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2023年10月19日木曜日

have skin in the game

パレスチナ自治区を実質支配するハマスとイスラエルの対立において、アメリカはイスラエルを支持する立場ですが、バイデン大統領はエルサレムを訪問、ネタニヤフ首相と面会し、改めて同国への支援とハマスに対する批難の姿勢を明確に示しました。

下記に引用するのはCNNのオピニオン記事からです。

長くなるため、前後を省略していますが、文中の"he"とはバイデン大統領を指します。今回の訪問がイスラエルのハマス撲滅という目標達成を支援するものであるという前段があって、以下の記載となります。


In doing so, he’s taken on considerable risk. He committed himself and the US to a certain cause, and now he has skin in the game.
(Shmuel Rosner. Opinion: The price tag that comes with Biden’s trip to Israel. CNN. October 18, 2023.)


イスラエルを訪問したバイデン氏は


has skin in the game


ということなのですが、この表現を知らず、辞書を引くのですが、載っていません。

前段には"considerable risk"という記載や、記事を読み進めると、


In an election season, what this means is that Biden took a huge gamble.
(ibid.)


といったくだりもあり、

"have skin in the game"とはリスクを犯すとか、賭けに出る、というような意味があるのかと思われました。

ネットで検索しますと、"skin in the game"とは成果を得るための投資というような意味があるらしく、"have skin in the game"には起業家などがある程度のリスクを覚悟しながらも自己資金を事業に投じる(投じている)というような意味合いがあるようです。つまり結果責任を負っている、ということですね。

このオピニオン記事の論調として、イスラエルの同盟国としての米国、その大統領が戦時のイスラエルを訪問し、支援姿勢を見せることに伴うリスク、その代償といったことに焦点を当てているということがあります。記事中、アフガニスタンからの米軍撤退という過去についても触れられていますが、中東紛争の泥沼に巻き込まれた挙句・・・、というような論調です。

さて、"have skin in the game"という表現に話を戻します。

"skin"は皮膚、肌の意味ですが、この表現においては先程も触れたように、投資(intestment)、また利害関係(stake)の意味合いがあるようです。

しかしながら、色々な辞書を当たってみましたが、"skin"のエントリにこの表現を載せているものは無く、また投資や利害関係といった意味合いも見当たりません。"have skin in the game"という表現がしっくりこないのは、"skin"の解釈にあるように思います。つまり、肌とか皮膚には全く関係が無いのです。

この表現の由来、とりわけ"skin"の解釈についてはゴルフに由来しているという説明が見られます。


Skins is a game in golf where players compete for a prize – usually money – on every hole. The prize at stake is called the ‘skin’.


ゴルフで"Skins"と呼ばれるものがあるそうなのですが、つまりは賭けゴルフのことで、ホール毎にプレーヤーがお金を賭け、そのホールで勝ったプレーヤーが賭け金を得る、というものだそうです。

"Skins"に参加するプレーヤーはお金を張る訳で、負ければお金を取られてしまいます。

つまり損失を被るかも知れないゲームに参画している、というのが"have skin in the game"の言わんとするところであり、「ゲーム」とはイベント、活動、目下課題になっていることの比喩です。

バイデン大統領はイスラエル訪問によって、またイスラエルが必要とする具体的な支援の提供を約束したことで、新たな中東問題に「首を突っ込む」ことになった、それはもしかしたら高い代償を払う結果になるかもしれない、ということでしょう。

ちなみにゴルフの"Skins"では勝者が決まらない場合は賭け金は次のホールの勝負に持ち越され、次のホールでも勝者がいなければ更にその次、というように続くそうです。勝者は積み上がった賭け金を総取りすることになるそうですが、一旦ゲームに参加したら途中でやめるわけにも行かず、負けた時の損失は大きなものになりそうです。

長期化しかねない中東問題に首を突っ込むのは、次期大統領選に名乗りを上げているバイデン氏にとっては確かに大きなリスクになる可能性がありそうです。


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