英国のニュースを見ていますと、バッキンガム宮殿での人種差別発言のスキャンダルが報じられていました。
故エリザベス女王に仕え、今はカミラ王妃の侍女であるSusan Hussey氏は、王妃主催のパーティーの招かれていた女性に対して出自をしつこく尋ねるなどしたそうです。女性が抗議、差別発言を含む詳細なやり取りが公開される中、Hussey氏は辞任。招待客は慈善団体の代表で、黒人でした。
The late Queen’s longest-serving lady-in-waiting resigned on Wednesday after being accused of “interrogating” a Buckingham Palace guest about where she was “really” from.
Lady Susan Hussey, who had stayed on in an honorary role to support the new King, was said to have made “unacceptable and deeply regrettable comments” to a black, British-born domestic violence campaigner after asking her “what part of Africa” she was from.
(Queen Elizabeth's aide, Lady Susan Hussey, resigns amid racism row. The Telegraph. November 30, 2022.)
英国王室の人種差別が絡んだスキャンダルと言えば、ハリー王子と結婚したメーガン元妃に関する一件が思い起こされますが、インディペンデント紙のオピニオン記事は、英国王室の体質として差別的なものがあり、今更驚くような話でも無い、と辛辣です。
以下、批判記事のくだりからです。
For the avoidance of doubt: allowing Lady Hussey to resign, muttering hollow apologies and effectively writing this off as an isolated incident would be a total cop-out from the palace where inequalities are baked into its very core.
(Nadine White. Is anyone really surprised by racist remarks at the palace? The Independent. November 30, 2022.)
今回のスキャンダルを受けての王室の対応を批判するものですが、
a total cop-out from the palace
とある部分の、"cop-out"という表現の意味が分からず辞書を引きました。
"cop-out"というのは俗語表現で、
責任逃れ、言い逃れ
という意味だそうです。
"cop"というとご存知の通り、警官のことで、動詞の"cop"には捕える、つかまえるという意味があります。(ラテン語capere、英単語の"catch")
この"cop"から"cop-out"の意味合いには結び付きにくいのですが、"cop out"には、止める、手を引く、という意味があり、責任逃れ、という意味につながるようです。
ところで、"cop-out"の用例を検索していたら、先日エジプトで開催されたCOP27(気候変動枠組み条約締結国会議)に掛けてこの表現を使っているものが多くヒットします。
COP27 is a cop out
(The Ecologist. November 19, 2022.)
記事の内容はというと、温室効果ガス削減目標の数値などが先行し、具体策や進捗の乏しさが目に付くといった論調のもので、温暖化対策に伴う参加各国の対応では、如何に自国に不利益とならないようにするか、様々な思惑が交錯するとも言われますが、"cop-out"という表現がシャレとしてもぴったりだったものと思われます。
ところで、"cop"という単語はなかなか曲者です。
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