中々覚えられない、身に付かない、そんな単語があります。
単なる勉強不足と言われてしまうかも知れません。読んでいる本に出てきて、一度辞書を引いて意味をチェックするのですが、また別のところで出てきたときに、やはり意味がつかめず、また辞書を引く・・・、というようなことを繰り返してしまいます。
今日取り上げる単語、"vicarious"はそんな単語の1つです。
よく似たスペルの単語に"precarious"というものがありますが、これもまた覚えられない単語です。("vicarious"とはスペルが似ているとはいえ、語源は全く異なります。またいずれ、取り上げたいと思います。)
さて、"vicarious"の用例については下記の記事をまずは取り上げてみます。
In a normal year, the MLB Ballpark app was for use at, well, the ballpark. But this year, with stadium attendance reduced to scattered pods of fans or banned outright, Major League Baseball has added a vicarious layer to its app: augmented-reality lenses built on Snap Inc. technology.
The souped-up app has six lenses that users can choose from, for instance, to swing a bat superimposed into a video of themselves, or take selfies wearing virtual hats from this year’s World Series opponents, the Tampa Bay Rays and the Los Angeles Dodgers. (The teams are tied 1-1 at present.)
(Ann-Marie Alcántara. Snapchat’s Augmented-Reality Lenses Find Their Way to the Ballpark. Wall Street Journal. Oct. 22, 2020.)
近年、Augmented Reality (AR; 拡張現実)なる技術が盛んですが、米メジャーリーグのアプリにARを組み込んだという話題です。
"vicarious"には、代理の、という基本的な意味がありますが、ここでは、他人の経験を自分がまさに体験しているように感じる、我が事のような、という意味です。
もう1つ用例を。
One of the fundamental reasons we go into a movie theater is to hand over control to the screen. We sit in our seats, the lights darken, and we have a vicarious experience.
(Chicago Sun-Times, 1994)
映画鑑賞の体験について、"vicarious experience"と表現していますが、これも映画を見ながらあたかも自分が映画の中で繰り広げられる出来事を体験しているかのように感じることを意味しています。ある意味、感情移入みたいな意味合いがあるでしょうか。
さて、"vicarious"の語源はラテン語vicisに遡るということで、このラテン語vicisとは交替とか交換、代わりになること、という意味だそうです。
分かりやすい話として、同じくラテン語vicisから派生した単語にvice(代理人)があります。
ヴァイスプレジデント(vice-president)は不測の事態に大統領の代わりを務める人のことですので、この例は分かりやすいですね。
"vicarious"には上記以外にも色々な使われ方をしているようですが、それについてはまたいずれ。
ディズニー映画のハイスクール・ミュージカル:ザ・ミュージカルを見ていたら、高校生が vicariously という言葉を使っていて、意味を検索したところ、こちらのブログに当たりました。
返信削除第6話で主人公の親友が
Should I live vicariously through someone else?
と言い、
「報告を楽しみにしてたのに」
という日本語にふきかえられていました。
覚えづらい、ビッグワードに見えるのにカジュアルに使われる vicariously なんとか使えるようになりたいですね。
コメントありがとうございます。その映画は観たことがありませんが、今度是非観てみたいと思っています。それにしても「超訳」ですね。
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