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2014年6月30日月曜日

lock, stock, and barrel

"lock, stock, and barrel"というフレーズをご存知でしょうか?日本語で“一切合切”という意味です。これは知っていないと分からない表現です。

もう10年以上近く前のことですが、英語の勉強をするのにBarron'sから出版されている"1100 Words You Need To Know"というテキストを毎日やっていたのですが、その中でこのフレーズが出てきました。テキスト中の例文には、


The company moved its operations to another state lock, stock, and barrel.


とありましたが、いわゆる「暗記」をしたので、記憶の片隅にはありましたが、それ以降実例を見かけることもなく、なじみがない表現だったという訳です。

ところが、今日、いつものように色々な記事を漁っていると、このフレーズの貴重な実例に巡り合ったのです。


Town - lock, stock and bar - for sale

RAPID CITY, S.D. - A businessman looking to invest more time in his traveling concession business is seeking a buyer for his rural, southwestern South Dakota town - for the price of $400,000.
(Associated Press. June 30, 2014.)


ところで、"lock"、"stock"、"barrel"とはそもそも何のことでしょうか?

これらは銃を構成する部品を指しており、それぞれ、引き金、銃床、銃身のことです。

引用した記事のタイトルで使われているのですが、"lock"、"stock"まではおんなじですが、"barrel"ではなくて"bar"となっています。

これは恐らく記事の内容にかけた洒落です。


Lance Benson is the sole owner of Swett, an unincorporated hamlet in Bennett County about two hours southeast of Rapid City.

(中略)

In the 1940s, the town had a population of 40 people, along with a post office, some houses and a grocery store. Over the years, ownership of the town concentrated to a single person until it wound up in Benson's hands about 16 years ago. Now, what remains is a bar workshop, three trailers and a house, where Benson and his current wife live.
(ibid.)


South Dakota州のSwettという町(村)が話題になっているのですが、過疎化が進んでいて住民は数えるほどしかおらず、バー(bar)と作業小屋などくらいしか残っていないということなのです。

"lock, stock, and barrel"という表現の同義語、あるいは非常に似通った表現として、


hook, line, and sinker


というものがあります。これは釣り(fishing)に関連しているのですが、"hook"とは釣り針、"line"は釣り糸、"sinker"は錘のことで、"lock, stock, and barrel"と同様に、“完全に、すっかり”というような意味で使われます。

"hook, line, and sinker"の実例にお目にかかったことはまだありません。


2014年6月27日金曜日

ウルグアイ・スアレス選手は本当に噛み付いたのか ― sink one's teeth into

ワールドカップ1次リーグのウルグアイ対イタリア戦で、ウルグアイの主力選手であるスアレス選手が試合中、対戦相手であるイタリアのディフェンダー、キエッリーニ選手の肩に噛み付いたと報じられています。

その場ではイエローカード(警告)やレッドカード(退場)を宣告されることはなかったようですが、抗議を受け、FIFAがスアレス選手の出場停止処分を下したようです。

下記の引用はまだ処分が決定する前のものです。


The Uruguayan Football Association has gone on the offensive in an effort to save Luis Suárez from a lengthy ban for biting Giorgio Chiellini, claiming he is the victim of a smear campaign by the Italians, the English media and the Brazilian hosts.

As Suárez came under pressure from his sponsors, fellow professionals and Fifa's disciplinary committee after sinking his teeth into Chiellini’s shoulder, the Uruguayan FA attempted to circle the wagons.
(Uruguayan FA defends Luis Suárez, claiming bite marks are Photoshopped. The Guardian. June 25, 2014.)


どうやらウルグアイ側にはこの噛み付き事件をでっち上げ、ウルグアイに対するネガティヴキャンペーンの一種であるという見方があるらしく、大統領までが出てきてスアレス選手擁護に回っているようです。

さて、今日の表現は、


sink one's teeth into~


というものです。"bite"(噛む)という表現も使われていますが、敢えて"sink one's teeth"と表現しているところに、面白さを感じます。単純に“噛む(咬む)”というよりも、“かぶりつく”という感じでしょうか。

"sink one's teeth"は成句でもあり、“深く関わる、巻き込まれる”というような意味もあります。ここでは噛み付いてしまったために処分されるかもしれない事態に巻き込まれてしまった、というような意味合いも込められているのかも知れません。

この噛み付き事件については邦紙ではあまり大きく取り上げられていないようですが、海外メディアではトップ記事の扱いです。

上に引用した記事はイギリスのガーディアン紙のものですが、スアレス選手はプレミアリーグのLiverpoolの選手でもあり、何かとイギリスのメディアとは悶着がある模様です。一方、ウルグアイのメディアは今回の件では(イギリスメディアに対して)対抗姿勢を取っているようで、サッカーが外交問題にまで発展しそうな気配があります。

ところで、スアレス選手は本当にキエッリーニ選手の肩に噛み付いたのでしょうか?

こちらのサイトでは一部始終の写真が掲載されていますが、これを見ると客観的には噛んだっぽいな、と思わせられます。また、“前科”もあるということで、いくら大統領のサポートがあるとは言え、処分が覆る見通しは低いのではないかと思われます。


2014年6月26日木曜日

アルゼンチン、イランに劇的勝利 ― stoppage

アルゼンチン対イラン戦は0-0で引き分けでの試合終了が予想されていたところ、ロスタイムにアルゼンチンのMessi選手がゴールを決め、劇的な勝利を飾りました。


It took him more than 90 minutes, but Lionel Messi finally found a way.

With resolute defending from every man on the field, Iran had held Argentina scoreless into stoppage before Messi conjured the game-winning goal in the 91st minute of the teams' Group F matchup at Estadio Mineirao in Belo Horizonte on Saturday. The narrow 1-0 win sends Argentina into the Round of 16 at the 2014 World Cup.

After being stifled for the entire match by the disciplined Iran defense, Messi found a bit of space near the edge of the penalty area in the first minute of stoppage time.
(Chris Greenberg. Messi Saved Argentina With This Brilliant Goal In Stoppage Time Against Iran (VIDEO/GIF). The Huffington Post. June 21, 2014.)


さて、本日の表現ですが、ロスタイムのことを、


stoppage
stoppage time


と表現していることにお気づきでしょうか?

“ロスタイム”という言い方をするのはどうやら日本だけという話がありますが、最近では“アディショナルタイム”が公式の用語として用いられているようです。

サッカー好きの方には釈迦に説法となりますが、90分間の試合中、審判の判断で試合が中断された時間が“ロスタイム”であり、また“アディショナルタイム”です。中断された時間を失われた(ロス)と見るか、後で(90分に)追加する(アディショナル)と見るか、ものの見方の話であるとも言えるように思われます。

"stoppage"についてはどのように解釈したらよいでしょうか?

"stoppage"は、"stop"から来ていると思いますが、中断、中止と解釈するならば、やはり審判による中断ということで、概念的にはロスタイムに近いかも知れませんね。


2014年6月25日水曜日

日本は一次リーグ敗退 ― equalize

残念ながら日本の一次リーグ敗退が決定してしまいました。

今朝5時(日本時間)から行われた、対コロンビア戦を観戦された方は残念至極というところではないでしょうか。


(Reuters) - Colombia playmaker James Rodriguez set up Jackson Martinez for two goals and scored one himself as they thrashed Japan 4-1 to claim top spot in Group C on Tuesday and set up a mouthwatering second-round clash with Uruguay.

(中略)

Japan equalized just before halftime with Shinji Okazaki's fine diving header but fell apart near the end of the match.
(Rex Gowar. Colombia crush Japan 4-1 to set up Uruguay clash. Reuters. June 25, 2014.)


前半、コロンビアに先制されたようですが、ハーフタイム直前に岡崎選手が同点ゴールを決めて希望をつなぎました。しかし、後半に立て続けに得点され、4-1で敗けてしまいました。

さて、同点に追いつくということを、


equalize


と表現しています。"equal"の動詞形ですから言われてみればなるほどですが、知りませんでした。

ちなみに、同点ゴールは、"equalizer"とあります。


Japan got a brilliant and well deserved equalizer on the stroke of halftime after enjoying more of the possession in the first half and constantly probing Colombia's reserve central defensive pairing of Carlos Valdes and Eder Alvarez Balanta.
(ibid.)


Japan should have scored a second equalizer in the 66th minute but striker Yoshito Okubo blasted right back Atsuto Uchida's cross over the bar from right in front of goal with Ospina at his mercy.
(ibid.)


"equalizer"(イコライザー)というと、私などはAVステレオの機器を想起しますが、スポーツのコンテクストでは同点ゴールです。


2014年6月24日火曜日

決勝トーナメント ― knockout stage

今週はワールドカップ2014というテーマでお送りしています。

さて、ワールドカップ関連のニュース記事を読んでいると、knockout stage、あるいはknockout roundなる表現に度々出くわします。


After Portugal's last-gasp goal to tie the United States on Sunday evening, there's only one game left in the first round for each of the 32 teams in the World Cup.

While a handful of teams know they'll be headed home when the first round comes to a close on Thursday, the vast majority still have a chance of qualifying for the knockout stages. With that in mind, here is what each team in Groups A through D needs to do to get to the next round:(後略)
(Bryan Hood. All the scenarios for end of World Cup’s first round (Groups A-D). New York Post. June 23, 2014.)


この"knockout stage"が何を意味しているのかよく分からなかったのですが、どうやら邦紙が伝えているところの“決勝トーナメント”のことであると分かりました。

"knockout"というとボクシングのノックアウトをすぐに想起しますが、英語では"knockout"は勝ち抜き戦の意味があるようです。(ランダムハウス英和辞書)


ワールドカップ2014では32ヵ国のチームがAからHブロックまでの8ブロックに分かれて試合を行っていますが、各ブロックの上位2チームが決勝トーナメントへと進むことができます。

決勝トーナメントは16ヵ国による勝ち抜き戦、つまりトーナメントです。

ところで、FIFAのレギュレーション(規則)を参照してみると面白いことが分かります。


The final competition shall be played in a group stage, followed by three knockout stages, the play-off for third place and the final.
(Regulations, 2014 FIFA World Cup Brazil)


ここで、"final competition"とは今開催されているワールドカップそのもの(つまり地区予選を勝って代表として出場している32ヵ国による試合)のことですが、その中身は"group stage"(A~Hブロックに分かれての試合)、"three knockout stages"、そして"play-off"(3位決定戦と優勝決定戦)からなる、とあります。

"three"(3つの)"knockout stages"というところがポイントです。

A~Hブロックで勝った16ヵ国が1回戦、2回戦(準々決勝)、3回戦(準決勝)を経て2ヵ国に絞られるその1つ1つが"knockout stage"なのです。

トーナメント、と言う時、1回戦から決勝までのすべてをひっくるめてそう呼んでいると思っていましたが、"knockout stage(s)"という英語の概念はやや違うようです。

ちなみに、American Heritage Dictionaryでの"tournament"の定義は簡潔明瞭で、この定義はすべてをひっくるめた形であると解釈できます。


A series of contests in which a number of contestants compete and the one that prevails through the final round or that finishes with the best record is declared the winner.


また、"knockout stage"という言葉の定義はAmerican Heritage DictionaryやMerriam-Websterにも見当たらないところが興味深く思われます。


2014年6月23日月曜日

ワールドカップ2014 ― kick in the gut

サッカーのワールドカップ2014が開催中です。日本は初戦でコートジボワールに敗退、第2戦はギリシャと引き分け、決勝トーナメントに進めるかどうか微妙になってきました。

サッカーより野球の方がどちらかと言えばポピュラーな米国でも、4年に1度の祭典は耳目を集めると見えて、特に米国―ポルトガル戦については痛恨の引き分けとあって大々的に報じられています。


World Cup: Portugal Gives U.S. a Kick in the Gut

If the U.S. men's national soccer team somehow doesn't advance to the knockout round of this World Cup, they will spend a long four years thinking about how they were just seconds away from it.

In a thrilling if heartbreaking 2-2 tie, Portugal's Silvestre Varela scored in the fifth and final minute of stoppage time to bring Portugal back from the verge of elimination and pull the Americans back from surviving this tournament's Group of Death.

The goal, off a picture-perfect cross from Cristiano Ronaldo, wrecked a gutty comeback for the U.S. The Americans fell behind early, then took the lead with two second-half goals, only to see it slip away when Varela outran defender Geoff Cameron and headed the ball home.
(The Wall Street Journal. June 22, 2014.)


どうやらアメリカはポルトガルに2-1で勝っていたところを、最後の最後、ロスタイムでヘディングシュートを決められ同点に追いつかれてしまったようです。

“痛恨の引き分け”というやつです。

引用した記事のタイトルに、


kick in the gut


とあります。ランダムハウス英和辞書を引くと、アメリカ俗語表現、口語表現ということで


痛烈な(精神的・肉体的)打撃


とありました。

"gut"は“はらわた”のことですが、腹を蹴られた時の痛みに喩えているのでしょうか。

今週はワールドカップ2014と題しまして、サッカー関連の表現を取り上げたいと思います。


2014年6月20日金曜日

buzzword

あなたは"buzzword"に惑わされていませんか?

ところで、"buzzword"っていったい何のことでしょうか?


Researchers at the University of Houston claim that 'buzzwords' on food products labeling them as healthier options may be misleading.

Everywhere you look, food manufacturers are making health claims about their products, leading consumers to believe that the food they're buying is good for them, because its[sic] labelled as high in antioxidants, low in fat, low in calories, high in protein, or all natural.

However, researchers stated out that just because a product is labeled as healthy, doesn't mean that people are eating well. The researchers also suggested that food labeled as healthy may be contributing to the obesity epidemic.

Researchers asked 318 people to participate in an online survey that showed random products that included labels with common "buzzwords" like all natural organic, or gluten free, and food products that had no health labeling. Most of the people who completed the survey believed that the products labeled with health food buzzwords were healthier than the ones that made no health claims - even if the product was a bag of chips of box of cookies.
(Kathleen S. Health food labels may be misleading. Techsonia. June 19, 2014.)


食料品を買うとき、それが体に良いものかどうかは誰もが気を遣うのではないかと思います。私もそうなのですが、同じものでも“減塩”とか、“糖質xx%カット”、“プリン体ゼロ”などと謳う商品につい目が行ってしまいがちです。いわゆる、“トクホ”(特定保健用食品)などとなるとさらに効果覿面(!?)です。

実はこうした“宣伝文句”に惹かれて購入する人は多くても、それが実際に健康に貢献しているかどうかは相関しないらしいことがUniversity of Houstonの研究で明らかになったようです。つまり、健康だとされる食品を食べたからといって必ずしも健康ではない、逆に不健康になったり、肥満になったりするということです。

“宣伝文句”と書きましたが、これがまさに"buzzword"と本文中で表現されているものです。

"buzzword"を辞書で引くと、


an important-sounding usually technical word or phrase often of little meaning used chiefly to impress laymen
(Merriam-Webster Dictionary)


などとあります。

まさしく、私のような素人が引っ張られる、専門的、高級に響く表現の類です。ところで、なぜ"buzzword"というのでしょうか。

"buzz"とはハチなどの羽音やブザーの音など、耳につきやすい音のことです。つまりは、無視しようと思っていても気になってしまうような用語・表現ということで、"buzzword"というのではないかと思います。

権威や高尚なものに弱いのが庶民の性、という訳です。


2014年6月19日木曜日

leetspeakって何? ― leetspeak

TwitterなどのSNSでは1回の投稿の字数制限が140文字ということで、略語表現が多用されます。

この“略語表現”というのが、それを知っている人にはすぐわかるようなものでも、知らない人間にはちんぷんかんぷんだったりします。特に、隠語や符丁のように用いられる表現になってくるとほとんど分かりません。

犯罪捜査の大御所であるFBIもさすがにお手上げなのか、Twitterでよく使われる表現を2,800余り集めた“略語集”を作ったそうです。


The English language evolves just as fast as the technology we use to express it. And it appears that even the FBI needs a cheat sheet to stay up to date.

The agency's 83-page "Twitter Shorthand" dictionary was made public this week, offering readers everywhere a good laugh, and perhaps a better understanding of what their friends' 140-character messages mean.

The growing list of "about 2,800 entries" was part of a FOIA (Freedom of Information Act) request made in January by Jason Smathers via the website MuckRock.

Smathers asked for a copy of all documentation available to FBI agents, personnel, and contractors, regarding the understanding of "leetspeak," or online jargon in which users replace letters with other keyboard characters to form phonetic words.

"Leet," for short, is popular among hackers, though Smathers suggests it could be used by computer crime investigators, as well.
(Stephanie Mlot. FBI's Amusing 'Twitter Speak' Dictionary Revealed. PC Magazine. June 18, 2014.)


記事中、"leetspeak"なる単語が出てきますが、この"leetspeak"とは何のことかご存知でしょうか?

Netlingo The Internet Dictionaryによると下記のように定義されています。


Leetspeak, or "leet" for short, is a type of online jargon in which a computer user replaces regular letters with other keyboard characters to form words phonetically. Though it was originally used by hackers and gamers ("leet" is a vernacular form of "elite"), leet is used in the Internet mainstream in a variety of ways.


ネットで使われる略語表現のことを指しているのですが、隠語、スラングの類と言ってもよさそうです。

"leetspeak"の"leet"とは"elite"に由来するそうですが、これは元々このような類の隠語をハッカーやプログラマーなどの“(自称?)エリート”が好んで使ったことに因むようです。

"leetspeak"においては、多くの場合、アルファベットはそれとよく似た形の数字や記号で置き換えられ、例えば、"leetspeak"という単語は、"!337$p34k"などというスペルになるそうです。


2014年6月18日水曜日

トレンドとしての“カーブ” ― curve

アメリカのピザチェーンであるドミノピザ(Domino's Pizza)が、音声で注文を受け付けるスマートフォンアプリを開発したそうです。


Watch out, Siri. Domino's today, became the first major fast-food chain to offer a phone app that lets you order by voice.

When the app for iPhone or Android is launched, you just touch and talk to "Dom," a computer-enhanced male voice. He currently responds only to English.

The ordering platform is powered by Nuance Communications, which specializes in voice-assisted ordering.
(Bruce Horowitz. Domino's app lets you voice-order pizza. USA Today. June 17, 2014.)


オンライン(ネット)で注文を受け付けるのは今日ではほとんど常識ですが、人のしゃべる音声を認識して注文を取るというのは恐らく最先端ではないでしょうか。


The move by Domino's — much like one by Starbucks last week to begin installing wireless phone chargers — is about appealing to Millennials by staying one step ahead of the tech curve. Domino's current mobile app is its fastest-growing ordering vehicle, now at about 18% of sales.

"There will be a day when typing on keyboards or with thumbs on mobile devices will come to a close," says Patrick Doyle, CEO at Domino's, which has 10,900 stores in 70 world markets. "We want to be the ones who continue to advance the technology experience."
(ibid.)


さて、今日は"curve"という単語を取り上げたいと思います。上の引用で、


staying one step ahead of the tech curve


という表現が出てきます。これは恐らく技術(テクノロジー)の面で一歩先を行く、というような意味であると解釈できますが、ここでの"curve"という表現が気になったのです。

"curve"を辞書で引くと、カーブ、曲線という分かりきった日本語の訳がでてきます。曲線、カーブは道路や物体の輪郭のそれであったり、グラフのそれであったりする訳ですが、よくよく考えてみると、"the tech curve"で言うところの"curve"とは何のカーブなのか、よく分かりません。

似たような"curve"の用例を見てみましょう。


When you consider that many designer looks are a few seasons ahead of the mainstream fashion curve to begin with, it doesn't matter if an item was originally sold a year or two earlier.
(Denver Post. 2009.)


"fashion curve"という表現が出てきました。

このようにして見てみると、"tech curve"にしろ、"fashion curve"にしろ、その"curve"とはほぼ"trend"と同義であると解釈できないでしょうか。

つまり、流行、トレンドの意味なのですが、辞書には載っていません。


ahead of the curve
behind the curve


といった典型的な表現で用いられることが多いようです。


2014年6月17日火曜日

wire-to-wire

小生はゴルフをやらないのでゴルフ関連のニュースにもあまり関心がないのですが、下記に引用する記事の表現に目が留まりました。


Kaymer closes out wire-to-wire US Open win

PINEHURST, N.C. (AP) - The U.S. Open trophy Martin Kaymer won Sunday was all he needed to prove he was anything but a one-hit wonder in the majors, and that the two years he spent trying to build a complete game were worth all the doubt that followed him.

As he set it down on the table, Kaymer rubbed off a tiny smudge on the gleaming silver, which was only fitting.

Over four days at Pinehurst No. 2, he dusted the field in a performance that ranks among the best.
(Doug Ferguson. Kaymer closes out wire-to-wire US Open win. WBTV. June 16, 2014.)


ゴルフのUSオープントーナメントで優勝した選手に関する記事だということはゴルフを知らなくても分かるようなものですが、


wire-to-wire


が何を意味するかについてはどうでしょうか。

辞書を引くと出てきますが、


(レース、トーナメントなどの)初めから終わりまで


を意味するのが"wire-to-wire"だということです。

つまりこの選手はトーナメントの初戦からずっとトップのスコアで勝ち続けてきた、ということなのでしょう。

もう1つ引用します。


Senna, who will be 31 on March 21, earned his 15th wire-to-wire victory, one of several records he holds.
(Associated Press. 1991.)


セナ(Senna)と言えば有名なF1レーサーですが、この場合は号砲が鳴ってからゴールまでずっとトップを走り続けての勝利ということでしょうか。

以前、"down to the wire"、"under the wire"という表現を取り上げたことがありますが、"wire"というのはゴールラインのテープのことでした。"wire-to-wire"で言うところの"wire"も多分同じなのでしょう。

"wire-to-wire"について言えば、最初の"wire"はスタートラインのテープで、2番目の"wire"はゴールラインのそれを指しているものと思われます。


2014年6月16日月曜日

ウナギが絶滅危機!? ― overfish

先週末気になったニュースの一つに、日本ウナギが絶滅危惧種に指定された、というニュースがあります。

いわゆる“レッドリスト”に載ることになったというもので、土用の丑の日でさえウナギが庶民から縁遠いものになっているところを、それにますます拍車がかかりそうな気配です。


The Japanese eel, a popular summertime delicacy that has become prohibitively expensive due to overfishing, has been put on the international conservation "red list" in a move that may speed up Japan's push for industrial farming of the species.

Japan's agriculture minister urged that efforts to boost the eel population be stepped up after the International Union for Conservation of Nature this week designated the Japanese eel as "endangered," or facing a very high risk of extinction.
(Japanese eel put on international conservation 'red list.' New York Daily News. June 13, 2014.)


さて、事の背景には、“乱獲”があるということですが、英語では"overfish(ing)"というようです。

なるほど、という感じですが、同じく乱獲といってイメージするのはクロマグロです。魚ということで、"overfish"が使えそうです。

水産資源以外の場合の乱獲はどのように表現するのでしょうか?(例えば、象牙やトラなど。)

"overexploitation"という単語がありました。


2014年6月13日金曜日

snag

お昼のお弁当にソーセージが入っていました。

英語では、"sausage"ですが、オーストラリア英語では、"snag"というそうです。


Men told to go light on salami and snags

A LARGE study of more than 37,000 men found that processed meat significantly increases the risk of death from heart failure.

Those consuming the most - 75 grams per day or more - were twice as likely to die from heart failure than those who ate 25 grams or less.

Every extra 50 grams of processed meat, the equivalent of one or two slices of ham, increased heart failure risk by 8 per cent and the chances of dying from the condition by 38 per cent.
(Men told to go light on salami and snags. The Australian. June 13, 2014.)


加工肉をよく食べる人は消化器系のガンになりやすいというのはよく言われることですが、最近の調査では心不全にもなりやすいということで、ソーセージやハムは何とも悪者にされたものだと思います。

さて、"snag"という単語には木の切り株とか倒木、障害物、といった様々な意味があります。なぜこのような意味の単語がオーストラリアではソーセージを意味するようになったのかは不明です。

あるソースによると、イギリス方言で"snag"が軽食を意味することに由来するという説があるようです。


A sausage. In Australia and elsewhere snag has a number of meanings, including 'a submerged tree stump', 'an unexpected drawback', and more recently a 'sensitive new age guy'. But in Australia, a snag is also a 'sausage', a sense that probably comes from the British dialect word snag, 'a morsel, a light meal'.
(National Museum Australiaのサイトより引用)


2014年6月12日木曜日

バブル!? ― security bubble

まずは下記の引用文をご覧下さい。


Washington -- On Tuesday, President Obama made an unscheduled lunch run to Alexandria, Va., for burgers. He and Secretary of Education Arne Duncan broke out of the White House security bubble and limoed to FireFlies Restaurant in Del Ray, a neighborhood with a high concentration of trendy eating spots. We hope the president remembered to bring his wallet as the place isn't cheap by most Americans' standards. The Pimento Pork Burger is $11 during the day shift. A Bacon Burger is $12.
(Peter Grier. Obama burger run: What's strangest presidential walkabout of all time? Christian Science Monitor. June 10, 2014.)


オバマ大統領がお昼ご飯にハンバーガーを食べに出かけたという、我々庶民にとってはどうでもいいようなニュースなのですが、要人警護を担当する取り巻きに取っては一大事なのでしょうか。

当ブログでは、"security bubble"なる表現に目が留まりました。

"security"という単語と、"bubble"という単語の取り合わせが妙に思えませんでしょうか?まさか、“バブル経済”の“バブル”ではありますまい。

"broke out of the White House security bubble"とあることから、"bubble"の意味するところも何となく想像がつきますが、ランダムハウス英和を引くと、"bubble"という名詞のエントリには、


防衛[巡視、監視]区域


という意味が載っており、なるほどこれのことか、と思いました。

ところが、Merriam WebsterやAmerican Heritage Dictionaryではそのような意味を確認できなかったことから、果たして"bubble"にそのような意味が本当にあるのだろうかと疑問に思われました。

Google検索してみますと、"security bubble"の用例は少なからず存在するようですが、同時に、"presidential bubble"なる表現が目に留まりました。

大統領警護の取り巻きが凄いことは想像に難くありませんが、それを"bubble"と表現するに至った発想がどうもピンときません。

さらに色々見ていると以下のような記事に出くわしました。


The first person we could find to describe presidential life as living inside a bubble was, of all people, Ronald Reagan's oldest son Michael, who told UPI in 1983 that he was entering a Lake Michigan speedboat race to avoid getting "stuck in the presidential bubble."

But the term didn't really take off until 1992 when "security bubble" became a campaign coverage cliche, largely pushed by Clinton partisans, as a way to delineate elite George Bush (who didn't know the price of a gallon of milk) from the effusive friend-of-the-people Clinton (who liked to drop by McDonalds during his jogs).
(Gabriel Snyder. A Brief History of Life Inside the Presidential 'Bubble.' Gawker. December 28, 2008.)


どうやら"security bubble"という表現が使われ始めたのは比較的最近のことで、1992年、つまりビル・クリントン氏が大統領選を戦った際のことだったようです。

で、"bubble"をどう解釈するか、何と訳すか、ということですが、上記の引用に見られる"bubble"は“取り巻き”(entourage)と言い換えることができるのではないでしょうか。


2014年6月11日水曜日

長寿の秘訣は鯖のお鮨 ― mackerel

日本は長寿の国として世界でもその名を轟かせているようです。

女性は大阪在住のMisao Okawaさんが116歳で、世界最高齢の女性として認定されたのが今年3月でしたが、男性についても米人男性で111歳だったAlexander Imichさんの死去を受けて、埼玉在住のSakari Momoiさんが最高齢(111歳)に認定されました。


With Sunday's death in New york City of 111-year-old Alexander Imich, Japan this week inherits the mantle of being home to both the world's oldest man and oldest woman.

The densely populated and industrialized island nation also hosts half of the 40 known "supercentenarians" on the planet -- those who have reached 110 years or more.

(中略)

Misao Okawa, at 116, is the world's oldest person, according to Guinness World Records. The Osaka retirement home resident who was widowed 83 years ago told the Daily Telegraph on her latest birthday on March 5 that the key to a long life is lots of sushi and shut-eye.

"Eat and sleep and you will live a long time," Okawa told the news paper, citing her favorite meal as mackerel and vinegar-steamed rice. "You have to learn to relax."
(Japanese are leaders in life expectancy; 116-year-old credits sushi. The Los Angeles Times. June 11, 2014.)


さて、長寿の秘訣はなんですかというのがお決まりの質問ですが、116歳の女性は食べてよく寝ることと答えたとあります。食べ物の好物として鯖のお鮨を挙げたそうです。

鯖は英語で"mackerel"です。この単語には面白い語源があります。

辞書にも載っていますが、中期フランス語で売春の客引きを意味するmaquerelと同語源だというのがそれです。

そこで色々と調べてみましたが、何故にポン引きと魚の名称が結びついたかについては確たる証左に欠けるようです。

"mackerel"は"macula"、つまり斑を意味する単語とも関連しているのですが、これは鯖の表面に斑点があることから納得です。

ポン引きに関しては、中期オランダ語で仲介人を意味するmakelareに由来するとあり、これは"make"という動詞と関連するものだそうです。


2014年6月10日火曜日

2つの“スタッフ” ― stuff

“スタップ”(細胞)のことではありません、念の為。“スタッフ”です。

また、"stuff"であり、"staff"ではありません、これも念の為。

"stuff"という動詞は、場所や空間にモノを詰め込んで満たす、というような意味があります。例えば、


The boy stuffed his pockets with candy.
(Merriam-Webster Dictionary)


というような具合です。また、


I am stuffed.


というと、(沢山食べて)お腹一杯になった、という意味です。"stuff"の目的語に来るのは、詰め込む場所であり、空間です。

ところで、2つ目の意味としては、押し込む、突っ込む、という意味で用いられるもので、この場合の目的語は押し込むモノです。

"stuff"という動詞のこのような、ある意味“両刀遣い”のような機能を認識していなかったために下記の記事に出てくる"stuff"でおや、と思ってしまったのが、今日の投稿に至る経緯という訳です。


An incredibly rare Stradivarius violin — stuffed away in the closet of reclusive heiress of Huguette Clark — could fetch up to $10 million when it hits the auction block.

The violin is among several valuable items found inside Clark’s sprawling 907 Fifth Ave. apartment, following her death at age 104 in 2011.
(David Li. Violin worth up to $10M stuffed in reclusive heiress’ closet. New York Post. June 8, 2014.)


ストラディヴァリウスのヴァイオリンがニューヨークのアパートのクローゼットに保管されていたのがこのほど見つかったとかで、オークションにかけられるそうですが、1000万ドルの値を付けそうだというニュースです。

“保管されていた”と書きましたが、ここが英語の"stuffed away in (the closet of...)"という部分であり、要はあまり顧みられることもなく押し遣られていた、というニュアンスでしょうか。

たまたま、もう1つ用例を見かけましたので引用します。


Disabled principal stuffed away in school's basement

A recently disabled Queens principal has been relegated to her school's basement — because officials still haven't installed a wheelchair lift despite her months of pleading for one.

Joann Barbeosch, of PS 94 in Littleneck, has been working since the summer out of a cramped, unventilated basement storeroom, parents and administrators complain.

"Her sense is, they're putting it off and putting it off and hoping the problem will somehow go away," complained parent Matthew Saliba.
(New York Post. October 14, 2013.)


ここで"stuff"の目的語は人(校長先生)になっています。何とも可哀想な話です。

思うに、"stuff"という動詞で表される行為自体に粗雑なニュアンスがありますが、"away"という副詞がそれを強調しているように思われます。


2014年6月9日月曜日

こんな意味もあったの? ― weather

毎度お馴染み、こんな意味もあったの?のコーナーです。

今日の1語は、"weather"です。


TOKYO, June 9 (Reuters) - Japan's first quarter growth handily beat initial estimates on an unexpected surge in capital spending, fresh signs the world's third-biggest economy is in better shape to weather a hit to consumption from a sales tax hike.
(REFILE-UPDATE 1 -Japan's economy picks up speed on unexpected surge in capex. Reuters. June 8, 2014.)


上記の引用において、天気という意味の名詞で使われることがほとんどである"weather"が動詞として使われています。

意味は、


to deal with or experience (something dangerous or unpleasant) without being harmed or damaged too much
(Merriam-Webster Dictionary)


ということで、(困難などを)切り抜ける、という意味で用いられます。

“天気、天候”の話故か、動詞の"weather"の目的語には、"storm"が圧倒的に多いです。無論、この"storm"は嵐そのものを指す場合もありますが、比喩的な意味での“嵐”もあります。


2014年6月6日金曜日

今日は何の日? ― D-day

昔、お昼のワイドショーで、「今日は何の日~」というコーナーがあったなあなどと思い出しましたが、本日の投稿はそれです(笑)

今日、6月6日が何の日かご存知でしょうか?

G7サミットのニュースなどに絡めて報道されているのでご存知の方も多いかと思いますが、1944年6月6日は第二次世界大戦において、連合国軍がフランス・ノルマンディーへの上陸作戦を開始した日です。

この作戦が奏功し、連合国軍は当時ナチスドイツ支配下にあった西ヨーロッパを奪還するに至り、のちドイツは降伏します。

この作戦は、Operation Overlordと呼ばれていたそうですが、6月6日は"D-day"とされ、どちらかというとD-dayという表現がよく知られています。


Gen. Dwight D. Eisenhower was anxious and restless the night of June 5, 1944. He’d been working 20-hour days at his headquarters at Southwick House outside Portsmouth, England, planning the D-day invasion. The assault had already been postponed once by foul weather.
(David Zucchino. Eisenhower had a second, secret D-day message. The Los Angeles Times. June 6, 2014.)


さて、この"D-day"という表現ですが、"D"というのは"day"の略です。作戦の実行開始を言うのに、"D-day, H-hour"などと表現するのは、日付や時間が定まっていない、もしくは分からないように隠しているから"D-day"であり、"H-hour"なのです。

初出が1918年とあります。私はてっきり、1944年のノルマンディー上陸作戦の"D-day"から定着した表現かと思っていたのですが、どうやらそれ以前から存在する表現だということが分かりました。

こうした背景から、"D-day"といえばノルマンディー上陸作戦のことを指すことがほとんどではありますが、一般的な意味で“重要な日”(a day on which something important is planned or expected to happen)を指す表現としても使われています。


Instead of gambling on a "D-day" switch-over to the new system, the company should have done more extensive pilot testing and had a backup plan in case of problems.
(Computer upgrade: To hell and back. Inc.com; 1994.)


大事な日は"D-day"という訳です。


2014年6月5日木曜日

boast

"boast"という動詞を“自慢する”という意味で暗記している人は多いと思いますが、実は“自慢する”という以外の意味もあることを今日知りました。

きっかけは以下の記事です。


Los Angeles, San Francisco Boast Worst Traffic In U.S.

Speaking of traffic problems in Los Angeles is terrifically cliched. A recent study on traffic congestion in the United States unsurprisingly names the City of Angels the worst in the nation.
(Brendan Byrne. Los Angeles, San Francisco Boast Worst Traffic In U.S. Value Walk. June 4, 2014.)


街中の渋滞の話をしているのですが、アメリカでもっとも渋滞がひどい都市がロスとサンフランシスコだということです。

タイトルを見て、おや、と思いませんでしたか?

"worst traffic (in the US)"を"boast"というのは意味が合わない、とふつう思いますよね。渋滞のひどさを自慢する(?)ということになってしまいます。

それで辞書を引きますと、"boast"にはもちろん“自慢する”という意味があるのですが、同時に


持つ、所有する


という意味、つまり単純に所有している(have, contain)という意味があったのです。これは知りませんでした。

例えば、昨日のJapan Timesの見出しに以下のようなものがあります。


Ishihara says new party will boast at least 22 Diet members


日本維新の会が分党した結果、旧太陽の党の勢力である石原グループは22人の議員を擁するという見込みだそうです。


2014年6月4日水曜日

"ring, rang, rung"ではありません ― rung

米国General Motors(GM)のリコール問題は今や刑事事件にまで発展しそうな様相ですが、下記の記事によるとそもそもGM社の組織に問題があるという見方が出てきています。

それは、自動車の安全性を管理する部門が組織の階層の下の方に置かれていて社長(CEO)直轄になっていない、という指摘です。


To understand how General Motors allowed a problem with a small part to balloon into a crisis, look at the organization chart.

As of early last year, the director of vehicle safety was four rungs down the ladder from the CEO, according to a copy of the chart obtained by The Associated Press. Finance, sales and public relations had a direct path to the top.

"What's a higher priority than product safety?" asks Yale University management and law professor Jonathan Macey, author of a book on corporate governance. "The organization chart does obviously reflect a company's priorities."
(Tom Krisher. Before Recalls, Safety Was Low in GM's Company Hierarchy. The Associated Press. June 3, 2014.)


"rung"という単語は見慣れないものでした。動詞の"ring"の過去分詞形が"rung"ですが、ここでの"rung"はそれではありません。

"rung"とは、梯子の“段”のことです。

GM社の安全性部門はCEOから4段(つまり、4階層)も下に位置付けられており、自動車の安全性に関する重要な報告が社長に迅速に報告される上での障害になったとみられても仕方がないということでしょう。

上述しましたように、"rung"とは物理的に梯子の段を指していますが、用法にも見られるように社会や組織における“階層”(ランク、ハイアラキー)の比喩としても用いられ、メトニミーの一種と考えることができます。

いくつか用例を見てみましょう。


Remittances sound like small change, the crumbs of the United States' great prosperity. The majority of those who send remittances are on the bottom rungs of the economic ladder -- janitors, housekeepers, gardeners, dishwashers. The average remittance is about $240.
(San Francisco Chronicle. 2006.)


They do shake hands in Japan, but it's because they know we do it. We think a bow is subservience, but to them it's a sign of respect. In a business situation, the person on the lowest rung of the corporate ladder bows first and deepest.
(Washington Post. 1991.)


"rung"と共起するのは"ladder"ですが、それは"corporate ladder"であったり、"economic ladder"であったり、つまりはハイアラキーのことなのです。


2014年6月3日火曜日

cahoot

"cahoot"という見慣れない単語を目にしました。何年、ウン十年英語に接していても、初めて見る単語というのは存在するものですね。(既にご存知の方には、小生の不勉強を詫びる次第ですが・・・。)


BEIJING: A Chinese general has hit out at the US and Japan for working in cahoots in order to stoke trouble for China. US defence secretary Chuck Hagel and Japanese prime minister Shinzo Abe were working together to create distrubances in the South China Sea, he said.

"My feeling is that Abe and Hagel were singing notes in chorus," Lieutenant General Wang Guanzhon, who is deputy chief of the general staff of the People's Liberation Army told a gathering of military generals and strategic experts in Singapore on Sunday.
(Saibal Dasgupta. US, Japan working in cahoots: China. Times of India. June 2, 2014.)


さて、文中の"working in cahoots"という部分がそうですが、"cahoot"という単語を知らなくとも、後続の


working together





singing notes in chorus


を読めば大体意味がつかめることと思います。といいますが、"in cahoots"とはこれらとほぼ同義です。

"cahoot"を辞書で引くと、


共謀して、グルになって


というような意味が見えます。

中国が日本の領土である尖閣諸島を自国領だと言って憚らなかったり、南沙諸島などでベトナムと衝突したりと、とかくトラブルを引き起こしていますが、力による現状変更は許されないと、中国を名指ししての非難声明がシンガポールで開催中のアジア安全保障会議で出されたと朝刊の報道でありました。

逆ギレの中国は、日米が“結託して”中国を貶めようとしていると主張しているそうですが、困ったものです。

話題を"cahoot"に戻しますが、この単語の語源に目を向けますと、フランス語で小屋(hut)を意味するcahuteに由来するとあります。

もう一説には、"cohort"(群れ、グループの意)と関連するというものがあるようですが、定説とはなっていないようです。

"cahoot"は基本的に複数形"cahoots"で使われることが多く、用例にもあるように、


in cahoots


という形で使われるのがおきまりのパターンのようです。


2014年6月2日月曜日

untapped

技術の進歩、とりわけ情報技術のそれは目覚ましいものがありますが、プライベートのデジカメ写真の整理プログラムを使っていたところ顔認識の機能があって家族や友人、知人のタグ付がいとも簡単にできることに驚きました。

このような顔認識システムは犯罪捜査にも一役買っているようです。


The selfie phenomenon is undoubtedly making the NSA's job easier by producing a mountain of tagged online data to feed its facial recognition algorithms.

A report in The New York Times, based on documents from 2011 obtained by the NSA whistleblower Edward Snowden, reveals that the US security agency's reliance on facial recognition technology has grown significantly under the Obama administration - coinciding with a rise in popularity of taking and tagging self portraits on online social networks.

The newspaper reports that the agency has turned to new software to process the flood of images being included in digital communication including social media, email, messaging, videoconferencing and other types of online comms. The 2011 documents show that agency officials believe technological advances in facial recognition software could revolutionize the way the NSA finds intelligence targets around the world.

According to the documents, the agency intercepts "millions" of images per day -- including about 55,000 "facial recognition quality images" -- although it is not clear how many images the agency has amassed in total at this point. The NSA describes facial recognition technology as offering "tremendous untapped potential" for tracking intelligence targets.
(Nataths Lomas. Smile: Your Selfie Is A Mugshot For The NSA. TechCrunch. May 31, 2014.)


最近はSMSなどの流行で写真や自画撮り映像をオンラインに投稿するケースが増大しており、“一役”どころではない役立ちぶりのようです。アメリカではNSA(国家安全保障局)がこれらの画像を収集しデータベース化していると言われているようです。

さて、引用した記事の最後の段落では、(顔認識システムが)


tremendous untapped potential (for tracking intelligence targets)


とあります。お尋ね者を追跡するのに大活躍だというわけです。

"untapped"を辞書で引くと、


(容器などの)呑口を開けられていない
(木が)(樹液を取るための)刻み目をつけられていない
(資源・能力などが)未開発の、利用されていない


などとあります。

そもそも"tap"という名詞が、樽の栓を意味していますが、これは"tapwater"という単語にも見られるものです。

そしてそのほかの意味としては、電源を取るコンセントの意味で"tap"という単語が使われますし、盗聴するという意味の動詞として"tap"(もしくは、"wiretap")があります。

要は"tap"というのは資源や情報の源を指しており、動詞の"tap"はそれを利用する行為を意味するものです。その否定形である"untapped"は源がまだ誰にも手を付けられていない、というところに主眼を置いているものです。

コーパスで検索すると、


untapped potential
untapped resource
untapped market(s)
untapped source
untapped reserve(s)
untapped opportunity


などの用例が見られます。