2023年のノーベル物理学賞が欧米の3氏に授与されることが発表されました。
ニュース記事などによりますと、電子(electron)の動きを観測するためにごく短い時間だけ光るレーザー技術を開発したことが評価されたということです。
同じタイミングで発表された医学賞、生理学賞の方は、新型コロナウィルスのワクチン開発につながったメッセンジャーRNA(mRNA)の研究者に授与されましたが、一般人にはこちらの方が馴染みが深いせいか、物理学賞の授賞理由は素人にはピンと来ません。
ニューヨークタイムズ紙から引用です。
The Nobel Prize in Physics was awarded to Pierre Agostini, Ferenc Krausz and Anne L’Huillier on Tuesday for techniques that illuminate the subatomic realm of electrons, providing a new perspective into a previously unexplored domain.
Electrons move at a whopping 43 miles a second. This speed has long made them impossible to study. The new experimental techniques created by the three scientist-laureates use short light pulses to capture an electron’s movement at a single moment in time.
(Nobel Prize in Physics Awarded to 3 Scientists for Illuminating How Electrons Move. New York Times. October 3, 2023.)
電子の動くスピードというにはものすごい速いそうで、何と秒速43マイル(!?)なんだそうです。故に電子の挙動を観測することはこれまで困難とされていました。
電子の挙動を観察するためにはごく短い時間だけ光るフラッシュのような技術が求められていたということなのですが、「ごく短い時間」というのがこれまた常人の理解を超えた世界の話で、
attosecond
という単位なのだそうです。これは10のマイナス18乗秒(one quintillionth)のことで、日本語では「アト秒」と訳されています。
To study the movement of electrons, the scientists had to use pulses of light that last only on the scale of attoseconds; an attosecond is one quintillionth of a second. The number of attoseconds in a single second is the same as the number of all the seconds that have elapsed since the universe burst into existence 13.8 billion years ago, according to the Royal Swedish Academy of Sciences, which awards the Nobel Prizes.
(ibid.)
上述の通り、"attosecond"のatto-は、10のマイナス18乗を表す接頭辞なんですが、国際単位系(SI)で定められているものです。
調べてみると、小生も「マイクロ」、「ナノ」、「ピコ」までは聞いたことがありますが、その次が「フェムト」、次いで「アト」と続きます。
atto-という接頭辞はデンマーク語の数詞で18を表すattenから来ています。
ちなみに、「フェムト」(10のマイナス15乗)もデンマーク語で15を表すfemtenから来ています。
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