イギリスの大手飲料メーカーの合併に関するニュース記事から引用します。
Drinks merger loses its fizz: Britvic chairman blasts watchdog after probe into tie-up with AG Barr
A MEGA £1.4billion merger between two of Britain’s biggest soft drinks makers was in serious doubt last night.
The Office of Fair Trading threw an eleventh hour spanner in the works by referring the Britvic and AG Barr tie-up to the Competition Commission.
The deal, which had shareholder approval, was due to be completed in the next few weeks.
But in a shock move, the OFT raised concerns that the new company would wield too much power.
(Grahama Hiscott. Drinks merger loses its fizz: Britvic chairman blasts watchdog after probe into tie-up with AG Barr. Mirror. February 14, 2013.)
企業名は聞いたことがないものですが、"two of Britain's biggest soft drinks makers"ということですので、この合併というのは大手が生き残りをかけた戦略的なものなのでしょう。当然のことながら、合併が寡占や独占にならないかの審査などがあるものですが、やはりケチがついたようで、合併できるのかどうか危うくなってきた、というのがニュースの趣旨です。
さて、タイトルに注目しますと、
Drinks merger loses its fizz
とあります。"fizz"を"lose"(失った)ということで、コンテクストから考えるに、"fizz"の意味は一旦盛り上がった合併話のこと、つまり勢いやはずみ、といったものだと想像がつきます。果たして、ランダムハウス英和には、“活気、元気”という意味がありましたのでその通りだと思うのですが、"fizz"というのはいわゆる炭酸飲料などを注いだときのシュワァーという音のことです。
以前に、"fizzer"という単語を取り上げましたが、こちらは“失敗”の意味で用いられていたものでした。そしてこの意味もやはり、シュワァーという音から来ているもので、語源は"fizzle"という単語、さらに遡ると、おならをするという意味の古ノルド語であることを説明しました。
同じ“シュワァー”なのに、一方では勢い、元気や活気を、他方では失敗や減退を意味しているのは面白いと思いませんか。
ところで、この合併に関して他の記事では下記のようなタイトルになっています。
Britvic-Barr deal threatens to fizzle out
(Michael Bow. Britvic-Barr deal threatens to fizzle out. CITY A.M. February 14, 2013.)
またしても、"fizzle (out)"という表現を使っています。
ソフトドリンクメーカーの合併話だけに、シュワァーという音にかけたしゃれでしょうか。
なお、"lose one's fizz"という表現はある程度定着したもののようで、コーパスではいくつかの用例を確認することができます。
Wal-Mart leases about half of its abandoned stores. Since Walton died on April 5, 1992, the company's stock has lost its fizz.
(Patricia Sellers. Can Wal-Mart get back the magic? Fortune. 1996.)
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