何を以って猥褻であるかそうでないかを判断するかは非常に難しい問題であることは論を待たないところです。
問題になるのは多くの場合、芸術(アート)と猥褻との境界というようなテーマがほとんどではないかと思いますが、自宅で家族の前で裸を見せることが果たして猥褻にあたるかというと、眉を顰める人が多く出てきそうです。
アメリカ・ユタ州で、母親が10代の息子3人の前でトップレスになったのは猥褻罪に当たるか否か?議論が沸騰しています。
A Utah woman has been charged with lewdness in her own home after her stepchildren walked into the room and saw her bare chest.
Attorneys for the American Civil Liberties Union of Utah argued this week that the statute under which Tilli Buchanan, 27, was charged is unconstitutional, and they have asked a judge to drop the charges against her and change the state law.
Buchanan and her husband had been installing drywall in the garage and had taken off their shirts that were itchy from the fibers, she told The Salt Lake Tribune.
(Laurel Wamsley. Utah Woman Charged With Lewdness After Being Topless In Her Own Home. NPR. November 21, 2019.)
嫌疑をかけられた女性は夫と一緒にガレージ作業をしていたそうですが、作業を終えて上着を取り換えるのに子供たちの前で上半身裸になったということです。一緒に作業をしていた夫も当然、汚れた服を脱いで同じような状況だったということです。
この状況で何が一体猥褻(lewdness)にあたるのかと思うのですが、ユタ州の州法では14歳以下の子供の前で性行為や胸を露にする行為を禁じているということだそうです。
Now the state has charged Buchanan with three charges of lewdness involving a child. The charge is a Class A misdemeanor.
Though her husband was similarly clad, he was not charged with a crime.
The state's lewdness statute criminalizes exposure of "the female breast below the top of the areola" in the presence of a child in a private place "under circumstances the person should know will likely cause affront or alarm."
(ibid.)
州法の該当箇所が引用されているのですが、
exposure of "the female breast below the top of the areola"
という箇所がそれに相当します。
ここで使われている、"areola"という単語は初めて見ました。
辞書を引くと、解剖学用語であり、ここでのコンテクストでは「乳輪」を指します。(解剖学的には、乳輪に限定されるものではなく、ある中心部分の周囲を形作る輪状の組織を指す用語で、眼の虹彩の周囲の部分である虹彩輪なども指します。)
語源としては、"area"(部分)に指小辞-oleが付加されたものです。
それにしても法律での表現というのは解釈にブレがないように厳密でなければならないためか、"below the top of the areola"とは随分持って回った言い方というか、分かりにくい表現です。
訴訟大国アメリカならではの話かもしれませんが、胸を見せることの何が悪いのか、女性が罪に問われるのに男性は問題ないというのは性差別だという議論もあります。
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蘭です。
返信削除猥褻で罪を問われるのですね。法律に詳しくありませんが、これは主張しない限り罪を問われることがないような印象ですが…
とにかく、areolaを覚えました。