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2012年10月31日水曜日

お節介、過保護 ― nanny state

超大型のハリケーンSandyはアメリカ北東部に上陸し、New York Cityに大規模な停電をもたらし、一部では交通網も寸断されるなど、甚大な被害が発生しているようです。

自宅にテレビがないのでインターネットで情報を得ていますが、アメリカのメディア関係のTwitterのタイムラインはここ数日、この件に関するもので埋め尽くされています。


It takes a disaster to remind us how much we depend on our local and state governments. In the middle of a presidential campaign, Hurricane Sandy has put Barack Obama and Mitt Romney on the sidelines, reminding us how much we count on mayors and governors to protect us, to rescue us and to keep our streets, buses, subways, airports and commuter rails running.

After a season of debates about the deficit, taxes and health care, Americans have discovered that they cannot survive without government: to provide clean water, reliable transportation systems, and emergency services when floods, fires and power outages force them to abandon their homes. Hurricane Sandy even demonstrated that sometimes politicians should do more than what we want, especially when they are trying to save us from ourselves.
(Mitchell L. Moss. Sandy debunks 'nanny state'. CNN. October 31, 2012.)


上記に引用した記事はCNNのものですが、タイトルに注目しましょう。


Sandy debunks 'nanny state'


"debunk"という単語については、つい先日取り上げました。(覚えていますか?)

今日取り上げるのは、"nanny state"という表現ですが、これは一体どういう意味なのでしょう?

記事の冒頭を読んでいくと、今回のハリケーンによる甚大な被害を目の当たりにして初めて、政府の恩恵というものに気づかされる、というような話が展開されています。つまり一般市民は色々なことを言ったところでやはり政府や自治体に守られている、というような話です。

"nanny state"が辞書に載っているのかと思ってランダムハウス英和を引いてみると、


(軽蔑的)福祉国家(Welfare State)


という意味が載っていました。何故"nanny state"というのかについては、解説がついています。要は"nanny"とは”おばあちゃん”、”乳母”のことなのですが、そのおばあちゃんが子供に何かと世話をする、その役割を国家(state)になぞらえている表現なのです。

つまり、国民のために何かと世話を焼く政府のこと、軽蔑的に言えば、お節介、過保護な政府を"nanny state"というようです。

今回のハリケーン被害の件で言えば、ハリケーンの上陸に際して、備えを促したり、避難勧告をしたり、といったことがそれにあたるということなのでしょう。

"nanny"という名詞自体に、おばあちゃん、乳母という意味の他に、過保護の人、という意味があるようです。

"nanny state"という表現については、


nanny government
nanny agency


など、バリエーションがあるようです。


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