レストランでチップを払うというのはアメリカでは常識になっています。私もかつて滞在した際にはチップをいくら払うのがいいか悩んだ経験がありますが、旅行などで海外を訪れる日本人の多くが同じ体験をしているでしょう。チップの“相場”も都市やレストランによって様々で、ニューヨークで食事した時など、チップを置いたのに少なすぎると突き返された経験があります。
ところで、アメリカのとあるレストランチェーンがチップ廃止に取り組んでいるようです。
National seafood chain Joe’s Crab Shack has dipped its toes into fresh waters with a test program to remove tipping from 18 of its more than 130 restaurants, the US company said on Wednesday.
No timeline is in place to implement the plan nationally but the test comes as a nascent movement has been launched to remove a more than century-old tradition of tipping in US restaurants.
At the test locations, Joe’s has paid some workers a minimum of $12 an hour, but did not specify how much workers made previously. The Houston-based company raised menu prices less than 20 percent to compensate for the higher labor costs. Initial surveys have shown improvement in service at places with the no-tipping policy, it said.
(National restaurant chain is putting an end to tipping. New York Post. November 11, 2015.)
「取り組んでいる」と書いてしまいましたが、引用した記事ではその部分を、
dipped its toes into fresh waters
と表現しています。初めて見る表現でしたが、"dip one's toe into"というフレーズは、
新しいことをやってみる、試してみる
という意味です。また、Oxford Learner's Dictionary(オンライン版)によりますと、
(informal) to start doing something very carefully to see if it will be successful or not
と定義されており、「取り組む」というよりは、注意深く、試験的に導入してみる、といった方が近いようです。
ところで、"fresh waters"というのは、"dip one's toe into"に続くフレーズとして一体のものなのだろうかという疑問が湧いてきました。
どうも辞書によっては1つのフレーズとして扱っているものもあれば、そうでない(dip one's toe into"のみとしている)ものと、分かれるようです。
"dip one's toe into water"は文字通りに訳せば、足のつま先を水につけてみることを指していますが、それは水温(あるいは湯温)を見るためにそうするということなので、注意深く試みる、という意味につながってきます。
Collins Cobuild Dictionary of Idiomsでは、
a toe in the water
というエントリで掲載されており、その定義は下記のようになっています。
If you dip your toe in the water, you start slowly and carefully doing something that you have not done before, because you are not sure if you will like it or if it will be successful.
動詞の部分は"dip"に限らず、"have"の場合もあります。
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