"の語源はもう少し複雑です。

糖尿病という病気に"diabetes"なる名称を定着させたのは、American Heritage Dictionaryによれば、紀元後1世紀、トルコのカッパドキアの医師Aretaeusによる医学書だと言われます。

著書の中で、Aretaeusは"diabetes"という名称について、患者が(吸収した水分を体内から)尿として多量に排出することから、サイフォンに例えて解釈しました。

一方、他の説では、糖尿病患者において尿の排泄が増えるという症状と、脚を開いて排泄している格好(つまり、大股の格好)とを関連付けています。

上述したように、"diabetes"にはコンパス(円を描くのに使う文具)の意味もあり、こちらも2本の脚が開いたイメージです。

ということで、"diabetes"という単語自体には「尿」という文字や意味が含まれているものではありませんが、語源的には関連がある、ということになるでしょう。

なお、一般に言う「糖尿病」の正式名称は、


diabetes mellitus


ですが、この"mellitus"は蜜の(honey)、という意味のラテン語で、「糖」に相当します。(糖尿病はかつて「蜜尿病」と呼ばれていました。)

11月14日は世界糖尿病デー、11月は糖尿病予防月間です。

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