少し前から気になっていたのですが、"gluten-free"なるキーワードが海外、特にアメリカで大いに話題です。Google Newsのキーワードで、大統領選などと並んで、"gluten"が上がっていることもありました。その時は中身にあまり関心も無くスルーしていたのですが、今日、とある記事を読んでなるほどそういうことだったのかと分かった気がしました。
Once you've spotted gluten-free shampoo on the store shelf, you know the trend's gone too far.
Whether food contains gluten - a protein found in wheat, rye and barley - used to concern a relatively small group of people who suffer from celiac disease, an autoimmune reaction to gluten in the small intestine. While growing numbers of people have been diagnosed with the disorder over the last decade, the crowds that have jumped on the gluten-free bandwagon for other reasons outstrip them.
Gluten never was in most shampoos, by the way, save those containing wheat germ oil. Unless you plan to drink it, it's harmless since gluten must be ingested for the body to react, says Peter Taylor, executive director of the Canadian Celiac Association.
(Erin Ellis. Gluten-free trend has legs, for now. The Vancouver Sun. October 14, 2012.)
グルテン(gluten)とは小麦などに含まれるたんぱく質の一種ですが、セリアック病(Celiac disease)と呼ばれる自己免疫疾患の患者がこれを摂取すると、腸内に炎症を生じるなどの症状が発生し、ひどい場合には死に至ることもあるそうです。
ところが、いつの間にやらグルテンを避けることがダイエット、つまり痩身に良い、というような風説が広まり(これには、アメリカの”激ヤセ”セレブの一部がツイッターなどでグルテン忌避を広言したことなどが原因とも目されています)、一般大衆の多くがそのような主張に盲目的に従っているという状況があるようです。
そして、記事にありますように、ついには"gluten-free"のシャンプーまでお目見えしたとか!?
"We see the market for gluten-free going crazy," says dietitian and author Shelley Case...
(ibid.)
とありますが、まさしくクレイジーではないでしょうか?
今日は、"bandwagon"という単語を取り上げましたが、"bandwagon"とはお祭りパレードなどで音楽隊を載せたワゴンや車列のことを指しています。American Heritage Dictionaryでは、"Informal"として、
A cause or party that attracts increasing numbers of adherents
(何やら最近の”維新”を想起させます・・・)
という意味と、
A current trend
という意味を載せています。要するに流行(トレンド)のことです。”グルテンフリー”は医学的、科学的な話を飛び越えて(自己免疫疾患に苦しむ患者にとってはシリアスな話ですが)、1つの流行になってしまったということです。
"bandwagon"については、"jump on the bandwagon"という成句で用いられることが多く、上記の引用でも、
the crowds that have jumped on the gluten-free bandwagon
となっています。"bandwagon"が使われるのは、大抵の場合において、政治のコンテクストにしろ、大衆受けする商品やサービスにしろ、一時的な流行、時流を批判的に表現する場合です。Collins-Cobuild Dictionary of Idiomsでは、下記のように解説されています。
If you say that someone, especially a politician, has jumped on the bandwagon, you disapprove of their involvement in an activity or movement, because you think that they are not sincerely interested in it, but are involved in it because it is likely to succeed or it is fashionable.
つまり、"bandwagon"とは皮肉の表現であると言えるでしょう。
意外にも、日本では(まだ)グルテンで大騒ぎしていないようですが、踊らされてはいけない、ということではないでしょうか。
大分前にたまたま見かけた雑誌New Yorkerの風刺画(cartoon)がまさしく踊らされる大衆を描いているようです。
"I have no idea what gluten is, either, but I'm just avoiding it, just to be safe."
(Alex Gregory. New Yorker Cartoon. Item #8770827.)
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